義両親にうんざり!親族との不和を理由に離婚はできる?

最終更新日: 2023年06月30日

  • 親族との不和を理由に離婚はできるのか
  • 親族との不和で離婚を決意したときはどのように進めたらいいのか
  • 離婚するときに親族との不和を理由にするための事前準備とは

結婚すると配偶者の親族と関わる機会も増えるため、結婚してから義両親との間柄に悩むというケースも少なくありません。よく顔を合わせる義母や義父と接する度に精神的負担を感じるのは、離婚を考えるほど深刻な状態です。

そこで今回は、多くの離婚問題を解決に導いてきた実績のある弁護士が、親族との不和を理由に離婚するときの知識や準備、進め方について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 親族との不和を理由にした離婚は、相手も合意すればできる。できない場合は調停・裁判へと発展する可能性もある
  • 親族との不和が原因で離婚請求する前に、「夫と冷静に話し合ってみる」「離婚後の住まいを想定しておく」「離婚後の収入や仕事を考えておく」などを押さえておく
  • 親族との不和を理由に離婚を考えているなら、「証拠を集める」「夫婦の財産を把握する」「離婚条件の着地点を見据える」「弁護士への依頼を検討する」の4つを準備

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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親族との不和を理由に離婚はできる?

親族との不和としてよくあるのが、同居しているなかで姑嫁や婿舅の仲が悪くなってしまうといったケースです。あるいは、前婚での連れ子と配偶者の間で、いざこざが絶えないという場合もあるでしょう。

後ほど詳しく説明しますが、夫婦が離婚に合意していれば離婚原因にかかわらず離婚が成立します。しかし、一方が離婚に反対しているときは、離婚調停を検討します。その場合、親族との不和があるだけでは法律上の離婚事由として認められないことが多いでしょう。

ただし、配偶者の親族と仲が悪いことによって夫婦関係が破綻し、もはや修復が難しいという状態になれば離婚が認められる可能性があります。

たとえば、嫁姑が対立しており、妻が夫に相談しても全く取り合わなかったため不信感を抱くようになり、回復が見込めないほどに夫婦関係が破綻したなどのケースです。

また、親族との不和がきっかけで夫婦仲に亀裂が入り、不貞行為、暴力やモラハラなど、他の問題が生じて離婚へと至ることもあります。

親族との不和が原因で離婚請求する前に確認すべきこと

離婚を決意したときに、まずは何をしておいたほうがよいのでしょうか。ここでは、親族との不和を理由に離婚請求をする前に、確認すべきことを解説します。

夫と冷静に話し合ってみる

まず、夫婦関係には何の問題もなく、親族との不和が原因なのであれば、離婚は慎重に検討すべきでしょう。精神的・肉体的負担がかかっている状態で冷静な判断を下すことは難しいかもしれませんが、離婚は人生に大きな影響を与えます。

離婚を請求する前に、夫婦間で冷静な話し合いの場を設けることが大切です。

そして、本当に辛い思いをしていること、助けが必要であることを配偶者に伝えて、悩みが深いことを理解してもらえるように努めてみましょう。

このような努力は、のちに離婚を請求した場合に、配偶者が協力要請に応じてくれなかったとして離婚事由の材料となります。このとき、努力した過程を記録に残しておくこともおすすめします。

離婚後の住まいを想定しておく

義両親と同居している場合や二世帯住宅に住んでいて離婚する場合、自分が出ていくことになる可能性が高まります。そのため、離婚後の住まいを考えておくことも大切です。

離婚後の住居としては実家に戻る、賃貸や公営住宅を借りるなどの方法があり、今の生活とは一変することを想定しておきましょう。また、住居を借りる場合は家賃負担がかかります。離婚後に住居費用に関して悩まないよう、事前に準備しておくことが大切です。

離婚後の収入や仕事を考えておく

離婚したあと、生活にかかる収入源は自分の給与だけになります。家事に専念して無職だった方は、就職先や収入の確保ができるよう考えなければなりません。

子どもがいる場合は、保育園や学童保育に預け、再就職をして経済的自立を果たせるかどうかの見通しを立てておきましょう。

親族との不和を理由に離婚を請求するときの進め方

離婚を回避する方法を模索しても親族との不仲に我慢しきれず、夫婦関係が破綻して離婚を決意することもあるでしょう。ここでは、親族との不和を理由として、配偶者に離婚を請求するときの進め方を解説します。

まずは協議離婚を検討する

夫婦が離婚に合意していれば、話し合いによって離婚を成立させることができます。このように話し合いによって成立する離婚を、協議離婚といいます。協議離婚では離婚理由は問われないため、親族の不和が理由であっても離婚は可能です。

協議離婚では、夫婦が合意に至ったのち、公正証書を作成して離婚届を提出します。しかし、離婚の条件である財産分与や慰謝料、養育費、親権などについて合意が得られず、話し合いが難航することも少なくありません。

調停離婚・審判離婚へと進む

夫婦だけでは話がまとまらない場合や、どちらか一方が話し合いに応じない場合は、離婚調停での話し合いへと進みます。夫婦の間に家庭裁判所の調停委員が入り、双方の意見を聞きつつ、離婚することと離婚の条件について調整を進めていく方法です。

離婚調停は夫婦間の意志を尊重して進められるため、合意が得られなければ離婚は成立しません。調停不成立となった場合でも、家庭裁判所が「離婚を成立させるのが妥当」だと判断した場合は、調停に代わる審判によって離婚を命じます。このようにして成立する離婚を審判離婚といいます。

なお、審判離婚の方法が取られるケースはあまり多くありません。当てはまる例としては、双方が離婚には合意しているが、離婚条件にわずかな意見の食い違いがあり調停不成立となった場合などです。

決着がつかなければ裁判離婚へと進む

協議や調停で離婚が成立しなかった場合、最終的には家庭裁判所に離婚訴訟を提起することにより、判決での離婚成立を目指します。

裁判で離婚が認められるためには、法定離婚事由が必要です。民法770条1項1〜5号に定められている法定離婚事由には、以下の5つがあります。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

出典:民法 | e-GOV法令検索

この中で親族との不和は、1〜4のいずれにも該当しません。5の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると認められるかどうかがポイントです。義両親との仲違いがきっかけだったとしても、離婚は夫婦の問題だと捉えられるため、あくまで夫婦の関係性に焦点が当てられます。

義両親との不仲が原因で配偶者との関係も破綻し、もはや修復不可能となれば、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として認められる可能性が出てきます。

親族との不和を理由に離婚するための準備

どうしても親族との軋轢(あつれき)を解消できず、離婚を決意することもあるでしょう。離婚を決めたら、早期解決を図るためにできることはあるのでしょうか。ここでは、親族との不和を理由に離婚するための準備について解説します。

証拠を集める

調停で離婚が認められるためには、親族との不和が原因で夫婦関係が破綻に至ったことを立証する必要があります。実際にどのようなことが起こったのか、夫婦間で話し合った内容やその結果はどうなったのかを細かく整理しながらできる限り証拠を揃えましょう。

証拠になり得るものには、義両親など親族との会話の録音、義両親など親族との不仲が原因で心療内科に通った場合の診断書などが考えられます。

夫婦の財産を把握する

早く離婚に決着をつけたいなら、離婚する前から夫婦の財産を把握しておきましょう。結婚してから夫婦で築いてきた財産は共有財産で、離婚するときには財産分与が可能です。

ひとたび離婚を持ちかけてしまうと、配偶者が財産を隠したり消費したりする恐れがあります。例を挙げると、預貯金や自宅の金庫に入れてある現金、不動産、年金、保険商品や有価証券などです。

離婚条件の着地点を見据える

協議離婚や調停離婚の場合、離婚条件の落とし所の見通しを立てておくことも大切です。子どもの親権や養育費、財産分与はどうするのか、家やマンションなどの不動産はどうするのかなど、あらかじめ離婚の希望条件を決めておきましょう。

このとき、希望条件の優先順位をつけておくことをおすすめします。話し合いが難航して協議離婚が成立しなかった場合、必ずしもあなたにとって有利な条件で離婚ができるとは限りません。

自分の中で譲歩できる条件とそうでないものを把握し、相手の優先順位とうまくすり合わせていくことで、早期に解決する可能性が高まります。

弁護士への依頼を検討する

協議がまとまらないときや相手が話し合いに応じない場合は、調停になることも見越して弁護士に代理交渉を依頼するのも方法の一つです。

離婚自体には夫婦で合意していても、離婚条件で折り合いがつかないということも珍しくありません。また、離婚問題では夫婦間で感情的な対立が起こり、口調や言い回しが批判的になり、交渉がまとまらないというケースもあります。

当事者間の話し合いでは難航していても、法律の専門家である弁護士が間に入ることで、建設的な話し合いができることもあるでしょう。

まとめ

今回は、多くの離婚問題を解決に導いてきた実績のある弁護士が、親族との不和を理由に離婚するときの知識や準備、進め方について詳しく解説しました。

親族との不和は実態や程度がケース・バイ・ケースであることから、ご自身では法律上の離婚事由になるのか判断がつかないこともあるでしょう。離婚問題に悩んだら、弁護士に相談して早期解決を目指してみてはいかがでしょうか。

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