不倫で妊娠した!対応方法を専門弁護士が解説

最終更新日: 2024年02月13日

不倫で妊娠した!対応方法を専門弁護士が解説

不倫をしたら養育費を支払わなくてもよいの?
不倫相手が妊娠をしたら、養育費はどうなるの?
養育費の請求方法は?

不倫に伴う養育費について、疑問がある方はぜひご覧ください。養育費の疑問から養育費の請求方法まで、不倫問題に強い弁護士が解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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不倫をした配偶者に養育費は不要?

まず、不倫をきっかけに離婚することになった場合の養育費についてです。不倫をした配偶者が親権者となる場合、不倫をした配偶者に養育費を払うのはおかしいと感じる方もおられるでしょう。

しかし、養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用、子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要な費用を意味します。具体的には、衣食住に必要な経費や教育費、医療費などです。

養育費は、不倫をした配偶者を養うお金ではなく、子どもの権利として支払われるお金なのです。親が不倫をしたという事情は、子どもには関係がありません。

そのため、たとえ不倫をした配偶者が親権者となった場合であっても、不倫をされた配偶者は養育費を支払わなければなりません。

不倫相手が養育費を請求する場合の対応

不倫相手が子どもを出産した場合、子の父親に対して養育費の請求をする場合があります。その場合の男性側・女性側の対応で気を付けるべき点についてご説明します。

養育費を請求される男性

不倫相手から養育費を請求される男性として考えなければならない点は以下2点です。

DNA鑑定

夫婦間で生まれた子であれば、夫婦は他の異性と性交渉をしないというルールがありますので、通常、本当に自分の子であるのか疑うことはありません。

しかし、不倫相手はそのような縛りがありませんので、本当に自分の子であるのか疑問をもつ方もおられます。その場合には、出産前後にDNA鑑定を実施することを検討します。

認知の回避について

次に、認知することを拒否した場合には、不倫相手から認知の調停の申し立てをする場合があります。

これによって強制認知がされますと、子どもの戸籍の父親の欄にはご自身の名前が、ご自身の戸籍には認知をした子の名前が記載されることになります。また、養育費の請求権が認められますし、自身が死亡した場合には、認知をした子に相続権が発生します。

このような事態を避けるために認知を回避したいと考える方もおられます。

そのために、多めに養育費を払う、妻から慰謝料請求しない代わりに認知請求をやめてもらうなどの提案をして不倫相手と交渉することが考えられます。

しかし、仮に不倫相手がそれに合意をしたとしても、認知は子どもも請求できますので、母親と認知をしないと合意したとしても母親は子供を代理して認知請求ができることになります。

結局は、真実、子どもの父親である限りは、認知請求を避ける術はないのです。

養育費を請求する女性

次に、養育費を請求する女性として考えなければならない点についてです。

認知の訴えをする

妊娠をしたことで、相手の男性に認知をするよう要求をした際に、拒否をされたり、時には音信不通となってしまう場合があります。

男性の子であることを確定させるためには、認知の調停を家庭裁判所に申し立てる必要があります。調停を申し立てたものの、当事者が合意せず不成立となることもあります。その場合は、認知の訴えを出生後に地方裁判所に申し立てることができます。

認知の訴えとは、「未婚の女性が産んだ子または夫ある女性が別の男性との間にもうけた子、すなわち嫡出でない子が、父に対して法律上の父子関係の確定を求める裁判手続」(民法第787条)です。この判決が確定すると、認知の効力が発生します。

そして、認知の効力が生じた認知届を裁判の確定した日から10日以内に市区町村役場に提出しなければなりません。

相手の妻から慰謝料請求される可能性

認知によって、男性の戸籍には認知をした子の名前が記載されることになります。認知した日、子供の氏名、認知した子どもの本籍と筆頭者が戸籍に記載されます。

このように戸籍に載りますと、相手の妻に認知の事実を知られる、不倫慰謝料を請求される可能性があります。

不倫で支払う養育費の内容

不倫関係にあった男女間に生まれた子であっても、養育費の支払期間にも支払金額にも影響はありません。以下養育費の支払期間と支払金額についてご説明します。

養育費の支払期間

養育費の支払い期間は、子どもが20歳になるまでということとなっています。ただし、子どもが未成年でも就職した場合や、結婚をした場合、養育費はその時点で基本的には終了となります。

大学の進学率が高くなり、大学卒業するまで養育費を支払って欲しいということもあります。こちらも子どもの将来の為にも話し合い、取り決めをするとよいでしょう。

養育費の支払金額

養育費の支払金額は、家庭裁判所が採用する標準的算定方式によって定まります。これを簡略化した算定表からも大まかな支払金額を導き出すことができます。

先ほどもお伝えしましたように、養育費の支払金額は、当事者同士が合意をしていれば、いくらでも問題ありません。合意さえすれば標準的算定方式より多くても少なくてもよいです。

私立学校の場合や大学進学をする場合は負担金額が大きくなるため、そちらも考慮して養育費の支払金額を決めることができます。

養育費の相場は?

算定表を利用して、義務者と権利者の年収、子どもの年齢をもとに養育費の相場が分かります。なお、養育費を受け取る側を権利者、養育費を支払う側を義務者といいます。

例えば、養育費算定表から、世代別の平均年収で養育費の相場を調べてみると次のようになります。

【条件】
未成年の子ども(0~14歳):2人
養育費の請求親(監護権者)の収入:0円
養育費支払義務者の収入:700万円

【養育費月額目安】
12~14万円

再婚したら養育費は増減するのか

養育費を受け取る側が再婚をした、養育費を支払う側に子どもが生まれたという事情がある場合、養育費の支払金額に影響はあるのでしょうか。

養育費を受け取る側が再婚した場合

養育費を受け取る側が再婚した場合、子どもが再婚相手と養子縁組をするケースがあります。

再婚相手と子どもが養子縁組をすると、法律上の親子関係となります。その場合には、再婚相手は子どもを扶養する義務を負います。

養子縁組をしなかった場合には、養育費の支払いに影響はありませんが、再婚相手が子どもを扶養するようになると、養育費は減額される可能性もあります。

養育費を支払う側に子どもが増えた場合

養育費を支払う側に子どもが生まれた場合、扶養義務対象が増える為、養育費が減額となる場合もあります。

不倫相手への養育費の請求方法

最後に、不倫相手との間の子どもの養育費を請求する方法についてです。

交渉

第1段階としてご自身で、内容証明等で、養育費の請求をしましょう。具体的な金額や交渉方法については、専門的な知識が必要になりますので、弁護士に委ねることも1つです。

公正証書作成

交渉で、双方合意の養育費金額が決まった場合、公正証書の作成をおすすめします。養育費の支払いが滞った場合、裁判をすることなく、公正証書に基づいて強制執行が可能になる点で大きなメリットがあるからです。

調停

交渉に相手が応じなかった場合や交渉が決裂した場合には、家庭裁判所に対して調停の申し立てをします。ただし、養育費の調停の前に、子の認知がなされていることが必要です。

養育費の支払いが止まったら

養育費の調停で養育費の支払が決まったにも関わらず、養育費の支払がない、支払いがなされなくなったという場合、公正証書や調停調書に基づいて相手の財産や給与差し押さえることができます。

例えば、給与を差し押さえた場合、税金等を控除した後の給料の金額が50万円の場合、1か月に差し押さえができる金額は半分の25万円となります。

これが養育費未払い金額に達するまで、勤務する会社等から請求する側に支払われることになります。ただし、勤務先が変わってしまった場合は、新たな勤務先が分からなければ差し押さえはできません。

まとめ

養育費は、親ではなく子どもの権利です。

養育費を決めたとしても未払いとなる事も多いです。また、給与差し押さえの手続きが難しく、請求を諦めてしまう方が多くおられます。

交渉から差し押さえまで、弁護士に委ねるとご自身の負担が軽くなります。ご自身で抱え込まずに、弁護士に1度ご相談ください。

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