離婚が認められる別居期間は何年?失敗しないためのポイントを弁護士が解説
最終更新日: 2024年11月08日
- 離婚前に別居期間を設けるべきなのだろうか
- 離婚理由として認められる別居期間はどれくらいなのか
- 早く離婚したいけど別居期間が短い場合に気をつけるポイントを整理したい
離婚前に別居している夫婦は珍しくありません。別居期間が長いと、それも離婚の理由として認められる可能性があります。
離婚理由として認められる別居期間はどのくらいなのか気になる方もいるでしょう。また、別居期間が短くても直ぐに離婚することはできるのか、その場合、どのようなポイントに気をつければよいか気になる方も多いでしょう。
そこで今回は、離婚問題に詳しい専門弁護士が、離婚前に別居期間を設けるべきケースや離婚理由として認められる別居期間などについて解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 離婚前に別居期間を設けるべきケースは、「モラハラ・DVを受けている」「子供が虐待を受けている」「相手が別れてくれない」などがある
- 離婚理由として認められる別居期間は、有責配偶者(離婚原因を作った側)でなければ2〜5年が目安
- 離婚したいが別居期間が短い場合に気をつけるべきポイントは、「協議離婚での離婚が理想」「無断の家出は原則NG」「別居中の異性交際もNG」の他に3つある
離婚前に別居期間を設けるべきケース
ここでは、離婚前に別居期間を設けるべきケースについて、以下の3つを解説します。
- モラハラ・DVを受けている
- 子供が虐待を受けている
- 相手が別れてくれない
それでは、1つずつ解説します。
モラハラ・DVを受けている
1つ目は、モラハラ・DVを受けているケースです。
モラハラ・DVを受けている状態では、同居を続けると危険な上に離婚に向け対等な話し合いを行うことも困難です。そのため、別居期間を設けるようにしましょう。
子供が虐待を受けている
2つ目は、子供が虐待を受けているケースです。
相手が子供を暴力や暴言で虐待し続けている場合は、一刻も早く別居しましょう。子供を守ることになります。
相手が別れてくれない
3つ目は、相手が別れてくれないケースです。
相手が別れてくれないケースも、相手に離婚の意思を伝えるため、別居期間を設けることが有効と考えられます。また、長期間別居していれば、裁判でも夫婦関係はすでに破綻していたことを示す材料になる可能性があります。
裁判で離婚が認められる別居期間の目安
裁判で離婚が認められるためには、一般的にはある程度の期間、夫婦が別居していることが必要です。
ただし、夫婦関係が悪化した原因によっては、短期間の別居でも認められる可能性はあります。
ここでは、一般的には期間が長くなるほど認められるが、短い場合でも認められる状況があることの2点について解説します。
期間が長くなるほど認められる
夫婦の別居期間が5年以上にわたり継続しているならば、裁判所から「夫婦関係の修復や、婚姻の継続は難しい」と判断される可能性が高いです。
なお、別居期間が長くとも、その状況だけで離婚が必ず認められるわけではありません。裁判所は次のような事実も考慮し、離婚が妥当かを判断します。
- 婚姻期間に対し別居期間はどのくらいか
- 離婚しても子供の養育に影響はないか(子供が自分で生計を立てているか)
- 離婚により夫婦のどちらかの生活が困窮しないか 等
様々な事情を考慮し問題があれば、離婚は認められないこともあるので注意しましょう。
短い場合でも認められる状況
夫婦の別居期間が5年未満の場合、別居を理由とした離婚は裁判所から認められない可能性が高くなります。裁判所は「短期間の別居なら、まだ夫婦関係の修復が見込める」と判断するでしょう。
ただし、次のような事情があれば、別居期間が1年程度でも離婚は認められる場合もあります。
- 配偶者があなた以外の異性と不倫関係となった(不貞行為)
- 配偶者があなたや子供に暴言を吐いたり、暴力を振るったりする(DV)
不貞行為やDV等を行った配偶者は、自ら離婚の原因を作った「有責配偶者」です。有責配偶者は、原則として自分から離婚の訴えを家庭裁判所に提起できません。
離婚を別居期間中に成功させるためのステップ
別居期間が継続する中で、離婚成立を目指したいのであれば、自分の力だけでなく法律のプロのサポートを受けた方がよいです。
次の方法をよく検討しましょう。
- 婚姻費用の請求
- 弁護士への相談
それでは、1つずつ解説します。
婚姻費用の請求
婚姻費用の分担を配偶者に請求しましょう。
あなたよりも配偶者の収入が高い場合、婚姻費用を請求するのは当然の権利です。
あなたが専業主婦(主夫)やパート従業員の場合、別居後に安定した収入を確保することは難しいでしょう。そこで離婚成立まで、不足する生活費等の支払いを配偶者に求められます。
法律では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と規定されています(民法第752条)。
たとえ別居期間中でも、互いに生活を支え合う義務があるので、配偶者に婚姻費用を請求できます。
配偶者が離婚の話し合いを拒んでいても、婚姻費用の負担に耐えかねて、協議に応じる可能性もあるでしょう。
弁護士への相談
離婚の協議や裁判に詳しい弁護士へ相談してみましょう。
弁護士は、あなたの希望や悩みをヒアリングし、次のようなアドバイスを提供します。
- 別居前ならば、別居の手順や注意点を説明
- あなたの経済状況を踏まえた妥当な婚姻費用の請求金額の提示
- 別居してからの話し合いによる離婚手続きの進め方・コツ
- 協議が失敗した場合の調停・裁判の手続き方法
弁護士に配偶者との話し合いのサポートを任せたい場合は、そのまま契約するとよいでしょう。契約締結後、弁護士はあなたの代理人として配偶者との交渉を開始します。
短い別居期間での離婚を進めるポイント
ここでは、早く離婚したいが別居期間が短い場合に気をつけるべきポイントについて、以下の6つを解説します。
- 協議離婚での離婚が理想
- 無断の家出は原則NG
- 別居中の異性交際もNG
- 離婚事由となる証拠を押さえる
- 協議で解決できなければ調停
- 離婚問題に詳しい弁護士に相談
それでは、1つずつ解説します。
協議離婚での離婚が理想
ポイントの1つ目は、協議離婚での離婚が理想であることです。
協議離婚であれば、夫婦の話し合いで離婚内容について合意形成を行い、後は離婚届を出すだけで離婚が成立します。
別居期間が短かったり、法的な離婚事由がなかったりしても、離婚の合意ができさえすれば、手間や時間をかけずに離婚できるのです。
まずは協議離婚を目指すことがおすすめです。自らに非がある場合は、相手に素直に謝罪した上で結婚を続けられないことを伝えましょう。
感情的にならずに話し合うことが大切です。また、離婚問題に詳しい弁護士にアドバイスを依頼すると、よりスムーズに協議離婚を進められます。
無断の家出は原則NG
ポイントの2つ目は、無断の家出は原則NGであることです。
これ以上一緒に暮らしたくないと考えても、DVなど心身に大きな被害を受ける危険性が高くない限りは、無断の家出はやめましょう。家出した側が夫婦関係を意図的に破綻させようとしている(悪意の遺棄)と判断され、離婚するまでの過程で不利になる恐れがあります。
そのため、別居前に離婚を前提にした別居である旨や別居したい理由を、文面で残す形で相手に伝えましょう。また、相手が別居に同意したら、その旨を文書に残して互いの署名捺印を残すとベターです。
別居中の異性交際もNG
ポイントの3つ目は、別居中の異性交際もNGであることです。
別居理由が何であれ、「不倫が別居の原因ではないか?」と思われてしまうと、話し合いはまとまりません。場合によっては、不倫が別居の理由と判断され、自分にとって不利な材料になる恐れがあります。
実際には不倫関係ではなかったとしても、家への出入りなどが写真や動画に撮られると、不倫と判断されてしまう場合があるので注意しましょう。
離婚事由となる証拠を押さえる
ポイントの4つ目は、離婚事由となる証拠を押さえることです。
相手が原因で離婚したい場合は、別居期間前にその証拠を確保しておきましょう。相手の不倫現場を押さえた写真やDVを受けている音声など、客観的な証拠を残していれば、離婚協議や調停、裁判でも有利に働きます。
別居した後では、これらの証拠を収集しにくくなるので、別居前に証拠を確保するようにしましょう。
協議で解決できなければ調停
ポイントの5つ目は、協議で解決できなければ調停を行うことです。
夫婦双方の話し合いがまとまらなければ、離婚調停を申し立てましょう。離婚調停では、調停委員2名が互いの主張を聞き取り、場合によっては調査官が調査を行います。それらの結果を踏まえて、調停委員が解決策を提案し、それに夫婦が合意すれば離婚成立です。
離婚問題に詳しい弁護士に相談
ポイントの6つ目は、離婚問題に詳しい弁護士に相談することです。
どのような形の離婚方法でも、離婚問題に詳しい弁護士に依頼すると、早く確実に問題解決に導く可能性が高まります。また、弁護士を代理人に立てることで、相手に本気度を伝える効果も期待できるでしょう。
離婚を別居期間中に成功させたいなら春田法律事務所に相談を
今回は離婚問題の解決に尽力してきた専門弁護士が、離婚前に別居期間を設ける必要性、別居するときのポイント等を詳しく解説しました。
別居して円滑に離婚成立を目指したいときには、弁護士のアドバイス・サポートを受けましょう。
春田法律事務所では、初回相談を無料で受け付けています。まずは離婚や別居の問題を気軽に相談し、弁護士へ悩みや不安を打ち明けてみましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。