覚醒剤で逮捕!保釈金はいくら?支払いの流れ&保釈が認められる条件を徹底解説
最終更新日: 2025年03月09日
- 覚醒剤で逮捕され起訴されてしまった。刑事裁判が終わるまで、このままずっと身柄を拘束されたままなのだろうか?
- 刑事裁判に移行後は保釈が可能と聞いた。保釈金はいくらくらい必要なのだろう?
- 保釈申請はいつからできるのか教えてほしい。起訴前は認められないのだろうか?
覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕され、起訴された場合、刑事裁判に移行します。
被疑者として警察の留置施設に勾留中だった場合、勾留が維持され、引き続き身柄を拘束されるでしょう。
起訴後、被疑者は「被告人」と呼ばれ、拘置所へ移されるのが一般的です。ただし、被告人となった場合は「保釈申請」ができます。
その場合、保釈の担保として「保釈金(保釈保証金)」の支払いが必要です。
そこで今回は、多くの刑事事件に携わってきた弁護士が、保釈金の目安や保釈の条件、保釈金を支払うまでの流れ等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談できます。
- 覚醒剤事件では約150〜200万円の保釈金が目安といわれている
- 保釈金は被告人が指定された裁判期日に出頭すれば、判決後に返還される
- 保釈は起訴された後でなければ認められない
覚醒剤の逮捕で支払う保釈金とは
被告人等が保釈を希望する場合、裁判所に保釈申請を行わなければなりません。
裁判所から保釈を許可された場合、保釈金(保釈保証金)の納付も必要です。
保釈金とは
保釈金(保釈保証金)は保釈が許されたときに、担保として裁判所に納付するお金です。
保釈金は基本的に現金で納付します。ただし、被告人の家族が裁判所に出向いて納める必要はありません。弁護士が保釈金を預かり、裁判所に納付するのが一般的です。
納付した保釈金は、被告人が保釈中に逃亡・証拠隠滅その他の禁止事項を行わず、指定された裁判期日に出頭すれば、判決後に全額返還されます。
保釈に付される条件
保釈が認められるときは、裁判所の決めた保釈金を納付するだけでなく、次のような条件も付されるでしょう。
- 被告人が住む場所の指定を受ける(制限住居)
- 特定の人物と接触しない
- 裁判所からの呼び出しには必ず出頭する
覚醒剤で逮捕された場合の保釈金の相場
保釈金の額は法定されていませんが、約150〜200万円が相場です。
保釈金は犯罪の重大性や被告人の資力等を考慮して、裁判所が金額を決めます。被告人に資産があまりなく低所得者の場合は、相場よりも低い金額となる場合もあるでしょう。
一方、政治家や高額所得者、覚醒剤を営利目的で所持・譲渡した者などは、数千万円以上の保釈金納付を命じられる可能性もあります。
覚醒剤での逮捕から保釈金支払いまでの流れ
覚醒剤取締法違反で逮捕されて、警察官から取調べを受けます。その後、送致・勾留されて、検察官から取調べを受け、起訴となった後に保釈申請を行えます。
逮捕
被疑者は次のような方法で逮捕されます。
- 覚醒剤の所持や使用中の場合:現行犯逮捕
- 覚醒剤を所持・使用していると家族や第三者に通報された場合:後日逮捕
覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕された被疑者は、警察署で取り調べを受けます。
警察署の取り調べでは、覚醒剤の所持・使用等に至った動機や経緯、誰から購入・譲受したのか(または売却・譲渡したか)を質問されるでしょう。
被疑者を逮捕・留置後、警察は48時間以内に検察官へ身柄を送致します。
送致
検察に身柄送致後、検察官からも覚醒剤に関する取り調べを受けます。
検察官が「被疑者は覚醒剤使用や逃亡、証拠隠滅のおそれがある」と判断した場合は、引き続き警察の留置施設に身柄を拘束する手続きが進められるでしょう。
検察官は被疑者を逮捕してから72時間以内、かつ被疑者を受け取ってから24時間以内に、裁判所へ勾留請求を行う可能性があります。
勾留
裁判所が検察官の勾留請求を認めた場合、留置施設での身柄拘束が続きます。
勾留は原則として10日間ですが、やむを得ない事由があれば、検察官の請求により更に10日間の延長もあり得ます(刑事訴訟法第208条)。
勾留中、捜査機関は次のような捜査を進めるでしょう。
- 覚醒剤に関する被疑者取り調べ
- 被疑者の供述を参考に密売人の捜索
- 覚醒剤等の証拠物を押収するための家宅捜索 等
起訴
捜査で十分な証拠が揃った場合、検察官に覚醒剤取締法違反で起訴されます。
起訴された被疑者は被告人と呼ばれ、刑事裁判で有罪か無罪か審理されます。
被告人は留置施設から拘置所に移され、勾留期間は最大2か月に及ぶこともあるでしょう。勾留期間の延長に、特別な手続きは必要ないため自動で更新されます。
保釈申請
起訴後はいつでも保釈申請ができます。保釈申請が認められると、被告人は長期の勾留から解放されるのです。
保釈申請は、被告人本人・弁護士(弁護人)や法定代理人の他、配偶者、直系親族、兄弟姉妹、保佐人もできます(刑事訴訟法第88条第1項)。
保釈申請書には、次のような書類の添付が必要です。
- 身元引受書:被告人の出頭を約束する書類
- 身元引受人の本人確認書類
- 住民票:釈放後に住む場所を証明する書類
- 戸籍謄本:身元引受人が弁護士以外の場合に必要
弁護士に任せれば、保釈申請の手続きに慣れているので、スムーズに手続きが進むでしょう。
裁判官による検察官の意見聴取
保釈申請が受理された場合、保釈を許可する前に裁判官が検察官の意見を求めます。
検察官は次のいずれかの回答を行います。
- 相当:検察官が保釈に同意する意思表示
- しかるべく:裁判官に任せるという意思表示
- 不相当:保釈に同意しないという意思表示、理由も書面で添付する
弁護士(弁護人)が希望すれば、保釈に関して裁判官と面接が可能です。
面接時に裁判官から保釈金額に関する話題が出た場合は、保釈の可能性が高いでしょう。
保釈許可
裁判官は、検察官の意見や弁護士(弁護人)の面接を経て、保釈を認めるか否かについて決定します。保釈の種類は次の3つです。
- 権利保釈:申請があれば除外事由に該当しない限り、原則として認められる保釈(控訴審の場合、権利保釈はない)
- 裁量保釈:権利保釈が認められなくとも諸般の事情を考慮し、裁判所が必要と考えたとき裁量で許可する保釈
- 義務的保釈:勾留で身体拘束がかなり長期間となる場合、裁判所が認める保釈
保釈が許可されても、保釈後の住居・旅行の制限等の条件が付されるのでよく確認しましょう。保釈申請後、保釈許可が出されるまで、2〜3日程度かかる可能性があります。
保釈が不許可になったときは「準抗告」をして不服を申し立てることもできます。
裁判所が保釈を許可しても、検察側が不服を申し立てる場合もあるでしょう。
保釈金納付
保釈が許可されたときは、速やかに保釈金を納付しましょう。
弁護人が家族から預かった保釈金を、裁判所に納付するのが一般的です。納付時に、保釈金の返還先の口座を明記した書面も提出します。
被告人が禁止事項に従い、指定された裁判期日に出頭すれば裁判終了後、有罪・無罪に関わらず、指定口座へ保釈金が全額返還されます。
なお、事前登録して、保釈金をネットバンキングで電子納付してもよいです。
覚醒剤による逮捕で保釈が認められる条件
裁判官が保釈を許可するのは、一定の条件を満たす場合です。
起訴後
保釈申請は起訴後に行わなければなりません。
起訴後であればいつでも申請はできますが、保釈許可を受けたときに、裁判所から命じられた保釈金をすぐ納められるかどうかが問題です。
予想外に高い保釈金となり、納付が難しい場合は、保釈金の立替を行う一般社団法人「日本保釈支援協会」を利用する方法があります。
保証金立替の内容は次の通りです。
- 立替限度額:500万円
- 立替手数料(税込):13,750~137,500円
- 事務手数料(税込):5,500円
- 立替期間:2か月
保釈金立替に関しては、弁護士と相談後に協会へ利用を申し出た方がよいでしょう。
逃亡・証拠隠滅のおそれがない
保釈を許可してもらうためには、被告人に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを裁判官に理解してもらう必要があります。
保釈金は保釈を認める担保として納付するお金で、逃亡等のおそれがないという証明にはなりません。
逃亡や証拠隠滅のおそれがない旨を裁判官に説明するためには、刑事事件の弁護活動に実績豊富な弁護士の選任が必要です。
弁護士は被告人の弁護人として、次のような主張を行います。
- 被告人の立場に立った犯情(犯罪に至るまでの事情)の説明
- 身元引受人のサポート体制(生活支援の他、覚醒剤の使用の防止措置等)を整えている旨
- 被告人の逃亡や証拠隠滅を防止するための監視体制
裁判官は弁護人の主張に納得すれば、保釈を許可する可能性があります。
なお、できれば前もって私選弁護人を選んでおいた方がよいです。
私選弁護人の依頼は自費となるものの、被告人のニーズに合った弁護士を選べ、迅速に対応できます。
反省の態度が見られる
保釈が認められるためには、被告人自身が覚醒剤取締法違反を深く反省しなければいけません。
自分の犯した覚醒剤に関する罪を後悔し、捜査に協力したのであれば、その姿勢を裁判官が評価する場合もあるでしょう。
一方、被告人が次のような態度をとれば、保釈の可能性は低くなります。
- 「どうせ自分の人生は終わった」と自暴自棄になり、取り調べに応じようとしなかった
- 「覚醒剤の使用を後悔していない」と、捜査機関を挑発する言動をとった
- 逮捕前に大量の覚醒剤を隠匿・証拠隠滅しようとした
共犯者がいない
裁判官に共犯者はいないと主張する必要があります。
覚醒剤を自分だけで使用するために、密売人から購入したというケースであれば、保釈される可能性があります。
一方、営利目的で覚醒剤を使用、所持、製造等を行った場合は、共犯者の存在が疑われるでしょう。
裁判官は「保釈後に共犯者との間で口裏合わせ等を行い、証拠隠滅を図るかもしれない」と判断する傾向があります。
営利目的で起訴された場合、保釈は認められない可能性が高いでしょう。
覚醒剤による逮捕で保釈申請をお考えなら春田法律事務所にご相談を
今回は数多くの刑事事件を担当してきた弁護士が、保釈の条件や保釈金の納付方法等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は、刑事事件の弁護活動や手続きに実績豊富な法律事務所です。保釈を望むのであれば、弁護士と相談し、法的なアドバイスやサポートを受けましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。