家賃滞納者に督促状を確実に送る方法!ステップ・注意点を徹底解説

2024年11月12日

家賃滞納者に督促状を確実に送る方法!ステップ・注意点を徹底解説

  • 賃借人の家賃の支払いが滞っている。家賃支払いを要求するよい方法はないか?
  • 賃借人にメールや電話で家賃支払いを要求しても応じない、やはり督促状を送付した方がよいのだろうか?
  • 賃借人に内容証明郵便を送ると、どのような効果があるか?

賃借人が家賃を滞納しているため、何とか支払いを再開させたい賃貸人は多いでしょう。

まずは賃借人に自主的な家賃支払いを促し、しばらく様子をみる必要があります。

そこで今回は、賃貸借問題の解決に携わってきた専門弁護士が、家賃滞納者に督促状を送る手順・督促状を送るときの注意点等について詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 督促状を送る前に、電話やメール等で家賃を支払うよう説得する
  • 督促状を送付しても賃借人の反応がない場合は、内容証明郵便で催告書を送る
  • 賃貸借問題に詳しい弁護士と相談しながら、家賃の支払いを説得した方がよい

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

家賃滞納者へ督促状を送る前にすべき連絡

家賃を滞納している賃借人にいきなり督促状を送付すれば、驚いてしまうかもしれません。

「今月はなぜか指定期日に家賃が支払れていない」「初めて口座引落で家賃を回収できなかった」等、1回程度の滞納の場合は「賃借人は支払いを忘れているのだろう」と考え、連絡を取ってみましょう。

電話

賃借人に電話で支払いを要求します。賃借人への電話では、激しい口調で支払いを要求せず、落ち着いた口調で支払いを促しましょう。

賃借人が支払日を忘れていた場合は、すぐに家賃を指定口座や毎月引き落とされている自分の口座に入金する可能性があります。

電話をしても繋がらないときは、メールや郵送等による支払い要求を検討しましょう。

メール

賃借人のメールアドレスがわかるときは、メールで家賃の支払いを促すのもよい方法です。

文面はなるべく穏やかに、簡潔にまとめます。メールで連絡を行う時点では「〇月〇日までに支払わないと、賃貸借契約を解除する」というような、プレッシャーを与える文言は避けましょう。

賃借人がメールを確認すれば、すぐ賃料の支払い準備を進める可能性があります。

SMS

賃借人のスマートフォンの電話番号がわかるときは、SNSのメッセージ機能を利用して、家賃の支払いを促してみるのもよいでしょう。

賃借人が若ければ、スマートフォンを利用しており、頻繁にメッセージを確認している可能性があります。

ただし、スマートフォンの電源をOFFにしている場合などは、メッセージになかなか気付かないかもしれません。

郵送

視認性の高さでは、賃借人に自宅に届いた郵便物を見てもらう手紙による家賃の支払い要求が効果的です。

ただし、文面作成の手間や、郵送料もかかるため、家賃支払いを何回も要求する場合には向いていません。

また、賃借人が郵便受けをよく確認せず、貯まったチラシと共にうっかり捨ててしまう懸念もあります。

家賃滞納者に督促状を送るステップ

賃借人が家賃を滞納し何らの対応も行わない場合、賃貸人は督促状を送り、自主的な家賃支払いを促しましょう。

賃貸人が働きかけても、賃借人の家賃滞納が継続している場合は、最終的には法的措置で解決を図るしかありません。

通知

まず電話やメール・SNS・手紙で、家賃の支払いを促しましょう。

滞納が数日〜1週間程度の場合、賃借人は家賃支払いを忘れている可能性があります。

家賃支払いは、冷静な口調や平易な文面で促す方がよいです。

ただし、1日に何度も支払いを促すと、賃借人から「賃貸人からの嫌がらせだ」と誤解される懸念があります。

督促状の送付

電話やメール・SNS・手紙でも、賃借人と連絡が取れず、家賃が支払われないときは、家賃が支払われていない事実と支払い要求を記載した「督促状」を送付しましょう。

家賃の支払い期日を1週間以上経過したタイミングで、まずは1回目の督促状を賃借人に送ります。

督促状を送付後も賃借人と連絡が取れず、家賃支払いも行われないときは、家賃の支払期日から1か月後を目安として2回目の督促状を送りましょう。

2回目の督促状を送付する場合、家賃滞納の状況と支払金額・支払期限の他、連帯保証人や家賃保証会社へ連絡する旨を明記します。

賃借人の反応があるまで督促状を何度も送付するのではなく、2回目の督促状でも家賃支払いがなければ、催告書の準備に移りましょう。

連帯保証人への連絡

賃借人の連帯保証人に連絡を取りましょう。連帯保証人は賃借人(主債務者)と連帯して債務の履行を保証する人です。

そのため、連帯保証人に滞納分の家賃を支払うよう請求できます。

賃借人の親や兄弟姉妹を連帯保証人にしているケースも多く、その場合は連帯保証人からの連絡の方が、賃借人につながりやすい可能性があります。

賃借人が家賃保証会社と保証契約を締結していることもあるでしょう。その場合は、家賃保証会社に家賃の支払いを請求しましょう。家賃保証会社は、迅速に滞納分の家賃支払いに応じる可能性が高いです。

連帯保証人や家賃保証会社から滞納分の家賃を回収できれば、賃借人への催告書の送付は不要です。

催告書の送付

賃借人や連帯保証人に催告書を送付するときは、「滞納分の家賃を支払わなければ、賃貸借契約を解約する」旨を記載し、「内容証明郵便」で送付しましょう。

内容証明郵便は、郵便の内容と差出人や宛先を郵便局が証明するサービスです。

内容証明郵便自体に法的な強制力があるわけではありません。指定期日を過ぎても家賃が支払われないからといって、いきなり強制執行のような方法は取れません。

内容証明郵便は、賃借人に送付する内容文書1通の他、謄本2通を作成します。

内容証明郵便で催告状を送付すれば、法的措置を裁判所に申し立てるときに、賃借人へ催告していた証明になります。

法的措置

内容証明郵便で催告書を送付後、指定の期日までに家賃が支払われなかったときは、賃借人との賃貸借契約を解約しましょう。

解約後は賃借人を賃貸物件から立ち退かせるため、賃貸物件の所在地を管轄する裁判所に、「明け渡し請求訴訟」を提起します。

ただし、家賃滞納期間が3か月未満である場合、裁判所は賃貸人の主張を認めない可能性が高いでしょう。

そのため、家賃滞納期間が3か月に満たない間は賃借人側と交渉を継続し、3か月経過した後に訴訟提起を進めましょう。

訴訟で賃貸人の主張が認められ、賃借人に明け渡しを命じる判決が言い渡されても退去しない場合は、強制執行の申し立てが可能です。

家賃滞納者へ送る督促状の書き方

家賃を滞納している賃借人に対し、文書で支払いを促すときは、滞納期間をよく確認しましょう。

  • 1回目の督促状→家賃の支払要求と賃借人と連絡を取りたい旨を明記
  • 2回目以降の督促状→家賃の支払要求・支払期日の指定、連帯保証人等への連絡を明記

1回目・2回目以降に分け記載内容を工夫しましょう。

1回目の督促状の書き方

1回目の督促状では、主に家賃の支払いが確認できない点、賃借人と連絡を取りたい旨の内容を記載し送付します。

【記載例】

毎月の賃料のお支払い、いつもお世話になっております。

〇〇様に入居いただいている、〇〇〇号室の賃料についてご連絡させていただきます。

毎月の賃料は口座振替(または引落等)でお支払いいただいておりますが、〇月分のお支払いの確認ができませんでした。

大変お手数ではありますが、内容をご確認いただき下記の振込先へ入金をお願いいたします。

なお、本状と行き違いになっておりましたら、ご容赦くださいませ。

ご不明な点がございましたら、貸主〇〇までご連絡をお願いいたします。

2回目以降の督促状の書き方

2回目の督促状では具体的に支払期限を指定し、期限までに入金が確認できなければ、連帯保証人または家賃保証会社に連絡する旨を明記しましょう。

【記載例】

〇〇様へ賃料のお支払いを以前ご連絡しましたが、〇〇〇号室の賃料が滞納となっており、現在ご入金の確認ができておりません。

何卒、〇月〇日までに下記の振込先へご入金をよろしくお願いいたします。

なお、期日までにご入金が確認できない場合、連帯保証人(または家賃保証会社)様に連絡させていただきますので、ご了承ください。

家賃滞納者への督促状を送るときの注意事項

賃借人が家賃を滞納しているからといって、いきなり賃借人に支払いを迫ったり、感情的になったりすると、深刻なトラブルが発生するかもしれません。

督促状には、明確かつ簡潔に支払い要求である旨を記載し、賃借人を威圧するかのような記載内容は控えましょう。

送付相手を間違えない

督促状の送付先は、賃借人本人や連帯保証人に限定されます。

賃借人の親族であっても、連帯保証人になっていなければ、督促を行ってはいけません。

たとえば、賃借人の家族に連帯保証人の父親の他に、母親や兄弟姉妹がいても、督促の対象となるのはあくまで賃借人本人と連帯保証人である父親のみです。

これは内容証明郵便で催告書を送る場合も同様です。

脅迫行為をしない

賃借人の家賃滞納に怒って、脅迫するかのような督促状を送付することはNGです。

たとえば「家賃を支払わなければ、実力で玄関をこじ開け、家財道具を没収する」「賃借人ごと建物を取り壊す」等の内容は脅迫行為になります。

賃借人は、脅迫めいた督促状が原因で精神的苦痛を受けた場合、賃貸人に対し損害賠償を請求する可能性があります(不法行為責任)。

賃借人によって刑事告訴され、賃貸人が脅迫罪に問われるおそれもあるでしょう。

連絡時間に注意する

賃借人と直接連絡を取る場合は、連絡時間に注意しましょう。

次のような方法は、賃借人から嫌がらせとみなされてしまうおそれがあります。

  • 賃借人宅に何度も押しかけて督促する
  • 1日に何回も電話やメールで家賃支払いを要求する
  • わざと早朝や深夜に電話をかけたり訪問したりして、賃借人にプレッシャーをかける

上記のような行動によって、賃貸人は不法行為責任を問われる場合があります。

弁護士への相談

賃貸借トラブルの解決に実績豊富な弁護士へ、督促に関する相談を行ってみましょう。

弁護士は賃借人の家賃滞納の状況をヒアリングし、次のような提案を行います。

  • 督促状を作成するときのポイント
  • 催告書を送付するタイミング
  • 督促状や催告書を送っても拒否された場合の対応
  • 勝訴が可能か 等

督促状を送付し、賃借人の反応を確認しつつ、弁護士と今後の対応の仕方を協議しましょう。

家賃滞納者に督促状を送るなら弁護士に相談を

今回は賃貸借問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、督促状を作成するコツ、記載例等を詳しく解説しました。

督促状を送付するときは、高圧的な文面とならないように注意し、冷静に記載内容を検討しましょう。

法律事務所の中には初回相談を無料で受け付けている事務所もあります。賃借人の家賃滞納に悩むときは、弁護士と今後の対応について相談しましょう。

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