薬機法を弁護士が徹底解説!概要から問われる罪・弁護活動の内容まで詳しく紹介
最終更新日: 2024年02月14日
- 医薬品や医療機器、化粧品の広告で過剰な表現をしたらどういう罪に問われるのか?
- 薬機法違反でトラブルとなっている、何とか問題を解決したい
- 薬機法に関する問題解決のため、弁護士に依頼した方がよいのだろうか?
薬機法は医薬品や医療機器等の品質、有効性、安全性を確保するための法律です。品質、有効性、安全性を守るため、同法では製造や販売、広告、表示に関する規制も定めています。
薬機法に違反すれば最悪の場合、懲役刑に処される可能性もあるので注意が必要です。
そこで今回は、多くの薬機法に関する問題解決を図ってきた専門弁護士が、薬機法違反で問われる罪、トラブルが発生したとき弁護士をたてるメリット等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 薬機法に違反すると行政指導だけではなく、刑事罰を受けるリスクもある
- 薬機法違反に問われたら、同法に詳しい弁護士へ相談する
- 弁護士に依頼すれば、弁護士は最低限の損失で済むように全力を尽くす
薬機法の概要を専門弁護士が解説
医薬品、医療機器等を多くの人達が安全かつ安心して利用するため、それらを製造する企業はもちろん、販売や広告を行う事業者も、薬機法に従う必要があります。
こちらでは、薬機法とはどのような法律なのか、薬機法に違反した場合のリスクを説明しましょう。
薬機法とは
医薬品等の品質や安全性の確保を目的とした「薬事法」から、2014年の改正を受け「薬機法」と名称変更されました。
正式な名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。
改正に際し「再生医療等製品」の新設、医療機器の対象として診断等に用いる単体プログラム(ソフトウェア)の追加等、現在の医療技術の変化に対応した法律となっています。
薬機法の主な規制対象は下表の6つです。
規制対象 | 内容 | 対象薬品・製品 |
医薬品 | 病気の診断・治療・予防等に用いる薬品 | 処方薬や市販薬 |
医薬部外品 | 医薬品より人体に対する作用が穏やかで、特定目的に対し効能効果が認められているもの | 制汗剤、育毛剤、薬用歯みがき粉、薬用化粧品、殺虫剤等 |
化粧品 | 人の身体を清潔にし、皮膚や毛髪を健やかに保つという目的のために使用するもの | 化粧水、シャンプー、石けん、歯磨き粉、マニキュア、香水等 |
医療機器 | 病気の診断や治療、予防に用いられる機器 | メス、人工関節、ペースメーカー、疾病診断用プログラム(ソフトウェア)等 |
体外診断用医薬品 | 病気の診断に用いる医薬品で、人や動物の身体に直接使用されない薬品 | 血液や唾液、尿検査のため使用する試薬 |
再生医療等製品 | 骨や臓器、皮膚等、身体の一部を再生する「再生医療」に用いる細胞加工物 | 細胞加工製品、遺伝子治療用製品 |
違反のリスク
薬機法では「製造・販売規制」「広告規制」「医薬品等の取り扱い規制」を行い、それぞれの規制に反すると行政処分(業務停止処分等)や刑事罰、課徴金の対象となります。
(1)製造・販売規制
医薬品等の製造・販売事業を行うならば、厚生労働大臣や都道府県知事の許可・登録を受けなければいけません(許可・登録制度)。
(2)広告規制
消費者が誤った使い方をして症状が悪化した、効能効果についての期待が大きく必要な治療を受けない、といった事態を防ぐため、虚偽・誇大広告等を禁止する措置です。
医師等が保証したと消費者に誤認させる広告の他、堕胎を暗示する広告、わいせつ文書・図画を用いる広告も禁止です。
(3)医薬品等の取り扱い規制
処方箋医薬品の販売の規制や、薬機法に違反する医薬品の販売・授与等の禁止、直接の容器への記載事項等について取り決めがなされています。
薬機法違反で問われる罪を弁護士が紹介
人の生命や身体に重大な影響を与える可能性がある、医薬品・医療機器等の品質、有効性、安全性を確保するための法律なので、行政処分や課徴金の他、刑事罰も規定されています。
こちらでは、それぞれのペナルティについて取り上げます。
業務停止処分
行政処分の一つであり、医薬品等の安全管理・品質管理の方法が、同法の基準に適合しないとき、製造販売する企業は業務改善命令を受けたり、改善されるまで業務停止命令を受けたりする可能性があります(薬機法第72条第1項)。
その他にも、次のような行政処分を受ける可能性があるので注意しましょう。
- 製品の廃棄、回収命令:品質不良や不正表示がある医薬品等を販売したら、製造販売する企業が医薬品等の廃棄、回収命令を受ける(同法第70条第1項)
- 措置命令:虚偽・誇大広告等の禁止等があった場合、該当する企業に違反広告の中止や再発防止策の公表を命じる(同法第72条の5第1項)
- 許可、登録の取消:許可・登録をうけた企業が薬機法に違反した場合、許可・登録を取り消す措置(同法第75条第1項、第75条の2第1項)
刑事罰
薬機法違反が悪質と認められた場合、刑罰を受けるのは違反となる行為を指示したり加担したりした、企業のトップ(社長等)や従業員(担当者)です。
次のような刑事罰を受ける可能性があります。
(1)無許可製造・販売に関する刑事罰
医薬品等を無許可で製造・販売すると、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科される刑罰です(薬機法第84条)。
(2)虚偽・誇大広告に関する刑事罰
虚偽又は誇大広告の禁止に違反すると、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または併科される刑罰です(同法第66条)。
(3)特定疾病用の医薬品等に関する広告の違反
一般人には、がんや白血病等の特定疾病の治療薬の広告を禁止しており、それに違反したら1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または併科される可能性があります(同法第86条)。
課徴金制度
課徴金は2021年の薬機法改正で導入された制度です(薬機法第75条の5の2)。
インターネットによる虚偽・誇大広告の違反行為が多数発生した事態を考慮し、罰則強化のため本制度が追加されました。
一律の課徴金額は明記されておらず、「違反を行っていた期間中における、課徴金の対象商品の売上額×4.5%」がその金額となります。
違反行為の開始日から最長3年間にわたり、課徴金を支払い続けなければいけません。
ただし、ケースによっては次のような措置も行われます。
- 課徴金額が225万円未満になる→課徴金納付命令の対象外
- 虚偽、誇大広告等の違反の事実が発覚する前に、違反者が自主的に報告→課徴金額50%減額
薬機法違反の対応に強い弁護士の特徴
医薬品等の製造・販売を行う企業が、厚生労働大臣(厚生労働省)から薬機法違反を指摘された場合、あわてず薬機法に精通した弁護士へ相談しましょう。
こちらでは、弁護士に相談・依頼するメリット等を説明します。
法律に熟知
弁護士は薬機法も含め法律のプロフェッショナルです。行政側が指摘した薬機法違反の根拠はもちろん、それを踏まえてどのように弁明したり、反論したりするのかをアドバイスします。
弁護士に依頼をすれば違反を指摘された企業側にたち、厚生労働省への対応や、警察が捜査に動いている場合でも適切な対処を図ります。
医療業界の知識にも対応
薬機法や厚生労働省の省令等に詳しい他、医療業界とつながりが深い弁護士もいます。
医療業界の知識も豊富な弁護士なら、医学的見地からの説得力のある弁護活動が可能です。
また、法律事務所の中には、厚生労働省のOBや、医薬品等を製造・販売する企業の役員等の経験者と対策委員会を結成し、万全の対策を施しているところもあります。
経験豊富
薬機法に関するトラブルを解決してきた経験豊富な弁護士ならば、行政側へどう対応していくのかを熟知しています。
薬機法に精通した弁護士を選任したいならば、法律事務所のホームページをみてみましょう。
- ホームページに相談実績や解決実績が明記されている
- ホームページに相談事例や、薬機法関連のコラムが豊富に掲載されている
- 薬機法に関するトラブルを解決する手順や、報酬等が記載されている
以上の内容が確認できれば、その分野に詳しい経験豊富な法律事務所と言えます。
薬機法のトラブルに関して弁護士が行う活動
薬機法のトラブルを未然に防ぐ助言や、トラブルとなった後の対応にも、弁護士は適切なサポートを行います。
法律チェック
弁護士へトラブルを未然に防止する対応を依頼できます。
たとえば、医薬品や健康食品や化粧品等を製造・販売する企業からの依頼により、弁護士は広告内容のリーガルチェックを行います。
弁護士は薬機法等の違反表現(虚偽・誇大広告と疑われる文言等)があったならば、なぜその表現が問題なのかを指摘し、薬機法違反とならない表現の提案が可能です。
弁護士のチェック後に製品の広告を行えば、違反表現を行政に指摘されるリスクも軽減できます。
手続き代行
自社の医薬品等の広告に行政から虚偽・誇大広告と疑われる文言等の指摘があったが、自社にも掲載に関しての見解があるならば、弁護士に相談しましょう。
弁護士は見解書を作成し、弁護士名義または自社の意見として行政に提出ができます。
弁護士が見解書を作成した方が、法律的な見地から説得力のある見解を行政側に提示でき、行政側が納得する可能性も高くなります。
薬機法なら当事務所の弁護士に相談を
今回は薬機法のトラブル解決に尽力してきた専門弁護士が、行政から薬機法違反を指摘されたとき、弁護士をたてる必要性等について詳しく解説しました。
薬機法や医薬品に関する厚生労働省の省令等は複雑で、素人ではわかり難い面も多々あります。そのようなときは弁護士のサポートを受けながら、トラブルを未然に防ぐ努力も必要です。
薬機法に関するトラブルが発生したら、弁護士に相談して早期の問題解決を目指してみてはいかがでしょうか。