X(旧Twitter)開示請求後の対処法は?状況・起こり得ること・すべきことを解説
最終更新日: 2024年11月07日
- X(旧Twitter)で誹謗中傷を受けて困っている。投稿者の身元を調べる方法はないか?
- 発信者情報開示請求や命令で投稿者の身元が判明した。その後どのような措置をとればよいのか?
- X(旧Twitter)の開示請求等で投稿者である自分の身元がバレてしまった。どうすればよい?
世界中で愛用されているSNS「X(旧Twitter)」は、匿名で自由に書き込みできる点が大きなメリットです。
その一方で、特定の個人や法人に対する誹謗中傷の書き込みが後を絶たず、社会問題化しています。
発信者情報開示請求等を行えば、誹謗中傷をした投稿者の身元は特定可能です。しかし、肝心なのは身元の特定後の対応といえます。
被害者は損害賠償請求や刑事告訴をして、悪質な投稿の抑止につなげたいものです。一方、投稿者(加害者)は穏便な解決を図りたいものです。
そこで今回は、XをはじめとしたSNSトラブルに対応してきた専門弁護士が、身元を特定された投稿者が問われる罪、開示請求後の対処法等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 情報請求の方法として、発信者情報開示請求や発信者情報開示命令の2つがある
- 誹謗中傷をした投稿者は、開示請求による身元特定後、損害賠償請求や刑事告訴を受ける可能性がある
- 誹謗中傷された被害者も加害者も、弁護士に相談し今後の対応を検討した方がよい
X(旧Twitter)の開示請求で問われる罪
XをはじめとしたSNSに軽い気持ちで特定の個人や法人の誹謗中傷をした場合、誹謗中傷を受けた側から予想もしなかった法的措置を受ける可能性があります。
法的措置としては刑事告訴(名誉毀損罪、侮辱罪)、損害賠償請求が想定されます。
名誉毀損罪
XのようなSNS等で公然と個人や法人の事実を摘示し、社会的評価を低下させると本罪が適用されます。
たとえば、「このクリニックの医師はヤブ医者だ」等の投稿は本罪に該当します。名誉毀損罪で有罪になると、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。
侮辱罪
XのようなSNS等で、事実を摘示せずに公然と個人や法人を侮辱した場合、本罪が適用されます。
たとえば、個人や法人に対し「馬鹿」「クズ」「死ね」「ブラック企業」等と投稿した場合は侮辱罪です。
侮辱罪で有罪になると、「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。
不法行為による損害賠償
誹謗中傷で個人や法人に損害が発生した場合、不法行為責任を問われ(民法第709条)、損害賠償請求を受ける可能性があります。
損害賠償請求のとき、まず示談交渉で解決を図るのが一般的です。ただし、交渉が不成立になると、被害者は裁判所に損害賠償請求訴訟を提起する可能性が高いです。
賠償金額(慰謝料額)は、誹謗中傷により深刻な事態が発生すると、数百万円に上るケースもあります。ただし、基本的には次の金額が目安となります。
- 名誉毀損:10~50万円程度(法人は50~100万円程度)
- 侮辱:1~10万円程度
財産以外の損害の賠償
誹謗中傷により個人や法人への財産権の侵害は認められなくとも、次のケースで不法行為責任を問われるおそれがあります(民法第710条)。
- 肖像権侵害:無許可で他人の顔や容姿等を撮影、XのようなSNS等で使用・公表する行為
- プライバシー侵害:他人の私生活の情報を、XのようなSNS等に無断で投稿する行為
悪質な投稿で名誉感情が侵害されたならば、概ね10〜50万円程度の賠償金額(慰謝料額)を請求される可能性があります。
X(旧Twitter)で開示請求する主な目的
被害者が投稿者に法的措置を行うには、投稿者の氏名や住所等を特定しなければいけません。
その特定の方法として、「発信者情報開示請求」「発信者情報開示命令」の2つが用意されています。
相手を特定したい
被害者は投稿者の氏名や住所等を特定しないと、投稿者に法的措置がとれません。
法的措置を行う前に、発信者情報開示請求または発信者情報開示命令を行い、Xの管理者(X社)および投稿者の利用しているプロバイダ(例:NTTやソフトバンク等)に、情報開示を求めます。
弁護士に情報開示に関する手続きを任せれば、迅速な投稿者の身元の特定が可能です。
- 発信者情報開示請求:Xの管理者に発信者情報開示請求(任意開示)を行い、IPアドレスの開示を受け、投稿者が利用しているプロバイダに発信者情報開示請求訴訟を提起する方法
- 発信者情報開示命令:裁判所に発信者情報開示命令を申立て、Xの管理者とプロバイダ双方に対する情報開示請求を一括で行う方法(2022年10月1日に新設)
開示請求等で投稿者の氏名・住所等が判明したら、被害者は法的措置の準備に移ります。
慰謝料請求したい
被害者が示談による損害賠償(慰謝料)請求を望む場合も、損害賠償請求訴訟を提起する場合も、投稿者の氏名や住所等がわからなければ手続きが進みません。
速やかに開示請求等を行い、請求先である投稿者を特定する必要があります。
しかし、当事者が示談で穏便に解決を図ろうとしても、加害者と被害者が直接会えば口論となり、交渉は不成立となる可能性が高いでしょう。
弁護士が代理人となり加害者と交渉すれば、理性的に話し合いができるため、示談や訴訟などの手続きがスムーズに進行します。
刑事告訴したい
被害者が、お金で解決するのではなく投稿者に刑事罰を望む場合、捜査機関(警察)へ刑事告訴を行います。
刑事告訴のときも、誰から誹謗中傷を受けたのかについて特定する必要があります。
名誉毀損罪や侮辱罪は親告罪なので、被害者の告訴がなければ検察官は起訴を行えません。
X(旧Twitter)の開示請求後起こり得ること
開示請求等が行われ投稿者の身元を特定できた場合、投稿者は誹謗中傷を行った加害者として、厳しい責任追及がなされる可能性があります。
損害賠償請求
Xに投稿した個人や法人を誹謗中傷する内容が原因で、被害者に深刻な事態が及んだ場合は、数百万円にも上る損害賠償請求を受ける可能性があります。
投稿者はなるべく穏便な解決を図るため、弁護士に示談交渉を依頼し、被害者側との交渉を任せた方が無難です。
示談交渉が成立すれば、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起されたり、刑事告訴されたりする事態も避けられます。
あまりに損害賠償額が高すぎる場合は、弁護士が減額交渉を行います。
懲役
投稿者が刑事告訴され、名誉毀損罪や侮辱罪で検察官に起訴処分を受け、刑事裁判で有罪になると、最悪の場合は懲役刑や禁錮刑となり、刑事施設に収容されてしまいます。
不起訴処分とならなければ、投稿者に前科も付いてしまうので注意しましょう。
弁護士に弁護を依頼しておけば、警察に逮捕されてしまったときは早期解放を主張し、不起訴処分となるよう検察官に働きかけを行うことが可能です。
X(旧Twitter)の開示請求ですべきこと
開示請求後は誹謗中傷を受けた被害者も、悪質な投稿をした加害者も、問題解決のためにいろいろな対応を行わなければいけません。
こちらでは当事者の味方となる弁護士に相談し、アドバイスを受ける必要性について説明します。
正しい対応
投稿により誹謗中傷を受けたと主張する人が、発信者情報開示請求を行うと、投稿者の利用しているプロバイダから情報開示に関する通知が届きます。
それが「発信者情報開示請求に係る意見照会書」です。こちらは「開示請求を受けたので、個人情報を開示してよいか?」と投稿者に回答を求める書類です。
通知が届いたら自分だけで判断をせず弁護士と相談し、アドバイスを受けてから開示の是非について回答した方がよいでしょう。
一方、被害を受けて発信者情報開示請求をしたい方も弁護士を通じて進めることをおすすめします。
弁護士は投稿内容や投稿者の事情または被害者の状況を十分に考慮したうえで、冷静に助言を行います。
専門弁護士への相談
Xで法的なトラブルになっている当事者が弁護士に相談すれば、それぞれの事情に応じた有益なアドバイスを提供します。
(1)被害者の相談の場合
- 投稿された記事の削除の仕方
- 投稿者を特定する方法の手順
- 損害賠償請求を行うか、刑事告訴を行うか
(2)加害者の相談の場合
- 示談交渉で解決する必要性
- 損害賠償請求訴訟を提起された場合にどう対応するか
- 刑事告訴された場合の提案(在宅捜査、不起訴を目指す等)
弁護士に依頼をすれば、必要な手続きを任せられるので安心です。
X(旧Twitter)での開示請求後の対応は弁護士に相談を
今回はX等のSNSトラブルに対応してきた専門弁護士が、開示請求後にどのような措置がとられるのか、その対処方法について詳しく解説しました。
XのようなSNSで権利侵害を受けた人も、権利侵害を行った投稿者も、なるべく早く弁護士に相談し対策を協議しましょう。
弁護士の助言を受けながら、迅速に問題の解決を図ってみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。