離婚調停を拒否できるのか?拒否したら起こることや代替案を解説

最終更新日: 2023年10月15日

離婚調停を拒否できるのか?拒否したら起こることや代替案を解説

  • 配偶者が調停離婚を申し立てた、自分は離婚したくないのだがどうすればよい?
  • 離婚調停の話し合いをしたくないときは欠席した方がよいか?
  • 離婚調停を拒否したいときの対応策を知りたい

調停離婚とは、家庭裁判所で夫婦が離婚について話し合い、お互いの合意で離婚問題の解決を図る方法です。

話し合いによる解決を目指すもので、夫婦の一方が拒否したときは調停は成立しません。

ただし、離婚調停を拒否する方法によっては、その後に裁判となった場合、拒否した側が不利となる可能性もあるので注意しましょう。

そこで今回は、多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚調停を拒否した後の展開、拒否するときにとるべき行動等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 離婚したくないのであれば、調停でも離婚拒否の意思を明確に主張する
  • 調停を正当な理由なく欠席すれば、裁判所に悪い印象を与え、裁判で不利となる場合もある
  • 離婚したくないときは、夫婦関係を修復するための調停の申立てができる

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

離婚調停は拒否できるか?

離婚のための調停を行う場合、相手方の住所地または当事者が合意で決めた家庭裁判所 に、「夫婦関係調整調停(離婚)の申立」をします。

調停は非公開で行われ、基本的に夫婦双方の出席が必要です。

調停では家庭裁判所から選ばれた調停委員(2名)が夫婦の間に入り、夫婦の主張の隔たりを埋めるための助言や解決案を提示します。

ただし、あくまでも話し合いで解決を図る方法であるので、離婚したくないのであれば、はっきりと拒否しましょう。

離婚調停で拒否すると何が起こるか

離婚調停で拒否を貫いた場合、調停は不成立となります。その後は離婚についてもう一度夫婦で話し合うのか、裁判に進むのか等を決める必要があります。

こちらでは、調停で離婚を拒否した後の影響について解説します。

調停が不成立となる

配偶者が離婚を主張しても、自分が拒否すれば、話し合いが平行線のままなので調停不成立になります。

自分に離婚したくない言い分がある限り、調停で離婚は成立しません。ただし、たとえ調停が不成立になっても、再び調停の申立ては可能です。

裁判に進む可能性も

離婚の調停が不成立となれば、配偶者は諦めずに、家庭裁判所へ離婚訴訟を提起する場合があります。

配偶者から離婚訴訟が提起されれば、自分が被告となり、公開の法廷で互いの主張と証拠の提示を行います。

訴訟では、たとえ自分が離婚を拒否したくても、また離婚条件に納得できなくても、原告が勝訴すると、判決に従わなければなりません。

自分が判決にどうしても納得できないときは控訴できます。

調停を欠席した場合

離婚の話し合いすら嫌だからといって、正当な理由なく調停を欠席すれば、調停委員の印象が悪くなってしまいます。

また、離婚訴訟となった場合は不利な立場となる可能性もあります。

更に裁判への出席も拒否したときは、原告の全面勝訴となり離婚が成立してしまいます。

調停や裁判へ出席するのが面倒でも、離婚したくないのであれば、きちんと理由を主張していく必要があります。

自分だけで調停や裁判に対応するのが難しいときは、弁護士を立てましょう。弁護士は代理人として依頼者への助言の他に、依頼者側に立って調停での主張も行います。

調停成立後離婚届を出さない場合

調停が成立したときは、調停成立の日から10日以内に離婚届書、調停調書の謄本等を市区町村役場に提出します。

離婚届は離婚を申し立てた配偶者が提出すればよく、自分が協力する必要はありません。

なお、10日以内に離婚届を提出できなくとも、調停が無効となるわけではありません。ただし、調停申立人(配偶者)が届出義務違反に問われ、5万円以下の過料を科される可能性はあります。

離婚調停を拒否したいときにすべきこと

離婚調停を拒否する場合は、拒否する意思を貫くとともに、安易に離婚に応じないための対策も進めていきましょう。

こちらでは、離婚調停を拒否するための5つの行動を解説します。

冷静かつ真摯な対応

裁判所から調停参加の通知が届いたときは、やむを得ない理由がない限り、必ず参加しましょう。

清潔な服装で出席し、調停委員の質問にも丁寧な言葉遣いで返答すれば、よい印象を与えられます。

調停では離婚に反対する理由を論理的に主張しましょう。事前に陳述書を用意しておくと、自分の考えを整理でき、意見をきちんと伝えられます。

婚姻を継続したい理由の洗い出し

自分がなぜ婚姻を継続したいのかについて、その理由を事前に洗い出しておきましょう。

主に次のような理由があるでしょう。

  • 配偶者への愛情を失っていない
  • 自分は離婚の原因をつくっていない
  • 子どもがまだ小さいため、離婚をためらっている 等

このような理由をわかりやすく説明できるよう調停前に整理しておけば、調停のとき慌てずに対応できます。

不受理申出書の提出

協議離婚が思うように進まないと、焦った配偶者が勝手に離婚届を提出する可能性もあります。

その前に「離婚届不受理申出書」を市区町村役場へ提出しておけば安心です。

申出を済ませておけば、本人が窓口に出頭して離婚を届け出た、という事実確認がされない限り、離婚届は受理されません。

不受理の申出に必要な書類は次の通りです。

  • 不受理申出書:1通
  • 写真付きの本人確認書類:運転免許証、パスポート等

円満調停の申立て

配偶者との関係修復を図りたいのであれば、「夫婦関係調整調停(円満)」を利用しましょう。こちらも、相手方の住所地または当事者が合意で決めた家庭裁判所に申立をします。

申し立てるときは、次の書類の提出が必要です。

  • 調停申立書とその写し1通
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書):本籍地の市区町村役場で取得
  • 収入印紙1,200円、連絡用切手

調停は非公開で行なわれます。調停委員と共に離婚したい側の主張原因を探り、夫婦がどのように努力すれば関係を改善できるか、等について考えます。

調停委員から解決案の提示やアドバイスを受けつつ、話し合いによる合意を目指します。

出典:夫婦関係調整調停(円満) | 裁判所

弁護士への相談

配偶者との関係修復をしたいという場合、夫婦関係のトラブルに詳しい弁護士と相談しましょう。

弁護士は、夫婦の事情に応じた的確なアドバイスを行います。また、弁護士に依頼すれば配偶者との交渉を任せられ、調停の場でも依頼者側に立った説得力のある主張を展開します。

相手が離婚調停を拒否しているときにすべきこと

逆に離婚の調停を成立させたいのに、拒否されて離婚手続きが進まないと焦っている人は、次のような方法で拒否する側を説得できます。

調停委員を通した説得

調停委員に離婚したい理由をわかりやすく説明します。

相手から強く関係修復を求められても、愛情が冷めてしまい一緒にいても修復は難しい旨を主張しましょう。

理性的に調停委員へ説明すれば、調停委員から正確に相手へ離婚理由を伝えてもらえます。

相手と直接話せば感情的になるケースでも、調停委員が夫婦の間に立って調整するので、相手も落ち着いて離婚について考えられます。

離婚に強い弁護士からの説得

離婚問題に詳しい弁護士に依頼すれば、自分の代わりに相手を説得します。

相手が関係を修復したい場合は、依頼者の愛情はすでになくなり修復困難である点を、言葉を選びながら主張します。

離婚問題に詳しい弁護士を選ぶときは、法律事務所のホームページを確認しましょう。

離婚問題の相談実績や、離婚に関する話題が豊富に掲載されていれば、その分野の交渉や調停等に詳しい弁護士とわかります。

まとめ

今回は多くの民事事件に携わってきた専門弁護士が、離婚調停を拒否するときのポイント等について詳しく解説しました。

夫婦関係を修復する場合も、離婚の成立を目指す場合も、弁護士の力を借りた方が、交渉を有利に進められます。

離婚調停を拒否したいのであれば、早く弁護士と相談し、今後の対応をよく話し合ってみましょう。

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