軽犯罪法違反で検察の呼び出しは起訴?対応方法も専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月10日
- 軽微な違法行為で捕まってしまったら、どのような罪になるのだろう
- 軽犯罪法違反で呼び出しを受けたが、軽い罪なので無視しようと思っている
- 軽犯罪法違反であっても、弁護士に相談した方がよいのだろうか
軽犯罪法とは日常生活で、比較的軽微な違法行為を取り締まるために設けられた法律です。
軽犯罪法の対象となるのは、人の住んでいない邸宅や建物に正当な理由がないのに潜んでいた、自然災害等が発生し公務員から救援を要請されたのに断った、他人の業務にいたずらをして妨害した等があげられます。
刑罰を受けた場合、拘留または科料に処されるだけなので、軽微な罪と言えます。しかし、本法違反で検察から呼び出しを受ければ、それに応じなければいけません。
そこで今回は、数多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、軽犯罪法違反で検察から呼び出しを受けたときに確認される内容、弁護士を立てるメリット等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 軽犯罪法違反だけを理由に逮捕や、勾留される可能性は低い
- 呼び出しを受けたのに正当な理由がなく検察等の求めに応じないときは、逮捕されるおそれもある
- 弁護士を立てれば、軽犯罪を犯した本人にとって最小限の影響で済む可能性が高くなる
軽犯罪法違反の検察からの呼び出しで確認される内容
軽犯罪法違反は、日常生活での迷惑行動(例:のぞき、つきまとい、虚偽申告、業務妨害等)をしたときに問われます。
軽犯罪法違反だけを理由にして、警察官から逮捕・勾留される可能性は低いです。ただし、検察から呼び出しを受けるケースもあります。
取り調べの詳細確認
検察から呼び出しを受けるのは、まず警察官の取り調べに関する確認のためです。警察での取り調べのときと同じように対応・返答すれば問題ありません。
ただし、警察の取り調べで事実と異なる内容の供述調書にサインさせられてしまった、という場合は、その点をしっかり検察官に報告すべきです。
起訴か不起訴かの判断
被疑者が反省しているかどうかを検察官が直接判断したい場合に、呼び出しを行うことがあります。呼び出しは任意です。被疑者が無理に応じる義務はありません。
ただし、呼び出しに応じないと、検察官から「被疑者は捜査に協力的でない」と判断され、起訴か不起訴かの判断で、不利に働く可能性は否定できません。
起訴することを言い渡す
「略式起訴」を行うため、検察から呼び出しを受ける可能性があります。
略式起訴は被疑者の身柄拘束をせずに、書類で起訴して罰金刑を与える手続きです。略式起訴には被疑者の同意が必要になるため、検察から呼び出しを受けます。
ただし、あくまで無罪を主張したいのであれば、安易に同意すべきではありません。
また、検察側が被疑者の在宅のまま捜査を進めてきたものの、証拠が揃ったので、起訴するかどうかを決定するために、被疑者を呼んで話を聞くというケースも考えられます。
不起訴処分を言い渡す
被疑者が軽犯罪法違反にしか問われておらず、被疑者が反省しているので不起訴処分を言い渡すという場合も、呼び出しを受ける可能性があります。
ただし、被疑者側から問い合わせをしない限り、検察官が不起訴処分とした旨を報告する義務はありません。
そのため、長期間呼び出しがない場合は、一度検察側に処分結果の確認を問い合わせた方がよいでしょう。
弁護士を立てていれば、弁護士が定期的に検察官へ進捗を確認するので安心です。
参考人として呼び出されることも
被疑者ではなく「参考人」として呼ばれるケースもあります。
何らかの形で事件に関わっていたと考えられる人(例:被害者の他、被疑者の家族、友人、目撃者等)が参考人に該当します。
また、実際に軽犯罪を犯した場合であっても、現在のところ犯行事実が確定していないため、参考人として呼ばれる可能性もあるでしょう。
参考人として呼び出しを受けた場合も、それに応じるかどうかは本人次第です。自分がどのような立場で軽犯罪に関わっているのかを踏まえて、呼び出しに応じるか否か、冷静に判断しましょう。
軽犯罪法違反による検察からの呼び出しがなかなか来ないことも
軽犯罪法違反により在宅のまま捜査は進められているものの、いっこうに検察から呼び出しを受けなければ、不安を感じるかもしれません。
呼び出しを受けない理由は、主に次の2つがあります。
検察官が多忙
事件処理が順番待ちの状態となり、担当している検察官が多忙となっているケースが考えられます。
事件処理の順番としては、逮捕・勾留されている事件が優先的に処理されます。軽犯罪法違反で在宅事件(捜査)となっている場合は、重さが同じくらいの罪であれば、先に送致されてきた事件から処理されます。
被疑者本人は今後どうなるのか不安になるかもしれませんが、このようなケースであれば、やはり待つしかないでしょう。
調査に時間を要している
検察官が軽犯罪法違反の証拠を確認した結果、被疑者への取り調べ前に収集するべき証拠が残っていると判断した場合、なかなか呼び出しが来ないケースもあります。
更に、軽犯罪を行った事実について被疑者が否認している場合、検察官は被疑者の主張を裏付ける証拠の有無について、慎重に調べます。
そのため、警察の取り調べ後、2・3か月経ってから検察の呼び出しを受ける可能性もあります。
軽犯罪法違反について検察が呼び出しを行う手段
検察側が呼び出しを行う場合、電話や郵送でその旨を伝えます。それぞれの呼び出しを受けた場合の注意点を説明します。
電話
検察側から電話連絡が来て、呼び出しを受けるというケースがあります。
その場合、口頭で呼び出し日時・場所・持参物等が伝えられるので、忘れないようにメモをしておきましょう。
そのとき、被疑者が不安のあまり、検察官に自分がどうなってしまうのか、聞きたくなるかもしれません。
しかし、軽犯罪法違反の処分結果・証拠に関すること事は、何も答えてもらえません。まずは指示された日時に地方検察庁へ向かう準備を進めます。
郵送
地方検察庁から軽犯罪法違反の被疑者宛に、出頭要請の通知が郵送で届く場合もあります。
通知書には出頭先の検察庁の場所・取り調べ予定の日時が明記されています。通知書を大切に保管し、訪問する準備を行いましょう。
なお、取り調べに関して不明点がある場合や、日程の変更を希望したい場合は、電話で問い合わせすることもできます。
軽犯罪法違反で検察から呼び出しを受けたときの注意点
軽犯罪法違反の場合も、法律に則り手続きが進められていきます。検察の呼び出しに応じなければ、被疑者にとって不利な事態となる可能性が高いです。
「どうせ軽い罪で済む」と考えず、弁護士と相談して弁護活動を行ってもらうなど、最善の対応を心がけましょう。
示談交渉できるなら弁護士に相談を
軽犯罪法違反であっても、起訴されれば有罪となる可能性が高いです。そのため、弁護士と相談して不起訴を目指しましょう。
軽犯罪法違反で有罪となった場合、「拘留」または「科料」に処されます(軽犯罪法第1条)。
- 拘留:1日以上30日未満の期間で、刑事施設に拘置する刑罰
- 科料:1,000円以上1万円未満の金銭徴収の刑罰
拘留・科料は最も軽い刑罰ですが、有罪判決を言い渡されれば「前科」が付いてしまいます。
前科があると就職・転職活動に支障が出たり、再び逮捕された場合に刑罰が重くなる可能性もあります。
軽微な罪とはいえ、不起訴になる方がよいに決まっています。軽犯罪法違反の被疑者になったときは、速やかに弁護士と相談し、今後の対応をよく検討すべきです。
法律の専門家である弁護士に示談交渉を任せれば、被害者との示談が成立する可能性も高くなります。
被害者との示談が成立し、犯行を真摯に反省すれば、検察官が不起訴相当と判断する可能性も高まるでしょう。
無視しない
被疑者という立場で呼び出しを受けたときは、決して無視せずに応じましょう。
なぜなら、検察官からの呼び出しを無視すると「逃亡するのでは?罪証隠滅のおそれがあるのでは?」と疑われ、かえって逮捕・勾留されてしまう可能性もあるからです。
自分が不利になるような対応は避け、捜査へ積極的に協力する意思を示せば、不起訴・減刑が期待できます。
まとめ
今回は多くの刑事事件に携わってきた専門弁護士が、軽犯罪法違反で検察から呼び出しを受けたときに確認される内容、注意点等について詳しく解説しました。
軽犯罪法違反で有罪となった場合、「拘留」または「科料」という軽い罪であっても、前科が付きます。
被疑者は軽犯罪法違反だからと気を緩めず、真摯に犯行を反省し、捜査に協力すれば、不起訴処分になる可能性もあります。
軽犯罪法違反に問われたら、速やかに弁護士と相談し、今後の対応を検討しましょう。