更新拒絶は可能?賃貸物件の大家が抑えておきたい法的知識を弁護士が解説

2022年01月27日

更新拒絶は可能?賃貸物件の大家が抑えておきたい法的知識を弁護士が解説

  • 更新拒絶とはどのようなことを言うのだろうか
  • 大家の立場から入居者に更新拒絶をするのは可能なのか
  • 更新拒絶をスムーズに進める方法を知りたい

所有する賃貸物件の老朽化が進んでいる・今は人に貸しているが大家自身がその賃貸物件への居住を考え始めたなど、理由は様々ですが入居者の契約を更新拒絶する場面が出てくる可能性は否定できません。

今回は、更新拒絶とは何かにはじまり、大家が更新拒絶することができるのか、更新拒絶が可能なケース・スムーズに進める方法を解説します。

この記事を監修したのは

篠田 匡志
弁護士篠田 匡志
第一東京弁護士会 所属
経歴
立教大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院 卒業
金沢市内の総合法律事務所 勤務
春田法律事務所 入所

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更新拒絶とは何か

更新拒絶とは、建物賃貸借において大家が入居者に対し、期間満了の1年前から6か月前の間に契約を更新しない旨を通知することを言います。一般的な建物の賃貸借においては、契約は期間満了と同時に終了するものではなく、更新しない旨の通知がなければ、これまでの契約と同じ条件で契約を更新したものとみなされます(借地借家法第26条第1項)。

つまり、更新拒絶をしなければ自動的に賃貸借契約が更新されることになります。

したがって、期間満了とともに契約更新を行なわない場合は、上記の期間内に入居者へ対して通知することが必要が必要です。

大家からの更新拒絶は可能なのか

入居者の更新を行なわないようにするためには更新拒絶が必要になります。しかし、一般的には原則として大家からの一方的な更新拒絶は法律上できないことになっています。

これは、大家の一方的な理由によって入居者が突然に借家を失ってしまうリスクを避けるために、入居者の保護を目的としたルールが定められているためです。

賃貸借契約には「普通賃貸借契約」と「定期借家契約」の2種類があります。

普通賃貸借契約では、契約期間が決まっているものの更新が可能であり、通常、契約期間満了前に当事者間で更新契約を締結して、前の契約と同条件で契約を更新しています。

また、更新契約をしなかったとしても、契約期間が満了する6か月~1年前に正当事由のある更新しない旨の通知を行なわなければ「法定更新」によって賃貸借契約は存続します。

一方、「定期借家契約」とは、定められた期間の経過とともに契約が終了する賃貸借契約であり、契約上更新が予定されておらず、借地借家法の法定更新の適用もありません。定期借家契約において賃貸借を継続するためには、大家・賃借人双方の合意の上で再契約をする必要があります。

更新拒絶が可能な4つのケース

法定更新において大家から一方的に更新拒絶を行なう場合は「正当事由」が必要です。正当事由は、借地借家法第28条によって詳細が定められています。

更新拒絶が可能なケースとして、以下の4つがあります。

  • ケース1:大家自身が建物の使用を必要とする
  • ケース2:入居者に債務不履行がある
  • ケース3:建物の現況と利用状況
  • ケース4:財産上の補償をする

1つずつ見ていきましょう。

ケース1:大家自身が建物の使用を必要とする

更新拒絶が可能なケースの1つ目は、大家自身が建物の使用を必要とするケースです。

生活の困窮などにより、大家が対象建物を使用する必要性がある場合は更新拒絶を行なうことができます。「使用を必要とする場合」にあたるのは、「居住する場合」と「営業で使用する場合」の2つです。

居住する場合で必要性が認められた過去のケースでは、大家が高齢で身体の不調によって家族と同居して老後の面倒を見てもらうために、対象建物への入居が必要であると認められた判例があります。(東京地判平成21・3・12)

営業で使用する場合では、大家が獣医医院の開業を検討しており、動物を扱うため対象建物以外の場所での開業が事実上不可能であることが認められたケース(東京地判昭和55・8・15)や、大家が経済的に困窮しており、収入を確保するために対象建物でパチンコ営業をする必要がある場合(東京高判昭和60・4・19)などがあります。

ケース2:入居者に債務不履行がある

更新拒絶が可能なケースの2つ目は、入居者に債務不履行があるケースです。

たとえば「家賃を何度も滞納している」といったような場合は、大家からの更新拒絶が可能になります(※大家から一方的な債務不履行解除も認められることもあります。)。

また、「借主が無断で建物を改装した」「周りの人に著しく迷惑をかけている」といったような場合も、更新拒絶が可能になります。

ケース3:建物の現況と利用状況

更新拒絶が可能なケースの3つ目は、建物の現況と利用状況です。

倒壊の危険性があるような著しく老朽化が進んでいるような場合は、建て替えの必要性が認められるために更新拒絶が可能になることがあります。しかし、老朽化してはいるものの耐震構造等を施せば安全性が確保できるような場合は、他の事由が必要になることもあります。

ケース4:財産上の補償をする

更新拒絶が可能なケースの4つ目は、財産上の補償をするケースです。

これは上記の3つの場合を最終的に補完する要素とされており、いわゆる立ち退き料を払うことによって大家・賃借人双方の同意を得る場合がよくあります。

また、金銭的な補償以外にも、大家の方から明渡し請求に際して対象建物に代わる代替不動産を用意している場合などは、正当事由が認められやすくなります。

更新拒絶を争いなくスムーズに行なうための方法

更新拒絶を争いなくスムーズに行なうための方法は以下の3つです。

  • 法律で定められた期間に更新拒絶の通知を送る
  • 更新拒絶に該当する正当事由を十分に検討し慎重に進める
  • 更新拒絶の交渉に慣れている弁護士に依頼する

1つずつ見ていきましょう。

法律で定められた期間に更新拒絶の通知を送る

1つ目は、法律で定められた期間に更新拒絶の通知を送ることです。

更新拒絶が法律上の効力を発揮するためには、前提として法律で定められた期間に入居者へ通知を送る必要があります。

以下、賃貸借契約の期間が定められている場合と定められていない場合に分けてご解説します。

期間の定めのある契約

契約に期間の定めがある場合は、大家は契約期間満了日の1年前から6か月前に「契約を更新しない」旨の通知を借主に送る必要があります。この期間に通知を送らなかった場合は契約が法定更新されることになるため注意が必要です(借地借家法第26条1項)。

なお、更新拒絶の通知は、確実に通知したことの記録を残すため、配達証明付きの内容証明郵便を利用して行ないます。また、更新拒絶の通知を行なった場合でも、契約期間満了後に借主が継続して建物を使用しているときは、大家は遅滞なく反対の意思表示を行なう必要があります(借地借家法第26条2項)。

期間の定めのない契約

契約に期間の定めがない場合は、原則としていつでも解約の申入れが可能です。もちろん、解約申し入れには、大家側の正当事由が必要です。

この場合は、解約申入れを行なってから6か月経過した時点で契約が終了することになります(借地借家法第27条1項)。なお、契約の期間に定めがある場合と同様に、契約期間満了後に借主が継続して建物を使用している場合は、大家は遅滞なく反対の意思表示を行なう必要があります(借地借家法第27条2項)。

更新拒絶に該当する正当事由を十分に検討し慎重に進める

2つ目は、更新拒絶に該当する正当事由を十分に検討し慎重に進めることです。

更新拒絶を行なうときには「正当事由」が必要になりますが、借地借家法第26条は借主保護の観点が強い決まりであるため、大家側の正当事由を主張するためには現状が十分な事由にあたるのかどうかを慎重に検討していく必要があります。

基本的には、大家側と入居者側のそれぞれにおいて、その建物を使用する必要性がどれくらいあるのかを検討した上で正当事由にあたるかどうかを判断されます。

そして、その比較だけではどちらの必要性が重いか判断できない場合に、立ち退き料など、その他の補充的な要因を加えて検討されることが一般的です。

更新拒絶の交渉に慣れている弁護士に依頼する

3つ目は、更新拒絶の交渉に慣れている弁護士に依頼することです。

費用はかかりますが、更新拒絶の案件を得意としている弁護士に依頼するのは解決までの流れがスムーズな方法と言えます。正当事由を判断するためには、過去の膨大な判例をふまえて主張を検討していく必要があり、この作業については、専門家である弁護士に依頼するのがおすすめです。

実際には、裁判まで至らずに立ち退き料を払って大家・賃借人間で合意・和解を得られるケースも多くあるため、お悩みの場合は一度相談してみることをおすすめします。

まとめ

今回は、更新拒絶とは何かにはじまり、大家が更新拒絶することができるのか、更新拒絶が可能なケース・スムーズに進める方法を解説しました。

更新拒絶を行なうためには、いくつかの条件を満たしている必要があり、特に「正当事由」の判断については、過去の判例をふまえた上でその事案に適した説得力ある主張を行なうことが必要になります。過去の判例についてはインターネットを通しても情報収集ができますが、自信を持って主張するには、専門家の力を借りることがおすすめです。

当事務所では、フリーダイヤルを設置し、無料相談も行なっています。SkypeやLINEでの相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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篠田 匡志
弁護士篠田 匡志
第一東京弁護士会 所属
経歴
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