盗撮の示談金・慰謝料の相場│金額の目安・ケース別・示談の進め方を弁護士が解説
最終更新日: 2026年08月06日

盗撮事件では、被害者との示談が成立しているかどうかが、不起訴になるか・前科がつくかを大きく左右します。「いくら払えばよいのか」「相手が応じてくれるのか」と悩まれる方は少なくありません。
本記事では、盗撮の示談金(慰謝料を含む被害弁償)の相場と金額が決まる要因、ケース別・場所別の目安、被害届が出た場合の対応、示談交渉の流れ、示談しなかった場合のリスクまでを弁護士が解説します。示談は起訴・不起訴の判断までの時間が勝負です。
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盗撮の示談金・慰謝料の相場は数十万円が一つの目安
盗撮の示談金は、事案によって幅がありますが、一般にはおおむね数十万円(30万〜50万円程度が一つの目安)とされることが多いです。
ただし、これはあくまで目安であり、撮影の態様や被害者が受けた被害の程度によっては、これより低い場合も、大きく上回る場合もあります。
「示談金」と「慰謝料」の関係
ここでいう「示談金」は、被害者の精神的苦痛に対する慰謝料を中心に、通院・カウンセリング費用などの実費が加わることもある、被害弁償の総額を指します。
インターネット上では「慰謝料相場」と表現されることもありますが、加害者側から見れば、示談によって被害者へ支払う金額という点で同じものです。
示談金には、二度と同様の行為をしないことや、撮影データを削除したことの確認、被害者へ接触しないことなどの約束が伴うのが一般的です。
金額を左右する主な要因
要因 | 金額が上がりやすい | 金額が下がりやすい |
撮影の態様・内容 | 下着や裸などが写っている、動画、複数回・常習 | ごく短時間・軽微、未遂に近い |
被害者の年齢・属性 | 被害者が未成年者、面識のない相手 | 成人同士で関係修復の余地がある |
画像の拡散・保存 | SNS等へ拡散した、保存され続けている | その場で削除された |
前科・常習性 | 前科・前歴がある、余罪がある | 初犯 |
謝罪・対応の早さ | 対応が遅い、不誠実と受け取られた | 早期に誠実な謝罪と被害弁償を申し入れた |
金額の多寡そのもの以上に、「被害者が加害者を許し、処罰を望まない(宥恕)意思を示してくれるか」が、検察官や裁判所の判断で重視されます。
相場に届く金額でも、対応が不誠実だと示談が整わないことがあります。
なお、盗撮がどの罪に問われるか(撮影罪・迷惑防止条例・建造物侵入罪など)によっても、被害感情や見通しは変わります。盗撮が何罪に当たるかの全体像は、次の記事で解説しています。
ケース別・場所別に見る金額の傾向
盗撮は、撮影した場所や状況によって問われる罪や被害感情が変わり、示談金の傾向も異なります。以下は、あくまで傾向を示すための目安です(実際の金額は事案により異なります)。
ケース・場所 | 特徴・問われうる罪 | 金額の傾向(目安) |
被害者が未成年 | 児童ポルノ規制の対象になる場合があり、被害感情も強い | 高くなりやすい(数十万円〜100万円程度になることも) |
電車・路上など公共の場所 | 迷惑防止条例違反が中心。被害者の特定が難しいことも | 目安(30万〜50万円程度)が中心 |
職場・学校など関係先 | 信頼関係を悪用したと見られやすく、社会的影響も大きい | 高くなりやすい |
更衣室・トイレ・浴場 | 撮影目的の侵入を伴うと建造物侵入罪も加わり悪質性が高い | 高くなりやすい |
2023年に施行された撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)は、こうした盗撮を正面から処罰する法律で、下着や身体の性的な部位を撮影する行為などが対象になります。
成立要件や過去の判例は、次の記事で詳しく解説しています。
また、トイレや更衣室など特定の場所での盗撮が具体的に何罪になるかは、次の記事で場所ごとに整理しています。
被害届が出た場合の対応
被害届が提出されると、警察の捜査が本格的に進みます。捜査では、撮影に使われたスマートフォンやカメラの解析、自宅の家宅捜索などが行われることがあります。
加害者側としては、できるだけ早い段階で被害者との示談を目指すことが重要です。
撮影データを削除していても、機器の解析によって復元される場合があり、証拠隠滅を図る行為はかえって不利に働きます。捜査の実際や家宅捜索への対応は、次の記事もご覧ください。
示談による被害届の取り下げ
示談が成立し、被害者が「加害者を許し、処罰を望まない」という意思を示してくれた場合、提出済みの被害届が取り下げられることがあります。
被害届の取り下げや宥恕の意思は、検察官が不起訴(起訴猶予など)を判断するうえで有利な事情になります。
被害届が取り下げられても、必ず不起訴になるとは限りません。
撮影罪などは被害者の告訴がなくても起訴されうるため、示談・宥恕はあくまで有利な事情の一つです。
それでも、示談の有無が結論を大きく左右することは変わりません。
示談交渉の流れと進め方
示談交渉は、おおむね次の流れで進みます。刑事手続きは時間的な制約が厳しく、起訴・不起訴の判断までに示談を整えられるかが大きな分かれ目になります。
- STEP1 弁護士が窓口になる
加害者側の代理人として、検察官・警察を通じて被害者側へ連絡を試みる - STEP2 謝罪と被害弁償の申し入れ
被害者の心情に配慮しながら、謝罪と示談の意思を伝える - STEP3 条件の調整
示談金額、宥恕(処罰を望まない)文言、接触禁止・画像の削除などの条件を協議する - STEP4 示談書の締結・提出
清算条項などを備えた示談書を取り交わし、検察官・裁判所へ提出する
加害者本人やご家族が被害者へ直接連絡する行為は、被害者を怖がらせるだけでなく、「被害者への働きかけ」とみなされて身柄拘束や量刑上の不利益につながるおそれがあります。
連絡は必ず弁護士を通じて行ってください。
示談書で押さえるべき要点
示談書は、後日の紛争を防ぐために、次のような条項を過不足なく備えている必要があります。
テンプレートを流用して当事者だけで作成すると、効力が弱くなったり、後から追加請求を受けたりするリスクがあります。
- 清算条項(示談金の支払いで解決済みとし、以後の請求をしない旨)
- 宥恕文言(被害者が加害者を許し、処罰を望まない旨)
- 接触禁止・撮影データの削除確認・口外禁止などの約束
示談書の具体的な書き方や効力については、次の記事で詳しく解説しています。
示談をしなかった場合のリスク
示談が成立しないまま手続きが進むと、次のような不利益が生じやすくなります。
- 起訴されやすくなり、前科がつく可能性が高まる
- 起訴された場合、被害弁償や宥恕がないぶん量刑が重くなりやすい
- 刑事とは別に、民事で慰謝料を請求されることがある(不法行為に基づく損害賠償請求権の時効は、被害者が損害と加害者を知った時から原則3年)
盗撮の中心となる撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
量刑相場や、執行猶予・前科の見通しについては、次の記事で詳しく解説しています。
よくある状況と対応例
例1:電車内での初犯
20代の男性が通勤電車内でスマートフォンを使って盗撮をしたところ、周囲の乗客に気づかれ駅員に引き渡されました。
被害者は女子学生で強いショックを受けていましたが、弁護士を通じて誠意ある謝罪と50万円の示談金を提示した結果、示談が成立。
検察官に報告されたことで不起訴処分となり、前科を免れることができました。
例2:繰り返しの盗撮
40代の男性が複数回にわたり商業施設で盗撮を行い、防犯カメラ映像から特定されました。被害者は複数名に及び、悪質性が高いと判断されました。
弁護士が間に入り、複数の被害者と交渉を重ねた結果、合計で120万円を支払い示談が成立。
この事例では被害者の処罰感情が強く、弁護士がいなければ不起訴は難しかったと考えられます。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
示談を弁護士に依頼するメリットと費用
盗撮事件の示談は、加害者本人が直接進めることが難しい場面が多く、弁護士に依頼する意味が大きい類型です。
- 被害者が加害者本人との接触を望まない場合でも、弁護士が窓口となって交渉の糸口を作れる
- 適正な金額・条項で示談書を整えられ、後日の追加請求などのリスクを減らせる
- 起訴・不起訴の判断までの限られた時間の中で、手続きを進められる
弁護士費用は、着手金・報酬金・示談交渉に関する費用などで構成されるのが一般的です。金額は事案により異なるため、依頼前に見積もりを確認することが大切です。
費用の内訳や相場の詳細は、次の記事をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 示談金は分割で支払えますか?
被害者の同意が得られれば分割払いも可能です。
ただし、刑事手続きでは起訴・不起訴の判断までに示談が成立していることが重視されるため、一括での支払いが望ましい場面が多いのが実情です。
分割にする場合は、支払いが滞ったときの取り決めも示談書に明記しておく必要があります。
Q. 被害者の連絡先が分からなくても示談できますか?
加害者側が連絡先を知らない場合でも、弁護士が検察官や警察を通じて連絡を取り次いでもらえるよう働きかけることができます。
被害者が加害者本人に連絡先を知られたくないと考えている場合でも、弁護士が窓口になることで交渉が可能になるケースがあります。
Q. 示談すれば必ず不起訴になりますか?
示談の成立は不起訴に向けて非常に有利な事情ですが、必ず不起訴になると確約できるものではありません。
撮影の態様や被害の重大性など、他の事情も総合的に考慮されます。もっとも、示談の有無が結論を分ける大きな要素であることは確かです。
Q. 会社や家族に知られずに示談できますか?
弁護士が窓口となって進めることで、周囲に知られるリスクを抑えながら対応できる場合があります。
ただし、逮捕・勾留の有無など状況によって取りうる方法は異なりますので、早めにご相談ください。
Q. 相場より高い金額を求められたら、応じるべきですか?
被害者の処罰感情が強い場合、相場を上回る金額を求められることもあります。
応じるかどうかは、事案の見通し(起訴の可能性・想定される量刑)とあわせて判断すべきで、弁護士が間に入って適正な水準へ調整することが有効です。
感情的なやり取りを避け、冷静に交渉を進めることが大切です。
Q. 余罪がある場合、示談はどう進めればよいですか?
複数の被害者がいる場合は、それぞれと示談を進める必要があります。
すべての被害者と示談できるかどうかで見通しが変わるため、優先順位や進め方を含め、早い段階で弁護士に相談して方針を立てることが重要です。
まとめ
盗撮の示談金・慰謝料は、おおむね数十万円が一つの目安ですが、撮影の態様・被害者の年齢・拡散の有無などで大きく変わります。
金額以上に、早期に誠実な対応を取り、被害者の宥恕を得られるかが重要です。示談は時間との勝負であり、加害者本人やご家族からの直接交渉はかえって状況を悪化させかねません。
少しでも早く弁護士に相談し、限られた時間の中で最善の対応を取ることをおすすめします。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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