犯罪で逮捕された旦那と離婚したい!進め方を専門弁護士が徹底ガイド!
最終更新日: 2024年01月12日
- 犯罪者になった旦那と離婚はできるの?
- 犯罪で逮捕された旦那とはどのような場合に離婚できるの?
- 逮捕された夫との離婚の進め方は?
夫が犯罪を犯したとき、たとえ軽微な罪であっても「離婚したい」という気持ちになることもあるでしょう。夫が犯罪を犯したことが離婚のきっかけにもなるといえます。 離婚を選択した場合、離婚したいけれどどのように進めるのがよいのでしょうか?そこで今回は、離婚の専門弁護士が、犯罪を犯した夫との離婚はできるのか・離婚が可能なケース・離婚の進め方と、専門の弁護士に依頼することがおすすめな理由を解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 犯罪を犯した夫との離婚は、相手も合意すればできる。できない場合は調停・裁判へと発展する可能性もある
- 犯罪を犯した夫と離婚が可能なケースは「犯罪を犯した相手が夫(妻)」「夫(妻)のせいで風評被害を受けた」「軽犯罪法違反による逮捕」の3つ
- 犯罪を犯した夫との一般的な離婚の進め方は、離婚の意思を伝える→協議離婚を進める→調停離婚に切り替える→審判離婚に進む→裁判離婚に進む
犯罪で逮捕された旦那との離婚は可能か?
犯罪を犯した夫との離婚は可能です。しかし、「犯罪を起こしたことで離婚できる」という法律上の定めはありません。
あくまで夫と妻が話し合いのうえ、合意した場合に可能になるのです。 実際、犯罪を犯した配偶者と冷静に話し合いをして、離婚を合意に至らせることは難しい傾向があります。
離婚の協議がうまくいかず調停離婚へ進み、調停委員の仲介で合意を取ろうとしても、時間もかかってしまい、簡単に離婚を成立させるのは困難といえます。 夫と妻の間で、離婚の合意ができない場合は、裁判上で離婚することになります。
裁判上で離婚する場合は、民法770条にある
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。が適用されるのです。 民法770条では、裁判上の離婚が認められる場合として、以下の事由が挙げられています。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
犯罪を犯した夫と、裁判上の離婚をする場合に必要な事由は「旦那が犯罪を犯したことで、夫婦関係が破綻した」という事実を主張することです。 そのため、民法770条に定められた事由の中から、最も離婚の原因に近い事由に対しての主張をする必要があるのです。
犯罪で逮捕された旦那と離婚が可能なケース
犯罪を起こしたことが理由で即離婚が可能というわけではありません。お互いが合意に至らない場合は、民法770条にて定められた事由によって裁判上の離婚をすることになります。ここでは、犯罪を犯した夫と離婚が可能なケースを3つの点から解説します。
- 犯罪を犯した相手が妻
- 旦那のせいで風評被害を受けた
- 軽犯罪法違反による逮捕
1つずつ見ていきましょう。
犯罪を犯した相手が妻
犯罪を犯した夫と離婚が可能なケースの1つ目は、犯罪を犯した相手が妻のケースです。犯罪を犯した場合の離婚について、配偶者を対象とした犯罪も考えられます。
たとえば「旦那からの暴力」「旦那から性行為を無理強いされた」などの性被害です。配偶者からの暴力は、民法770条1項5号にある「婚姻を継続し難い重大な事由」に、また、性被害については、刑法177条の「強制性交等罪」に該当する可能性があります。
旦那のせいで風評被害を受けた
犯罪を犯した夫と離婚が可能なケースの2つ目は、夫のせいで風評被害を受けたケースです。
夫が犯罪を犯した場合、犯罪の規模によっては全国区のニュースとして報道されたり、インターネット上のサイトにニュースとして掲載されたりします。また、規模がそれほど大きいとはいえない犯罪であっても、地元の新聞に掲載されたり、近所の方に知られることも考えられます。
このような場合、犯罪を犯した夫のせいで、配偶者までもが別の形で被害にあうことも考えられるでしょう。こうした被害から逃れるための離婚として、民法770条1項5号にある「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
軽犯罪法違反による逮捕
犯罪を犯した夫と離婚が可能なケースの3つ目は、軽犯罪法違反による逮捕のケースです。
軽犯罪とは、刑法で規定していない犯罪行為をいいます。たとえば「旦那が盗撮で逮捕された」「旦那が他人に対して付きまとい行為をした」などがあります。これらの行為は、民法770条1項5号にある「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
「軽犯罪」といってもその法に違反した場合の刑罰があります。「拘留」または「科料」です。拘留は、「1日以上30日未満の間、身体を拘束される刑罰」です。拘留されると執行猶予にはできず、実刑となります。
科料は、「1,000円以上10,000円未満の金銭を強制的に徴収する財産刑」です。なお、「罰金」は10,000円以上の財産刑になります。 軽犯罪は、夫婦間で起こることもあり、「婚姻を継続し難い重大な事由」の1つとなり得るのです。
犯罪で逮捕された旦那との離婚の進め方
犯罪を犯した夫が逮捕・勾留中であっても離婚を進めることは可能ですが、逮捕から勾留が終わるまでの期間は最長で20日間であり、事件の解決を優先すべきともいえるため、実際に離婚を進めることは難しい可能性があります。
釈放後に正式に離婚手続きを進めることとして、ここでは、犯罪を犯した夫との離婚の進め方について解説します。
- 離婚の意思を伝える
- 協議離婚を進める
- 調停離婚に切り替える
- 審判離婚に進む
- 裁判離婚に進む
1つずつ見ていきましょう。
離婚の意思を伝える
1番目は、離婚の意思を伝えることです。
逮捕直後は、本人と面会することができません。逮捕直後であっても面会可能なのは、基本的に弁護士のみです。
もし早急に離婚を進めたい場合は弁護士の介入を依頼する必要があります。しかし、面会時間は15分から20分と限られており、離婚の話よりも被害者との問題を解決することが先決となるため、ここで離婚話を切り出すのは適当ではない可能性があります。
協議離婚を進める
2番目は、協議離婚を進めることです。
協議離婚とは、夫婦間の合意によって離婚が成立することをいいます。逮捕直後はお互いの離婚に対する意思を直接確認することは難しいといえますが、勾留中であれば面会も可能になるため、話し合いをすることは可能です。
ただし、冷静な話し合いができるかどうかは別問題です。特に逮捕・勾留中の配偶者と離婚に対して円滑に合意することは難しいといえます。
調停離婚に切り替える
3番目は、調停離婚に切り替えることです。
調停離婚とは、裁判所の調停委員を介して離婚の合意を調整していく手続きをいいます。どちらか一方から家庭裁判所に申し出を行い、調停期日に夫と妻の双方が家庭裁判所に出頭し、話し合いをします。
調停では、夫・妻のそれぞれから調停委員が話を聞き調整を行います。 調停離婚には、双方が調停期日に必ず出頭する必要があります。逮捕・勾留から釈放された場合に可能な手続きといえます。
審判離婚の検討
4番目は、審判離婚の検討です。
審判離婚とは、調停離婚を進めたうえで、あと一歩のところで合意の調整が出来ない場合、裁判所が審判を下すことをいいます。
審判離婚では、夫婦のどちらかが審判内容に納得しても、相手が異議申立てをすると審判が無効になります。また、裁判官が審判を下すため、自分の主張が通らない可能性もあるのです。
なお、異議申立ては、「審判の告知を受けた日の翌日から2週間以内」に行う必要があります。2週間が過ぎると、審判は有効になり離婚が成立します。
ただし、実際に審判離婚を行うことは少なく、次の裁判離婚へと進みます。
裁判離婚に進む
最後は、裁判離婚に進むことです。
調停離婚・審判離婚が成立しない場合、裁判上での離婚成立を目指すことになります。裁判離婚では、前述の民法770条1項の1号から5号に該当する事由が必要です。
夫が犯罪を犯したことによる離婚については、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」が適用される可能性が高いと考えられ、この号を証明するために必要な証拠を集めて主張する必要があります。
犯罪で逮捕された夫との離婚は弁護士に相談
犯罪を犯した夫と、これまで通り普通に生活をすることが難しい場合もあるでしょう。
特に、犯罪を犯した相手が、夫という配偶者への犯罪だった場合、夫婦間での信頼はなくなり、お互いの関係性は破綻しているともいえます。
すでに破綻した夫婦の間で、冷静な話し合いを行い離婚に対して合意することは簡単なことではありません。
このような場合、第三者である弁護士を仲介することで、円滑に離婚へと進むことがあります。 離婚を専門とする弁護士であれば、いくつものケースを経験しているため、「本当に離婚できるのだろうか」という依頼者の漠然とした不安を解消し、離婚成立へと進めてくれるでしょう。
相談するタイミングは、離婚の話を相手に切り出す前がおすすめです。どのように進めるとよいかを、あらかじめ専門の弁護士からアドバイスを受けたうえで、離婚を進めていきましょう。
まとめ
今回は、離婚の専門弁護士が、犯罪を犯した夫との離婚はできるのか・離婚が可能なケース・離婚の進め方と、専門の弁護士に依頼することがおすすめな理由を解説しました。
犯罪を犯した夫との離婚は、冷静な合意を取ることが難しい傾向にあるため、弁護士に介入してもらうことがおすすめです。
特に、夫が犯した犯罪の相手が自分であった場合は、恐怖心から相手の言いなりになってしまう可能性もあり、離婚がうまく進まない場合もあります。
犯罪を犯した夫との離婚は、犯罪をしたことがそのまま離婚理由としては認められません。弁護士のアドバイスを受けながら、必要な証拠を集めて離婚の成立を目指しましょう。