不倫トラブルを示談書で解決するには?慰謝料・再発防止・守秘義務まで明文化を
最終更新日: 2025年06月10日
「不倫がバレて慰謝料を請求された」「穏便に解決したいけど、あとから揉めたくない」
そんなとき、口約束だけで済ませてしまうのは非常に危険です。
不倫トラブルをきちんと収束させるには、慰謝料や今後の関係について明確に取り決めた示談書を作成することが大切です。
示談書は、法的にも効力のある文書であり、当事者間の「解決済み」の証明になります。
この記事では、示談書が必要になる場面、記載すべき内容、注意点、実際の相談事例やよくある質問まで、法律初心者にもわかりやすく解説します。
示談書とは?なぜ不倫問題に必要なのか
示談書とは、当事者同士が話し合って合意した内容を文書にまとめたものです。
不倫に関する場合、次のようなときに作成されます:
- 不倫の慰謝料について取り決めをしたい
- トラブルを裁判にせず、穏便に解決したい
- 再発防止など今後の対応をはっきりさせたい
不倫は感情的な問題でもあるため、口約束だけでは「そんな話は聞いていない」「あれは同意していない」と後になってトラブルが再燃することがあります。
示談書があれば、合意内容の証拠として機能し、トラブルの蒸し返しを防ぐことができます。
示談書に記載すべき主な項目
以下の内容を明確に盛り込んでおくことが、トラブル防止に繋がります。
不貞行為の謝罪
- いつ頃からどのような不貞行為に及んでいたか(期間・ホテルで性行為など)
- そのような不貞行為に及んでいたことを謝罪する文言
慰謝料の金額・支払方法
- 支払う金額(例:100万円)
- 支払方法(一括・分割、支払期日、振込先)
- 遅延があった場合の遅延損害金の定め
今後の接触禁止・再発防止条項
- 今後一切の連絡・接触を行わないこと
- 再び不倫関係を持たないことを約束
守秘義務(第三者に口外しない)
- 示談内容・不倫の事実を他人に話さないこと
- SNS・会社・知人・家族などへの口外禁止
清算条項
示談書に記載された以外の請求権はお互いにないことの確認
違反した場合のペナルティ
- 「再度不貞行為をした場合は違約金○万円」など
- 守られなかった場合の責任の所在と損害賠償
示談書が必要になるケース
次のような状況では、示談書を作ることで今後のトラブルや感情的なもつれを防ぐことができます。
- 慰謝料が分割払いとなり支払が滞るのが不安
- 再び不倫に及ぶことを防ぎたい
- 慰謝料を払ったのに再び請求されるのが不安
示談書は、「すでに解決した」ことを明文化し、法的な安心材料として機能します。
示談書作成時の注意点
納得できない場合にサインしない
突然相手に押しかけられてその場で300万円、500万円など高額な慰謝料を支払う内容の示談書にサインさせられてしまったというケースがしばしば見られます。
このように強引な経緯でサインさせられた示談書であっても原則としてその法的効力は認められてしまい、裁判でその効力を否定するハードルは相当高いです。
ですから、どのような脅しがあったとしてもその場では決してサインせず、いったん持ち帰らせてもらうことが重要です。
法的に無効な内容もある
強要や脅迫のもとで署名させられた示談書や、公序良俗に反する極端な内容は、無効とされる可能性があります。
ただし、自分で無効だと判断するのは危険なので、専門家に相談すべきです。
口頭での合意はトラブルの元
「30万円払うことで許してもらえると聞いた」といった口約束だけでは証拠にならず、再度請求される可能性があります。
合意内容は必ず文書で残すようにしましょう。
実際の相談事例
示談書を作成せず不倫が再開した事例
Aさんは夫の不倫を知り、不倫相手の女性に会って謝罪してもらうとともに慰謝料として50万円をその場で支払ってもらいました。
これで解決したと思っていたところ、半年ほどして再び夫がその不倫相手との関係を再開していたことを知りました。
Aさんは、弁護士に依頼して追加の慰謝料を請求するとともに、今回はしっかりと示談書を作成し、再度夫と不倫をしたら違約金として200万円を支払ってもらう内容の示談書を作成しました。それ以降は、不倫は再発しなかったようです。
強引に示談書を作成させられた事例
Bさんは会社から帰宅すると家の前に不倫相手の夫と探偵業者が待ち伏せしており、そのまま近くのファミレスへ連行されました。
その場でサインしなければ裁判にする、会社に連絡すると脅され、Bさんは500万円を1か月以内に支払う内容の示談書にサインをさせられてしまいました。
Bさんは翌日早速、弁護士に対応を依頼しました。その後、裁判になり、裁判所はかろうじて示談書の効力を否定し、適正な慰謝料として100万円を支払う内容で改めて示談が成立しました。
まとめ
不倫に関するトラブルを穏便かつ確実に解決したいなら、示談書の作成は不可欠です。
慰謝料の支払いだけでなく、再発防止・秘密保持・今後の接触なども明文化しておくことで、あとからトラブルが再燃するのを防げます。
特に一方的に不利な条項や口約束のままの合意は、後悔につながりかねません。
不利な内容を押し付けられないためにも、示談書を作る前・サインする前には、ぜひ弁護士に相談することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q:示談書は自分たちで作成できますか?
可能ですが、形式や文言の不備や、後日無理やりサインさせられたと主張される恐れもあるため、弁護士を介するのが安全です。
Q:示談書にサインしたあと、やっぱり納得できません。取り消せますか?
脅迫や錯誤などがあった場合には取り消しの余地があります。
時間が経過すると効力を否定することが難しくなりますので、早めに専門家に相談してください。
Q:守秘義務って本当に意味がありますか?
あります。
単に口外しない約束をするだけでもそれに違反すれば慰謝料などの損害賠償を請求できる可能性がありますし、違約金を定めておけば請求はより請求しやすくなります。
Q:慰謝料は分割で払ってもいいですか?
合意があれば可能です。支払期日・分割方法・支払遅滞時の対応まで明記しておきましょう。
また、支払遅滞があった場合に備え公正証書にしておくとより安心です。
Q:不倫相手の配偶者と和解したあと、配偶者本人(自分の妻や夫)にも責任追及できますか?
和解相手と別に、配偶者との関係は別問題です。
夫婦間の問題として、話し合いや離婚請求につながることもありますし、不倫相手とは別途に慰謝料請求ができる場合もあります。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。