盗撮で後日逮捕される確率や逮捕されるケースは?専門弁護士が解説
最終更新日: 2023年12月08日
- 盗撮をして逃げてしまったが、後日逮捕されるのか?
- 盗撮を誰かに見られた気がするが、後日逮捕されるのか?
- 盗撮で後日逮捕される場合、どれくらいで警察が来るのか?
このようなご相談は非常によくあります。後日逮捕が気がかりで仕事が手につかない、よく眠れない、だから何とか解決策、答えが欲しいと思うものです。
今回は、盗撮事件における後日逮捕について専門弁護士が解説します。
盗撮したら後日逮捕される可能性は?
盗撮をしたら必ず後日逮捕されるのでしょうか。まずは逮捕の種類や任意同行について確認し、そして後日逮捕される可能性、確率についてご説明します。
- 逮捕の種類
- 盗撮は後日逮捕されず任意同行で済むことも
- 盗撮で後日逮捕される確率は?
逮捕の種類
一口に逮捕といってもいくつか種類があります。盗撮事件の逮捕について検討するにあたり、まずは簡単に逮捕の種類について理解しておきましょう。
現行犯逮捕
現行犯逮捕とは、犯行中やその直後に犯人を逮捕することです。この場合、犯人と犯行が明らかなため、逮捕状は不要です。
警察官でなくとも、被害者や目撃者など私人でも現行犯逮捕はできます。これを私人逮捕ということもあります。
盗撮事件では被害者や目撃者、警備員によって逮捕されるケースは多くあります。
通常逮捕
次に、通常逮捕です。
通常の逮捕という言葉のとおり、一般にイメージされる逮捕はこの通常逮捕で、捜査機関が裁判官の発布した逮捕状をもって犯人を逮捕する場合です。
盗撮事件で現行犯逮捕されなかった場合の後日逮捕とは、この逮捕状に基づく通常逮捕のことをいいます。
盗撮事件でも現行犯逮捕ではなく後日逮捕されるケースはしばしばあります。
緊急逮捕
最後に、緊急逮捕についてです。
緊急逮捕は殺人などの重罪についてのみ認められるもので、緊急性がある場合に逮捕を認め、事後的に逮捕状を請求することが許容するものです。
盗撮はこの重罪には該当しませんので、緊急逮捕はできません。つまり、盗撮事件の逮捕は、現行犯逮捕か通常逮捕ということです。
盗撮は後日逮捕されず任意同行で済むことも
以上のとおり、盗撮事件で逮捕される場合は、現行犯逮捕か通常逮捕です。盗撮をしたけれど現行犯逮捕されなかったときは、後日、警察から接触があるかどうかが問題となります。
警察から接触がある場合も通常逮捕されるケースもあれば、警察署に任意同行を求められ、通常逮捕はされないケースもあります。このように逮捕はされないケースを在宅捜査といいます。在宅捜査の場合、捜査機関と日程調整をして自宅から通うかたちで捜査を受けて行きます。
なお、任意同行の後、警察署で通常逮捕されるケースもありますので要注意です。
盗撮で後日逮捕される確率、可能性は?
それでは、現行犯逮捕されなかった場合に後日逮捕される確率、可能性はどれくらいなのでしょうか。この点について公式の統計資料はありませんので、これまで数百件の盗撮事件に対応してきた経験を踏まえて説明します。
被害者や目撃者に声をかけられて逃げてきたというケースでは、9割方は警察によって犯人特定がなされ、後日逮捕や任意同行に至っている印象です。
他方、盗撮をして誰かに見られた気がする、被害者にばれた気がするというケースではそのように感じる根拠次第ではありますが、逆に9割方のケースでは通報されておらず後日逮捕は無い印象です。
盗撮で後日逮捕されるケースとは?逮捕までの期間は?
盗撮で後日逮捕される確率などについて説明しました。では、どのようなケースでは後日警察から接触があり、どのようなケースでは警察に検挙されずに済むのでしょうか。
- 被害者や目撃者の通報
- 防犯カメラで犯人特定
- 証拠が不十分
- 盗撮の後日逮捕は容易ではない
- 盗撮で後日逮捕されるのは何日後?
防犯カメラで犯人特定
スマートフォンをスカートの下に差し向けたところ、被害者の足に当たってしまい気づかれてしまった。盗撮をしていたら後ろから目撃者に声をかけられた。
このように被害者や目撃者に盗撮を知られ、その場を逃げてきたというケースは非常に多くあります。ほとんどの場合、被害者や目撃者が警察に通報をしています。そして、通報を受けた警察は防犯カメラなどから犯人を特定するための捜査を開始します。
被害者や目撃者からの通報を受けた警察は付近の防犯カメラや店舗や駅で使用された電子マネー、クレジットカードの情報などから犯人の特定を行います。
店舗内や駅構内であれば犯人特定に至る可能性は高いです。一方路上などの街中であっても警察は付近の防犯カメラを片っ端から捜査しますので、時間はかかっても犯人特定に至るケースが多くあります。
データを復元して立証
逃走した後、盗撮をしたデータを削除してしまう方は多いです。そのため、防犯カメラの映像や被害者、目撃者の供述から盗撮を立証できるかどうか検討されます。
仮にデータが削除されていたとしても立証は十分に可能と判断した場合には、逮捕状をとって通常逮捕するケースもあります。
一方、盗撮のデータが削除されている場合には立証ができないと判断したケースでは、通常逮捕はせずに、任意同行を求め、盗撮に使用した携帯電話やカメラのデータの確認、復元作業が行われます。
作業の結果復元できるケースは多いですが、復元に至らないケースもあります。復元ができなかった場合には、その時点で捜査打ち切りとなることもありますし、書類送検はされ、不起訴処分となるケースもあります。
盗撮の後日逮捕は容易ではない
盗撮行為をして、被害者や目撃者に取り押さえられ、その場で現行犯逮捕されるケースは多くあります。他方、被疑者が犯行現場から逃走した場合、犯行現場付近の防犯カメラ映像から被疑者を特定する必要がありますが、被疑者を割り出せないこともあります。
また、現行犯逮捕をした場合は、盗撮行為に使用されたスマートフォンや小型カメラをその場で押収することができますので、盗撮行為の動かぬ証拠を得ることができます。
しかし、被疑者が犯行現場から逃走した場合、盗撮行為データを削除する、盗撮行為に使用したスマートフォンや小型カメラを破棄するなどの証拠隠滅がなされる可能性が高いです。そうすると、防犯カメラ映像から被疑者を特定できたとしても、盗撮行為をした証拠がないということになってしまいます。
以上のように、盗撮をした被疑者を特定できない場合や、盗撮行為の証拠を確保できない場合があることから、盗撮は現行犯以外の後日逮捕が容易ではないのです。
盗撮で後日逮捕されるまでの期間は?
それでは、盗撮をして後日逮捕までにどれくらいの期間がかかるのでしょうか。逆にどれくらいの期間、警察が来なければ後日逮捕はないと思っていいのでしょうか。
この期間については、防犯カメラ映像などからの犯人の特定が容易かどうか、警察の他の事件での忙しさ具合によってまちまちで、1週間以内に警察が来ることもあれば、2,3か月後や半年後に来ることもあります。
1年前の事件について後日逮捕に警察が来るというケースは稀ですから、犯行から1年が経過すればもう後日逮捕はないと考えて良いでしょう。
盗撮で後日逮捕されたときの流れ
盗撮の犯人が特定された場合、通常逮捕されるケースもあれば、任意同行から在宅捜査になるケースもあります。それぞれ、どのような流れになるのでしょうか。
任意同行から在宅捜査の場合
「〇月〇日の〇〇での盗撮事件について話が聞きたいから警察署まで来て欲しい。」
このようにいきなり警察から携帯電話に電話がかかって来ることがあります。この場合、逮捕はせずに警察署で事情聴取を受けた後に帰宅を許され、在宅捜査となる可能性が高いです。
帰宅の際には、家族や上司に迎えに来てもらう必要があったり、そのようなお願いをできる人が身近にいない場合は、警察が自宅まで送り届け、住居を確認して解放されることもあります。
在宅捜査となる場合、後日、家宅捜索が入ることもありますが、家宅捜索は実施されず警察から指示された物を自ら警察署に持参して提出するケースもあります。
その後、数回警察から呼び出しがあり取り調べなどの捜査を受け、警察での捜査を終えると、検察庁へ書類送検となります。書類送検後、検察官から1、2回の呼び出しがあり、最終的に起訴、不起訴の判断がくだされます。
通常逮捕の場合
早朝、いきなり警察が逮捕状をもって自宅にやってきてその場で通常逮捕されることがあります。この場合、そのまま家宅捜索も実施されることが多いです。
逮捕されると48時間以内に警察から検察庁へ事件が送致され、送致後24時間以内に検察官は裁判官に10日間の勾留を請求します。
そして、裁判官が勾留する決定を出すと10日間を警察の留置施設で過ごし、さらに最大10日間、勾留期間が延長されます。勾留の最終日に検察官が起訴、不起訴の判断をくだします。
盗撮で後日逮捕や前科を避けるには?
このように盗撮で後日逮捕されますと最大23日間も身柄拘束されます。そうしますと家族に盗撮事件を知られる、勤務先をクビになるという大きな不利益を被ります。
このような不利益を避けるために後日逮捕を回避する方法はあるのでしょうか。また、最終的に起訴されて前科がつくことを回避することはできるのでしょうか。
自首をする
逮捕は、被疑者の逃亡と証拠隠滅を防ぐためになされるものです。逃亡のおそれも、証拠隠滅のおそれも無いと警察が判断すれば逮捕はされません。
そして、自首をすれば、逃げも隠れもしないということですから、逃亡のおそれはないという判断に傾きます。また、証拠品を持参して、しかも犯行を自供すれば、証拠隠滅はしないだろうという判断に傾きます。
加えて、出頭する際に、弁護士が同行し、今後、弁護士を通じて被害者と示談交渉をしていく方針を伝えれば、犯人が自ら被害者に接触する可能性は低いだろうと判断され、一層、逮捕される可能性は低くなります。
このように、盗撮をして後日逮捕が心配な場合には、警察が来るのを待っているよりも自ら行動した方が逮捕を回避できる可能性が高まるのです。
示談をする
未だ捜査機関が犯人を特定できていない段階で自首をすれば裁判では減刑の対象になりますし、検察官も不起訴とする方向の考慮材料としてくれます。
ただし、それだけでは不起訴とするには十分ではなく、盗撮の被害者と示談をして許してもらうことが不起訴のために重要な要素となります。そして、被害者が加害者に個人情報を教えることはありませんので、示談交渉をするためには弁護士に依頼する必要があります。
なお、自首をしたところ、被害届は出ていなかったというケースもしばしばあります。
この場合、自首をした際に犯行に使用したスマートフォンや小型カメラが押収され、解析の結果、盗撮のデータが出てくれば、最終的に起訴される可能性はあります。
他方、既に犯行に使用したスマートフォンや小型カメラは処分してしまっているというケースでは、もはや盗撮の証拠がありません。この場合、起訴することは困難なため、厳重注意を受けるだけで捜査が開始されないケースもあれば、ひととおりの捜査はして検察庁に事件送致された後に不起訴処分となるケースもあります。
まとめ
以上、盗撮事件における後日逮捕について解説しました。
被害者や第三者に盗撮がばれている場合には、後日逮捕の可能性が高くなります。この場合、自首をすることで逮捕の回避や不起訴処分の結果を得られる可能性が高まります。
盗撮をしてしまい後日逮捕が不安な場合は、盗撮事件を専門とする弁護士にご相談ください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。