別財布でも財産分与は必要?共働き夫婦の対象・注意点・進め方を弁護士が解説
最終更新日: 2026年06月22日

共働きでお互いの収入を別々の口座で管理していると、「自分で稼いだ分は自分のもの」と感じる方も少なくありません。
しかし離婚の場面では、別財布にしていた場合でも婚姻中に形成した財産は原則として共有財産となり、財産分与の対象になります。
本記事では、共働き別財布の夫婦が離婚する際の財産分与の対象・対象外の整理から、別財布特有の注意点、揉めやすいポイントと対処法、進め方のステップ、弁護士に依頼するメリットまでを弁護士が詳しく解説します。
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「別財布=財産分与なし」は誤解。共有財産の考え方
共働き夫婦の中には、「お互いが自分の収入を自分の口座で管理しているから、離婚しても財産分与は関係ない」と考える方が少なくありません。しかしこれは誤解です。
財産分与の対象となるのは、口座が別々かどうかではなく「婚姻中に夫婦が協力して形成した財産(共有財産)」かどうかです。
共働きで各自が管理していた預貯金・積立・投資であっても、婚姻中に得た収入から形成されたものであれば、原則として共有財産として財産分与の対象になります。
また、財産分与には3種類あります。
- 清算的財産分与:
婚姻中の財産形成への貢献に応じて公平に分配する(最も一般的) - 扶養的財産分与:
離婚後の生活が困難な一方に対して経済的支援を行う - 慰謝料的財産分与:
精神的苦痛への慰謝料を含めて分与する
共働き夫婦の場合、清算的財産分与が中心となります。原則は2分の1ずつですが、合意があれば割合は自由に変更できます。
別財布にしている夫婦の財産分与の対象・対象外
別財布の場合、それぞれの口座に何が入っているかによって、財産分与の対象になるかどうかが変わります。以下の表を参考に、自分たちの財産を整理してみましょう。
財産分与の対象になる(共有財産) | 財産分与の対象外(特有財産) |
婚姻中の給与・賞与から形成した預貯金 | 婚姻前から所有していた預貯金 |
婚姻中に購入・取得した不動産 | 婚姻前に購入した不動産 |
婚姻中に購入・積み立てた株式・投資信託 | 相続・贈与で取得した財産(婚姻中を問わず) |
婚姻中に加入した生命保険の解約返戻金 | 婚姻前に加入した保険の婚姻前の積立分 |
婚姻中に形成した退職金(勤続年数で按分) | 一方が個人として受け取った損害賠償(慰謝料など) |
婚姻中に購入した自動車・家電などの動産 | 婚前に購入した自動車・家電などの動産 |
特有財産と共有財産が混在している(例:婚前の預貯金を婚姻中の口座に入金した)場合は、出所を証明できれば特有財産として除外できます。
特有財産の判定基準については、こちらの記事で詳しく解説しています。
別財布にしている夫婦特有の3つの注意点
注意点1:互いの財産状況を把握していないケースが多い
別財布で管理していると、相手がどれだけの預貯金・投資・保険を持っているか把握していないことがほとんどです。
財産分与の交渉では、まず共有財産の全体像を把握することが出発点となりますが、これが難しいケースが多くあります。
弁護士に依頼すれば、弁護士会照会を通じた金融機関への残高照会や、調停手続を通じた財産開示が可能です。
注意点2:口座の混在で特有財産の立証が複雑になる
婚前の貯蓄と婚姻中の給与が同じ口座で管理されている場合、どこまでが特有財産でどこからが共有財産かの区別が複雑になります。
通帳の履歴・婚姻日・入出金記録をもとに丁寧に整理する必要があります。
注意点3:離婚協議開始後の財産移動に注意
別財布にしている場合、相手が協議開始後に資金を移動・使い込みしても気づきにくいリスクがあります。
財産分与の基準時(別居時または離婚成立時)を念頭に、早めに資産状況を記録・保全しておきましょう。
共働き夫婦が財産分与で揉めやすいポイントと対処法
揉めやすいポイント | 対処法・主張のポイント |
収入差があるのに2分の1は不公平と主張される | 原則は2分の1。ただし夫婦が合意すれば割合変更は可能。収入差のみを理由とした裁判所による割合変更は認められにくい |
家事担当が少ない側の貢献度を低く見られる | 家事・育児は経済的貢献と同等に評価される(専業主婦と同様の原則が適用される)。家事の実態を示す記録が有効 |
「自分で稼いだお金は自分のもの」と主張される | 婚姻中の収入から形成した財産は共有財産。この主張は法的に認められない |
婚前からの資産と婚姻中の積立が混在している | 通帳履歴・婚姻日を基準に入出金を整理し、婚前分を特有財産として主張する |
退職金・企業年金の扱いで意見が分かれる | 勤続年数のうち婚姻期間に対応する分が財産分与の対象。按分計算の方法を弁護士と確認する |
別財布の共働き夫婦が財産分与を進めるステップ
ステップ1:共有財産・特有財産をリストアップする
まず、婚姻中に形成した共有財産と、婚姻前から持っていた特有財産を分けてリスト化します。預貯金・不動産・車・保険・株式・退職金見込み額を書き出し、それぞれの取得時期・出所を整理しましょう。
相手の財産が不明な場合は、協議の場で財産目録の提示を求めるか、弁護士を通じて調査を依頼します。
ステップ2:分与割合・方法を協議する
原則の2分の1を基本としながら、特有財産の除外・貢献度の差・退職金の按分など、個別事情を反映した割合を話し合います。合意できた内容は「離婚協議書」または公正証書として残してください。
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に財産分与請求調停を申し立てます。
ステップ3:支払い方法を決める
現金一括・分割払い・不動産の現物分割(売却して分ける or どちらかが取得して代償金を払う)など、財産の種類に応じた支払い方法を合意します。不動産が関わる場合は登記手続きも必要です。
財産分与をゼロにしたい・減らしたい場合は?
「共働きだからそれぞれが自分の財産を持ち続けたい」という場合、夫婦の合意があれば財産分与をしないことも可能です。ただし合意なしに一方的に拒否することはできません。
財産分与をゼロまたは最小限にする方法・手順については、こちらの記事で詳しく解説しています。
別財布の共働き夫婦が弁護士に相談するメリット
相手の財産を漏れなく把握できる
別財布で管理している場合、相手の財産全容が不明なまま交渉すると、本来受け取れるはずの財産を見落とすリスクがあります。
弁護士は弁護士会照会・調停手続を活用して、相手の口座・保険・株式・退職金などを調査できます。
特有財産・共有財産の仕分けを正確に行える
婚前資産と婚姻中の資産が混在している場合、どの財産がどちらに属するかの判断は専門知識が必要です。
弁護士が通帳履歴や取得時期をもとに整理し、適切な除外主張を行います。
交渉・調停・裁判を一貫してサポート
協議で合意できない場合でも、調停・審判・訴訟へのシームレスな移行が可能です。
共働き夫婦特有の退職金按分・投資資産の評価方法など、複雑な論点も一貫して対応します。
よくある質問(FAQ)
Q. 別財布にしていても、相手の口座の財産を財産分与で請求できますか?
A. できます。相手が自分名義の口座で管理していても、婚姻中の収入から形成された財産であれば共有財産です。相手が任意に開示しない場合は、調停手続や弁護士会照会を通じた調査も可能です。
Q. 収入が多い方が財産分与を多く取れますか?
A. 原則として取れません。財産分与の割合は収入差ではなく、婚姻中の財産形成への貢献度に基づきます。一般的な共働き夫婦では2分の1ずつが原則で、収入差のみを理由に割合が変わることは通常ありません。
Q. 婚前から持っていた株式・投資信託も財産分与の対象になりますか?
A. 婚姻前に取得した株式・投資信託は特有財産です。ただし、婚姻中に追加購入した分や、婚姻中の配当・利益の再投資分は共有財産と判断される可能性があります。取得時期と金額の記録を残しておくことが重要です。
Q. 退職金はまだもらっていなくても財産分与の対象になりますか?
A. 対象になります。退職金見込み額のうち、婚姻期間中の勤続年数に対応する部分が財産分与の対象です。将来の退職金が確実に支払われる見込みがある場合に認められます。計算方法は弁護士にご確認ください。
Q. 離婚後に相手の隠し財産が発覚したらどうすればいいですか?
A. 離婚成立から2年以内であれば、財産分与請求調停を申し立てることができます。ただし2年を過ぎると請求権が消滅する除斥期間があるため、発覚次第すぐに弁護士に相談してください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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