インスタの誹謗中傷を解説!起こりやすい理由や対処方法も詳しく紹介
最終更新日: 2023年12月30日
- インスタで誹謗中傷を受けて困っている。どのような対応をとればよいか知りたい!
- 自分がインスタで誹謗中傷したため相手が法的措置を検討しているようだ。なんとか穏便に解決したい。
- インスタでの法的トラブル解決のために弁護士に頼めばどのような対応ができるのか?
Instagram(インスタグラム)は略して「インスタ」と呼ばれ、主に画像の投稿を目的として利用されるSNSです。
インスタはアクティブユーザー数が全世界で12億人を超えるSNSに成長しましたが、勝手に他人の画像を掲載したり、誹謗中傷したりするトラブルが跡を絶ちません。
インスタで誹謗中傷された被害者は法的措置を取ってでも、悪質な投稿の拡散防止につなげたいでしょう。他方、加害者となった投稿者は穏便な解決を目指したいものです。
そこで今回は、インスタをはじめSNSをめぐるトラブルへの対応実績が豊富な専門弁護士が、インスタで誹謗中傷が起こりやすい理由、悪質な投稿者が受けるペナルティ等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- インスタの投稿で個人や法人を誹謗中傷した投稿者は、重いペナルティを受けるリスクがある
- インスタで誹謗中傷をした投稿者は、被害者によって身元を特定される可能性が高い
- インスタで誹謗中傷された被害者も、誹謗中傷した加害者も、弁護士と相談し対策を協議した方がよい
インスタでありがちな誹謗中傷とは
インスタは画像投稿を主目的とするSNSです。そのため、無許可で相手の画像を掲載し誹謗中傷することや、コメント欄に攻撃的なコメントを書き込むトラブルなどが考えられます。
嫌がらせコメント
自分のインスタ投稿がルールを守った内容であるのに、その投稿に対する正当な批判ではなく嫌がらせのコメントが掲載されるケースです。
自分のインスタに寄せられた嫌がらせのコメントは、その都度削除できます。
しかし、あまりに嫌がらせのコメントが多い場合は、インスタの管理者に報告しましょう。
デマ・嘘
インスタに特定の個人や法人の画像をアップし、虚偽の誹謗中傷をする投稿です。
たとえば、無許可で個人の顔や容姿等の画像をインスタにアップし、その個人が売春しているかのようなデマを流す行為が該当します。
特定の個人や法人の画像を無断で投稿すること自体問題ですが、更に根拠がない情報をインスタで公表すれば刑事告訴や損害賠償請求を受ける可能性があります。
容姿等への悪口
無許可で個人の顔や容姿等の画像をアップし、それに加えて「ブス」「これでモデルなのか?」「レベル低すぎ」などの悪口を投稿する行為です。
インスタで本人が顔出ししている画像投稿に対して、侮辱的なコメントをすることも誹謗中傷です。
インスタで誹謗中傷が起こりやすい理由
インスタをはじめとするSNSでの誹謗中傷が急増していますが、被害者が泣き寝入りしているケースも多いでしょう。
こちらでは、インスタ等で誹謗中傷が起こりやすい原因を説明します。
利用時間増
総務省の調査によると、インスタ等のSNS利用時間は、2012年から2018年までの7年間で約4倍に伸びています。
スマートフォンの普及でSNSの利用者数・利用時間が増加し、それに比例してSNSでの誹謗中傷等の相談件数も急増しました。
インスタ等での誹謗中傷に関するトラブルは、今後も深刻な社会問題となる可能性が高いのです。
匿名性
インスタをはじめ多くのSNSは、ハンドルネームやアカウントネームで投稿できます。
このように実名を出さずに匿名で利用できれば、他人の心情を考慮しない攻撃的な発言が行われやすくなります。
もちろん、匿名の投稿であっても投稿者(発信者)の特定は可能です。
つまり、特定の個人や法人を誹謗中傷すればいずれ投稿者の氏名・住所等が特定され、被害者から刑事告訴されたり、損害賠償を請求されるおそれも高いのです。
インスタの誹謗中傷で問われる罪
匿名性を悪用し、インスタで特定の個人や法人を誹謗中傷した投稿者は、プロバイダ責任制限法に基づく「発信者情報開示請求」や「発信者情報開示命令」により、実名・住所等が特定されるでしょう。
誹謗中傷された被害者が投稿者の身元を特定すれば、刑事告訴や損害賠償請求を行う可能性があります。
名誉毀損罪
インスタで公然と個人や団体の事実を摘示しその社会的評価を低下させた投稿者は、「名誉毀損罪」に問われるおそれがあります。
たとえば、友人と待ち合わせしているだけの女子高生をインスタで「身体を売っている未成年者」と投稿する行為は、名誉毀損罪に該当します。
投稿内容が事実であっても嘘であっても、罪に問われる可能性があるのです。
名誉毀損罪は親告罪であるため、誹謗中傷を受けた被害者が刑事告訴しなければ、検察官の判断だけで起訴されることはありません。
しかし、被害者が刑事告訴した場合は、起訴されて刑事裁判で有罪になると、投稿者(被告人)は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。
侮辱罪
投稿者がインスタで事実を摘示せずに公然と個人や団体を侮辱した場合は、「侮辱罪」に問われるおそれがあります。
たとえば、個人や団体に対して「馬鹿」「クズ」「死ね」等と投稿した場合は侮辱罪です。
こちらも親告罪です。誹謗中傷を受けた被害者が刑事告訴しなければ、検察官の判断だけで起訴することはできません。
ただし、被害者が刑事告訴すれば、起訴され刑事裁判で有罪になると「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。
不法行為による損害賠償
インスタで誹謗中傷を受けた個人や団体に損害が生じれば、投稿者は不法行為責任を問われる可能性があります(民法第709条)。
不法行為責任の追及だけであれば刑罰に問われませんが、被害者から高額な金銭賠償を請求されるおそれもあります。
損害賠償請求の場合は、まず当事者の話し合いで和解を目指すことが一般的です。
ただし、当事者の一方が交渉を拒否することや賠償金額で折り合わず交渉不成立になる可能性もあります。
和解できなかった場合は、被害者は損害賠償請求訴訟を提起し、民事裁判で解決を図ることができます。
被害者が請求する賠償金額(目安)は、次の通りです。
- 名誉毀損の場合:10〜50万円程度(法人50〜100万円程度)
- 侮辱の場合:1〜10万円程度
ただし、インスタでの誹謗中傷により被害者が深刻な損害を受けたときは、賠償金額が数百万円に上るケースもあり得ます。
財産以外の損害の賠償
インスタで誹謗中傷され名誉感情を侵害された被害者は、肖像権・プライバシー権の侵害を主張する可能性があります。
肖像権侵害とは無許可で顔や容姿等を撮影し、インスタに使用・公表する行為です。一方、プライバシー権侵害は他人の私生活の情報をインスタに無断で投稿する行為です。
この場合も投稿者の不法行為責任(民法第710条)を追及し、金銭賠償による解決が図られます。
肖像権侵害やプライバシー権侵害に対する賠償金額(目安)は、10〜50万円程度です。
インスタでの誹謗中傷に適切に対処するための方法
インスタで誹謗中傷を受けた被害者も、誹謗中傷した投稿者(加害者)も、自分の力だけで問題を解決することは非常に困難です。
法律の専門家に相談しサポートを依頼する等の対処法を検討しましょう。
和解
誹謗中傷トラブルは、被害者と加害者との和解が成立すれば、迅速に解決できます。
ただし、当事者が直接話し合うとお互いに感情的になり、和解は難しくなるでしょう。
そのため、弁護士を代理人にして交渉した方がより確実な解決が目指せます。
弁護士は豊富な法律の知識を有し、和解(示談)の進め方も熟知しているので、安心して交渉を任せられます。
和解(示談)で話し合う条件は、主に以下の通りです。
- 加害者は、インスタでの誹謗中傷を被害者に謝罪する、誹謗中傷の投稿を削除し拡散防止に努める
- 和解後に加害者が誹謗中傷を行ったときは、被害者は刑事告訴する
- 加害者が支払う示談金の金額、支払方法、支払期限を取り決める
- 被害者は加害者を刑事告訴しない、すでに刑事告訴しているときは取り消す
和解が成立したときは、弁護士はその証拠として「示談書(合意契約書)」を2通作成します。示談書(合意契約書)は被害者と加害者がそれぞれ1通ずつ保管します。
削除請求
自分が誹謗中傷されている投稿を見つけたときは、インスタ管理者に報告し削除請求できます。
手順は次の通りです。
(1)誹謗中傷の画像が投稿された場合
- 1.報告したい投稿の右上にある「…」をタップ後、「メニュー」の一番上の「報告する」をタップ
- 2.報告したい理由の選択肢が表示されるので、「嫌がらせやいじめ」を選択
(2)誹謗中傷のコメントが投稿された場合
- 1.報告したいコメント投稿の吹き出しアイコン、または「コメント◯件を表示」をタップ
- 2.コメント一覧を開き、吹き出しの「!」アイコンをタップ
- 3.「メニュー」が表示されるので、「このコメントを報告」をタップ、報告したい理由を選択
ただし、すぐに削除されるとは限りません。その場合は、インスタ管理者(日本における代表者は「ビーコンサービス株式会社」)と交渉しなければならないケースも想定されます。
誹謗中傷の投稿がスムーズに削除されない場合は、弁護士と相談して対応を協議しましょう。
弁護士への相談
インスタでの誹謗中傷が原因でトラブルになった場合、できるだけ早く弁護士と相談しましょう。
被害者の場合
インスタで誹謗中傷を受けたときはすぐに弁護士と相談し、どのような対応をとればよいかについて話し合いましょう。
弁護士は誹謗中傷の状況や被害者の希望を聴いたうえで、次のようなアドバイスを行います。
- インスタでの誹謗中傷が権利侵害に当たるか
- インスタ管理者への投稿削除依頼の進め方
- 開示請求で投稿者を特定する手順
- 和解(示談)で解決する場合の条件提示
- 法的措置等はどのように進められるのか 等
弁護士を代理人として問題解決を任せた方がよいと思うときは、委任契約を締結しましょう。
加害者の場合
インスタで誹謗中傷をした投稿者は、経由プロバイダ(例:NTT等)から意見照会書の通知を受け「被害者が法的措置の準備に入っている」と気付く場合が多いです。
この通知は「発信者情報開示請求に係る意見照会書」と呼ばれ、投稿者(加害者)の情報開示を請求した被害者に身元を開示してよいか尋ねる書類です。
意見照会書が送付されたときは、早く弁護士と相談し対応を協議しましょう。
弁護士は本人の希望を聴いたうえで、次のようなアドバイスを行います。
- インスタで誹謗中傷したと認めるか認めないか、それに応じてどう対応するか
- 和解交渉(示談交渉)で解決する必要性
- 被害者から訴訟を提起されたときの対処
- 刑事告訴された場合の弁護活動 等
弁護士を代理人として早急に和解を成立させれば、損害賠償請求訴訟や刑事告訴されるリスクを回避できます。
インスタの誹謗中傷なら春田法律事務所へ相談を
今回はインスタ等のSNSトラブルに対応してきた専門弁護士が、インスタでの誹謗中傷トラブルの対処方法等について詳しく解説しました。
インスタで権利侵害を受けた人も、権利侵害を行った投稿者も、弁護士の助力で和解した方が迅速な解決を図れます。
弁護士の的確なアドバイスを受け、誹謗中傷トラブルへの対応をすぐに検討しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。