薬物事件に強い弁護士ができる事とその見つけ方を解説

最終更新日: 2021年11月30日

薬物事件に強い弁護士ができる事とその見つけ方を解説薬物事件に強い弁護士はどうやって探せばいいの?
薬物事件に強い弁護士は何をしてくれるの?
弁護士費用はどれくらいかかるの?

ご自身や家族が薬物事件に巻き込まれた場合、薬物事件に強い弁護士に依頼をしたいと思う方は多いことでしょう。ですが、どのような弁護士が薬物事件に強いのか、その判断方法がわからないのではないでしょうか。

今回は、刑事事件を数百件解決してきた専門弁護士が薬物事件に強い弁護士について解説します。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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まずは薬物事件の現状や法律について弁護士から解説

まずは薬物事件の現状や法律について弁護士から解説薬物事件に強い弁護士について見ていく前に、まずは薬物事件の検挙状況や法律について簡単に確認しておきましょう。

 

薬物事件の検挙状況

主な薬物犯罪には、覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反、あへん法違反があります。

下記は令和2年の薬物事件の検挙件数です。約63%が覚醒剤取締法違反で、これに大麻取締法違反を加えると薬物事件の約94%を占めることがわかります。また、1年365日で割ると1日あたり52件の薬物事件が検挙されているということになります。

覚醒剤事犯12124件
大麻事犯6015件
麻薬及び向精神薬事犯1081件
あへん事犯11件

 

薬物事件の法律

上記のとおり、主な薬物犯罪に関する法律は4つあります。それぞれの法律が対象となる薬物の製造(栽培)や輸出入、所持や譲渡、譲受などの行為を規制しています。

麻薬及び向精神薬取締法以外は対象となる薬物はその法律名から明らかです。コカイン、ヘロイン、LSD、MDMAなどが麻薬及び向精神薬取締法の対象です。

それぞれの薬物で刑罰の重さは異なります。営利目的ではない単純所持の刑罰の重さを比較すると下記表のとおりです。覚醒剤が非常に重い犯罪であることがわかります。

覚醒剤10年以下の懲役
麻薬及び向精神薬7年以下の懲役
大麻5年以下の懲役

薬物事件に強い弁護士は何をしてくれる?

薬物事件に強い弁護士は何をしてくれる?薬物事件の現状や法律について確認しましたので、次は薬物事件に強い弁護士に依頼をしたら何をしてくれるのかについて見ていきましょう。

  • 逮捕を回避する
  • 釈放する
  • 接見禁止の解除
  • 嫌疑不十分にする
  • 起訴猶予を得る
  • 執行猶予を得る

逮捕を回避する

まずは逮捕の回避です。

薬物事件は証拠隠滅を防ぐために大抵は逮捕、勾留されます。しかし、逮捕される前に弁護士が警察に対して、証拠隠滅の可能性が乏しいことや捜査へ協力する姿勢を示すことで逮捕せずに在宅捜査としてもらえることがあります。

逮捕されると仕事や学校など日常生活に多大な支障が生じますので、逮捕を回避できるかもしれないという点は薬物事件に強い弁護士に依頼をする大きなメリットでしょう。

釈放する

逮捕され、その後に勾留されると最長23日間、身柄拘束が続きますし、再逮捕があればさらに長期の身柄拘束が続きます。

もっとも、逮捕されたとしても、その後の勾留を回避できることがあります。勾留するかどうかを決めるのは裁判官、裁判所です。捜査機関は勾留が必要と考えても、裁判官、裁判所が不要と判断すれば勾留はされないのです。

薬物事件に強い弁護士によれば、裁判官、裁判所に対して勾留は必要ないことを説明することで勾留を回避し、釈放できる可能性が高まります。

接見禁止の解除

勾留された場合、通常は弁護士以外でも警察署で面会することが可能ですが、裁判官が関係者との口裏合わせなど証拠隠滅を防ぐために面会の禁止を設定することがあります。

そうすると弁護士以外とは面会することができなくなり、精神的な辛さが増します。

このように面会の禁止が設定された場合も、薬物事件に強い弁護士に依頼をすることで少なくとも家族については面会の禁止を解除できる可能性が高まります。

嫌疑不十分にする

全く身に覚えのない薬物事件の嫌疑をかけられるというケースはしばしばあります。このような場合、捜査に対してどのような対応をするのかが非常に重要です。

依頼を受けた時点で既に捜査機関の思い通りの証拠を作成されており、手遅れになっているようなケースによく遭遇します。

できる限り早期の段階で薬物事件に強い弁護士に依頼をすることで、最善の方針、戦略を立てることができ、その結果、検察官が嫌疑は不十分として起訴を断念する結果に持ち込める可能性が高まります。

起訴猶予を得る

犯行を認めていて、証拠も十分で、起訴すれば有罪判決になるケースであっても、検察官は必ず起訴するわけではありません。被疑者の反省や前科前歴の有無、今後の更生環境などを考慮してそのようなケースでも起訴猶予として起訴しないことがあります。

大麻取締法違反であれば約24%、麻薬及び向精神薬取締法違反であれば約12%、覚醒剤取締法違反であれば約7%が起訴猶予となっています。やはり重い罪ほど起訴猶予になる可能性は低くなります。

薬物事件に強い弁護士は、起訴猶予としやすくなる材料を揃えて検察官に示していきますので、起訴猶予となる可能性が高まります。

執行猶予を得る

令和2年の統計によれば、大麻取締法違反であれば約86%、麻薬及び向精神薬取締法違反であれば約81%、覚醒剤取締法違反では約36%の事件で刑の全部を猶予する執行猶予判決が出ています。

初犯の薬物事件では営利目的でない限り、大抵は執行猶予が付きます。他方、薬物事件の前科がある場合や、初犯で営利目的の場合には実刑判決となる可能性が高くなります。

このように執行猶予を得ることが容易ではないケースでは、薬物事件に強い弁護士に依頼することによって、執行猶予を得る可能性が高まります。

 

薬物事件に強い弁護士の見つけ方

薬物事件に強い弁護士の見つけ方以上、薬物事件に強い弁護士に依頼をするメリットについて見てきました。それでは、そのような薬物事件に強い弁護士はどのようにして見つけたら良いのでしょうか。

  • 経験数が重要な指標
  • 国選でいい?私選がいい?
  • 弁護士費用の相場は?

経験数が重要な指標

刑事事件を扱っている弁護士は沢山います。しかし、あまり刑事事件の経験がない弁護士でも十分対応できる事件もあれば、そうでない事件もあります。

とりわけ薬物事件は書籍を読めばわかるというものではなく、沢山の事件を経験しなければ、事件の見通しやそれを踏まえた弁護方針の立案を的確に行うことはできません。

したがって、薬物事件に強い弁護士を見つける際には、過去にどれくらいの件数の薬物事件を扱ってきたのかという点が重要な指標となります。最低10件は経験のある弁護士に依頼をしたいところです。

国選でいい?私選がいい?

国選弁護人のままでいいのか、私選弁護士を依頼するべきなのかというご相談はよくあります。

国選弁護人は必ずしも刑事事件の経験がある弁護士が選任されるとは限りませんし、やはり被疑者やその家族から依頼を受けているわけではありませんので、あまり熱心ではないことが多いのは事実です。

私選でも早期釈放が困難なケースや、私選でも国選でも判決は変わらないというケースでは、国選のままでも良いでしょう。もっとも、そのようなケースでも丁寧な対応を求めたいという場合には私選の弁護士に依頼をすると良いでしょう。

弁護士費用の相場は?

弁護士費用は大きく分けると、着手金と成功報酬金から構成されます。加えて、接見日当を設定している法律事務所もあります。

着手金は依頼するときに支払います。30万円が相場ですが、否認事件など難易度の高い事件の場合には50万円ほどに設定している法律事務所もあります。

他方、成功報酬金の定め方は法律事務所によって様々です。不起訴の成功報酬、起訴前の釈放の成功報酬、保釈の成功報酬、減刑や執行猶予の成功報酬などがあります。

成功報酬の金額は法律事務所によって、また事件の難易度によって様々です。例えば、不起訴の成功報酬は30万円から50万円が相場ですが、執行猶予中の再犯のケースで再度の執行猶予を得た場合の成功報酬は50万円以上を設定する法律事務所も多くあります。

このように弁護士費用は事件や法律事務所によって様々ではありますが、初犯の薬物事件であれば総額60万円から80万円ほどが相場といって良いでしょう。

薬物事件を弁護士が解決した事例

薬物事件を弁護士が解決した事例最後に、具体的な薬物事件の解決事例について見ておきましょう。

解決事例
  1. 大麻の譲渡で不起訴になった事例
  2. 大麻所持で不起訴となった事例
  3. 覚醒剤の再犯で執行猶予を得た事例

大麻の譲渡で不起訴になった事例

依頼者は、大麻を友人に譲渡したという容疑で逮捕されましたが、証拠が弱いと思われるケースでした。

そこで、勾留中は黙秘をする方針としました。捜査官は、あの手この手でプレッシャーをかけて、依頼者に供述をさせようとしましたが、連日弁護士から適切な対応を助言して乗り切った結果、勾留最終日に不起訴処分となり釈放されました。

大麻所持で不起訴となった事例

依頼者は職務質問をされ、タバコの箱の底から微量の大麻を発見され、現行犯逮捕されました。7年前にも大麻所持で執行猶予判決を受けていたため、今回は実刑判決となる可能性がありました。

しかし、依頼者が所持していた大麻はごく微量で、依頼者もその存在に気付いていませんでした。そこで、所持の認識はなかったことを主張する方針とした結果、勾留満期に処分保留で釈放され、その後、不起訴処分となりました。

覚醒剤の再犯で執行猶予を得た事例

依頼者は、過去に大麻や覚醒剤で3度の有罪判決を受けており、刑務所に服役した経験もありました。出所して6年ほどしたところで再び覚醒剤の使用で逮捕されました。

過去の前科からして単にもう二度と薬物には手を出しませんと裁判で言ったとしても到底裁判所に信用はしてもらえません。そこで、保釈後は3か月間、薬物依存治療専門の病院に入院をして治療し、退院後はNPO法人の協力を得て更生環境を整えました。

病院の主治医とNPO法人の職員に証人として出廷してもらい、刑務所に入るよりも現在の治療を続けることが更生に必要であることを示してもらいました。その結果、保護観察付きの執行猶予5年の判決を得て、実刑を回避することができました。

まとめ

以上、薬物事件に強い弁護士ついて解説しました。

逮捕を回避したい、起訴されて前科が付くことを避けたい、執行猶予を得たい。いずれの場合も手遅れになる前に薬物事件に強い弁護士にご相談ください。

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