器物損壊は逃げ得か?後日逮捕はされるのか?
最終更新日: 2024年02月27日
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確信犯として、あるいは過失によって他人の物を壊してしまったという事件はよくあります。そして、壊してしまったときに正直に申し出て謝罪をせずに逃げてきてしまったという方もしばしばおられます。
今回は、このような器物損壊罪の事件について逃げ得になるのか、後日逮捕されるかなどを刑事事件の専門弁護士が解説します。
器物損壊は逃げ得?
まずは器物損壊罪について検挙率や現行犯以外の逮捕の有無について説明します。
器物損壊罪の検挙率、逮捕率
令和元年の統計によれば、器物損壊罪の認知件数(警察が被害申告を受けた件数)は7万1695件であったのに対し、検挙件数は8582件でした。
器物損壊事件の犯人の検挙率は約12%ということになります。刑法犯罪の平均検挙率は約39%ですから、器物損壊罪事件の検挙率は低いといえます。
このように検挙率が低い理由としては、もちろん捜査を尽くしたものの犯人が特定されなかったというケースもあるでしょうが、物の財産的価値が軽微であったり、破損の程度が軽微なために、十分な捜査が尽くされなかったというケースもあるかもしれません。
また、被害者と加害者との間で示談が成立したので被害届が出ないケースが多いことも検挙率が低い理由として考えられます。
現行犯以外の後日逮捕も
確かに、器物損壊事件は、物を破損してしまったその場で被害者や目撃者によって現行犯逮捕されることが多くあります。
他方、後に説明しますように、物を破損した加害者がその場を立ち去ってしまったところ、後に犯人が特定され後日逮捕に至ることも多くあります。
したがって、器物損壊事件は現行犯でなければ逮捕されないというわけではありません。
ただし、後日、犯人が特定されたからといって、必ず逮捕、勾留されるわけではありません。高額な物ではなかったり、被疑者に前科がない場合には、後日警察から接触があったとしても逮捕はされず、在宅捜査になる可能性も十分あります。
器物損壊で逃げ得は簡単ではない
次に器物損壊の犯人特定はどのように行われるのか説明します。
防犯カメラの証拠から犯人特定
最近は至るところに防犯カメラがありますので、器物損壊罪の犯行そのものが防犯カメラに映っていることがあります。
また、犯行自体は防犯カメラに映っていなかったものの、犯行を被害者などが目撃しており、その協力を得て現場付近の防犯カメラ映像から犯人を特定できる場合もあります。
このように現行犯逮捕に至らなかった場合も、防犯カメラの映像から犯人が特定されることは多くあります。
目撃証言から犯人特定
他方、犯行現場にもその付近にも防犯カメラがなかったり、防犯カメラに犯人が映っていなかった場合は犯人特定の難易度は高くなります。
たまたま犯人のことを知っている、見たことがある人物の目撃証言がある場合には、その目撃証言から犯人が特定されることもあるでしょう。
そのようなケースで、目撃者が指示する人物が犯行を自供すれば良いのですが、自分は犯人ではないと否認した場合には、目撃証言が相当確かでないと検挙、起訴は難しいでしょう。
器物破損で逃げ得を選ぶか?自首するか?
冒頭に器物損壊事件の検挙率は非常に低いと述べましたが、それは後日、犯人として特定される可能性が低いということではありません。
先にも説明しましたとおり、最近は至るところに防犯カメラがありますので、たとえ犯行現場には防犯カメラはなくとも、その付近の防犯カメラ映像から犯人が特定されるケースは非常に多くあります。特に被害品が高価であったり、犯行態様が悪質であれば警察は力を入れて捜査しますので、後日逮捕される可能性は十分あるでしょう。
このように後日逮捕される可能性がそれなりにあるというケースでは、自首を検討することをお勧めします。加害者が自ら自首をすれば(特に弁護士の同行を受けて自首をすれば)、逮捕はせずに在宅捜査になる可能性が高くなるからです。そして自首の後、速やかに被害者と示談を成立させて事件を解決します。
器物損壊事件でいつ警察が来るかと不安な毎日を過ごすことを考えると、逃げ得よりも自首することをお勧めします。ただし、事件が発覚する可能性が乏しいケースでは必ずしも自首する必要はありませんから、自首をすべきかどうかまずは弁護士に相談しましょう。
まとめ
以上、器物損壊事件での後日逮捕の可能性などについて説明しました。
器物損壊事件の自首や示談について検討しているときは、できる限り早期に刑事事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。