離婚調停が不成立になる?知るべき原因と対策を徹底解説

2024年12月28日

離婚調停が不成立になる?知るべき原因と対策を徹底解説

  • 調停で相手と和解し離婚したい。調停不成立となる可能性はあるのだろうか?
  • 調停を申し立てたが、相手が出席しようとしない。調停はどうなってしまうのか?
  • 離婚調停を何とか成立させたい。調停成立のコツを知りたい。

夫婦が調停で和解して離婚しようとする場合、「夫婦関係調整調停(離婚)」を申し立てます。

調停では、当事者が勝訴・敗訴するわけではありません。

双方が納得し和解する必要があるため、どちらか一方が離婚条件に同意しなければ、調停は不成立となります。

調停が成立するには、夫婦がお互いに歩み寄る必要があるのです。

そこで今回は、離婚調停による解決へ携わってきた専門弁護士が、離婚調停が不成立となる原因、調停不成立を防ぐポイント等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 離婚調停が不成立となるのは、条件の合意ができない場合の他、相手が出頭しない場合もある
  • 調停を成立させるため、申立人もある程度譲歩が必要な場合もある
  • 調停を円滑に成立さるため、まずは専門弁護士に相談し対応方法を検討しよう

離婚に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

離婚調停が不成立となる原因

離婚調停は夫婦双方が合意しない限り、不成立となります。

調停不成立の原因は、離婚の話し合いがまとまらない、激しい条件対立がある等、様々なケースが考えられます。

離婚の合意が得られない

夫婦の一方が離婚を切望し、他方は離婚を拒否するケースです。

離婚に向けた話し合いが進展しなければ、調停期日を何回設けても平行線のままとなるでしょう。

相手が「絶対に離婚などしてたまるか!私は折れない」と、期日に拒否すれば早い段階で調停不成立となる可能性も高いです。

ただし、相手に離婚原因をつくった事実があるときは、離婚訴訟で強制的に離婚を言い渡すことも可能です。

条件で対立する

夫婦が離婚自体には合意していても、離婚条件に折り合わないケースがあります。

離婚給付(財産分与・養育費・慰謝料等)を請求する側は、高い金額(割合)を望むでしょう。一方、支払う側は低い金額(割合)を求めるのが通常のことです。

離婚給付の金額や割合で対立を続ければ、調停は不成立になってしまいます。ただし、離婚の合意と合意できた条件内容だけで和解することも可能です。

和解できなかった部分は、後日調停等で話し合いを継続することもできます。

相手側が出頭しない

相手側が出頭しなければ、そもそも話し合いはできません

相手側がやむを得ない理由により、家庭裁判所へ連絡して欠席を伝え、次回期日には出席する旨を伝えているときは、調停期日は持ち越しとなります。

ただし、相手が2〜3回続けて無断欠席した場合は、話し合う意思がないとして調停不成立となる可能性が高いでしょう。

離婚調停が不成立となった場合の対策

調停は、判決で離婚の可否を言い渡す裁判と異なり、話し合いで和解を図る方法です。そのため、和解できなければ調停が不成立となります。

調停不成立となった場合でも、いろいろな解決方法があります。

別居する

配偶者と同居している場合は、別居を検討しましょう。

愛情が冷めた配偶者と顔を合わせる回数も大幅に減らせます。ただし、別居したからといって自動的に離婚はできません。

一般的に5年以上の長期間の別居となれば、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」と認められる可能性があります(民法第770条)。

長期間の別居後に離婚訴訟を提起すれば、裁判官から「既に婚姻関係が破綻しており、関係修復が不可能」と判断され、離婚が認められる場合もあるのです。

出典:民法|e-GOV法令検索|法務省

夫婦間協議を試みる

調停不成立後、再び夫婦で離婚の協議を行うことも可能です。

夫婦が理性的に話し合いを続ければ、お互いが歩み寄り、離婚に合意できる場合もあります。

お互いが顔を合わせると口論になるような場合は、夫婦のどちらかが家を出て別居し、冷静に考える時間を持った方がよいでしょう。

再度の離婚調停申立て

再度、離婚調停を申し立てることも可能です。

調停の利用に回数制限はないので、再度、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることもできます。

ただし、調停で話し合っても和解できるとは限らない点に注意しましょう。夫婦が譲らず合意できなければ、結局、前回と同様に、調停不成立となります。

それでも、離婚問題を解決したいのであれば、離婚訴訟を提起しましょう。

離婚訴訟の場合、裁判所が離婚を認めるか・認めないか、いずれかの判決を言い渡します。たとえ相手が離婚を拒否していても、控訴しなければ判決に従わなければなりません。

裁判申立て

調停不成立の場合、夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所に訴訟提起が可能です。

離婚訴訟は離婚調停を経たうえで提起する必要があります(調停前置主義)。離婚訴訟を提起できるのは、次の要件に該当する場合だけです(民法第770条)。

  • 配偶者に不貞な行為があった
  • 配偶者から悪意で遺棄された
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでない
  • 配偶者が重い精神病にかかり回復の見込みがない
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由がある

夫婦が原告(申立人)と、被告(相手)に分かれ、主張・立証を行っていきます。判決前に、裁判所が和解案を提示する場合もあります。

和解案に合意が得られない場合は、判決で離婚を認めるか否かが言い渡されます。離婚訴訟の提起〜判決言い渡しまで、1年以上かかる場合もあるでしょう。

また、原告や被告が判決に不満がある場合は、判決書の送達を受けた日の翌日から14日以内に控訴が可能です。

弁護士へ相談する

調停不成立となった場合、法律の専門家である弁護士に相談するのもよい方法です。

弁護士は夫婦が離婚で揉めている理由や、現状をヒアリングし、次のようなアドバイスを行います。

  • なぜ調停不成立となってしまったか?
  • 再度相手との協議や調停を行う場合のポイント
  • 相談者の主張の根拠、証拠収集の揃え方
  • 離婚訴訟を行う手順、有利に裁判を進める方法

相談している間に 「弁護士に代理人を任せた方がよい」と思ったときは、その場で弁護士と委任契約を締結してもよいでしょう。

相手と交渉で離婚問題を解決したい場合も、弁護士が交渉役となり、当事者の希望する条件を調整しながら、理性的に和解を進めていけます。

離婚調停の不成立を防ぐポイント

離婚調停で和解成立の可能性を高めたいのであれば、調停前に十分な準備が必要です。

主張する事項と根拠を整理し、証拠収集を行い、譲歩可能な条件も検討し、万全の態勢で調停に臨みましょう。

十分な証拠を提示する

調停を申し立てる前に十分な証拠収集が必要です。

申立人の主張の根拠となる資料として提出すれば、有利に話し合いを進められる可能性が高まるでしょう。

たとえば、配偶者の問題行動が原因で離婚を求める場合、客観的な証拠があれば、裁判官や調停委員から説得力のある主張と認められるでしょう。

相手の不倫が原因で離婚・慰謝料請求を行う場合は、次のようなものが有力な証拠となり得ます。

  • 配偶者と不倫相手との性行為の画像や動画
  • 配偶者と不倫相手との性行為を推認できる画像や動画
  • 配偶者または不倫相手の妊娠や出産・中絶に関する証明書
  • 配偶者が不倫を謝罪する動画や音声・手紙 等

妊娠や出産・中絶に関する証明書は、破棄されていたり、隠匿されていたりして、発見が難しい可能性もあります。

また、配偶者が不倫を謝罪する動画や音声・手紙を入手していても、相手方は調停委員に「申立人から脅されて謝罪した」と主張する場合もあるでしょう。

現実的に有力な証拠として準備できそうなものは、性行為または性行為を推認できる画像・動画です。ただし、証拠収集にあたっては法律を遵守し、プライバシー侵害や違法行為を行わないよう十分に注意してください。

  • 性行為の画像や動画

配偶者が自宅に不倫相手を連れ込んでいる疑いがある場合、室内に隠しカメラ等を設置して性行為の模様を撮影することを考える人もいるかもしれません。しかし、隠しカメラの設置はプライバシーの侵害に該当する可能性があり、違法行為とみなされるリスクがあります。

  • 性行為を推認できる画像や動画

配偶者を尾行や張り込みし、不倫相手とラブホテルに出入りする画像や動画を撮影する方法もあります。ただし、尾行や張り込みはプロでなければ難しい上に、第三者に迷惑をかけたり、不法行為に該当する場合があります。

これらの作業は適法かつ専門的な知識を要するため、弁護士や不倫調査のプロである探偵に相談し、アドバイスを受けるか調査・撮影を依頼することを強くお勧めします。探偵を利用する場合でも、信頼できる事業者であることを確認し、弁護士を通じて適切な方法を選択するようにしましょう。

主張の根拠を明確にする

申立人の主張の根拠を明確に述べましょう。申立人の主張を裁判官や調停委員が理解しやすくなります。

たとえば、親権に関する離婚条件を主張する場合、次のように根拠を述べた方がよいです。

  • 離婚条件:子の親権を取得したい、面会交流を認めたくない。
  • 根拠:配偶者は申立人や子に暴言や暴力を振るい、家族へ精神的にも身体的にも苦痛を与えている。家族の全員が配偶者に恐怖し、嫌っている。
  • 証拠:暴言や暴力を振るう動画や音声、ケガをした部位の写真・医師の診断書等

根拠を述べる他に、それを裏付ける証拠も提出すれば、裁判官・調停委員が説得力のある主張と認めるでしょう。

調停委員を味方につける

調停期日では調停委員の事情聴取に、冷静かつわかりやすく主張を述べていく必要があります。

調停に出席するときは、次のような心がけも大切です。

  • 主張がブレないこと:事情聴取の間にころころ主張を変えない。主張を一貫させ、根拠をわかりやすく伝え、証拠も提示する。
  • 丁寧な言葉遣いで回答する:感情的にならずに、丁寧な言葉遣いに徹する。
  • 常識的な服装で出席:清潔感のある服装で出席する。

感情面で同情を得るような主張よりは、冷静な口調で論理的に主張を述べる方が、調停委員から好感を得られやすくなります。

逆に主張が一貫しておらず感情的、無礼な言葉遣いや乱れた服装での出席では、調停委員からネガティブな印象を持たれてしまうでしょう。

譲歩可能な条件を整理する

前もって譲歩可能な条件を整理しておきましょう。

たとえば、離婚条件の項目ごとに次のように整理しておくとよいです。

  • 離婚:すでに夫婦で合意
  • 親権:絶対に譲れない
  • 養育費:毎月5万円、子が18歳になるまでの支給を望む
  • 面会交流:親権・養育費の支給額や支給期間が認められれば、大幅な譲歩も可
  • 財産分与:親権・養育費の支給額や支給期間が認められれば、自分への分与割合を減らしてもよい

調停前から譲歩可能な条件を決めておけば、交渉が進めやすくなります。

弁護士への相談

調停が成立するか不安ならば、弁護士に前もって相談した方がよいです。

弁護士は調停の申立ての流れや、効果的な主張のポイント、証拠収集の方法をアドバイスします。

また、弁護士と契約すれば、依頼者の代理人として調停に参加できます。依頼者側の立場にたった主張・証拠の提出が可能です。

もちろん、調停の申立ても代行できるので、円滑に手続きが進むことでしょう。

離婚調停の不成立が心配なら春田法律事務所でご相談を

今回は離婚調停による解決に尽力してきた専門弁護士が、調停不成立を防ぐ対応方法等について詳しく解説しました。

春田法律事務所は、調停での離婚問題の解決に豊富な実績を持つ法律事務所です。まずは弁護士に相談し、離婚調停に関する不安や悩みを打ち明けてみましょう。

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