婚前契約書に不貞の取り決めは有効?弁護士がやさしく解説

2025年07月09日

婚前契約書に不貞の取り決めは有効?弁護士がやさしく解説

結婚を控えた今、将来の不貞リスクに備えて「婚前契約書」に不貞行為に関する取り決めを入れたいと考える人が増えています。

この記事では、不貞行為に関する決めごとが法的に有効なのか、どんな内容を決められるのか実際の文例やパートナーへの伝え方まで、弁護士の視点から丁寧に解説します。

不貞による精神的・経済的ダメージを最小限にするには、事前のルールづくりが鍵です。将来への不安を安心に変えるためにも、専門家に相談することが最も確実な方法です。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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婚前契約書に不貞行為の取り決めは入れられる?

婚前契約書(プリナップ)に、不貞行為に関する取り決めを入れることは可能です。日本では結婚前にお互いのルールを決めておくことは認められており、「不貞をしたら慰謝料〇〇万円」などといった取り決めも例外ではありません。

ただし、どんな内容でも自由に決められるわけではなく、常識的な範囲を超えると無効になる可能性があります。たとえば、慰謝料の金額が極端に高かったり、相手の行動を不当に縛るような内容は裁判で否定されることもあります。

つまり、不貞行為について取り決めること自体は可能ですが、内容次第で効力に差が出るため、信頼できる専門家に相談しながら進めることが大切です。

検討し得る取り決めの内容と文例

婚前契約書に入れることを検討し得る「不貞に関する取り決め」には、以下のようなものがあります。

  • 不貞行為があった場合の慰謝料の金額
  • 財産の分け方を不貞の有無で変えること
  • 離婚になったときの手続きや責任の取り方

考えられる記載例は以下のようになります。

例1:
「どちらかが不貞行為をした場合は、もう一方に対して慰謝料として300万円を支払う。」

例2:
「不貞をした側は、財産分与を請求しないものとする。」

例3:
「不貞が原因で離婚に至った場合は、子どもの親権は不貞をしていない側が持つことに合意する。」

ただし、財産分与を一切しないことや親権の取り決めなど、法的に効力が認められにくい内容もあるため、どこまで書けるかを見極める必要があります。

不貞の取り決めは実際に効果がある?

こういった取り決めが実際に効果を持つかは、多くの方が気になるポイントです。

結論から言えば、常識の範囲内で適切に作成されていれば、裁判などでも証拠として考慮される可能性が高いです。たとえば「慰謝料300万円」と明確に書かれていた契約が実際に有効とされたケースもあります。

さらに、文書として取り決めがあることで、お互いに誠実な関係を意識する心理的な効果も大きいです。信頼関係を壊すものではなく、むしろ「二人で安心できる結婚生活を築く準備」として前向きに捉えることもできます。

ただし、曖昧な言い回しや、一方的すぎる内容では無効になるリスクがあるため、市販のテンプレートなどで済ませるのは危険です。弁護士がチェックした契約書であれば、将来のトラブルにもしっかり備えられます

パートナーにどう切り出す?気まずさを防ぐ伝え方

婚前契約や不貞の取り決めを話題にするのは、気が重いと感じる人も多いはずです。ですが、伝え方次第で不信感を与えることなく、建設的な話し合いにつなげることが可能です。

たとえば、こんな伝え方があります。

  • 「お互いに将来の不安をなくすために、きちんと話しておきたい」
  • 「揉めたくないから、今のうちにルールを作っておきたい」
  • 「誰が悪い・悪くないではなくて、冷静に判断できるようにしたいだけなんだ」

また、自分の言葉で伝えづらいときは、弁護士に相談してから“専門家の提案として”話すのもひとつの方法です。中立的な立場の意見があることで、相手も感情的になりにくく、納得しやすくなります。

よくある状況と対応例

弁護士のサポートで不安を解消

30代女性のAさんは、パートナーの過去の浮気歴に不安を感じていました。そこで、婚前契約書に不貞があった場合の慰謝料や財産の扱いについて、弁護士に相談。
プロが作成した内容で契約書を交わした結果、「もしもの備えがある」という安心感から、関係性も良好に。
仮に独自の内容で作成していたら、いざというときに効力が疑われ、揉めていたかもしれません。

自作の契約が無効に…後悔の声

40代男性のBさんは、自分でネットから拾った文例を使い、不貞に関する取り決めを書いた婚前契約を交わしていました。
数年後、妻の不貞が発覚し慰謝料を求めたものの、契約内容が曖昧で裁判では認められませんでした。
後に弁護士に相談すると「法的な表現に問題があった」と指摘され、最初からプロに相談していればと深く後悔したそうです。

弁護士に相談するメリットとは?

婚前契約書に不貞行為に関する取り決めを入れるなら、一度は弁護士に相談することを強くおすすめします。その理由は次の通りです。

  • 有効と認められる文章をプロが作成してくれる
  • 自分たちの状況にあった内容に調整できる
  • パートナーへの伝え方のアドバイスも受けられる
  • 将来のトラブルを防ぎ、安心感を得られる

婚姻や不貞に関する取り決めはとてもデリケートな内容です。第三者が入ることで感情的なぶつかりを避けつつ、冷静に内容を決めることができます。

また、法的に意味のある契約にするには、細かい言い回しや金額設定が重要です。テンプレートで済ませず、ぜひ弁護士の力を借りて“意味のある準備”をしましょう。

よくある質問(FAQ)

Q:婚前契約で不貞の慰謝料を好きな金額にできますか?

 → 原則は自由ですが、常識的な範囲を超えると裁判で無効になる可能性があります。

Q: 親権の決めごとを先に取り決めておけますか?

 → 原則無効です。親権は離婚時の状況や子どもの利益をもとに判断されます。

Q:他の理由で離婚になったときも契約は有効?

→ 内容によります。不貞に限定した取り決めは、他の離婚理由では適用されません。

Q: 契約内容は途中で変更できますか?

 → 原則として変更はできません。もっとも、お互いの話し合いで合意があれば、契約を更新・修正することができます。

Q: 公正証書にしないとダメですか?

→ 必須ではありませんが、公正証書にしておくと証拠力や執行力が高まります。

まとめ:将来に備える準備として、不貞リスクも“話し合える関係”を

婚前契約書に不貞行為に関する取り決めを入れることは、結婚後の安心につながる大切な準備です。

話しづらい内容かもしれませんが、「もしもの時に揉めないための思いやり」として、前向きに考えることもできます。

そして、しっかりと効力のある契約にするためには、弁護士のサポートが欠かせません。
一人で抱え込まず、将来への不安を安心に変える一歩として、まずは気軽に相談してみることから始めてみてください。

 

 

 

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