不倫の誓約書とは?効力・文例・作成時の注意点を弁護士が解説

最終更新日: 2025年09月02日

不倫の誓約書とは?効力・文例・作成時の注意点を弁護士が解説

 配偶者の不倫が発覚したとき、頭に浮かぶのは「二度と繰り返させないために、何か約束を残せないか」という思いではないでしょうか。

そうした場面でよく使われるのが「不倫の誓約書」です。ただし、内容や書き方を誤ると、法的な効力がなかったり、逆に相手を刺激してしまったりするリスクもあります。

この記事では、不倫の誓約書に記載すべき内容、効力、注意点、作成方法、慰謝料や接触禁止の条項の有効性まで、弁護士が分かりやすく解説します。

結論から言えば、不倫誓約書はトラブル防止や慰謝料請求の根拠になる大切な書面です。
ただし、自作では不備が出やすく、法的に有効な内容とするには弁護士のサポートが不可欠です。

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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不倫の誓約書とは?

不倫の誓約書とは、配偶者やその不倫相手に対して、今後の行動や慰謝料の支払いなどを約束させる書面です。口頭での約束とは異なり、書面に残すことで証拠となり、法的トラブル時に備えることができます

たとえば「今後一切接触しない」「二度と不貞行為をしない」「違反した場合は〇〇円を支払う」などの文言を盛り込むことで、再発防止の効果が期待できます

ただし、内容によっては無効とされることもあるため、適切な書き方が重要です。

誓約書に記載すべき主な条項

不倫の誓約書に記載されることが多い代表的な条項は以下のとおりです。

  • 不貞行為の認定(いつ、どのような関係だったか)
  • 今後の関係断絶(不倫相手との連絡・接触禁止)
  • 再発防止の誓約(再び行えば慰謝料請求することの明記)
  • 慰謝料の金額と支払い方法(期限・振込先など)
  • 違反時のペナルティ条項(違約金など)
  • 合意の事実(強要されて書いたものではない旨)

特に慰謝料に関しては、将来的に請求トラブルが起きないよう、明確な金額・支払い期日を記載することが大切です。

また、「どちらかが一方的に書かせた」などと主張されないよう、署名や捺印、日付も必ず入れるようにしましょう。

不倫誓約書の文例

以下は、不倫相手または配偶者に差し入れる誓約書の一例です。状況に応じて調整する必要がありますが、弁護士にチェックしてもらうことで法的に有効な内容に整えることができます。

<誓約書 文例>

私は、〇〇(以下「甲」という)が、××(以下「乙」という)と婚姻関係にあることを知りながら、乙との間で不貞行為を行っていたことを認め、以下の事項を誓約します。

1.私は、乙との関係をすでに解消しており、今後一切、乙と直接または間接を問わず、連絡・接触を行いません。
2.私は、本件不貞行為によって甲が被った精神的苦痛に対し、慰謝料として金◯◯万円を、以下の方法で支払います。
 ・支払方法:◯年◯月末日までに、甲が指定する口座に一括で振り込む
3.私は、今後、上記1に反して乙と接触・連絡したことが判明した場合、甲に対し違約金として金◯◯万円を支払うことに同意します。
4.本誓約書は、甲および私の双方の自由意思により締結されたものであり、強要・脅迫によるものではありません。

令和◯年◯月◯日
誓約者氏名:◯◯◯◯(自署)
住所:◯◯◯◯
印:

※上記は一例です。内容によっては効力が認められない場合もあるため、個別の事情に応じて専門家に相談することをおすすめします。

誓約書の法的効力と注意点

誓約書には一定の法的効力があります。たとえば、不倫の事実を認めた上で慰謝料の支払いに合意した誓約書であれば、証拠価値が高く、裁判でも有利に働きます。

しかし、内容次第では効力が否定されることもあります。以下のような場合は注意が必要です。

  • 一方的に不利な内容(慰謝料額が常識を超えて高いなど)
  • 明らかな強要や脅迫があった場合
  • 公序良俗に反する内容(過度な制約や私生活への干渉)

また、「接触禁止」や「二度と会わない」などの条項は、民事上の拘束力はあっても、実際の強制力は弱いです。

違反があった場合の「違約金」などをあらかじめ設定しておくと、一定の抑止力になりますただし、この場合も内容次第で無効とされることがあるため、専門家のチェックを受けることが安心です。

弁護士に相談するメリット

誓約書は自作も可能ですが、内容の不備や法的無効リスクを避けるためには、弁護士に依頼するのが確実です。
弁護士に相談することで、以下のようなサポートが受けられます。

  • 誓約書の作成・チェック(自作した書面の添削も可)
  • 慰謝料請求の代理交渉・示談書作成
  • 不倫相手とのやり取りの代行・接触禁止の交渉
  • 公正証書化の支援
  • 再発防止策のアドバイス

弁護士に依頼することで、誓約書が単なる紙切れではなく、再発防止と精神的安心の強い味方になります。

よくある質問(FAQ)

Q:不倫の誓約書は必ず作らなければいけませんか?

必須ではありませんが、再発防止やトラブル回避のためには非常に有効な手段です。特に、後から「そんな話は聞いていない」と言われることを防ぐ効果があります。

Q:誓約書だけで慰謝料の請求はできますか?

はい、できます。ただし、具体的な金額や支払い条件を明記しておくことが重要です。不明確な内容だと、請求時に争いになる可能性があります。

Q:誓約書を相手が破った場合、どうすればいい?

内容次第では、違約金請求や慰謝料の追加請求が可能です。証拠として有効になるため、破られたことを示す証拠も同時に確保しておきましょう。

Q:誓約書を弁護士に依頼するメリットは?

法的に有効な内容で作成できること、感情的な対立を避けられること、公正証書化できることなどが大きなメリットです。自己判断で作るより安心です。

Q:相手が誓約書にサインしてくれない場合は?

無理に書かせることはできません。その場合は慰謝料請求や交渉を弁護士に依頼することが現実的な対応となります。

まとめ

不倫問題を乗り越えるには、感情だけでなく、冷静で確実な対応が必要です。誓約書はその第一歩となり得ますが、内容次第で意味のないものにもなりかねません。

法的に効力ある書面を作成し、精神的にも安心したい方は、弁護士への相談がもっとも効果的な手段です。

問題をこじらせる前に、早めに専門家のサポートを受けることをおすすめします。

 

 

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