Facebookの誹謗中傷を解説!されたら・してしまったらすべきことや問われる罪も紹介
最終更新日: 2023年12月30日
- Facebookで誹謗中傷を受けている、悪意のある投稿を削除したい。
- 自分がFacebookに投稿した内容が相手の権利侵害となっているようだ。何とか穏便に解決したい。
- Facebookの投稿が権利侵害となる場合、弁護士に相談した方がよいのだろうか?
FacebookやX(旧Twitter)等が世界中の人に利用され、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を介した自由な投稿が可能となりました。
しかし、Facebook等で特定の個人・団体を誹謗中傷する投稿も激増し、深刻な社会問題となっています。
悪質な投稿で権利侵害を受けたときは、速やかにそのような投稿をやめさせたいものです。
そこで今回は、SNS等の法的トラブルを解決してきた専門弁護士が、Facebookで誹謗中傷された場合の対応方法、誹謗中傷をした加害者が問われる罪等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- Facebookで誹謗中傷されたら、速やかに削除請求や発信者開示請求等を行う
- Facebookで相手を誹謗中傷してしまったときは、自ら削除をして謝罪や示談交渉を行う
- Facebookで相手を誹謗中傷すると名誉棄損罪や不法行為責任を問われる可能性がある
Facebookで誹謗中傷をされたらすべきこと
Facebookで自分の醜聞が投稿されている、許可なく自分の画像が載っている等、権利侵害を受けているときは、速やかに管理者へ削除を依頼し、弁護士に相談しましょう。
削除請求
Facebookの場合、誹謗中傷した投稿者にメッセンジャーで削除を要求できます。ただし、投稿者が逆に激高し更に攻撃的な投稿を行う可能性があります。
そのため、違反報告をして運営側(メタ社)に削除してもらいましょう。Facebookのページ右上にある「…」マークから依頼が可能です。
投稿内容が「Facebook利用規約」に違反していれば、投稿の削除の他、違反アカウントの停止も行われます。
削除依頼をしても運営側が応じないときは、裁判所に投稿記事削除仮処分命令の申立てが可能です(民事保全法第23条第2項)。
裁判所から投稿記事削除の命令を受けた場合、運営側はその命令に従い削除を行う可能性が高いです。
出典:民事保全法 | e-Gov法令検索 出典:Facebook利用規約
投稿者の身元を把握する
運営側が投稿を削除しても、投稿者は再び悪質な投稿を行ったり、別のSNSで誹謗中傷を続けたりするおそれがあります。
悪質な投稿をやめさせたいのであれば、まず投稿者の身元を把握し、法的措置をとる必要があります。
発信者開示請求・命令
プロバイダ責任制限法では、「発信者情報開示請求」「発信者情報開示命令(2022年10月1日に新設)」が法定されており、いずれかの方法で投稿者の氏名・住所等を特定します。
ただし、経由プロバイダ(例:NTT、So-net等)のログ保存期間は、投稿があったときから3〜6か月程度が基本です。
その間に、投稿者の利用した経由プロバイダが判明しないと、発信者情報が消失してしまうリスクもあるので注意しましょう。
速やかに発信者情報開示請求または開示命令の申立てを行う必要があります。
発信者開示請求・命令の手順
どちらの方法を利用するかは被害者側の自由です。開示請求と開示命令を行う手順は次の通りです。
- 発信者情報開示請求:SNS管理者に発信者情報開示請求(任意開示)を行い、IPアドレスを開示(拒否の場合は裁判所に仮処分申立て)してもらう。その後、経由プロバイダを相手に発信者情報開示請求訴訟を提起し、投稿者の氏名・住所等を特定。
- 発信者情報開示命令:裁判所に発信者情報開示命令の申立て、SNS管理者・経由プロバイダ双方に対し開示請求を一括で行う。
開示請求や開示命令により投稿者の氏名・住所等が判明したときは、法的措置(例:損害賠償請求、刑事告訴)の準備にとりかかりましょう。
弁護士への相談
被害者が弁護士に相談すれば、まず弁護士が悪質な投稿内容を確認し、被害者の希望をよく聴いたうえで、次のような点について助言を行います。
- Facebook投稿された記事の削除の仕方
- 誹謗中傷した投稿者を特定する方法
- 法的措置等をどう進めるかについての提案
弁護士を代理人にたてれば、運営側(メタ社)との交渉や、裁判所への仮処分の申立て、発信者情報開示命令、投稿者への損害賠償請求や刑事告訴まで、いろいろな手続きを任せられます。
Facebookで誹謗中傷をしてしまったらすべきこと
特定の個人や法人に反感を覚え、Facebookで相手を誹謗中傷した場合、投稿の削除はもちろんアカウント停止や法的制裁を受ける可能性があります。
問題が大きくならないうちに、なるべく迅速かつ穏便に解決を目指しましょう。
弁護士への相談
投稿者(加害者)が弁護士に相談すれば、まず弁護士が本人の希望をよく聴いたうえで、次のような助言を行います。
- Facebook投稿された記事の削除の仕方
- 被害者との和解交渉(示談交渉)を行う必要性
- 被害者から訴訟を提起された場合の対処法
- 刑事告訴後の対応
和解交渉が可能であれば、交渉は弁護士が代理人となり進めていくので安心です。
また、被害者からの告訴により逮捕されても、弁護士は早期解放を働きかけ、不起訴処分を目指します。
削除依頼
Facebookで自分が投稿したコメントは、削除または編集が可能です。投稿内容を他の人が確認する前に、すぐ削除しましょう。
そうしないと誹謗中傷の内容を他の人が保存し拡散する可能性があります。このような状況になってしまうと削除は極めて困難です。
拡散されてしまった投稿がSNS等に載せられる都度、運営側(管理者)に頼んで削除してもらいましょう。
謝罪
被害者に誠心誠意謝罪しましょう。ただし、投稿者(加害者)が直接連絡をとると、誹謗中傷を受けた被害者との間でトラブルになる可能性があります。
この場合は弁護士を立てて、弁護士から謝罪の意思を伝えてもらい、和解交渉(示談交渉)で問題の解決を図っていきましょう。
被害者との交渉では次のような内容が話し合われます。
- 加害者が投稿の削除を行う
- 投稿が拡散されていた場合、加害者も投稿の削除に協力する
- 慰謝料(示談)の金額、支払い方法、支払期限
- 被害者は加害者の告訴をしない(または告訴を取り消す)
交渉が成立すれば、被害者から訴訟を提起されたり、刑事告訴されたりする事態を回避できます。
Facebookの誹謗中傷で問われる罪
Facebookで特定の個人や法人を誹謗中傷した場合、刑罰を受けたり、損害賠償請求訴訟を提起されたりする可能性があります。
名誉毀損罪等
Facebookで公然と個人や法人の事実を摘示し、社会的評価を低下させた場合「名誉棄損罪」に問われる可能性があります。
たとえばFacebookに「有名女子高に通う〇〇は、週末に買春を行っている」「〇〇会社の〇〇係長は、部下〇〇と不倫をしている」等という投稿が該当します。
投稿内容が真実でも嘘でも、名誉棄損となります。
被害者に刑事告訴され、名誉棄損罪で有罪となれば「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。
一方、事実を摘示せずにFacebookで公然と、個人や法人を侮辱すると「侮辱罪」に問われる可能性があります。
たとえばFacebookで「チビ」「ハゲ」「キチガイ」「ブラック企業」等と投稿した記事が該当します。
被害者に刑事告訴され、侮辱罪で有罪となれば「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。
不法行為による損害賠償
誹謗中傷による不法行為責任を問われ(民法第709条)、損害賠償請求訴訟を提起される可能性があります。
損害賠償請求をするときは、まず和解交渉(示談交渉)を行うのが一般的です。ただし、交渉不成立の場合は被害者が裁判所に訴えて解決を図ります。
賠償金額(慰謝料額)は投稿の内容や拡散の状況により異なりますが、次の金額が目安です。
- 名誉毀損:個人の場合10~50万円程度、法人の場合50~100万円程度
- 侮辱:1~10万円程度
財産以外の損害の賠償
実際に財産権が侵害されていなくとも、悪質な投稿で名誉感情が侵害された場合も、不法行為責任を問われる可能性があります(民法第710条)。
財産以外の損害には、次のようなものが該当します。
- 肖像権侵害:本人の許可なく顔や容姿等を撮影し、使用・公表する行為
- プライバシー侵害:他人の私生活に関する情報を無断で投稿する行為
プライバシー侵害に当たるのは、たとえばFacebook上に自分の犯罪歴が投稿された、マイナンバーの番号が掲載されたというケースです。
肖像権やプライバシーの侵害で損害賠償請求訴訟を提起された場合、賠償金額(慰謝料額)は10〜50万円程度が目安となります。
Facebookの誹謗中傷なら弁護士に相談を
今回は悪意のある投稿の削除等に対応してきた専門弁護士が、Facebookで法的トラブルが発生した場合の対処法ついて詳しく解説しました。
FacebookをはじめとしたSNSで権利侵害を受けた場合は、早く弁護士と相談し対策を協議しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。