専業主婦が離婚を決意したら。後悔しないために知っておくべきポイントを解説
2024年09月26日
離婚は人生の大きな決断です。特に、長年専業主婦として家事に専念してきた方にとっては、経済的な不安や将来への漠然とした不安など、様々な感情が渦巻いていることと思います。
この記事では、専業主婦が離婚を決意したら知っておくべきポイントと、離婚準備に必要な知識を分かりやすく解説します。
離婚は決してゴールではなく、新たな人生のスタートです。後悔のない選択をするためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
収入源を確保する
離婚は人生における大きな転換期です。特に、長年専業主婦として生活してきた方にとっては、経済的な自立や生活基盤の再構築など、乗り越えなければならない壁がいくつも存在します。
離婚後の生活を支えるためには、収入源の確保が不可欠です。専業主婦としてブランクがあったとしても、諦めずに仕事を探し、経済的な自立を目指しましょう。
仕事探しをする
まずは、ハローワークや転職サイトなどを活用し、自分に合った仕事を探してみましょう。 パートやアルバイトから始めるのも良いですし、資格取得支援制度を利用して、スキルアップを目指すのも有効です。
地域の支援団体なども活用しながら、積極的に情報収集を行いましょう。特に、シングルマザーを積極的に採用している企業なども探してみましょう。
公的支援制度の利用を検討する
生活が苦しい場合は、公的支援制度の利用も検討しましょう。
ひとり親家庭向けには、児童扶養手当や児童育成手当などの経済的な支援や、就労支援、住宅支援など、様々な制度が用意されています。お住まいの自治体の窓口やウェブサイトで相談してみましょう。
親権について考える
子どもがいる場合、離婚に際して親権をどちらが持つのかを決める必要があります。子どもの将来を左右する重要な問題であるため、感情的にならず、冷静に話し合いを進めることが大切です。
親権の決定には、主に以下のような要素がかかわってきます。
子どもの利益について
親権者を決定する際には、「子どもの利益」が最優先事項となります。
これは、子どもの年齢や性別、健康状態、生活環境などを考慮し、どちらの親と暮らすことが、子どもにとってより良いかを判断するということです。
経済力や居住環境だけで判断されるわけではありません。
監護状況の評価について
裁判所は、親権者を決定する際に、これまでの監護状況を重視します。
具体的には、食事や衣服の世話、病気の際の看病、学校行事への参加など、日常生活において、どちらの親が主に子どもの面倒を見てきたのかが判断材料となります。
日頃から、子どもとの時間を大切に過ごし、愛情をかけていることを記録しておくことが大切です。
財産分与について考える
財産分与とは、結婚生活中に夫婦で築き上げた財産を、離婚時に(公平に)分け合うことです。
財産には、預貯金や不動産、車、貴金属などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借金などのマイナスの財産も含まれます。
共有財産を把握する
財産分与を行うためには、まず、夫婦の共有財産がどれくらいあるのかを把握する必要があります。共有財産には、夫婦それぞれの名義に関わらず、婚姻期間中に夫婦で協力して取得した財産はすべて含まれます。
預貯金通帳や保険証券、不動産の権利証などを確認し、リストアップしておきましょう。
不動産
夫婦で居住している自宅などの不動産は、共有財産の中でも特に高額になるケースが多いため、注意が必要です。
住宅ローンが残っている場合は、財産分与と同時に、実質的に誰がどのように負担するのかという方法を話し合う必要があります。
また、不動産を売却する場合には、税金についても考慮する必要があります。
退職金
退職金も、婚姻期間中に支払われた給与を元に計算されるため、原則として共有財産に含まれます。
すでに受け取っている場合はもちろん、離婚時に退職したとすれば、受け取れるであろう退職金についても、財産分与の対象となります。
退職金規定などを確認し、金額を把握しておきましょう。
財産分与の性質を知る
財産分与には、大きく分けて「清算的分与」と「扶養的分与」の2つの側面があります。それぞれの特徴を理解しておくことで、自分に有利な条件で交渉を進めることができます。
清算的分与
清算的分与とは、婚姻期間中に夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚時に(公平に)分け合うことです。
専業主婦の場合、家事や育児に専念することで、夫が仕事に集中できる環境を整えてきたという貢献が認められます。そのため、夫が会社員や公務員として収入を得ていた場合、その財産の多くは、夫婦で築き上げたものとみなされ、妻は2分の1の財産を請求することができます。
扶養的分与
扶養的分与とは、離婚後、相手方(配偶者)側が経済的に困窮してしまうおそれがある場合に、経済的に余裕のある側が援助を行うというものです。
例えば、長年専業主婦として生活してきたため、離婚後にすぐに経済的に自立することが難しい場合などに、請求することができます。
生活費と養育費について考える
離婚後、生活費や養育費が不足すると、経済的に困窮してしまう可能性があります。
そのため、離婚前に、生活費や養育費をどのように確保するか、しっかりと話し合っておくことが大切です。公的支援制度の利用も視野に入れながら、現実的なプランを立てましょう。
生活費を確保する
離婚後は、自分の収入だけで生活費を賄わなければなりません。仕事が決まっていない場合や、収入が低い場合は、公的支援制度の利用も検討しましょう。
また、不貞行為など離婚の法的責任が夫にある場合には、慰謝料を請求することもできます。
婚姻費用の請求方法
離婚が成立するまでの間、夫婦には、生活水準を維持するために、互いに協力して生活費を負担する義務があります。これを「婚姻費用分担義務」といいます。別居中の生活費などは、この婚姻費用分担義務に基づき、夫に請求することができます。
請求方法は、夫婦間の話し合いで決める方法と、家庭裁判所に調停を申し立てる方法があります。
生活保護の申請を検討する
生活に困窮し、最低限度の生活を維持することが難しい場合は、生活保護の申請を検討しましょう。
生活保護とは、国が定める最低生活費を下回る収入しかない場合に、その不足分を援助する制度です。福祉事務所で相談することができます。
養育費の取り決めを行う
子どもがいる場合、養育費の取り決めは非常に重要です。
養育費は、子どもが社会的に自立するまでの生活費や教育費を負担するものです。金額や支払い方法などを明確に定めておきましょう。
養育費の金額の決め方
養育費の金額は、夫婦の話し合いで決めるのが一般的ですが、基準となるのは「養育費算定表」です。
これは、裁判所が養育費の金額を算定する際に用いるもので、子どもの年齢や両親の収入などを考慮して算出されます。養育費算定表は、裁判所のウェブサイトなどで公開されています。
確実に支払われるために
養育費の支払いが滞ってしまうケースは少なくありません。そのため、口約束ではなく、公正証書を作成するなど、支払いの確実性を高めることが重要です。
公正証書とは、公証役場で作成される公文書のことです。養育費の支払いが滞った場合、強制執行の手続きを取ることができます。
慰謝料請求の検討
(不貞行為などの)離婚の法的責任が相手にある場合、慰謝料を請求することができます。
慰謝料は、精神的な苦痛に対する損害賠償です。DVや不倫などが原因で離婚する場合には、慰謝料の請求を検討しましょう。
慰謝料の金額は、離婚原因や婚姻期間、経済状況などを考慮して決定されます。
離婚の法的手続き
離婚の手続きには、いくつかの方法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った方法を選びましょう。手続きが複雑な場合は、弁護士に相談するのも有効です。
離婚調停と裁判について
離婚には、大きく分けて、「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つの種類があります。
協議離婚は、夫婦の話し合いによって離婚が成立するもので、調停離婚は、家庭裁判所の調停委員を介して、離婚の条件について話し合いを行います。
裁判離婚は、夫婦間の話し合いがまとまらず、調停でも合意に至らなかった場合に、家庭裁判所に離婚の訴えを起こし、裁判によって離婚を成立させるものです。
離婚調停の流れ
離婚調停は、夫婦どちらかからの申し立てによって開始されます。
調停では、調停委員が間に入り、離婚とその条件について話し合いを行います。調停が成立すると、調停調書が作成され、確定判決と同様の効力が発生します。調停不成立の場合には、裁判に移行することになります。
裁判の可能性
離婚調停でも合意に至らなかった場合は、家庭裁判所に離婚の訴えを起こし、裁判によって離婚を成立させることになります。
裁判では、離婚原因の有無や、親権、養育費などの条件について争うことになります。財産分与については離婚裁判時に必ず争わなくてはならないということはなく、後から決めることも可能です。
裁判は長期化する可能性もあり、弁護士費用などの費用も高額になる傾向があります。
弁護士の選定について
離婚問題をスムーズに進めるためには、弁護士のサポートが不可欠です。
弁護士に依頼することで、法律的なアドバイスを受けたり、手続きを代行してもらったりすることができます。
ただし、弁護士費用は高額になる場合もあるため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
弁護士費用の事前確認
弁護士費用は、弁護士によって異なります。また、着手金、報酬金、実費などの内訳も弁護士によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
費用を抑えたい場合は、法テラスなどの公的機関の利用も検討しましょう。
弁護士との協力してスムーズに進める
弁護士に依頼する場合は、自分の希望や不安な点をしっかりと伝えることが大切です。
また、弁護士から求められた書類や情報などは、速やかに提出するなど、弁護士と協力して手続きを進めるようにしましょう。
まとめ
専業主婦の離婚は、多くの課題を抱えていますが、一人で抱え込まず、専門家や周囲の力を借りながら、一歩ずつ進んでいきましょう。
春田法律事務所では、離婚に関するご相談を承っております。無料相談も実施しておりますので、お気軽にご連絡ください。
お客様の状況を詳しくお伺いし、適切なアドバイスをさせていただきます。