ホスラブの開示請求について方法や賠償金額などを弁護士が解説

最終更新日: 2024年11月07日

ホスラブで開示請求する方法・問われる罪・スムーズな解決方法を解説!13.

  • ホスラブで誹謗中傷されて困っている。悪質な投稿者をどうやって突き止めたらよいのか?
  • 自分がホスラブで誹謗中傷をしたため相手が開示請求をしたようだ。自分はどうすればよいのか?
  • なるべく穏便に解決したいのだが、開示請求後の対応はどうすればよいのか?

ホスラブとは、2001年にスタートし、夜の業界の情報交換サイトとして誕生した「ホストラブ」の略称です。

月間200万人が利用するホストクラブ、水商売・風俗業界全般のコミュニティーサイトとなりましたが、特定の個人や団体を誹謗中傷する被害が跡を絶ちません。
発信者情報開示請求等を行えば、悪質な投稿者を突き止められます。しかし、肝心なのは突き止めた後の対応です。

被害者は法的措置により、権利侵害の拡散抑止につなげたいものです。一方、投稿者(加害者)は穏便に解決を図りたいものです。

そこで今回は、コミュニティーサイトのトラブルに対応してきた専門弁護士が、投稿者を突き止める方法、円滑な解決を図る方法等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 投稿者を突き止める方法として「発信者情報開示請求」や「発信者情報開示命令」がある
  • 身元を特定された投稿者は、損害賠償請求や刑事告訴で責任を追及される可能性がある
  • 被害者も悪質な投稿をした加害者も、いずれも弁護士に相談し対応を協議した方がよい

発信者情報開示・削除に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

ホスラブで開示請求する方法

ホスラブで誹謗中傷を受けた場合、さらなる権利侵害を防止するため、投稿者を突き止め法的措置をとる必要があります。

投稿者を突き止める方法として、「発信者情報開示請求」「発信者情報開示命令」の2つがあります。

発信者情報開示請求

プロバイダ責任制限法に基づく開示請求方法です。

ホスラブでは管理者(運営会社)が公表されておらず、被害者だけで開示請求を進めるのは難しい状況にあります。

弁護士に開示請求を依頼し、手続きを進めましょう。

管理者(運営会社)が判明したら、発信者情報開示請求(任意開示)を行い、投稿者のIPアドレスの情報を取得します。

このIPアドレスがわかれば、投稿者が利用している経由プロバイダ(例:NTTドコモやソフトバンク、KDDI等)が判明します。

IPアドレスが判明したら、経由プロバイダを相手に発信者情報開示請求訴訟を提起し、投稿者の氏名・住所等を突き止めます。

出典:プロバイダ責任制限法 | e-Gov法令検索

発信者情報開示命令

2022年10月の改正プロバイダ責任制限法の施行で新設された開示請求方法です。

裁判所に発信者情報開示命令を申し立て、一度にホスラブ管理者と経由プロバイダへの請求が可能です。

申立て後、裁判所はホスラブ管理者にIPアドレス提供命令、経由プロバイダには発信者情報消去禁止命令を下します。

開示命令では一括請求ができるので、投稿者の身元を迅速に突き止めることができ、スムーズに法的措置(損害賠償請求、刑事告訴)の準備を進められます。

出典:プロバイダ責任制限法 | e-Gov法令検索

ホスラブの開示請求で問われる罪や賠償金額

ホスラブで誹謗中傷を受けた被害者が、開示請求等により投稿者の氏名・住所等を突き止めた場合、投稿者に刑事告訴(名誉棄損罪、侮辱罪)や、損害賠償請求を行う可能性があります。

名誉毀損罪

投稿者がホスラブで公然と個人や団体の事実を摘示し、社会的評価を低下させた場合、名誉棄損罪に当たる可能性があります。

たとえば、「キャバ嬢の〇〇〇は小学生の頃、身体を売っていた」等の投稿は名誉毀損罪です。それが事実であっても嘘であっても本罪に該当します。

検察官に起訴され、刑事裁判で有罪になると「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。

出典:刑法|e-GOV法令検索|法務省

侮辱罪

投稿者がホスラブで事実を摘示せずに公然と、個人や団体を侮辱した場合、侮辱罪に当たる可能性があります。

たとえば、個人や団体に対し「お前ら人間のクズ」「生きる価値もない」等と投稿した場合は侮辱罪です。

起訴され、刑事裁判で有罪になると「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。

出典:刑法|e-GOV法令検索|法務省

不法行為による損害賠償

投稿者がホスラブで誹謗中傷を行い、個人や団体に損害が生じれば、不法行為責任を問われる可能性があります(民法第709条)。

不法行為責任を追及された場合は、金銭による賠償で解決します。まず当事者の交渉で和解成立を目指すのが一般的です。

ただし、当事者のどちらか一方が交渉を拒否した、または交渉が決裂したというケースもあるでしょう。

その場合、被害者は裁判所に損害賠償請求訴訟を提起し、最終的な解決を図ります。

想定される賠償金額(慰謝料額)は次の通りです。

  • 名誉毀損:10〜50万円程度(団体50〜100万円程度)
  • 侮辱:1〜10万円程度

ただし、悪質な投稿で被害者が深刻な損害を受けているときは、賠償金額は数百万円に上る場合もあります。

出典:民法|e-GOV法令検索|法務省

財産以外の損害の賠償

ホスラブで誹謗中傷により名誉感情が侵害された被害者は、肖像権・プライバシーの侵害を主張し、不法行為責任(民法第710条)を追及する可能性があります。

  • 肖像権侵害:無許可で顔や容姿等を撮影し、ホスラブに使用・公表する行為
  • プライバシー侵害:他人の私生活の情報をホスラブに無断で投稿する行為

肖像権侵害やプライバシー侵害に関する賠償金額(慰謝料額)は、10〜50万円程度が相場です。

出典:民法|e-GOV法令検索|法務省

ホスラブで開示請求を受けたらすべきこと

ホスラブで誹謗中傷を受けた被害者が開示請求した後、経由プロバイダから、投稿者に「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届きます。

これは、被害者に投稿者の氏名や住所等を開示してよいかを尋ねる書類です。意見照会書の返答期間は14日以内なので、投稿者は迅速かつ慎重な対応が求められます。

身に覚えがある場合

投稿者である自分が誹謗中傷を行ったときは、速やかに情報開示の要求を受け入れ、被害者との和解の準備をはじめましょう。

意見照会書が届いたら、すぐに弁護士と相談すべきです。被害者の連絡先がわかれば、投稿者(加害者)の方から弁護士を介し、示談を申し込みましょう。

被害者との和解が成立すれば、損害賠償請求訴訟を提起されたり、刑事告訴を受けたりする事態を回避できます。

投稿者の代わりに法律のプロである弁護士が被害者側と話し合うので、和解成立の可能性は高いです。

身に覚えがない場合

自分が悪質な投稿を全く行っていないと確信するのであれば、意見照会書に拒否回答をして構いません。

ただし、回答をせずに放置することのないよう注意しましょう。なぜなら、回答しなければ経由プロバイダ側に対応を一任する形となるからです。

つまり、経由プロバイダが開示請求を行った側に、情報を開示する可能性もゼロではありません。

回答の放置により、予想外の事態を招くおそれもあるのです。

ホスラブの開示請求を解決するには弁護士に相談

ホスラブで誹謗中傷を受けたと主張する相手からの開示請求により、いずれ投稿者は重い責任を追及されてしまう可能性が高いです。

投稿者は法的措置を受ける前に、弁護士に早く相談しましょう。

弁護士への無料相談

ホスラブのようなコミュニティーサイトでのトラブル解決に、豊富な経験と実績を有する弁護士に相談しましょう。

投稿者から相談を受けた弁護士は、主に次のような点について説明や提案を行います。

  • 投稿が本当に個人や団体を誹謗中傷する内容なのか
  • 被害者と和解を行う必要性
  • 損害賠償請求訴訟を提起されたときの対処法
  • 刑事告訴されたとき弁護士はどのように対応するか 等

法律事務所の中には、初回の相談を無料で受け付けているところもあります。適切な法律事務所を選んで、対応を話し合いましょう。

回答書・意見書作成

投稿者としては、自分の正直な感想が誹謗中傷と判断されてしまい、開示請求に納得いかない場合もあるでしょう。

しかし、意見照会書を無視したり拒否したりすると、被害者側も態度を硬化させ、損害賠償額を増やす可能性があります。

さらなる感情的な対立を避けるため、弁護士が開示請求への回答書を作成するのもよい方法です。

また、開示請求が裁判手続で進められているのであれば、弁護士は投稿者の意見を書面にして裁判所に提出することも可能です。

和解交渉

ホスラブへの投稿でトラブルになっている当事者は、示談による和解で穏便な解決を図りましょう。

弁護士に代理人を任せれば、理性的に相手方と話し合い、和解成立のために尽力します。

交渉では相手の意見も汲みながら、次のような条件を取り決めます。

  • 加害者の無責任な投稿を被害者に謝罪し、投稿の削除を誓う
  • 誹謗中傷の拡散を抑えるため、加害者も投稿の削除に協力する
  • 慰謝料(示談)の金額、支払い方法、支払期限を定める
  • 被害者は加害者の告訴をしない、告訴している場合は取り消す

和解が成立すると「示談書(合意書)」を2通作成し、加害者・被害者が1通ずつ保管します。

訴訟・刑事告訴

和解が不成立となると、被害者から裁判所に損害賠償請求訴訟を提起されたり、刑事告訴を受け逮捕されたりするおそれがあります。

前もって弁護士に弁護を依頼しておけば、次のように投稿者をサポートします。

  • 損害賠償請求訴訟:賠償金が不相当に多額の場合、減額を主張する
  • 刑事告訴:投稿者が逮捕されたら早期解放を主張し、検察官にも不起訴処分を働きかける

なお、投稿者が名誉毀損罪または侮辱罪で逮捕・起訴されたときは、弁護士は刑事裁判で無罪の主張や、執行猶予となるよう、最後まで諦めずに弁護活動を行います。

まとめ

今回はコミュニティーサイトのトラブル解決に尽力してきた専門弁護士が、投稿者を突き止める方法、開示請求された投稿者はどんな対応をすべきか等について詳しく解説しました。

ホスラブで誹謗中傷を受けた人も、誹謗中傷を行った投稿者も、できるだけ早く弁護士に相談し、弁護士のサポートを受けて穏便に問題解決を図りましょう。

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