不倫の誓約書は必要?作成のメリット・記載項目・スムーズに進めるコツを徹底解説
最終更新日: 2025年03月30日
- 不倫したパートナーや相手に、不倫関係の解消や慰謝料の支払いを約束させたい。不倫の誓約書の作成方法を知りたい。
- 不倫の誓約書を作成させるとき、どのような内容を記載させればよいのだろうか?
- 不倫の誓約書を作成させる前に、誰かに相談しておきたい。
不倫したパートナーや相手を問いただし、不倫関係の解消や慰謝料の支払いを約束させても、約束した内容を文書にしなければ、義務を履行しない可能性があります。
そのようなときは、「不倫の誓約書」を作成させ、約束した内容を書面化しましょう。
そこで今回は、数多くの不倫問題に携わってきた弁護士が、不倫の誓約書とは何か?不倫の誓約書の効力等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談できます。
- 不倫の誓約書を作成させれば、裁判となったとき不倫の証拠として提出できる
- 不倫の誓約書には、不倫した側に約束した内容を具体的に明記させる
- 不倫の誓約書を作成させる前に、弁護士とよく相談した方がよい
不倫の誓約書とは
不倫の誓約書とは、不倫したパートナーや不倫相手に書かせる書面です。
誓約書は契約書・示談書とは異なります。
概要
不倫の誓約書は、不倫関係の解消や慰謝料の支払いを約束させるために作成する書面です。
誓約書は、不倫したパートナーや不倫相手のどちらか一方が作成する方法と、不倫した当事者2人がそれぞれ作成する方法があります。
不倫された側が内容を作成し、不倫当事者と話し合って修正・確定した書面に不倫当事者が署名する方法でも可能です。
契約書との違い
不倫関係の解消や慰謝料の支払いを約束させるために、契約書を作成することがありますが、次のような違いがあります。
- 誓約書:誓約する側(パートナーや不倫相手)の一方的な意思表示を記載する書面。誓約する側が一方的に義務を負う。
- 契約書:当事者双方(不倫した側・された側)の契約合意内容を記載。契約書では基本的に契約した双方が何らかの義務を負う。
示談書との違い
誓約書と示談書の違いは次の通りです。
- 誓約書:誓約をする側(パートナーや不倫相手)が一方的に義務を負う。
- 示談書:示談で取り決めた内容を書面化。示談内容に当事者双方が従わなければならない。
不倫された側が、パートナーと不倫相手双方に約束を守らせたいのであれば、双方に誓約書を書かせた方がよいです。
不倫の誓約書の効力
不倫の誓約書を作成させれば、不倫の再発を抑制する力になり得るでしょう。
また、不倫問題が裁判で争われる場合、誓約書が不倫の証拠の1つとして認められる可能性があります。
不倫の証拠となる
不倫した側から誓約書を得ていれば、不倫された側にとって有利な証拠として活用できるでしょう。
たとえば、パートナーと離婚を協議したり、調停で和解を目指したりするとき、誓約書にパートナーが不倫を認めた事実が明記されていれば、証拠として提示できます。
不倫したパートナーは、離婚原因が自分にあると認め、離婚の条件を譲歩する可能性があるでしょう。
慰謝料支払いの証拠となる
誓約書に不倫慰謝料の金額、支払方法・期限が明記されていれば、不倫した側の不払いがあった場合、約束を破った明確な証拠となるでしょう。
さらに誓約書の中で、約束を破ったときの措置(例:訴訟提起・強制執行申立等)が明記されていれば、不倫された側は不払いを理由に、当該措置を実行できます。
再発防止策になる
不倫した側に誓約書を提出させれば、加害者側にプレッシャーとなり、再発防止の効果が期待できます。
たとえば、パートナーに次のような文言を入れるように要求しましょう。
- 不倫関係の解消を誓う旨
- 不倫相手と会わないだけでなく、メールや電話のやり取りもしない
- 約束を破ったときは、賠償金の支払いや離婚に同意する等
不倫した側に効果的なペナルティを明記しておけば、不倫の再発防止につながる可能性があります。
裁判の証拠になる
不倫した側と離婚訴訟や損害賠償(慰謝料)請求訴訟に発展した場合、誓約書を証拠の1つとして裁判所に提出できます。
誓約書を提出すれば「不倫した側が誓約書まで作成しておきながら、約束を破った」と、原告(不倫された側)が主張でき、裁判で有利に働く可能性があります。
不倫の誓約書に記載すべき項目
不倫した側に誓約書を書かせるときは、不倫の事実、謝罪文、慰謝料額等を具体的に記載させましょう。
誓約書の内容は、できれば不倫された側が弁護士と事前に相談し、必要な項目を決めたうえで、不倫した側に指示した方がよいです。
事実内容
誓約書には、パートナーや不倫相手が不倫していた事実を記載させましょう。たとえば、次のような文言です。
(例)
- 甲:不倫したパートナー
- 乙:不倫相手
「甲および乙は、令和3年2月1日から令和7年3月15日までの間、不貞関係にあった。甲は出張が増えたと家族に偽り、毎月のようにホテルで乙と密会し性行為を行った」
謝罪文
不倫した側が不倫された側に謝罪する文言を明記させましょう。たとえば、次のような文言です。
(例)
- 甲:不倫したパートナー
- 乙:不倫相手
- 丙:不倫された側
「乙は、令和3年2月1日から令和7年3月15日までの間、確かに丙の夫甲と不貞関係にあった。これについて謝罪する」
慰謝料額と求償権の放棄
不倫した側が支払う慰謝料の額も重要な記載事項です。
たとえば「150万円を指定金融口座に令和7年4月10日までに一括で支払う」と記載させましょう。
その場合、「求償権の放棄」を明記させる必要があることに注意しましょう。
求償権とは、たとえば、不倫相手が慰謝料全額を支払う場合、パートナーが本来支払うべき金額分まで支払うことになるため、その金額分を不倫相手がパートナーに請求できる権利です。
不倫された側が夫婦関係の継続を望む場合、不倫相手からパートナーに求償権を行使されると、夫婦の家計に支障が出るおそれもあります。
そこで、誓約書に求償権の放棄を明記させておく必要があるのです。
支払方法
誓約書には慰謝料の支払方法・回数も明記させましょう。
- 「慰謝料150万円は指定銀行口座に振り込む」
- 「支払回数は3回に分け50万円ずつ支払う」
不倫された側の都合のよい支払方法(例:銀行振込や手渡し、現金書留での郵送等)を指定しておきます。
また、支払回数も明記しておきましょう。慰謝料を一括で支払うか、分割で支払うかは事前に決めておくことが大切です。
支払期限
誓約書に支払期限を明記させないと、支払う側が支払いを先延ばしにする等、トラブルの原因となりかねません。
支払方法に合わせた明確な期限の記載が必要です。
- 一括払:「慰謝料は令和7年4月10日までに一括で支払う」
- 分割払:「慰謝料は令和7年5月・6月・7月の3回に分け、各月末までに支払う」
支払いが滞った場合の措置
誓約書には、慰謝料の支払いが滞ったときの措置も明記させましょう。
たとえば「慰謝料の支払いが滞った場合、債務者(不倫した側)は強制執行へ服する」と明記します。
ただし、この文言の記載だけでは、すぐ強制執行を求められるわけではなく、債権者(不倫された側)は、まず支払いを求めて訴訟を提起しなければなりません。訴訟で勝訴しないと強制執行の申立てができないことに注意しましょう。
関係の清算
誓約書で不倫関係の清算を誓わせましょう。清算を誓ったにも関わらず、再び不倫した場合、裁判になると不倫当事者側は極めて不利な状況となるでしょう。
清算すべき内容として2人で会うことの他に、LINE・メール・電話や手紙のやり取りもすべて行わないことを明記させた方がよいです。
口外禁止
不倫の事実について、口外しない旨を記載させましょう。
たとえば、自分の子どもが不倫相手から、「親と性的関係があった」などと知らされると、家庭崩壊に至る可能性もあります。
そのため、当事者に対し家族や第三者への口外はもちろん、インターネット掲示板やSNSでの口外も禁じます。
賠償金
約束を破った場合の措置についても、誓約書に明記させましょう。
たとえば、不倫当事者同士が再び会った場合、賠償金(違約金)を支払う、という措置が考えられます。
賠償金額はあまりに高額(数百万円等)だと、裁判で無効と判断される可能性があるので、数十万円程度で取り決めた方がよいでしょう。
清算条項
誓約書に明記した内容以外に、不倫した側が負う責任はない旨を明記します。
たとえば「本誓約書記載の他、本件に関し、債務責任がないことを確認する」と規定します。
当事者情報
誓約書には、不倫当事者を特定するための氏名、住所等を明記しておきましょう。
不倫当事者が約束を破った場合、スムーズに誓約書で定めた措置の実行へ移れます。
誓約書の最後に住所を記載し、署名・押印するのが一般的です。
不倫の誓約書をスムーズに作成するコツ
不倫の誓約書を不倫当事者に書かせると、できるだけ不利にならないようにと、内容をはぐらかされるかもしれません。
有効な誓約書を作成するために、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士への相談
不倫したパートナーやその相手に誓約書を書かせるときは、弁護士からのアドバイスやサポートを得て進めた方がよいです。
弁護士は主に次のようなアドバイスをします。
- 誓約書で何を記載させるか
- 誓約書に記載する項目の決定
- 公正証書にする有効性
- 不倫したパートナーが作成に応じない場合の対応
- 弁護士を代理人にするメリット
弁護士に代理人を依頼すれば、自分の代わりに不倫したパートナーや不倫相手に、誓約書の作成を求め、内容の確認もできます。
公正証書としての作成
公正証書とは、個人や法人からの依頼で、公証人が権限に基づき作成する公文書です。
誓約書を公正証書として作成しておけば、強力な証拠力を有する文書となります。
たとえば、公正証書に「債務者(不倫した側)が、本書に定めた義務の履行を怠れば、直ちに強制執行へ服する旨を受諾する」と明記(強制執行認諾文言付き公正証書)しておけば、慰謝料を支払わなかった場合、すぐに強制執行に移れるのです。
債権者(不倫された側)が訴訟提起を経ず、すぐに強制執行を申し立てられるので、債務者は強いプレッシャーを感じ、誠実に慰謝料の支払いを行うことでしょう。
不倫の誓約書作成なら春田法律事務所までご相談を
今回は数多くの不倫問題の解決に尽力してきた弁護士が、不倫の誓約書へ記載する項目等について詳しく解説しました。
春田法律事務所は不倫問題の解決のサポートに実績豊富な法律事務所です。誓約書をどのように作成させるか悩んでいるときは、弁護士の助言を得ましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。