離婚が認められる別居期間は?早く別れたい場合のポイントにできることを弁護士が解説
最終更新日: 2023年07月04日
- 離婚前に別居期間を設けるべきなのだろうか
- 離婚理由として認められる別居期間はどれくらいなのか
- 早く離婚したいけど別居期間が短い場合に気をつけるポイントを整理したい
離婚の前に別居している夫婦は珍しくありません。別居期間が長いと、それも離婚の理由として認められる可能性があります。
離婚理由として認められる別居期間はどのくらいなのか気になる方も少なくありません。また、別居期間が短くても直ぐに離婚することはできるのか、その場合、どのようなポイントに気をつければいいか気になる方も多いでしょう。
そこで今回は、離婚問題に詳しい専門弁護士が、離婚前に別居期間を設けるべきケースや離婚理由として認められる別居期間などについて解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 離婚前に別居期間を設けるべきケースは、「モラハラ・DVを受けている」「子供が虐待を受けている」「相手が別れてくれない」などがある
- 離婚理由として認められる別居期間は、有責配偶者(離婚原因を作った側の人間)でなければ2〜5年が目安
- 離婚したいが別居期間が短い場合に気をつけるべきポイントは、「協議離婚での離婚が理想」「無断の家出は原則NG」「別居中の異性交際もNG」などの他に3つある
離婚前に別居期間を設けるべきケース
ここでは、離婚前に別居期間を設けるべきケースについて、以下の3つを解説します。
- モラハラ・DVを受けている
- 子供が虐待を受けている
- 相手が別れてくれない
それでは、1つずつ解説します。
モラハラ・DVを受けている
1つ目は、モラハラ・DVを受けているケースです。
モラハラ・DVを受けている状態では、同居を続けると危険な上に離婚に向け対等な話し合いを行うことも困難です。そのため、別居期間を設けるようにしましょう。
子供が虐待を受けている
2つ目は、子供が虐待を受けているケースです。
相手が子供を暴力や暴言で虐待し続けている場合は、一刻も早く別居しましょう。子供を守ることにもなります。
相手が別れてくれない
3つ目は、相手が別れてくれないケースです。
相手が別れてくれないケースも、相手に離婚の意思を伝えるため、別居期間を設けることが有効と考えられます。また、長期間別居していれば、裁判でも夫婦関係はすでに破綻していたことを示す材料になるかもしれません。
離婚理由として認められる可能性が高い別居期間は?
ここでは、離婚理由として認められる可能性が高い別居期間について、以下の3つを解説します。
- 家庭内別居や単身赴任は別居期間として認められない
- 有責配偶者でなければ2〜5年が目安
- 有責配偶者であれば5〜10年が目安
それでは、1つずつ解説します。
家庭内別居や単身赴任は別居期間として認められない
1つ目は、家庭内別居や単身赴任は別居期間として認められないことです。
家庭内別居では、同居はしているため別居期間として認められません。そのため、離婚したい場合は、同居しているものの関わりがほとんどなく、夫婦関係が破綻していることを示す必要があります。
単身赴任では、あくまでも仕事のため家族と別の住まいで暮らしているため、これも基本的には別居期間と認められません。単身赴任中も夫婦仲が円満な夫婦や、最初から別居婚前提で結婚した夫婦もいるでしょう。
ただ、単身赴任中に別居や離婚の意思を伝えれば、単身赴任中も最後に自宅に帰った日から別居期間とカウントされるケースもあります。そうしたい場合は、別居や離婚の意思表示をメールなどで残しましょう。
有責配偶者でなければ2〜5年が目安
2つ目は、有責配偶者でなければ2〜5年が目安であることです。
離婚原因を作った側の人間は、有責配偶者と呼びます。基本的には、夫婦で合意形成ができていれば、別居理由や別居期間に関係なく離婚できます。
ただ、不貞行為やDVなどがない限り、片方しか離婚したくなければ、交渉を続けて離婚するか、別居を続けて第三者から夫婦関係が修復不可能と認められる必要があります。
第三者から夫婦関係が修復不可能と認められる別居期間の相場は、おおよそ2〜5年です。
有責配偶者であれば5〜10年が目安
3つ目は、有責配偶者であれば5〜10年が目安であることです。
基本的に、有責配偶者からの離婚請求は認められません。ただ、別居期間が長く、子供もすでに独立しており婚姻関係回復も見込めない場合は、有責配偶者からの離婚請求が認められる場合があります。その場合、目安となる別居期間は、おおよそ5年〜10年です。
早く離婚したいが別居期間が短い場合に気をつけるべきポイント
ここでは、早く離婚したいが別居期間が短い場合に気をつけるべきポイントについて、以下の6つを解説します。
- 協議離婚での離婚が理想
- 無断の家出は原則NG
- 別居中の異性交際もNG
- 離婚事由となる証拠を押さえる
- 協議で解決できなければ調停
- 離婚問題に詳しい弁護士に相談
それでは、1つずつ解説します。
協議離婚での離婚が理想
ポイントの1つ目は、協議離婚での離婚が理想であることです。
協議離婚であれば、夫婦の話し合いで離婚内容について合意形成を行い、後は離婚届を出すだけで離婚が成立します。
そのため、別居期間が短くても、法的な離婚事由がなくとも、合意形成ができれば離婚でき、手間や時間をかけずに離婚できるのです。
そのため、まずは協議離婚を目指すことがおすすめです。自らに非がある場合は、相手に素直に謝罪した上で結婚を続けられないことを伝えましょう。
そのときは、感情的にならずに話し合うことが大切です。また、離婚問題に詳しい弁護士にアドバイスを依頼すると、よりスムーズに協議離婚を進められるでしょう。
無断の家出は原則NG
ポイントの2つ目は、無断の家出は原則NGであることです。
これ以上一緒に暮らしたくないと考えても、DVなど心身に大きな被害を受ける危険性が高くない限りは、無断の家出はやめましょう。家出した側が夫婦関係を意図的に破綻させようとしている(悪意の遺棄)と判断され、今後離婚するまでの過程で不利になる恐れがあります。
そのため、別居前に離婚を前提にした別居である旨や別居したい理由を、文面で残す形で相手に伝えましょう。また、相手が別居に同意したら、その旨文書に残して互いの署名捺印を残すとベターです。
別居中の異性交際もNG
ポイントの3つ目は、別居中の異性交際もNGであることです。
別居理由が何であれ、「不倫が別居の原因ではないか?」と思われてしまうと、話し合いはまとまりません。場合によっては、不倫が別居の理由と判断され、自分にとって不利な材料になる恐れがあります。
実際には不倫関係ではなかったとしても、家への出入りなどが写真や動画に撮られると、不倫と判断されてしまう恐れがあるので注意しましょう。
離婚事由となる証拠を押さえる
ポイントの4つ目は、離婚事由となる証拠を押さえることです。
相手が原因で離婚したい場合は、別居期間前にその証拠を確保しておきましょう。相手の不倫現場を押さえた写真やDVを受けている音声など、客観的な証拠を残していれば、離婚協議や調停、裁判でも有利に働きます。
別居期間後はこれらの証拠を収集しにくくなるので、別居前に証拠を確保するよう心がけましょう。
協議で解決できなければ調停
ポイントの5つ目は、協議で解決できなければ調停を行うことです。
夫婦双方の話し合いがまとまらなければ、離婚調停を行いましょう。離婚調停では、調停委員2名が互いの主張を聞き取り、場合によっては調査官が調査を行います。それらの結果を踏まえて、調停委員が解決策を提案し、それに夫婦が合意すれば離婚成立です。
離婚問題に詳しい弁護士に相談
ポイントの6つ目は、離婚問題に詳しい弁護士に相談することです。
どのような形の離婚方法でも、離婚問題に詳しい弁護士に依頼すると、早く確実に問題解決に導いてくれる可能性が高まります。また、弁護士を代理人に立てることで、相手に本気度を伝える効果も期待できるでしょう。
まとめ
今回は、離婚問題に詳しい専門弁護士が、離婚前に別居期間を設けるべきケースや離婚理由として認められる別居期間などについて解説しました。
無断の別居は基本的にNGですが、モラハラや子供への虐待など、自分や家族に危害が及ぶ場合は、速やかに別居するようにしましょう。また、離婚理由として認められる別居期間の目安は、有責配偶者でなければ2〜5年、有責配偶者であれば5〜10年です。
ただ、それより別居期間が短くても、双方の合意があるか、もしくは法的に離婚が認められる理由を客観的証拠で示せる場合は、離婚できます。そのときには、離婚問題に詳しい弁護士と相談すると、的確なアドバイスをもらえるでしょう。