誹謗中傷の告訴は可能?親告罪を告訴するまでの流れをわかりやすく解説
最終更新日: 2024年12月02日
- 誹謗中傷の被害にあったけれど、どうすれば告訴できるのかわからない
- 親告罪である誹謗中傷を告訴するまでの流れを知りたい
- 誹謗中傷の被害にあったら弁護士に相談した方がよいの?
誹謗中傷の被害にあってしまい、どう対応をすべきかわからないという方もいるでしょう。誹謗中傷は法律で定められた手順に従えば告訴できます。
本記事では、誹謗中傷の告訴が可能なケースと、告訴までの具体的な流れを専門弁護士が分かりやすく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 誹謗中傷は他人の名誉や信用を傷つける行為であり、インターネット上では匿名性の高さから被害が深刻化しやすい。
- 親告罪は被害者が告訴しなければ起訴できない犯罪で、名誉毀損罪や侮辱罪がこれに該当する。
- 誹謗中傷のような親告罪であっても、証拠を確保し、早めに弁護士や専門家に相談することで、適切な法的手続きや被害回復が可能。
誹謗中傷とは?親告罪とは?
インターネットの普及により、誹謗中傷の被害が深刻化しています。被害にあったときの対応として、親告罪による告訴という選択肢があります。まずは、誹謗中傷と親告罪の基本的な概念を理解しましょう。
誹謗中傷とは
誹謗中傷は、他人の名誉や信用を傷つける悪質な行為です。このような行為が増加している背景には、スマートフォンやSNSの普及により、誰もが簡単に情報を発信できる環境が整ったことがあげられます。
特に、インターネット上では匿名性が高いため、他者を傷つける発言がエスカレートしやすい傾向にあるのです。たとえば、事実無根の噂を広めたり、相手の人格を否定したりする書き込みが該当します。
誹謗中傷は、名誉毀損罪や侮辱罪として刑事責任を問われる可能性があり、民事では損害賠償の対象となることもあるでしょう。
一方で、相手の行動に対する論理的な指摘や改善提案は「正当な批判」として区別されます。被害にあった場合は、まず証拠を保存し、プロバイダやSNS運営者に削除依頼を行うことが大切です。さらに、警察や弁護士への相談も有効な対応策となります。
親告罪とは
親告罪は、被害者が告訴しなければ起訴できない犯罪類型です。親告罪は、被害者の意思を尊重し、プライバシーを守るために存在します。また、被害が比較的軽微で当事者間での解決が望ましい場合にも、この制度が適用されます。
名誉毀損罪や侮辱罪は親告罪にあたり、被害者が告訴を希望しない場合、検察官は起訴できません。これは非親告罪との大きな違いで、非親告罪の場合は被害者の告訴がなくても起訴が可能です。
ただし、注意点として、告訴には期限があり、犯人を知った日から6か月以内に行う必要があります。被害にあった場合は、まず証拠を保存し、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
誹謗中傷で親告罪にあたるケース
誹謗中傷は、その内容や方法によってさまざまな犯罪に該当する可能性があります。ここでは、被害者が告訴できる親告罪として扱われる主なケースを見ていきましょう。
名誉毀損(刑法第230条)
名誉毀損は、公然と事実を摘示して他人の名誉を傷つける行為です。「公然」とは、不特定または多数の人が認識できる状態を指し、「事実の摘示」とは具体的な事実を示すことを意味します。
たとえば、SNSで「あの人は以前万引きをした」といった事実無根の投稿を行うことや、ネット掲示板で根拠のない犯罪歴を書き込むことが該当します。なお、名誉毀損罪は親告罪として扱われ、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金が科されることがあります。
ただし、その内容に公共性があり、公益を図る目的で行われた場合は、処罰されない可能性もあるでしょう。被害にあった場合、6か月以内に告訴する必要があるため、証拠を保全し、早めに専門家への相談をおすすめします。
侮辱(刑法第231条)
侮辱罪は、公然と事実を摘示せずに他人の名誉を傷つける行為を指します。名誉毀損との大きな違いは、具体的な事実の摘示がない点です。「バカ」「死ね」といった抽象的な暴言や人格否定がこれにあたり、SNSやインターネット上での心ない書き込みも該当する可能性があります。
近年、インターネット上での侮辱的な発言が社会問題化したことを受け、2022年7月の法改正により、1年以下の懲役もしくは禁錮、または30万円以下の罰金が科されることになりました。一見軽微に思える侮辱でも、被害者に深刻な心理的苦痛を与えるケースが多く見られます。
侮辱罪も親告罪であり、被害者が告訴しなければ刑事責任を問えません。告訴期間は犯人を知った日から6か月以内であるため、被害にあった場合は早めの対応が重要です。
プライバシーの侵害
プライバシーの侵害は、個人の私生活に関する情報を無断で公開する行為です。この行為が問題視される理由は、個人の尊厳や平穏な生活を著しく害するためです。たとえば、住所や電話番号の公開、私生活の写真の無断掲載、家族構成や病歴といったセンシティブな情報の暴露が該当します。
特にSNSの普及により、個人情報が瞬時に拡散されるリスクが高まっています。日本の刑法には、プライバシーの侵害を直接罰する規定はありませんが、その内容が名誉毀損罪や侮辱罪にあたる場合は、親告罪として告訴が可能です。
また、民事上の損害賠償請求を行うこともできます。被害にあった場合は、まず証拠を保存し、画面のスクリーンショットを撮るなどして記録を残し、弁護士に相談することをおすすめします。
誹謗中傷で親告罪にあたらないケース
誹謗中傷には、被害者の告訴がなくても刑事責任を問える非親告罪のケースがあります。特に、企業や事業者への誹謗中傷は、業務への影響から非親告罪として扱われることが多いのです。
信用毀損・業務妨害(刑法第233条)
信用毀損・業務妨害は、虚偽の情報で他人の信用や業務を損なう行為です。これらの犯罪が非親告罪とされる理由は、経済活動への影響が個人の問題を超えて、社会全体に及ぶためです。
たとえば、「この会社の商品は欠陥品だ」といった虚偽の情報をネットで拡散したり、競合企業の評判を意図的に傷つけたりする行為が該当します。この場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることがあります。
特に注目すべき点は、被害者の告訴がなくても警察や検察が独自に捜査を進められることです。名誉毀損罪や侮辱罪が個人の名誉に焦点を当てているのに対し、この罪は業務や経済的信用への侵害を重視している点が大きな違いといえるでしょう。
ネット上の誹謗中傷
ネット上の誹謗中傷は、その内容によって親告罪と非親告罪に分かれます。SNSや掲示板での匿名の書き込みは、その拡散性から被害が急速に広がる特徴があります。
たとえば、個人への中傷が名誉毀損罪や侮辱罪に該当する場合は親告罪として扱われます。一方、企業の信用を傷つけるデマ情報の拡散や、悪意のある虚偽の口コミ投稿による業務妨害は非親告罪となるのです。
インターネット特有の匿名性は、加害者の特定を困難にする一方で、一度拡散された情報の完全な削除は難しく、被害が長期化するリスクもあります。被害にあった場合は、まず証拠を保存し、プロバイダやSNS運営者への削除依頼、警察や弁護士への相談など、適切な対応をとることが重要です。
誹謗中傷で親告罪の告訴を行うまでの流れ
誹謗中傷の被害にあった場合、適切な手順で対応することが重要です。以下の告訴までの流れを正しく理解し、証拠の確保から法的措置まで、計画的に進めていきましょう。
- 証拠を確保する
- プラットフォームに通報する
- 弁護士に相談する
- 発信者情報の開示を請求する
証拠を確保する
誹謗中傷の証拠を確実に保存することが、法的対応の第一歩となります。なぜなら、証拠がなければ被害の事実を証明できないためです。
スクリーンショットの撮影では、投稿内容だけでなく、URLや投稿日時、投稿者の情報も含めて保存しましょう。また、ウェブページ全体をPDF形式で保存したり、チャットやメッセージの履歴をログとして残したりすることも効果的です。
特にSNSは投稿が突然削除されることもあるため、見つけたらすぐに証拠を確保することをおすすめします。さらに、公証役場での認証や、専門業者によるタイムスタンプの付与など、法的な証明力を高める方法も検討するとよいでしょう。
プラットフォームに通報する
誹謗中傷の投稿を発見したら、まずプラットフォームの運営者に通報することが有効です。各SNSや掲示板には、利用規約違反の投稿を報告する機能が備わっています。
通報時は、どの規約に違反しているのか、具体的な理由を明確に示すことがポイントです。たとえば、「名誉毀損」「ハラスメント」など、該当する項目を選択して報告します。
ただし、通報する前に必ず証拠を保存しておくことが重要です。運営者の対応により投稿が削除されてしまうと、証拠の確保が難しくなるためです。また、通報後も対応状況を確認し、記録として残しておきましょう。
弁護士に相談する
弁護士への相談は、適切な法的対応を進めるための重要なステップです。なぜなら、誹謗中傷に関する法律は複雑で、素人では判断が難しい部分が多いためです。
弁護士は被害状況を分析し、親告罪での告訴が適切かどうかを判断します。また、告訴状の作成や、発信者情報開示請求の手続きなど、専門的な支援も受けられます。
特に、インターネットトラブルや誹謗中傷の対応に詳しい弁護士を選ぶことが大切です。初回相談が無料の法律事務所も多いため、費用面で心配があっても、まずは相談してみることをおすすめします。
発信者情報の開示を請求する
発信者情報開示請求は、匿名の加害者を特定するための重要な手続きです。この請求は二段階で行われ、まずプラットフォーム運営者に対してIPアドレスなどの開示を求めます。
次に、そのIPアドレスを管理するプロバイダに対して、発信者の氏名や住所の開示を請求しましょう。この手続きは法律の専門知識が必要で、通常は弁護士に依頼することが推奨されます。
手続きには数か月の時間と、数十万円程度の費用がかかる可能性もありますが、加害者の特定には欠かせないステップです。裁判所への仮処分申請が必要になることもあるため、弁護士と相談しながら進めることが重要でしょう。
誹謗中傷で親告罪の告訴を考えたら弁護士に相談を
誹謗中傷は被害者に深刻な精神的ダメージを与えます。しかし、一人で抱え込む必要はありません。証拠を確保し、弁護士に相談することで、適切な法的対応が可能です。
まずは、インターネットトラブルに詳しい弁護士に相談し、自分のケースに合った対応策を見つけることをおすすめします。被害の回復に向けて、専門家のサポートを得ることから始めましょう。春田法律事務所では、専門弁護士と無料相談をしていただけます。誹謗中傷で親告罪の告訴を考えるのであれば、まずはお問い合わせください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。