家賃滞納は弁護士に相談すべき?スムーズに解決する方法・活動内容も詳しく紹介
最終更新日: 2024年02月26日
- 賃借人に家賃を滞納され困っている、穏便に解決できる方法はないか?
- 管理会社としてスムーズに家賃滞納を解消したい。誰に相談したらよいか教えて欲しい。
- 家賃滞納トラブルを弁護士に相談したら、弁護士はどのようなサポートを行えるのか?
賃借人から家賃を滞納されていても、賃貸人や管理会社がいきなり賃貸借契約を解除し、追い出すことは認められません。
しかし、家賃滞納が長期間継続すると、賃貸人に損害が出る可能性もあります。賃貸人や管理会社は速やかに家賃滞納を解決したいものです。
そこで今回は、多くの不動産賃貸借の案件に携わってきた専門弁護士が、家賃滞納に関する刑罰、家賃滞納の解決を弁護士に任せるメリット等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 家賃滞納を行った賃借人は「詐欺罪」に問われる可能性がある
- 賃借人を無理やり実力行使で退去させることはできず、法的手続きに則り対応する
- 弁護士に依頼すれば、家賃滞納トラブルが解決する可能性は高い
家賃滞納に関する刑罰を弁護士が解説
建物の賃借人が長期間にわたり家賃滞納を行うと、「詐欺罪」に問われる可能性があります。
詐欺とは他人を騙して、財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりする行為です。
家賃滞納の場合、最初から家賃を払う意思がなかったにもかかわらず、賃貸借契約を結び、賃貸物件を借りたという行為が詐欺罪の成立要件となります。
有罪となれば10年以下の懲役に処される可能性があります(刑法第246条)。
ただし、詐欺罪を問うには、賃貸人や管理会社を騙そうとする確固たる意思の表明が必要です。
賃借人から「そもそも家賃を払う意思がなかった。」と聴き出すのは現実的に難しく、刑事責任の追及は困難といえます。
そのため、家賃滞納トラブルに対しては、民事で滞納分の支払いや退去等を求める方法が有効です。
家賃滞納をスムーズに解決する流れを弁護士が紹介
家賃滞納トラブルは民事手続で解決を図るのが現実的です。
こちらでは家賃滞納への対処法について説明します。
入居者へ連絡
まずは電話連絡や書面で通知をして、家賃を支払うよう促します。
一定期間内に滞納分を支払うよう説得し、支払わないならば退去を要請する可能性がある点も伝えましょう。
基本的に管理会社の方から連絡をとりますが、数か月も家賃を滞納するような賃借人は支払いに応じない可能性が高いです。
連帯保証人へ連絡
賃借人に連絡がつかない場合や支払いを拒否している場合は、必ず連帯保証人または賃貸保証会社(家賃保証会社)に連絡をとりましょう。
連帯保証人と賃貸保証会社(家賃保証会社)は、次のような義務を負っています。
- 連帯保証人:賃借人本人に代わり家賃を支払う役割があり、本人の支払い能力の有無にかかわらず、賃貸人からの請求に応じなければいけない。
- 賃貸保証会社(家賃保証会社):賃借人の家賃を保証する会社。連帯保証人をたてるのが難しい場合に利用する。
もしも賃借人が賃貸保証会社(家賃保証会社)を利用しているなら、家賃滞納分はスムーズに回収が可能です。
一方、連帯保証人へ連絡しても支払いに応じない場合は、別の対応をとる必要があります。
内容証明郵便
賃借人本人や連帯保証人に内容証明郵便で、滞納分の家賃の支払いを要求します。
内容証明郵便とは、郵便の内容・発送日・相手の受取日等を郵便局が証明するサービスです。
内容証明郵便を送るときは、次のような内容を明記しましょう。
- 家賃に未払いがある旨とその内訳
- 支払期日
- 期日内に支払われなかった場合、賃貸契約の解除に至る旨を明記
ただし、内容証明郵便で家賃の支払いを促しても法的効果は得られません。賃借人本人や連帯保証人から無視される可能性があります。
弁護士に内容証明郵便の送付を依頼すれば、弁護士名で送付が可能です。相手方は、法律の専門家が支払いを要求してきた事実に驚き、滞納分を全額支払う場合もあるでしょう。
契約解除の通知
内容証明郵便の送付したにもかかわらず、支払期日までに賃借人が滞納家賃を支払わなかった場合、賃貸借契約解除の通知を行います。
通知を受けた貸借人は、滞納分を清算した上で部屋を明け渡さなければいけません。
ただし、契約解除となったにも関わらず、貸借人が立ち退かないならば、賃貸物件を明け渡してもらうため、裁判所に明け渡し請求訴訟を提起します。
訴訟のときは、以前に賃借人へ送付した内容証明郵便が有力な証拠の一つとなります。
家賃滞納の解決に必要な書類を弁護士が紹介
家賃滞納問題を交渉や内容証明郵便の送付で解決できるなら、必要となる書類は通知するときの書面だけです。
ただし、賃貸物件の明け渡し請求訴訟を行う場合は、訴状の作成、証拠書類の収集が必要となります。
こちらでは賃貸物件の明け渡し請求訴訟の方法、必要書類について説明しましょう。
賃貸物件の明け渡し請求訴訟の方法
明け渡し請求訴訟は、原則として被告の住所地を管轄する簡易裁判所(訴訟目的の価額が140万円以内の場合)または地方裁判所に提起します。
そのとき、訴状や証拠書類等の提出が必要です。
裁判所で訴状の審査後、第1回の口頭弁論期日が指定され、被告に訴状を送達します。この口頭弁論期日は、裁判所の公開法廷で開催されます。
原告(賃貸人・管理会社側)は、自身の明け渡し請求の主張の事実(賃借人の家賃滞納の事実)について、証拠を元に立証しなければいけません。
必要書類
明け渡し請求訴訟を提起するとき、様々な書類の収集・提出が必要です。
- 訴状:裁判所の窓口等で取得
- 固定資産評価証明書:不動産が所在する市町村役場の窓口で取得
- (原告・被告が法人の場合)登記事項証明書:法務局で取得
- 予納郵便切手:6,000円程度
- 収入印紙:郵便局や法務局、コンビニ等で取得
- 委任状:弁護士に依頼したとき添付する
- 証拠書類:建物賃貸借契約書、内容証明郵便(賃貸借契約解除の通知が明記されたもの)、内容証明郵便の配達証明書等
家賃滞納トラブルに対する弁護士の活動内容
家賃滞納問題の解決は、賃貸人や管理会社だけでは対処が難しい場合もあります。
そのようなときは、不動産賃貸借の問題に詳しい弁護士へ相談しましょう。
迅速な対応
弁護士に相談したら、賃貸人や管理会社から家賃滞納の状況を詳しく聴き、貸した側の希望も踏まえて、最適な対処法をアドバイスします。
相談料は30分5,000円が相場です。しかし、中には初回相談を無料で受け付けている良心的な法律事務所もあります。
相談後、弁護士に家賃滞納の問題解決を依頼したいならば、委任契約を締結しましょう。
交渉代行
弁護士に家賃滞納の問題解決を依頼した場合、弁護士が賃借人へ電話連絡や内容証明郵便で支払いを行うよう働きかけます。
弁護士は交渉の段取りや、一般の人にはあまりなじみのない内容証明郵便の送達方法まで熟知しているので、スムーズに手続きを進められます。
家賃滞納をした賃借人側も、「弁護士が出てきたらもはや無視できない」と考え、支払いに応じる可能性もあるでしょう。
一方、賃借人側が弁護士を立てる場合は、家賃の分割払いや延納などの要求にうまく対応しながら賃貸人側の希望に沿うように交渉します。
法的なアドバイス・サポート
賃貸人側が賃貸物件の明け渡し請求訴訟を提起する場合は、訴訟をはじめ、いろいろな書類の提出が必要です。
弁護士に相談すれば、どのような書類が有力な証拠となるかをアドバイスします。また、代理人を依頼すれば、証拠書類の収集・提出はもちろん、依頼者側に立って主張・立証も行えます。
一方、訴訟を提起された賃借人(被告)は裁判に出席しないと、原告である賃貸人側の言い分が通ってしまいます。
賃借人が弁護士に代理人を依頼すれば、訴状の送達後、どのような対応をとるのかアドバイスする他、原告に反論があるなら、弁護士が代わりに反証・立証を行います。
家賃滞納でお悩みなら当事務所にご相談を
今回は多くの不動産賃貸借のトラブル解決に尽力してきた専門弁護士が、家賃滞納への対処法等について詳しく解説しました。
明け渡し請求訴訟にまで発展したら、弁護士に代理人を依頼しましょう。弁護士がいれば申立て手続きも、口頭弁論期日での主張・立証も円滑に行えます。
弁護士の助力を受けながら、迅速に家賃滞納の問題解決を進めてみてはいかがでしょうか。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。