派遣法を弁護士が解説!違反例・活動内容・選び方も詳しく紹介

最終更新日: 2024年01月31日

派遣法を弁護士が解説!違反例・活動内容・選び方も詳しく紹介

  • 派遣業への参入を検討しており事前に確認しておいた方がよいことを知りたい。
  • 自社で二重派遣の問題が発覚した。どのようなペナルティを受けるか不安だ。
  • 派遣法に関する問題を弁護士と相談すれば、どのようなサポートが得られるのか?

派遣法とは、派遣労働者の権利の保護と派遣事業の適切な運営を目的として制定された法律です。

派遣法に違反したときは、最悪の場合は懲役刑に処されるおそれがあります。

派遣法に関するトラブルが発生したときは、速やかに弁護士と相談し、対応を協議しましょう。

そこで今回は、多くの労務問題に携わってきた専門弁護士が、派遣法の違反例、派遣法に関するトラブルに弁護士が対応するメリット等を詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 偽装請負や二重派遣を行うと派遣法や労働に関する法律違反となる
  • 派遣法の対応を弁護士に依頼すれば、契約書のチェックやトラブル解決を任せられる
  • 依頼する弁護士は誰でもよいわけではなく、派遣法に精通している実務経験豊かな弁護士を選ぶ

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

派遣法を弁護士が解説

派遣法は、派遣労働者の権利の保護と派遣事業の適切な運営を目的とする法律です。

正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」です。

派遣労働を行う場合、まず労働者と人材派遣会社との間で雇用契約を締結します。契約後、人材派遣会社は、労働者派遣契約を締結している派遣先に労働者を派遣する、という仕組みをとります。

派遣労働者に賃金を支払うのは、派遣先の企業ではなくあくまで人材派遣会社(派遣元の企業)です。

派遣法では、労働者派遣事業の業務の範囲や、事業の許可、派遣労働者の保護に関する措置、罰則等を規定しています。

派遣法の違反例を弁護士が解説

派遣法に違反すると、懲役刑等の刑事罰が適用される可能性があります。派遣事業の運用は法律に則り、慎重に行わなければなりません。

こちらでは、特に気を付ける必要がある「偽装請負」「二重派遣」について説明します。

偽装請負

偽装請負とは、実態は労働者派遣であるのに、さも請負契約のように偽装する行為です。

請負契約の場合、委託者が実際に業務をする請負者である労働者に対して、直接業務上の指示や契約外の業務を委託する行為は禁じられています。

委託者が労働者に直接指示をしたいのであれば、労働者派遣契約を結ぶ必要があります。

偽装請負は、この本来締結すべき労働者派遣契約を締結せずに、請負契約で労働者派遣をした状態を指します。

派遣でなく請負を装う理由は、派遣先にとって派遣法上の制約やデメリットがあるからです。

派遣労働者を受け入れるときは、原則3年という派遣期間の制限をはじめ、福利厚生等の情報提供が必要です。また、派遣先は簡単に契約解除できません。

一方、請負契約であれば労働者に対する福利厚生が不要なため、派遣先にとっては都合のよい方法と言えるでしょう。

ただし、偽装請負に対する刑罰は重く、発覚した場合は派遣元の事業主は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります(派遣法第59条1号)。

また、法人の代表者や代理人、使用人その他の従業者が偽装請負の行為者であるときは、その行為者を罰する他、法人に対して100万円以下の罰金が科されます(同法第62条)。

出典:派遣法 | e-GOV法令検索

二重派遣

二重派遣とは、人材派遣会社と雇用関係にある労働者を派遣先が受け入れたものの、その派遣先の企業が新たに労働者の供給元となり、別の企業に労働者を派遣する違法行為です。

この二重派遣が行われると、派遣サービスの対価である派遣料金・派遣スタッフの時給をどの企業が払うのかが曖昧になり、派遣労働者に適正な賃金が支払われない可能性があります。

また、仲介手数料を二重に差し引かれ、派遣労働者の給与の減少が懸念されます。

そのため、二重派遣が禁止されており、この違法行為をした場合は次の罰則が適用されます。

(1)派遣されてきた労働者を派遣先企業が更に別の企業へ派遣した場合

労働者と派遣先企業との間には雇用関係がないので、職業安定法違反となり(職業安定法第44条)、派遣先企業は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります(同法第64条)。

出典:職業安定法 | e-GOV法令検索

(2)更に派遣先企業が別の企業から料金を受け取っていた場合

このような行為は労働基準法で禁じている「中間搾取」に該当するので(労働基準法第6条)、派遣先企業は1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります(同法第118条)。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

派遣法対応のための弁護士の活動内容

派遣法に関するトラブル発生を予防するため、またトラブルが発生したときに迅速な対応をとるため、弁護士と相談しアドバイスやサポートを受けましょう。

こちらでは、弁護士が行う活動について説明します。

契約書の整備

派遣先とのトラブルを避けるため、「労働者派遣契約書」「個別契約書」を作成します。

弁護士に依頼すれば、それぞれの契約書の作成やリーガルチェックを行います。

(1)労働者派遣契約書

はじめて派遣労働者を受け入れる派遣先企業との契約について記載した書類です。派遣料金の支払条件、守秘義務、損害賠償等を規定します。

(2)個別契約(労働者派遣契約)書

労働者派遣基本契約を締結後に個別に作成する契約書面です。個別の派遣契約にあたり定めた期間、業務内容、派遣人数等を規定します。

派遣元企業が弁護士は契約書を作成する過程で、問題点があれば指摘し、改善策や調整案を提案します。

法改正対応

人材派遣会社では、派遣法や労働基準法等の改正に適切に対応する必要があります。

弁護士に依頼していれば、法改正への対応方法について的確な助言が得られ、契約書類の整備等が必要な場合も迅速なサポートを受けられます。

法改正への対応はもちろん、依頼された企業と派遣労働者の利益を守り、トラブルを回避するため、契約書類の見直し等も行います。

トラブル対応

派遣労働者との労務トラブルが発生した場合、弁護士が迅速な対応を行い、訴訟等に発展する事態を防ぎます。

また、派遣先企業からクレームを受けたり、派遣労働者が派遣先に損害を発生させたりした場合、弁護士が人材派遣会社に代わり交渉等を行い、問題解決を図ります。

派遣法に強い弁護士の選び方

派遣法に関する相談を行う場合、弁護士なら誰でもよいわけではありません。

派遣法をはじめとした労務問題に詳しい弁護士と相談しましょう。

こちらでは、弁護士選びのポイントを説明します。

派遣法に精通しているか

派遣法をはじめとした労務問題に精通した弁護士を選びましょう。

懇意にしている企業から紹介してもらえる場合もありますが、次のような方法で選任できます。

  • 法律事務所のホームページに、派遣法や派遣トラブルに関する相談事例、コラムが豊富に掲載されている
  • 派遣法や派遣トラブルに関する本を執筆している
  • 派遣に関するコメンテーターとして頻繁にテレビ出演している

上記のような内容が確認できれば、派遣法に詳しい人物と考えられます。

実務経験があるか

弁護士の実務経験については、法律事務所のホームページで確認が可能です。

たとえば、ホームページ上に「派遣法をはじめ労務問題の相談実績〇〇件」と、具体的に数字を明記している事務所であれば、実務経験が豊富であると判断できます。

また、実際に法律事務所で相談したときに、依頼者側の実情をヒアリングし、すぐにわかりやすいアドバイスを行う弁護士であれば、数多くの実務経験を有する人物であるとわかります。

連絡が取りやすいか

派遣法に関するトラブルが発生した場合、すぐに連絡がとれる体制を整備している法律事務所を選びましょう。

どこの法律事務所も、電話やメールでの連絡は可能です。

しかし、労務に関するトラブルは時間を選びません。そのため、24時間対応できる法律事務所が最適です。

たとえば、LINEでいつでもすぐに連絡がとれる、オペレーターが24時間電話連絡に対応している等があげられます。

派遣法対応なら当事務所の弁護士にご相談を

今回は多くの労務問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、派遣法や派遣トラブルの対応を弁護士に相談するメリット等について詳しく解説しました。

人材派遣事業については、法改正や派遣トラブルの可能性が少なからずあります。そこで弁護士と顧問契約を締結すれば、いつでもサポートが得られます。

弁護士のサポートを受け、派遣に関するトラブルに備えましょう。

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