恐喝で逮捕されたら?弁護士が解説する流れと不起訴の可能性

最終更新日: 2026年04月08日

恐喝事件に強い弁護士が解説する基本概要・逮捕・不起訴の獲得!

「冗談のつもりだった」「貸した金を返せと言っただけなのに……」

そんな些細なトラブルから恐喝罪で逮捕されるケースは後を絶ちません。

恐喝罪は罰金刑がなく、起訴されれば実刑のリスクも伴う非常に重い犯罪です。逮捕から勾留までの「最初の72時間」をどう動くかが、その後の人生を左右します。

本記事では、恐喝罪の成立要件や逮捕後の流れ、そして前科を避けるための「示談」の重要性について、専門弁護士が徹底解説します。

手遅れになる前に、正しい警察対応と解決の糸口を掴んでください。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士

「家族が逮捕された」「示談したい」など、300件以上の刑事事件のご相談に対応してきました。(※2026年3月時点)これまでの実務経験をもとに、法律のポイントを分かりやすく解説しています。

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恐喝罪とは?脅迫罪や強盗罪との違い

恐喝とは、相手を怖がらせて金品などを脅し取る犯罪です。

「冗談のつもりが大事になってしまった」「貸した金を返してもらうために強く言いすぎた」といったケースでも、恐喝罪が成立し逮捕に至る可能性があります。

まずは、恐喝罪がどのような犯罪なのか、よく似た脅迫罪や強盗罪との違いとあわせて正確に理解しましょう。

恐喝罪の成立要件

恐喝罪は刑法第249条に定められています。

条文によると「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」とあり、以下の4つの要件を満たす場合に成立します。

  • 暴行または脅迫を用いたこと
    相手の反抗を完全に抑え込むほどではないものの、相手を怖がらせる程度の暴行や脅迫行為があったことが要件です。
    例えば、「言うことを聞かないと、お前の家族に危害を加えるぞ」「過去の秘密を会社にばらすぞ」といった言動がこれにあたります。

  • 相手方を畏怖(いふ)させたこと
    上記の暴行や脅迫によって、相手が恐怖心や不安を感じた状態(畏怖した状態)に陥ったことが必要です。
    加害者が脅したつもりでも、相手が全く怖がっていなければ恐喝罪は成立しません(ただし、恐喝未遂罪に問われる可能性はあります)。

  • 財物や財産上の利益の交付を要求し、交付させたこと
    恐怖心に乗じて、金銭や物品(財物)を渡すように要求したり、借金の免除など財産的な利益(財産上の利益)を得たりすることが要件です。
    金品を脅し取ろうとしたものの、相手が応じなかった場合は恐喝未遂罪となります。

  • 一連の行為に因果関係があること
    「脅迫行為」によって「相手が畏怖」し、その結果として「財物を交付した」という一連の流れに、原因と結果の関係(因果関係)が認められる必要があります。

脅迫罪との違い

脅迫罪との最も大きな違いは「財産を脅し取る目的があったかどうか」です。

  • 脅迫罪:
    相手やその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に対して害を加えることを告げる(害悪の告知)だけで成立します。
    財産を要求する目的は必要ありません。
    「殴るぞ」と告げる行為そのものが罪になります。

  • 恐喝罪:
    「殴られたくなければ金を出せ」というように、害悪の告知を利用して財産を交付させることが目的となります。

つまり、脅迫罪は恐喝罪の手段の一部と考えることができます。

強盗罪との違い

強盗罪との違いは「暴行・脅迫の程度の強さ」にあります。

  • 強盗罪:
    相手の反抗を完全に抑圧する(抵抗できなくさせる)程度の暴行・脅迫を用いて財物を奪う犯罪です。
    例えば、刃物を突きつけたり、殴る蹴るの暴行を加えて抵抗できない状態にしたりして金品を奪う行為が該当します。

  • 恐喝罪:
    相手の反抗を抑圧するほどではないものの、畏怖させて財物を交付させる犯罪です。
    被害者には抵抗したり、要求を断ったりする余地がまだ残されている点が強盗罪との違いです。

どちらに該当するかはケースバイケースですが、強盗罪のほうがより悪質と判断され、刑罰も重くなります。

恐喝罪の刑罰と時効

恐喝罪の刑罰は「10年以下の懲役」です。罰金刑の規定がなく、起訴され有罪判決となれば必ず懲役刑が科される重い犯罪です。

また、恐喝罪の公訴時効(検察官が起訴できる期間)は「7年」です。犯罪行為が終わった時からカウントが始まります。

恐喝で逮捕された後の流れ

万が一、恐喝の容疑で逮捕されてしまった場合、刑事手続きは以下のように進みます。

身体拘束が長期化し、社会生活に大きな影響が出る前に、迅速な対応が求められます。

逮捕から勾留決定まで (最大72時間)

逮捕されると、まず警察署で取り調べを受けます。

この逮捕後の72時間は、その後の運命を左右する非常に重要な期間です。

警察による取り調べ(最大48時間)

逮捕後、警察は48時間以内に、被疑者(容疑者)の身柄と事件に関する書類を検察官に送致(送検)するか、釈放するかを決定します。

この間、家族であっても面会はできず、外部と連絡を取ることは許されません。

しかし、弁護士であればいつでも接見(面会)し、法的なアドバイスを送ることが可能です。

検察官への送致・取り調べ(最大24時間)

事件の送致を受けた検察官は、24時間以内に被疑者を取り調べ、裁判所に勾留を請求するか、釈放するかを判断します。

つまり、逮捕から最大で「48時間+24時間=72時間」、警察署の留置施設などで身柄を拘束される可能性があります。

勾留期間 (最大20日間)

検察官の勾留請求を裁判官が認めると、原則として10日間の勾留が決定します。

勾留中は、警察署の留置施設で生活しながら、さらなる取り調べを受けることになります。

また、検察官が「やむを得ない事由」があると判断した場合は、勾留延長を請求できます。

これが認められると、さらに最大10日間、勾留期間が延長されます。
結果として、逮捕から起訴・不起訴の判断が下されるまで、最大で「72時間(3日間)+20日間=23日間」もの長期間、身柄を拘束される可能性があります。

起訴・不起訴の決定

検察官は、勾留期間が満了するまでに、被疑者を起訴するか、不起訴にするかを最終的に決定します。

  • 起訴:
    刑事裁判にかける手続きです。
    起訴されると、日本の刑事裁判の有罪率は99.9%とも言われており、極めて高い確率で有罪判決(前科)がつくことになります。

  • 不起訴:
    裁判にかけられず、事件が終了します。前科がつくこともなく、身柄はすぐに釈放されます。
    恐喝事件で弁護士に依頼する最大の目標は、この「不起訴処分」を獲得することです。

恐喝事件で不起訴になる可能性を高めるには?

恐喝事件で不起訴処分を獲得し、前科がつくのを避けるためには、弁護士を通じて行う「被害者との示談交渉」が最も重要です。

被害者との示談交渉が最も重要

示談とは、加害者が被害者に対して謝罪し、示談金を支払うことで、事件の民事的な解決を図る話し合いのことです。

示談が成立すると、以下の点で検察官の判断に大きな影響を与えます。

  • 被害回復がなされたと判断される:
    示談金の支払いにより、被害者の財産的損害が回復されたと評価されます。

  • 被害者の処罰感情が和らいだと判断される:
    加害者が真摯に謝罪し、被害者がそれを受け入れた(示談した)という事実は、「被害者はもはや厳しい処罰を望んでいない」という客観的な証拠になります。

特に、示談書の中に「加害者の処罰を望まない」あるいは「加害者を許す」といった「宥恕(ゆうじょ)文言」を入れてもらうことができれば、不起訴処分となる可能性は飛躍的に高まります。

示談金の相場は?

恐喝事件の示談金に、明確に定められた相場はありません。

しかし、一般的には以下の要素を考慮して決定されます。

  • 被害金額:
    脅し取った金銭や物品の価額がベースとなります。

  • 慰謝料:
    被害者が受けた精神的苦痛に対する賠償金です。
    脅迫の態様が悪質であったり、被害者が恐怖を感じた度合いが大きかったりするほど高額になる傾向があります。

具体的な金額は事案によって大きく異なりますが、「被害金額 + 慰謝料(20万円~50万円程度)」が一つの目安となることが多いです。

ただし、これはあくまで目安であり、被害感情や事件の悪質性によっては、これを大幅に上回る金額を要求されるケースもあります。

適切な示談金額については、弁護士とよく相談して判断することが重要です。

示談交渉は弁護士に依頼すべき理由

示談交渉は、加害者本人やその家族が行うべきではありません。必ず弁護士に依頼しましょう。その理由は以下の通りです。

  • 被害者の連絡先を入手できる:
    通常、捜査機関は加害者側に被害者の連絡先を教えません。
    しかし、弁護士が代理人として交渉することを約束すれば、検察官を通じて被害者の連絡先を入手できる可能性があります。

  • 被害者が交渉に応じてくれやすい:
    被害者は加害者に対して強い恐怖心や嫌悪感を抱いているため、本人からの連絡には応じないケースがほとんどです。
    第三者である弁護士が間に入ることで、被害者も冷静に話し合いに応じやすくなります。

  • さらなるトラブルを防げる:
    加害者本人が接触しようとすると、「口封じに来た」「脅されている」と受け取られ、事態がさらに悪化する危険性があります。

  • 適切な内容の示談書を作成できる:
    示談が成立しても、その内容が法的に不十分であれば意味がありません。
    弁護士であれば、宥恕文言を含めるなど、不起訴処分獲得のために有利な内容の示談書を確実に作成できます。

恐喝事件で弁護士に依頼するメリット

恐喝事件で逮捕された、あるいは警察から連絡が来たという場合、できる限り早く弁護士に依頼することが、その後の人生を大きく左右します。弁護士に依頼する具体的なメリットは以下の通りです。

逮捕直後から接見・アドバイスが受けられる

逮捕後の72時間は、たとえ家族であっても面会が制限されることがほとんどです。

しかし、弁護士は「接見交通権」という権利を持っており、逮捕直後からいつでも、誰にも立ち会われることなく被疑者と面会できます。

取り調べで不利な供述をしてしまわないよう、黙秘権などの権利について説明し、適切な対応方法をアドバイスします。

また、外部との唯一の窓口として、家族に状況を伝えたり、必要なものを差し入れたりするなど、精神的な支えにもなります。

早期の身柄解放(釈放)に向けた活動

弁護士は、逮捕や勾留が不当・不必要であることを主張する意見書を検察官や裁判官に提出します。

また、勾留決定に対して不服を申し立てる「準抗告」といった手続きを取ることも可能です。

早期に示談を成立させることで、「証拠隠滅や逃亡のおそれがない」ことを示し、身柄の早期解放を目指します。

被害者との示談交渉をスムーズに進められる

前述の通り、不起訴獲得の鍵となる示談交渉を、専門家として冷静かつ戦略的に進めることができます。

被害者の感情に配慮しつつ、加害者側の代理人として、迅速かつ円満な解決を実現します。

これは、刑事事件の経験が豊富な弁護士だからこそできる活動です。

会社や学校への対応も相談できる

逮捕が長引けば、会社や学校に知られてしまうリスクが高まります。

弁護士は、事件のことだけでなく、今後の社会生活への影響を最小限に抑えるためのアドバイスも行います。

不当な解雇や退学処分を受けないように、弁護士が代理人として会社や学校と交渉することも可能です。

まとめ

恐喝は、罰金刑のない重い犯罪であり、軽い気持ちで行ったことが人生を大きく狂わせる可能性があります。

もし恐喝事件の加害者として逮捕されてしまった場合、その後の人生は「逮捕後、いかに迅速に動けるか」にかかっています。

不起訴処分を獲得し、前科をつけずに社会復帰を果たすためには、「被害者との早期の示談成立」が絶対的な鍵となります。

そして、その示談交渉を唯一円滑に進めることができるのが弁護士です。

ご自身やご家族が恐喝事件で逮捕されてしまった、警察から呼び出しを受けているなど、不安な状況にある方は、刑事事件に実績のある弁護士に相談してください。

早い段階で弁護士に依頼することが、最善の結果につながる第一歩です。

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