離婚手続きの全体像と離婚前・離婚後にやるべきこと
最終更新日: 2025年06月26日
離婚を考えたとき、「どのような手続きが必要なのか」「どこから始めればよいのか」と不安を感じる方は多いでしょう。
離婚には主に協議・調停・裁判という3つの方法があり、それぞれの進め方や必要書類、準備すべき内容が異なります。
この記事では、離婚の3つの種類とその違い、各手続きの流れ、さらに離婚前にやるべき準備(感情整理・財産確認・子どものこと)から、離婚後に必要となる手続き(戸籍変更・保険・年金・教育関連)まで、順を追って詳しく解説します。
また、実際の相談事例やよくある質問にも触れていますので、「まず何から始めるべきか」を知りたい方にとって、具体的な行動の道しるべとなる内容です。
離婚の種類とそれぞれの進め方
日本の離婚には大きく分けて3つの方法があります。
協議離婚
夫婦の合意で成立する最も一般的な方法です。
役所に離婚届を提出するだけで法的に離婚が成立します。話し合いで親権・養育費・財産分与なども決める必要があります。
調停離婚
当事者のみの話し合いで合意できないときは、家庭裁判所での「調停」を申し立てます。
調停委員が間に入り、双方の意見を調整します。合意ができれば調停調書が作成され、それに基づき離婚が成立します。
裁判離婚
調停が不成立だった場合に、訴訟で離婚を争います。
「不貞行為」「悪意の遺棄」「婚姻を継続し難い重大な事由」など法定離婚事由が必要です。
時間と費用がかかります。
離婚前にやるべきこと|感情整理・財産確認・子どもの準備
感情面の整理
感情が不安定なままでは冷静な判断が難しくなります。信頼できる友人やカウンセラー、弁護士に相談することが第一歩になります。
財産関係の整理
預貯金、不動産、ローン、保険、年金などの資産・負債を整理し、どれが夫婦の共有財産か明確にしましょう。
財産分与の交渉では、証拠として残る資料(通帳コピー、不動産評価書など)が重要です。
子ども関連の準備
親権者の決定、養育費、面会交流、転校の有無などを夫婦で取り決める必要があります。
子どもの生活環境の安定を第一に考えた対応が求められます。
証拠の確保
不貞行為や暴力などが理由で離婚する場合、証拠(LINE・写真・録音・診断書など)を集めておくことが重要です。
別居後の生活の準備
あなた自身やお子様の生活を守るために別居をして離婚交渉をスタートさせる場合もあります。そのために、別居先や当面の生活費などを確保する必要があります。
協議離婚の手続きと進め方
協議離婚は、合意が成立すれば比較的簡単に進められます。
【流れ】
- 夫婦で話し合い(親権・養育費・財産分与など)
- 離婚協議書を作成(できれば公正証書に)
- 離婚届に署名・押印し、役所へ提出
【注意点】
- 親権の指定がないと離婚届は受理されません
- 養育費などは後からトラブルにならないよう文書に残しましょう
- 公正証書にしておけば、養育費未払い時に強制執行が可能です
調停離婚の手続きと進め方
協議で決着しない場合は、調停によって第三者のサポートを受けながら解決を図ります。
【流れ】
- 家庭裁判所に調停申立て(費用は1000円前後 ※名古屋家裁の場合は2100円程)
- 調停委員を通じた話し合いを複数回実施
- 合意が成立すれば調停調書が作成され、離婚が成立
【注意点】
- 調停は1〜2ヶ月に1回、合計で数ヶ月かかるのが一般的です
- 合意内容が調停調書に記されるため、強い法的効力があります
- 本人出席が基本ですが、暴力などがある場合は代理出席も可能です
裁判離婚になる場合の注意点
調停が成立しないと、訴訟へ進みます。
【流れ】
- 離婚訴訟を家庭裁判所へ提起
- 証拠と主張に基づき審理が進行
- 判決または和解により離婚成立
【注意点】
- 民法に定める「離婚原因」が必要(不貞行為、悪意の遺棄など)
- 弁護士の助言が不可欠です。法的な書面作成や証拠の提出も求められます
- 1年以上の長期化も想定されるため、精神的・経済的負担に備えましょう
離婚後に必要な手続きと書類一覧
離婚が成立しても、やるべきことは多数あります。
【基本的な手続き】
- 住民票の変更・転出届
- 戸籍の変更(旧姓に戻す・子の氏変更許可)
- 国民健康保険・年金への切り替え
- 銀行口座・免許証・保険証の名義変更
- 年金分割請求(条件を満たす場合)
【子ども関連の手続き】
- 養育費の支払い方法・口座設定
- 面会交流のスケジュール作成
- 学校・保育園への連絡と提出書類の確認
- 児童扶養手当、ひとり親家庭への支援申請
事例紹介
弁護士の介入でスムーズに離婚(30代女性)
夫と離婚に向けて話し合いを試みたが、夫の腰が重く全く話が進まなかった。財産分与や親権の話し合いについて全く取り付く島もなく途方に暮れていた。
そんな中、知人の紹介で受けた無料相談をきっかけに弁護士に依頼し、自分の代理人として夫と交渉してもらった結果、あんなに頑なだった夫の態度が軟化した。公正証書を作成して離婚が成立。養育費の未払いリスクへの対策も万全で、離婚後の生活に安心感を持てた。
弁護士のサポートがなかったら絶対に離婚できなかったと思う。納得のいく形で離婚できたと実感している。
調停で合意に至り、面会交流も明文化(40代男性)
協議では話が平行線をたどり、精神的にも疲弊していたが、弁護士に依頼して調停を申し立てたことで、第三者を介した冷静な話し合いが実現。親権や養育費に加え、面会交流の頻度や方法も具体的に明文化された調停調書が成立した。
弁護士の的確な助言と調停対応により、自分一人では難しかった合意形成が可能になり、子どもの将来にとっても良い結果になったと感じている。また、調停の間、いつも寄り添って話を聞いてくれ、自分の思いを的確な言葉で表現してくれる弁護士の存在はとても心強く、精神的な支えになった。
よくある質問(FAQ)
Q:離婚届はどこに提出すればいいですか?
本籍地または住所地の市区町村役場です。夜間受付も可能な自治体があります。
Q:相手が協議離婚に応じてくれないときは?
調停を申し立てましょう。離婚調停でも合意が得られない場合は裁判も視野に入ります。
Q:親権はどちらが有利?
基本的には母親が親権者になることが多いです。もっとも、常に 母親が優先されるわけではなく、子どもの生活環境や育児状況が考慮されます。
Q:弁護士費用が心配です
法テラスなどの費用立替制度を利用できる場合があります。
Q:離婚後の生活が不安です
養育費、児童扶養手当、就労支援などの制度を活用しながら再建が可能です。
まとめ
離婚は法律的にも心理的にも負担の大きい手続きです。
協議・調停・裁判、それぞれの方法の特性と流れを理解し、離婚前・離婚後にやるべきことを一つずつ丁寧に進めることが重要です。
焦らず、準備を整えながら、必要に応じて専門家の力も借りて、納得のいく形で次のステージに進みましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。