軽犯罪法違反で逮捕されたらどうなる!?処罰対象となる行為・解決法を弁護士が徹底解説!

最終更新日: 2023年07月12日

軽犯罪法違反で逮捕されたらどうなる!?処罰対象となる行為・解決法を弁護士が徹底解説!

  • 軽犯罪法違反とはどういう犯罪なのか
  • 軽犯罪法違反をして逮捕されるとどうなるのか
  • 家族が軽犯罪法違反で逮捕されてどうしたらよいのか不安

軽犯罪法という名称から、この法律が軽微な行為を取り締まる規定であることは想像できるでしょう。

しかし、実際にどのような行為がこの法律の違反行為にあたるのか、詳しく知る人は多くはいません。

知らなかったがゆえに、逮捕・勾留されて裁判にまで発展することもあります。有罪になれば前科までついてしまうため、決して軽視できません。

そこで今回は、軽犯罪事件を多く解決してきた専門弁護士が、軽犯罪法とはどのような行為を処罰する法令で、違反して逮捕された場合にどうなるのか、その解決方法について解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 軽犯罪法に違反した場合、逮捕される可能性もあるが珍しい
  • 軽犯罪法違反は33種類のケースがある
  • まずは軽犯罪法での対応実績が豊富な弁護士に相談することが大切

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

逮捕の可能性がある軽犯罪法違反

逮捕の可能性がある軽犯罪法とは、どのような法律なのでしょうか?

軽犯罪法とは、社会の秩序を乱すおそれのある軽微な行為に対して拘留、科料という刑罰を科す法律です。

軽犯罪法は、道徳に反し人に迷惑をかける行為を処罰することで国民生活の秩序を維持し、未然に重大な犯罪を防止することを目的としています。

軽犯罪法に違反した場合、逮捕されるのか否かが問題になりますが、軽犯罪法に違反し警察の取り調べを受けても、任意出頭に応じない、住所不明、逃亡のおそれがある、などの状況になければ、逮捕されることはほとんどありません。

また、たとえ軽犯罪法違反で逮捕された場合においても、身柄拘束の必要がなければ勾留されないこともあります。

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33種類ある軽犯罪法違反の逮捕ケースを10個紹介

軽犯罪法は、第1条で「左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。」と規定し33種類の行為を違反行為として挙げています。

ここでは、33種類ある軽犯罪法違反の逮捕ケースを10個紹介します。

  1. 人のいるところに物を投げた
  2. 自分の敷地内で助けを求める人を助けなかった
  3. 肝試しで廃屋・廃校に入った
  4. コスプレで警察・軍人になりきった
  5. 飼い犬で人を怖がらせた
  6. 「火事が起こった!」と嘘の通報をした
  7. お風呂をのぞき見た
  8. 看板に落書きした
  9. ヌンチャクを隠し持っていた
  10. インターネットの配信中に投げ銭をお願いした

出典:軽犯罪法 | e-Gov法令検索

人のいるところに物を投げた

必要な注意をすることもなく、人がいるところに物を投げた場合には、軽犯罪法第1条11号に該当します。

同号では、「相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼすおそれのある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した」行為を危険物投注の罪として処罰しています。

これは他人に怪我をさせたり、財物の価値を低下させるおそれのある行為を処罰して、他人の身体又は物件の安全を守ることを目的としています。

たとえば、人がいるか注意せずに公園でビンを投げる、爆竹をならす、歩道に油をまく、ゴミを投げ捨てる、などの行為が該当するでしょう。

自分の敷地内で助けを求める人を助けなかった

自分の家の敷地内で助けを求める人を助けなかった場合には、軽犯罪法第1条第18号に該当します。死体があるのにこれを放置した場合も処罰されます。

同号では、「自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかった者」を要扶助者・死体等不申告の罪として処罰します。

たとえば、自分の家の庭で、高齢者や幼児、病気や不慮の事故に遭い看護を要する人がいても助けなかったり、死体があるのに警察に通報しなかったりするような場合です。

肝試しで廃屋・廃校に入った

肝試しで廃屋・廃校に入った場合には、軽犯罪法第1条第1号に該当します。

同号では、「人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいる者」を潜伏の罪としています。

これは、人が住んでおらず、また管理もされていない建造物や船舶内に正当な理由もないのに隠れる行為を処罰するものです。

正当な理由とは違法性のない理由を意味するため、緊急時に身の安全を確保するために隠れるような場合は、緊急避難が成立するでしょう。

たとえば、肝試しで長く放置されている旅館や廃校の校舎内に入る行為は、たとえ遊びでやったとしても処罰される可能性が高いため注意が必要です。

コスプレで警察・軍人になりきった

コスプレで警察・軍人になりきった行為をすることは、軽犯罪法第1条第15号に該当して処罰されます。

同号は、「官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれに似せて作ったものを用いた者」を称号詐称、標章等窃用の罪としています。

たとえば、弁護士ではないのに弁護士であると名乗る行為、博士号がないのに博士と名乗る行為なども違反行為として処罰されます。

飼い犬で人を怖がらせた

飼い犬で人を怖がらせる行為をした場合には、軽犯罪法第1条第12号に該当し処罰されます。

同号は、「人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠ってこれを逃した者」を、危険動物解放等の罪で処罰しています。

たとえば、これまでに人に嚙みついたことのある犬を公園で放し飼いにしたり、不注意で逃がしてしまったような場合も同号に該当します。

ただし、わざと噛みつかせるために犬を放し飼いにする行為は傷害罪、不注意で逃げてしまい犬が噛みついた場合は過失傷害罪が成立する可能性があります。

「火事が起こった!」と嘘の通報をした

「火事が起こった!」と嘘の通報をした場合は、軽犯罪法第1条第16号に該当します。

同号では、「虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者」を虚偽申告の罪として罰しています。

たとえば、狂言強盗のように強盗など入っていないのに虚偽の犯罪を警察に通報する行為も、本号に該当します。

ただし、「〇〇さんに脅されて会社の金を横領した」というように、ある特定の人を罪に陥れるために警察に虚偽の通報をした場合には、刑法上の虚偽告訴罪に該当するので、本号は適用されません。

虚偽の風説を流したり、偽計や威力によって人の業務を妨害したりする行為も刑法上の業務妨害罪に該当します。

お風呂をのぞき見た

お風呂をのぞき見た行為は、軽犯罪法第1条第23号に該当して処罰されます。

同号では、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を窃視の罪として罰しています。

人の私的な領域をいわゆる「のぞき見する」行為を処罰対象とし、個人のプライバシーを保護することを目的としています。

本号の行為は、住居や建造物に侵入を伴うものではないため、たとえば、望遠鏡やファイバースコープを用いてのぞき見した場合にも、同号が適用されるので注意が必要です。

看板に落書きした

看板に落書きした場合には、軽犯罪法第1条第33号に該当して処罰されます。

同号では、「みだりに他人の家屋その他の工作にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者」を張り札、標示物除去の罪として罰しています。

たとえば、人の家の門の表札や看板を勝手に外す行為、反対に何かを貼り付けたり、汚したりする行為も本号で処罰されます。

ただし、これらの行為が建造物の効用を害するものである場合は、刑法第260条の建造物損壊罪、あるいは同法261条の器物損壊罪が成立することもあります。

ヌンチャクを隠し持っていた

ヌンチャクを隠し持っていた行為が、軽犯罪法第1条第3号に該当して処罰されるのか争われた事例がありました。一審では科料の判決が出されましたが、二審で逆転無罪でした。

同号では、「正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」を侵入具携帯の罪として処罰しています。

たとえば、ヌンチャクも武道の練習目的のために所持していれば、正当な理由が認められるでしょう。反対に、喧嘩に使用するためにヌンチャクを持っていれば同号が適用される可能性があります。

インターネットの配信中に投げ銭をお願いした

インターネットの配信中に投げ銭をお願いした行為が、軽犯罪法第1条第22号に該当するか争われた事例がありました。

同号では、「こじきをし、又はこじきをさせた者」をこじきの罪として処罰しています。

こじきは路上などで物乞いをする行為ですが、ネット上での物乞いも同号が適用されるのでしょうか?

この点、路上でもネットでも、その行為が同情等に訴える内容であればこじき行為となり、同号が適用されることになります。

たとえば、ネットで視聴者に投げ銭してください、と金品を求めるような配信は、違反行為にあたる可能性があるので注意が必要です。

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万が一軽犯罪法違反で逮捕されてしまったらどうなるのか?

万が一軽犯罪法違反で逮捕されてしまった場合は、その後はどうなるのでしょうか?

軽犯罪法違反が軽微な犯罪であることから、検挙されても逮捕されることはないと思う人も多いでしょう。しかし、場合によっては逮捕されることもあるので注意が必要です。

ここでは、軽犯罪法違反で逮捕されてしまった場合の、その後の刑事手続きの流れについて解説します。

警察の取り調べを受ける

軽犯罪法違反で逮捕された場合は、警察署の留置場で2〜3日の拘束を受け警察の取り調べを1日中受けることになります。

警察での身柄拘束は48時間で、それまでに被疑者を検察に送検するか、あるいは釈放しなければなりません。

逮捕とは、被疑者の身柄を拘束することです。逮捕するには、裁判官の発した逮捕状が必要になります。

逮捕により拘束できる期間は、最大72時間、それ以上は「勾留」の手続きがなければ拘束できません。

たとえ逮捕されても、警察が拘束の必要がないと判断すれば即座に釈放されるでしょう。釈放されない場合は、48時間以内に検察官に身柄が送検されます。

検察へ送検される

被疑者が釈放されない場合は、その身柄は検察へ送検されます。身柄を送られた検察官は、送致から24時間以内に裁判官に勾留請求をするか否かを決めなければなりません。

勾留請求されなかった場合は、被疑者はこの時点で釈放され在宅捜査になります。在宅事件に切り替われば、基本的に通常通りの生活を送ることができるでしょう。

ただし、警察や検察からの呼び出しがあればすぐに応じなければなりません。何回かの呼び出し後に、検察官が起訴か不起訴の決定を行います。

軽犯罪法違反のような軽微な事件であれば、通常は2〜3か月で処分が決まることが多いのですが、捜査が長期化することもあるので注意が必要です。

勾留

勾留とは、逃亡や証拠隠滅のために、被疑者もしくは被告人を刑事施設に拘束することをいいます。

勾留するには、犯罪の相当の疑いがあり、住所不定、証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれなど勾留の理由、また勾留することが相当であるという勾留の条件を満たす必要があります。

勾留するための手続きとして、検察官は裁判所に勾留請求を行わなければなりません。裁判所がこの請求を許可すると、10日間の勾留されることになります。

この期間内に捜査が終わらない場合には、検察官はさらに裁判所に勾留請求を行うことができます。この場合、最初の勾留期間と合わせて最大で20日間の勾留ができます。

起訴・不起訴の決定

勾留期間中に、警察もしくは検察官の捜査が終了すれば、検察官は被疑者の起訴・不起訴の決定を下します。

起訴・不起訴の決定は、逮捕後23日以内にしなければなりません。

起訴とは、検察官が裁判所に対して事件の審理・判決を求める手続きです。すべての事件が起訴され裁判になるわけではなく、事情により不起訴になることもあります。

軽犯罪法違反のような軽微な事件では、不起訴になることも多いですが、被害者のいる事件では、当事者間で事件が解決しているのか否かが重要になるので注意が必要です。

不起訴になれば、身柄は釈放されて手続きは終了します。起訴されれば、身柄は拘置所に移送され、刑事裁判が終了するまで勾留されます。

軽犯罪法違反での逮捕が心配なら弁護士に相談することがおすすめ!

ここでは、軽犯罪法違反での逮捕が心配な場合に弁護士に相談するメリットを解説します。メリットは以下の3つです。

  • 逮捕回避の可能性が高まる
  • 示談交渉をしてくれる
  • 心の支えになってくれる

それでは、1つずつ見ていきましょう。

逮捕回避の可能性が高まる

メリットの1つ目は、逮捕回避の可能性が高まるということです。

逮捕を回避するためには、何よりも初動の速さがポイントになります。刑事事件を専門にしている弁護士であれば、状況により必要に応じた手続きを行い逮捕を回避できます。

弁護士は軽犯罪法違反の内容や状況、被害者などを調査し警察に拘束する必要のないことを説明します。

また、家族や親族の身元引受書などを提示して身元を明確にし、証拠隠滅や逃亡の可能性がないことを証明して在宅捜査が可能であることも説得します。

示談交渉をしてくれる

メリットの2つ目は、示談交渉をしてくれることです。

軽犯罪法違反の事件に被害者がいる場合、早期の事件解決のためにも、また逮捕を回避するためにも大切なのは、被害者との示談が成立していることです。

弁護士は、迅速に被害者と示談交渉を行い適正な示談金を提示して和解を実現します。示談交渉を開始することで、事件の解決が進む可能性も高くなるでしょう。

ただし、予定より時間がかかってしまう場合もあるので注意が必要です。逮捕されたら迅速に弁護士に示談交渉を代行してもらうことが重要です。

心の支えになってくれる

メリットの3つ目は、心の支えになってくれることです。

逮捕されるのか不安な場合には、軽犯罪法違反の事件をこれまでに何件も解決してきた実績多数の弁護士を選ぶことをおすすめします。

多数の事件を解決していることで、様々な状況に応じた処分や釈放を得るための解決方法を得ることが可能だからです。

さらに、不安を感じたときにすぐに連絡が取れる体制のある弁護士を選ぶことが大切です。携帯番号やLINEでつながれる弁護士なら、いつでも相談できて心の支えになってくれるでしょう。

まとめ

軽犯罪事件を多く解決してきた専門弁護士が、軽犯罪法とはどのような行為を処罰する法令で違反して逮捕された場合にどうなるのか、その解決方法について解説しました。

軽犯罪法違反では逮捕される可能性はあまりありませんが、それでも余罪などで別件逮捕されることもあるため、注意が必要です。

まずは、軽犯罪法違反で逮捕されるのか心配な場合にはすぐに、刑事専門の弁護士に相談することをおすすめします。

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