詐欺事件の示談金相場や示談の進め方を解説
最終更新日: 2024年01月25日
- 詐欺事件でも示談は成立できるのか
- 詐欺罪で示談を進めるために必要な条件を知りたい
- 詐欺事件で示談成立させるメリットを確認しておきたい
近年では振り込め詐欺などの特殊詐欺がメディアで頻繁に取り上げられ、若い学生たちなどの逮捕が多発しています。
詐欺事件は重大犯罪であり被害額や被害者も多いことなどから、初犯であっても逮捕されて実刑判決が下される可能性もあるため、早い時期に示談を成立させておくことが非常に重要になります。
そこで今回は、これまでに多くの詐欺事件を解決に導いてきた刑事事件専門の弁護士が、詐欺事件でも示談で解決することはできるのか、交渉方法やタイミング、押さえるべきポイントについて解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 詐欺事件でも示談をすることはでき、実刑判決を回避できるなどの可能性がある
- 詐欺罪の示談を成立させるためには謝罪・被害額の弁済・慰謝料の3つを押さえる必要がある
- まずは詐欺罪での対応実績が豊富な弁護士に相談することが大切
詐欺事件での示談
まず詐欺事件での示談で必要となる基礎知識について解説します。
- 詐欺事件で適用される法律
- 詐欺罪での示談傾向
それぞれ見ていきましょう。
詐欺事件で適用される法律
詐欺罪での示談において必要となる1つ目の基礎知識は、詐欺事件で適用される法律です。
詐欺事件で適用される詐欺罪は、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処す」と定めています(刑法第246条)。
詐欺罪とは、相手が財物を交付したくなる意思を起こさせる詐欺行為をし、相手を錯誤に陥らせて財物を交付させる行為を指します。
詐欺罪の刑罰は、10年以下の懲役刑です。罰金刑や禁錮刑の罰則はありません。そのため、執行猶予がつかない有罪判決が下されれば即実刑になってしまう重い罪です。
詐欺罪は、相手を欺く行為をした時点で成立します。たとえ被害者が詐欺であると気づきお金を渡さなかったとしても、詐欺行為を行った時点ですでに詐欺未遂罪に該当するのです。
詐欺罪での示談傾向
詐欺罪での示談において必要となる2つ目の基礎知識は、詐欺罪での示談傾向です。
令和3年版の法務省が発表している犯罪白書によると、詐欺罪の起訴率は54.3%、起訴猶予率は30.5%、勾留請求率は99.3%、でした。
出典:令和3年版犯罪白書 第3節 被疑者の逮捕と勾留|法務省
詐欺罪で逮捕されると高い確率で起訴されます。罰金刑がないため起訴されてしまえば、公判で実刑判決になる可能性もあります。
また、詐欺罪では逮捕されるとほとんどが勾留請求されて身柄を拘束されます。特殊詐欺の増加も影響し事件の全容を捜査するために、長期間身柄を拘束されることにもなりかねません。
詐欺事件では、早期の身柄釈放、逮捕・起訴・実刑判決の回避のためにも、早期に被害者と示談を成立させることが非常に重要です。
詐欺事件で示談を成立させるためのポイント
ここでは詐欺事件で示談を成立させるためのポイントを3つ紹介します。
- 被害者に謝罪する
- 被害者に弁済する
- 被害額に併せて慰謝料を支払う
1つずつ見ていきましょう。
被害者に謝罪する
詐欺事件で示談を成立させるためのポイントの1つ目は、被害者に謝罪することです。
詐欺の被害者は、加害者を信用したことによりお金などをだまし取られているため被害感情も大きいことが特徴です。お金だけでなく人生を狂わされた被害者も多いことでしょう。
詐欺事件で示談を成立させるためには、まず何よりも被害者に対して、騙してしまったこと、財産を奪ったことを真摯に謝罪することが重要です。
相手の信頼を裏切ったことに対して謝罪することで、被害感情も緩和されることがよくあります。謝罪の方法などは弁護士に相談するとよいでしょう。
被害額を弁済する
詐欺事件で示談を成立させるためのポイントの2つ目は、被害額を弁済することです。
示談金は、被害者から騙し取った金額がベースとなり、これに慰謝料も含まれます。
被害金額が多額であったり被害者が多いなどの理由から、被害額を弁済できない場合もあるでしょう。そのような場合も、謝罪の意思を示すことで被害者が示談に応じるケースもあります。
示談金の金額は、被害額や被害者の処罰感情など事案ごとの状況に応じて交渉で決定されます。詐欺事件の実績の多い弁護士に相談することで、適正な示談金を算出してもらえるでしょう。
被害額に併せて慰謝料を支払う
詐欺事件で示談を成立させるためのポイントの3つ目は、被害額に併せて慰謝料を支払うことです。
詐欺事件の示談金は、騙し取った金額+慰謝料 が原則となります。
慰謝料は、詐欺行為による精神的苦痛に対して支払われるものです。慰謝料の金額は、通常騙し取った金額に応じて増減します。数十万円から数百万円までケースにより異なりますが、一般的には数十万円のケースが多いでしょう。
被害の程度や精神的苦痛が大きいような場合には、慰謝料も高くなる傾向にあります。
慰謝料の算出も被害者との交渉により決定されるものです。詐欺事件を多く扱ってきた弁護士であれば、事案に応じた適正な慰謝料を算出することができます。
詐欺事件での示談交渉の方法
ここでは詐欺事件での示談交渉の方法について解説します。重要になるポイントは、以下の2つです。
- 進め方
- 作成すべき「示談書」
それでは1つずつ見ていきます。
進め方
詐欺事件での示談交渉で重要になるのは、交渉の進め方です。
詐欺事件では被害者の被害感情が大きいことが多いため、加害者本人が被害者に直接交渉すると被害感情を逆なでしてしまい、示談が不成立に終わる可能性が高くなります。
刑事事件では、被害者が加害者と接触することを嫌がる傾向が高く、また再犯予防のためにも被害者が連絡先を加害者に教えるということはほとんどありません。
詐欺事件を専門とする弁護士に依頼することで、被害者とも交渉しやすくなり、示談金についても適正な金額を提示することで示談が成立しやすくなります。
示談は加害者と被害者の合意によって成立するものです。弁護士を介することで早期に合意を得ることが可能になります。
作成すべき「示談書」
詐欺事件での示談交渉で重要になるのは、作成すべき「示談書」です。
示談書には以下の事項が記載されます。
- 加害者の氏名・被害者の氏名
- 事件の日時、場所、内容、被害金額などを記載した事件の概要
- 示談金額、支払方法、支払期限などの示談内容
- 一括払い、分割払いなど支払に関する内容
- 告訴取消、接触禁止、刑事訴追を求めないことを確認する条項、示談書以外賠償義務のないことを確認する精算条項、など
示談書に上記の事項を記載した後、加害者と被害者の双方が証明押印し、それぞれが示談書を1通ずつ保管します。
示談書を作成していなくても、被害者と加害者が示談内容に合意していれば示談は成立します。しかし、将来のトラブルを防ぐため、示談書は必ず作成しておきましょう。
詐欺事件で示談交渉を行う被害者側・加害者側のメリット
最後に詐欺事件で示談交渉を行う被害者側・加害者側のメリットについて紹介します。
- 被害者
- 加害者
被害者
詐欺事件で示談交渉を行う被害者側のメリットは、被害にあった額や賠償金に相当する金額の示談金を受け取ることができることです。
詐欺事件では、たとえ加害者が逮捕されて実刑判決になったとしても、被害額が返金されるわけではありません。
被害額の返還請求や損害賠償請求は、別に民事裁判などの手続きを経る必要がありますが、時間や労力など煩雑な手間を要します。
しかし、示談が成立することで、こうした面倒な裁判手続きを経ずに、被害にあった金額や賠償金相当額の示談金を受け取ることができるのは、被害者にとって大きなメリットとなるでしょう。
また、示談は交渉から成立まで比較的短期間内に行われるため、被害者にとってもスピーディーな事件の解決を望めます。
加害者
詐欺事件で示談交渉を行う加害者側のメリットは、逮捕を回避できたり、不起訴処分を獲得できる可能性が高まる、減刑や執行猶予判決が望めることです。
詐欺事件を起こしてしまっても、早期に示談を成立させることで当事者が事件を解決していると判断されれば、身柄を拘束する必要もないため逮捕を回避できる可能性が高まります。
また、万が一逮捕された場合でも、示談が成立していれば当事者間で事件は解決していると判断されやすいため、検察官が不起訴処分にする可能性が高まります。
さらに、たとえ起訴されて公判で判決が下される場合でも、示談をしておけば減刑されたり執行猶予がついたりする可能性もあるでしょう。
詐欺罪においては、加害者は早期に示談を成立させておくことが非常に重要です。早めに弁護士に相談することをおすすめします。
詐欺事件を起こしてしまったらまずは弁護士に相談することがおすすめ!
詐欺事件を起こしてしまったらまずは弁護士に相談することをおすすめします。
詐欺事件は被害者のいる犯罪であり、逮捕や勾留の回避、不起訴処分、実刑回避など様々な場面で被害者との示談交渉が重要です。
詐欺事件では、被害金額や被害者の数が多い場合もあるので、示談金の捻出や交渉が難航するケースも少なくありません。
特に詐欺罪は被害者の被害感情が大きいことがあるため、示談交渉も進まないことがよくあるものです。そこで実績のある弁護士に依頼することで、被害者も納得できる示談金を提示して示談を成立させることも可能になります。
まとめ
今回は、これまでに多くの詐欺事件を解決に導いてきた刑事事件専門の弁護士が、詐欺事件でも示談で解決することはできるのか、交渉方法やタイミング、押さえるべきポイントについて解説しました。
詐欺罪はたとえ初犯であっても、執行猶予のつかない実刑判決が下されることのある重い犯罪です。示談で詐欺事件を解決できる場合もあるので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。