ネット誹謗中傷で訴えられるとこうなる!専門家が教える罪とすべき対策

最終更新日: 2024年11月15日

  • インターネットの掲示板で特定の相手に対して侮辱する書き込みをして、訴えられたらどうなってしまうのだろう?
  • 誹謗中傷した相手から刑事告訴されなければ、後は安心なのだろうか?
  • 誹謗中傷の問題を穏便に解決するためには、弁護士に相談した方がよいのだろうか?

インターネット上のSNSや掲示板に、あなたが軽い気持ちで投稿した悪口は、予想外に重い罪で裁かれる可能性があります。

そこで今回は、ネット上のトラブル解決に携わってきた専門弁護士が、ネットの誹謗中傷で訴えられた場合に問われる罪、穏便に解決する方法等を詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • ネットで誹謗中傷を行い個人情報が特定された場合、意見照会書が届いたり、刑事告訴されたりする
  • 刑事告訴され有罪判決を受ければ、最悪の場合は懲役刑や禁錮刑に処される可能性がある
  • あなたが誹謗中傷の加害者なら、専門弁護士に相談して対処方法を話し合おう

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

ネットの誹謗中傷で訴えられたらどうなるのか

ネットの誹謗中傷をあなたが行った場合、個人情報が特定されてしまうと、契約しているプロバイダから通知書が届いたり、被害者から刑事告訴されたりする可能性があります。

あなたは加害者としての責任を追及され、損害賠償を命じられる事態や、刑罰を受けるおそれがあるでしょう。

意見照会書が届く

誹謗中傷されたと主張する被害者が発信者情報開示請求を行った場合、あなたに対して契約プロバイダから、情報開示へ同意するか否かを確認する意見照会書が送付されます。

つまり、意見照会書が届く段階ならば、加害者(あなた)が契約しているプロバイダまで、被害者に特定されている状況といえます。

開示される情報は、あなたの氏名や住所、メールアドレス・IPアドレス、ポート番号等です。

意見照会書が届いた場合、あなたは情報開示に同意しても拒否しても、さらに照会書の返答を無視しても違法とはなりません。

しかし、情報開示の拒否や返答を無視しても、最終的に裁判で開示を命じられれば、プロバイダは従う必要があります。

刑事告訴

被害者から刑事告訴されてしまう事態に注意しましょう。

被害者が警察に告訴状を提出し、あなたが誹謗中傷した事実を申告した上で、あなたの処罰を求めます。

被害者が告訴状を提出すると、警察では検察官に書類を送付し、あなたを起訴したかどうかの結論も通知する義務があります(刑事訴訟法第242条・第260条)。

あなたが逮捕された後、検察官が起訴相当と判断すれば、裁判所で刑事裁判を受けなければいけません。裁判所が有罪判決を下した場合、あなたは刑罰を受けます。

損害賠償請求

被害者から損害賠償(慰謝料)を請求されるおそれがあります。

被害者は誹謗中傷により受けた精神的苦痛を理由として、あなたに不法行為責任を追及する可能性があります(民法第709条)。

当然、あなたは刑事告訴されたうえに、損害賠償(慰謝料)を請求される場合もあるでしょう。

誹謗中傷の罪を問う場合、刑事事件として警察や検察に任せる必要はありますが、誹謗中傷で生じた損害は被害者が民事裁判を起こし、金銭賠償を求めても構いません。

なお、あなたが罰金刑に処された場合、罰金は国に納めるものであり、被害者の損害賠償に充てられるものではありません。

そのため、民事裁判で賠償を命じられた場合、今度は被害者に支払う必要があります。

出典:民法|e-GOV法令検索|法務省

前科がつく

あなたが誹謗中傷の加害者として逮捕された場合、「前科持ち」となる可能性もあります。

前科とは、過去に刑罰を受けた経歴です。有罪判決の確定により前科がつきます。執行猶予の判決が下っても同様です。

誹謗中傷したあなたが検察官の不起訴処分を受けるか、刑事裁判で無罪判決を受けない限り、前科がついてしまうので注意しましょう。

前科がつくと、次のような影響が出る可能性があります。

  • 懲戒処分:勤務先の就業規則上の懲戒事由に該当し、最悪の場合は懲戒免職となる
  • 公的資格の剥奪:公務員の地位や国家資格を剥奪され、職業上のキャリアが途絶える
  • 就職・転職時に不利:前科情報は履歴書の賞罰欄に記載が求められるため
  • 結婚に影響:前科が発覚した場合、結婚相手・相手の家族との信頼関係が失われるおそれ
  • 再犯時に影響:過去に前科があれば、量刑上重く評価されるおそれがある

ネットの誹謗中傷で訴えられたら問われる罪

誹謗中傷の内容によっては、懲役刑や禁錮刑のような重い罰則を受けるおそれがあります。

ここでは、誹謗中傷で問われる可能性がある名誉毀損罪・侮辱罪・業務妨害罪を取り上げましょう。

出典:刑法|e-GOV法令検索|法務省

名誉毀損罪

あなたが公然と個人や団体の事実をインターネット上で摘示し、社会的評価を失墜させると、「名誉毀損罪」になる可能性があります。

事実の摘示は、あなたが本当の事実を投稿したか・嘘の投稿をしたかは関係ありません。誹謗中傷した個人や団体の社会的評価を失墜させた場合、成立する罪です。

たとえば、真偽を問わず「割り算もできない有名人〇〇は、〇〇大学に裏口入学した」等の適示は名誉毀損罪に当たる行為です。

名誉毀損で起訴され有罪判決を受ければ「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。

侮辱罪

あなたがインターネット上で事実を摘示しなくても、公然と個人や団体を侮辱したら、「侮辱罪」となる可能性があります。

たとえば「公務員の〇〇は能無し」等と罵倒するのは侮辱罪に当たります。

侮辱行為で起訴され有罪を受ければ「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。

業務妨害罪

あなたがインターネット上で誹謗中傷を行い、個人や団体の業務を妨害すれば、「業務妨害罪」となる可能性があります。

業務妨害罪は、主に相手を暴行・脅迫し、業務に支障を与える行為が該当します。

その他、インターネット上で個人や団体の嘘を周囲に広め、業務を妨害する行為は偽計業務妨害罪となり処罰の対象です。

なお、業務を妨害するおそれがある行為をしたなら、実際に相手の業務へ支障が出なくとも、業務妨害罪が成立するので注意しましょう。

業務妨害で起訴され有罪を受ければ、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第233条・第234条)。

ネットの誹謗中傷で訴えられたらすべきこと

刑事告訴や損害賠償請求をされたら、誹謗中傷したという自覚がある場合も、全く身に覚えがない場合も、あなたは冷静に今後の対応を考える必要があります。

ネットのトラブルに詳しい弁護士の助言や提案を受けながら、問題の解決を図りましょう。

事実確認

あなたが誹謗中傷したとされる掲示板やSNSでの発言・投稿内容を、あなた自身で確認しましょう。

あなたが特定の個人や団体を正当に批判したと感じていても、誹謗中傷されたと主張する側は嫌がらせの投稿としか思っていない場合があります。

問題になっている発言・投稿を見つけた場合、被害者・捜査機関に事情を正しく説明するため保存が必要です。

スクリーンショットを利用し、次の内容を保存しましょう。

  • 投稿した発言や画像・動画
  • メッセージ履歴
  • 発言、投稿した日時等

和解

あなたが誹謗中傷の投稿をした、誹謗中傷を疑われても仕方がない内容だった、と判断したら、被害者に謝罪し、和解(示談)を目指した方がよいです。

刑事告訴された場合は逮捕・起訴される場合もあるので、和解(示談)が成立すれば逮捕・起訴されるリスクを軽減できます。

ただし、加害者と被害者が直接話し合うと、お互いが感情的になってしまい、和解不成立になる可能性が高くなります。

そこで、弁護士をあなたの代理人にすれば、被害者と理性的に交渉を進められるでしょう。

和解(示談)で取り決める内容は次の通りです。

  • 加害者であるあなたが誹謗中傷の事実を認め、被害者へ謝罪し、二度と誹謗中傷はしないと誓う
  • 被害者に支払う示談金の金額・支払方法・支払期限の決定
  • 被害者は加害者を告訴しない、すでに告訴していたなら取り消す
  • 今後、加害者も被害者も誹謗中傷の問題を蒸し返さない

加害者・被害者間で和解が成立後、和解の証拠として「示談書(合意書)」を作成します。

なお、弁護士が代理人となれば、あなたと被害者が直接会うケースはほとんどないため、和解に向けて冷静に交渉を進められるでしょう。

弁護士への相談

誹謗中傷の問題を何とか穏便に解決したいと思ったら、ネット上でのトラブルに詳しい弁護士へ相談しましょう。

弁護士は、誹謗中傷に関するトラブルをヒアリングした後、次のようなアドバイスを行います。

  • 意見照会書に記載する内容の助言
  • 投稿が誹謗中傷に該当するか否か
  • 被害者との和解(示談)で解決を図る重要性
  • 損害賠償請求訴訟や刑事告訴されるリスクの説明
  • 弁護士を代理人にたてる有効性

弁護士は、たとえあなたが逮捕・起訴されたとしても、あなた側に立ち主張・立証を行い、執行猶予や減刑を目指し、最後まで弁護活動を続けます。

ネットの誹謗中傷で訴えられたら春田法律事務所に相談を

今回は誹謗中傷問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、ネット上の誹謗中傷で責任を追及された場合の対応方法等について詳しく解説しました。

春田法律事務所では、初回相談を無料で行っています。まずは気軽に事務所を訪問し、誹謗中傷で罪に問われた悩みや不安を、弁護士に打ち明けてみましょう。

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