医療法に強い弁護士が法律の概要や違反のリスク・活動内容まで詳しく解説

最終更新日: 2024年02月14日

医療法に強い弁護士が法律の概要や違反のリスク・活動内容まで詳しく解説

  • 医療法に違反した場合、どのようなペナルティを受けてしまうのか知っておきたい。
  • 医療法に関係するトラブルが起きてしまった。医療法をよく知る人に相談したい。
  • 弁護士へ医療法に関する相談や依頼をした場合、弁護士はどのような対応を行うのだろう?

医療法とは、医療施設の開設や管理、整備、医療に関する情報提供、罰則等について定めた法律です。

医療施設が適切に管理されていないと、患者の生命・身体に重大な影響を及ぼす可能性があります。

そのため、医療法に違反すれば業務停止命令の他、閉鎖命令のような重い処分を受ける可能性があるので注意しましょう。

そこで今回は、医療法に精通した専門弁護士が、医療法に違反した場合のリスク、そして法的トラブルに弁護士はどう対応するのか等を詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 医療法に違反すると、医療施設は業務停止命令や閉鎖命令等を受ける可能性がある
  • 医療法は医療施設の管理や整備だけではなく、広告に関する規制等も明記されている
  • 弁護士に依頼すれば、危機管理対応や医療事故対応等をサポートできる

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

医療法の概要を弁護士が解説

医療提供施設および助産所は医療法の規制を受けなければいけません。

こちらでは、医療法とはどのような法律なのか、そして医療法務について説明します。

医療法とは

医療法とは、医療提供施設の開設・管理等に関する規制を定めた法律です。同法では患者の利益の保護や、良質で適切な医療の提供の確保を目的としています。

医療法の規制を受ける施設は次の通りです。

(1)医療提供施設

施設によって医療法の定義が異なります。

  • 病院:医師または歯科医師が、公衆または特定多数人のため医療を行う場所であり、20人以上の患者を入院させるための施設。
  • 診療所:医師または歯科医師が、公衆または特定多数人のため医療を行う場所であり、19人以下の患者を入院させるための施設。
  • 介護老人保健施設:要介護者に必要な医療と日常生活上の世話を目的として、都道府県知事の許可を受けた施設(同法では、主に医療法人に関する規制が適用される)。
  • 介護医療院:長期療養が必要な要介護者に医療を施し、日常生活上の世話をする目的で、都道府県知事の許可を受けた施設(同法では、主に医療法人に関する規制が適用される)。
  • その他:調剤を実施する薬局等。医療法では事業者の努力義務規定、国・地方公共団体の施策に関する規制等が適用される。

(2)助産所

病院または診療所で行うものを除き、助産師が公衆または特定多数の人のため業務を行う場所です。

なお、2024年4月1日に施行される改正医療法では、医師の長時間労働の見直しや、医師の負担減、地域の実情に応じた医療提供体制の確保等が追加されます。

医療法務とは

医療現場そして医療提供施設等を経営していく上で直面する、様々な法的問題を取り扱う業務を「医療法務」と呼びます。

医療法務は医療法をはじめとした施設の開設・管理等に関する業務の他、主に次のような業務も該当します。

  • 顧客との関係:医療契約、医療トラブルへの対応
  • 個人情報の管理:個人情報保護法の遵守
  • 従業員との関係:労働法、労働安全衛生法等
  • 医薬品との関係:薬事法や特許法等

医療提供施設等を経営していくためには、数多くの法律への理解が求められます。そのため、法律の専門家のサポートのもとで、冷静に業務を進める必要があるでしょう。

医療法で規制されている内容を弁護士が紹介

医療法では、医療提供施設等の開設や広告、医療法人の設立に関する規制等が明記されています。

主な規制内容をみていきましょう。

医療提供施設、助産所の開設・管理等

医療提供施設等の開設のときは、届出制と許可制の2種類が規定されています。

  • 届出制:臨床研修等修了医師や臨床研修等修了歯科医師の診療所開設、助産師による助産所開設の場合
  • 許可制:病院の開設、医療法人による診療所の開設、助産師でない者による助産所の開設の場合

また、業務報告や医療従事者の監督、エックス線装置の届け出、検体検査、清潔の保持や安全の確保等に至るまで、細かく施設管理に関する条文が明記されています。

広告規制

医療提供施設等に関する広告を行う場合、次のような医療法の規制を受けます。

  • 虚偽広告の禁止:嘘の広告を行ってはいけない。
  • 広告基準への適合:誇大広告をしない、他の医療機関と比較し優良である旨の広告をしない等。
  • 広告事項の制限:広告内容は原則として、医療法や医療法施行規則所定の事項に制限される必要がある。

医療法人に関する規制

医療法人を設立するには、まず定款または寄付行為を定め、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事の認可が必要です。

また、認可申請のときは、初年度支出予算の2か月分に相当する運転資金の拠出をしなければいけません。

都道府県知事による認可後、主たる事務所の所在地における設立登記が完了してから、医療法人の成立となります。

医療法に違反した場合のリスク

医療法には医療提供施設および助産所を監督する規定があり、同法に違反した場合のペナルティが明記されています。

業務停止命令等

医療提供施設等の人員配置が医療法の基準に照らし、著しく不十分なときは、期限を定め、人員の増員を命じられたり、業務の全部または一部の停止を命じられたりする可能性があります(医療法第23条の2)。

業務の全部の停止を命じられると、施設の運営に重大な影響を及ぼすおそれがあります。人員の補充は常に考慮しておきましょう。

使用制限命令等

医療提供施設等が清潔を欠いている、構造設備が基準に適合していない、衛生・保安上の危険であるという場合、期間を定め、使用の制限や禁止、修繕・改築を命じられる場合があります(同法第24条)。

施設内が不衛生な場合や、地震が起こると倒壊しそうな構造では、患者や医療従事者の安全は図れません。定期的な施設の検査や補修・補強が求められます。

措置命令

医療提供施設等の行う業務が法令に違反し、またはその運営が著しく不適正である場合、期限を定めて必要な措置を命じられる可能性があります(同法第24条の2)。

医療法務に関連する法律は多く、その内容も複雑です。施設側が法令違反に気付かないまま、業務を行っているケースも想定されます。

医療法務に詳しい弁護士のアドバイスを受け、事前に適切な措置を講じておきましょう。

勧告・措置命令・公表

開設者・管理者が正当な理由もなく許可条件に従わない場合、期限を定め条件に従うよう勧告が行われます(同法第27条の2)。

勧告に従わなければ措置命令、措置命令にも従わないならば公表の対象です。

公表されると当該施設の社会的評価が低下し、信頼の失墜につながるので注意が必要です。

管理者の変更命令

医療提供施設等の管理者が次のような行為を行った場合、期限を定めて管理者の変更が命じられる可能性もあります(同法第28条)。

  • 犯罪や医事に関する不正行為をした
  • 不適当な事由があった

管理者には施設の安全・管理の徹底の他、高い倫理性が求められています。

閉鎖命令

次のような事態が起きた場合は、期間を定めて医療提供施設等の閉鎖が命じられる可能性もあります(同法第29条)。

  • 施設が開設許可を受けたにもかかわらず、正当な理由もなく6か月以上業務を開始しない
  • 許可を受けて開設した施設が休止し、正当な理由もなく1年以上業務を再開しない
  • 開設者が医療法の命令または処分に違反した
  • 開設者が犯罪または医事に関する不正行為をした

医療法に関する弁護士の活動内容

医療法では様々な規定が多く、医療提供施設等の関係者は同法を遵守しながら、業務を進めなければいけません。

法律に違反しないか心配な場合や、施設内で法的なトラブルが発生したらどうすればよいかわからない場合、速やかに弁護士へ相談し、アドバイスを受けましょう。

弁護士に代理人を依頼すれば、次のような対応をサポートします。

危機管理対応

医療提供施設等で重大な事故、不祥事等が発生する可能性もあります。

その場合は第三者委員会調査、内部調査等を行う必要が出てきます。医療法に詳しい弁護士へ依頼すれば、知識や経験を生かした厳格な調査、助言が可能です。

弁護士が調査に参加すれば、説得力のある調査報告書を作成し、それをもとに再発防止策等の指針を示せます。

その他、行政や警察、マスコミ対応も弁護士がしっかりとサポートします。

  • 監督官庁への対応→命令や処分を踏まえ、弁護士が施設側に以後の防止策、改善策を提案
  • 警察・検察への対応→刑事事件に発展した場合、弁護士が代理人として不起訴処分等を働きかける
  • マスコミへの対応→弁護士が想定問答の作成やシミュレーション、出席者、会見場所、会見時間の選定等の助言をする

未収金回収

患者を懸命に治療してきたものの、その患者が医療費を滞納するケースが後を絶ちません。

施設側としては何とか滞納分を回収したいのですが、他の業務に追われ自分たちで回収するのが困難な場合もあります。

そのようなときは弁護士に回収を依頼しましょう。弁護士は電話や催促状・督促状の送付、訪問、法的手段(支払督促、調停、少額訴訟)等、様々な方法を駆使し、問題の解決を図ります。

医療事故対応

万一、医療ミス(医療過誤・医療事故)が発生した場合も、速やかに弁護士と相談し対応を協議しましょう。

患者本人・その家族から訴訟を提起される前に、何とか和解が成立するよう、弁護士は全力を尽くします。

弁護士は医療過誤・医療事故のケースに応じて、どのくらいの和解金(示談金)が目安となるかを熟知しています。また、弁護士が交渉の窓口となるので、迅速に和解条件の調整や取りまとめが可能です。

契約書類作成

医療提供施設等では様々な医療機器や医薬品等を利用します。

医療機器を製造する会社や製薬会社と契約するときは、契約書の作成が必要です。

しかし、施設側が契約内容を相手方に任せていると、自分たちが不利となる部分を理解しないまま、契約を締結してしまう可能性があります。

弁護士と顧問契約を結べば、弁護士が施設側に代わり契約前にその内容をチェックし、不明な点や修正を要する点があれば、相手方に説明や不利となる部分の是正を求めます。

医療法なら当法律事務所にご相談を

今回は医療法に深い知識を持つ専門弁護士が、同法に関して弁護士が果たす役割等を詳しく解説しました。

医療提供施設等は患者の生命・身体の安全を図るため、管理や設備等に関して厳しい基準が設けられています。

法律の判断や対応に悩んだら、なるべく早く弁護士に相談し、的確な助言を受けましょう。

弁護士のサポートを受けながら、医療法務を進めてみてはいかがでしょうか。

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