離婚の内容証明の書き方や届いた場合の対処法を専門弁護士が解説

最終更新日: 2023年12月16日

離婚の内容証明の書き方や届いた場合の対処法を専門弁護士が解説

  • 離婚で内容証明を書く目的について知りたい
  • 離婚で内容証明の書き方・送り方を把握しておきたい
  • 離婚で内容証明が送られてきたら何をしたらよいのだろう?

離婚を考えるうえで、内容証明をこれから書こうと考えている方や、突然内容証明が届いて、何をしたらよいのだろうと戸惑っている方など、さまざまな状況の方々がいらっしゃると思います。

内容証明は、「言った」「言わない」を明確にするための有効な手段です。離婚においては、主に慰謝料や養育費・面会交流などに関して内容証明を書くことがあります。

そこで本記事では、離婚における内容証明について、離婚に詳しい専門弁護士が目的や効力・書き方・送り方・受け取ったときすべきことについて、詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 離婚で内容証明を書く目的には、慰謝料・養育費・子どもとの面会がある
  • 離婚で内容証明の書き方・送り方には一定のルールがある
  • 離婚で内容証明が送られてきたら拒否せず、すぐに専門弁護士へ相談しよう

離婚に強い弁護士はこちら

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

離婚で内容証明を書く目的

離婚で内容証明を書く目的には何があるだろうと考えている方もいらっしゃるかと思います。ここでは、以下3つの目的について詳しく説明していきます。

  • 慰謝料請求
  • 養育費請求
  • 子どもとの面会

慰謝料請求

1つ目の目的は、慰謝料請求です。

内容証明は慰謝料を請求するケースにおいて多く利用されます。

たとえば、配偶者が不倫したとき、不倫相手に慰謝料を請求する方法として使われます。法律上、慰謝料請求権があることを内容証明に記載すれば、相手側に法律上の責任があることをはっきりと伝えられるため、相手にプレッシャーを与え、速やかに請求した慰謝料額が支払われることでしょう。

慰謝料請求したものの相手側から返答がない、慰謝料が支払われないケースに備えて、内容証明を利用する方もいらっしゃいます。

また、慰謝料請求には、請求期限があり、期限までの請求が必要です。発生原因によって異なり、不法行為に基づく場合は3年(民法724条)、債務不履行に基づく場合は10年(民法167条項)と定められています。

請求期限が迫っている際には内容証明によって慰謝料を請求することで、6か月間猶予することも可能です。(民法150条1項)

出典:民法|e-COV 法令検検索|法務省

養育費請求

2つ目の目的は、養育費請求です。

内容証明郵便にて、養育費の請求もしくは未払いのときに催促ができます。

養育費の支払い請求が認められるのは調停申立時以降となり、先に内容証明郵便で請求することで、調停申立時までの支払い命令を出せて、多くの養育費を支払ってもらえる可能性があります。

また、離婚後に養育費未払い問題に直面したケースにおいても、内容証明郵便で養育費の未払いを催促すれば、相手に直接接触せずに支払い催促・支払い請求した証拠を残すことも可能です。

内容証明郵便で法的な根拠を提示し、相手にプレッシャーを与えることで支払いにつながることもあります。

子どもとの面会

3つ目の目的は、子どもとの面会です。

離婚後、子どもとの面会交流を求めたいケースにおいて、内容証明郵便が有効な場合もあります。

離婚が成立してから、子どもとどのような形式で会いたいのか・頻度・その返事をいつまでにもらうかについて、内容証明であなたの意思をはっきりと伝えられます。

もし返事がなければ調停を申立てるといった文面を記載すれば、相手へプレッシャーを与えて、面会実現の可能性が高まるでしょう。内容証明郵便を送ることで、面会を申立てたという証拠をはっきりと残すこともできます。

内容証明を送るだけでも、あなたが子どもに会いたいという明確な意思表示を、本人・第三者にも示せます。

離婚における内容証明郵便の効力

ここでは、離婚における内容証明郵便の効力について説明します。

内容証明郵便には、それ自体に法的拘束力はありません。

しかし、相手への意思表示を証拠として残すことで、裁判において証拠として利用されることもあります。また、通常の郵便物と様式が異なるため、相手側に状況の深刻さを伝えて、立場の重さを認識させることが期待できます。

内容証明は、内容文書の存在を証明するものであり、文書の内容が真実かを証明するものではありません。法的な効力を期待するものではないものの、相手に送付して内容を伝えたという証明に大きな意味があるのです。

内容証明には記載方法など細かな指定が多くあるため、個人で記載するにはハードルが高く、弁護士に代理作成を依頼する方も多いです。専門家の名義があることで、相手側への心理的な負担も段違いに大きくなるでしょう。

離婚時の内容証明の書き方・送り方

離婚で内容証明を書く場合、一定のルールに従って書く・送る必要があります。ここでは、以下4ステップに分けて書き方・送り方を説明していきます。

  • 書き方
  • 発送準備
  • 郵便局で発送手続き
  • 保管

書き方

内容証明の主な書き方について説明します。

内容証明を書く用紙サイズや紙の材質は、原則として自由とされています。一般的に普及しているB4・A4サイズのコピー用紙を使用することも多く、文房具店などに「内容証明書」として販売されていますので、そちらを使うのもよいでしょう。

縦書き・横書きどちらでも問題ないとされています。

文字量として、以下が定められています。

 縦書きの場合横書きの場合備考
1行の文字数1行20文字以内
1枚26行以内
以下いずれかの様式
・1行20字以内1枚26行以内
・1行13字以内・1枚40行以内
・1行26字以内・1枚20行以内
かっこや句読点も含まれる

また、内容証明には必ず以下を記載する必要があります。

通知内容何に関する通知なのかを記載する。
文書の表題・タイトルとして記載すると相手に伝わりやすい。
日付書面発行日付
送付先の住所・氏名法人の場合は、社名・代表取締役名も記載
差出人の住所・氏名法人の場合は、社名・代表取締役名も記載

内容証明の細かな書き方について、郵便局のWebサイトにも記載がありますので、参考にしてください。

参考:Q.内容証明の謄本の作成方法等を教えてください|郵便局

発送準備

内容証明を発送する準備について説明します。

内容証明郵便を送るときは、原則として同じものを3部「自分用・相手に送る用・郵便局に保管する用」を準備しましょう。

3部すべての差出人名のところに捺印し、ページ数が複数の場合、ホチキスで止めて割印します。

また、相手方に郵送する内容証明(1部)を入れる封筒も準備しましょう。封筒には、相手の住所氏名・差出人の住所氏名(法人の場合はそれぞれ社名を記載)します。

注意点として、郵便局で手続きを済ませた後に封をしますので、自分で封をしないようにしましょう。また、郵便切手も貼ってはいけません。郵便局で手続き後、郵便局側で専用の切手を貼ってくれます。切手で支払いしたい場合は、封筒に貼らずに切手を持参しましょう。

郵便局で発送手続き

郵便局で内容証明を発送する手続きについて説明します。

内容証明郵便を送るときには、郵便局に以下5点を持参して、窓口に提出し、手続きを進めます。

  • 内容文書(受取人へ送付するもの)
  • (1)の謄本2通(差出人および郵便局が各1通ずつ保存するもの)
  • 差出人および受取人の住所氏名を記載した封筒
  • 内容証明の加算料金を含む郵便料金
  • 差出人の印鑑(念の為として持参を推奨)

出典:内容証明|郵便局

内容証明は一般書留での手続きのみとなり、速達や本人限定受け取りなどのオプションサービスはできません。

保管

内容証明の手続きが終わったら、1部「自分用」の内容証明の控えを持ち帰り、大切に保管しましょう。

郵便局での内容証明の保管期限は、差し出した日から5年です。差出人は、保管期限以内に差出郵便局に謄本を提出すれば、再度証明を受けられます。

また、差出郵便局で謄本を閲覧する場合は440円の料金がかかります。

離婚で内容証明が送られてきたらすべきこと

ここまで、離婚で内容証明を書く目的、内容証明の効力、書き方・送り方について解説しました。それでは、離婚のときに内容証明が送られてきたら何をしたらよいのでしょうか?ここからは、内容証明が送られてきたらすべきことについて、以下2点を説明していきます。

  • 拒否しない
  • 弁護士への相談

拒否しない

すべきことの1つ目は、拒否しないことです。

内容証明郵便が届いたら、受け取ることをおすすめします。

形式的に受け取りを拒否することは可能ですが、差出人に「相手側が受け取りを拒否した」ことが伝わるでしょう。また、配達のときに不在で郵便局の保管期限を過ぎてしまった場合も、差出人に内容証明郵便が返送されます。

受け取りを拒否したり、対応せずに放っておいたりすると、相手側が弁護士を立てて、調停・裁判を起こすきっかけにもつながります。そうなると、あなたに不利となる可能性が高くなってしまう為、注意が必要です。

内容証明郵便が届いたら、基本的には受け取り、内容を確認して対応をすべきです。

弁護士への相談

すべきことの2つ目は、弁護士への相談です。

内容証明が送られてきたら、離婚事案の実績が豊富な専門弁護士に相談して、今後何をすべきか、アドバイスを受けることをおすすめします。

離婚実績に豊富な弁護士は、内容に応じてどのような方法を取るべきか熟知しています。相手に返信するとしても、あなたが主張したい内容など、希望に応じて何をどう伝えるべきか教えてくれるでしょう。

また、相手側に弁護士がついている場合もあります。その場合、あなたが直接弁護士と交渉するよりも、こちらも弁護士を立てて対応した方が、あなたの不利な状況を未然に防げます。

離婚で内容証明受取後に必要な対応

離婚で内容証明受取後に必要な対応として、以下2つのケースに分けて説明していきます。

  • 内容が正しい場合
  • 内容が正しくない場合

内容が正しい場合

内容証明の内容が、正しい内容であったとしても安易に回答しないことをおすすめします。

なぜなら、対応したという実績が形に残るからです。特に相手に弁護士がついている場合、回答が弁護士に伝わり、その後の慰謝料・養育費などの交渉であなたの発言が、自分自身を不利な状況に追い込む可能性もあります。

また、一度回答した後に、やはり違う等と後から訂正することも困難です。内容証明が届いたら、あなたの判断で対応するのではなく、専門弁護士に相談してアドバイスを受けて行動すべきです。
自分にとって不利な発言しないためにも、弁護士に相談してから対応しましょう。

内容が正しくない場合

内容証明に書かれている内容が正しくない、明らかに不当な場合においても、専門弁護士に相談することをおすすめします。

無視したり、相手に反論することもできますが、感情的になってしまった場合など、自分が不利になる可能性もあります。弁護士に相談すればどのように対応するのが一番よいか提案してもらえるでしょう。

内容証明郵便は、差出人の認識と主張を記載したものであり、その内容が正しいことを証明するものではありません。状況に応じて、「受取人にとって記載内容が不当なものであり、理解できない」などの旨を記載して、内容証明郵便を返信することも必要です。

送られてきた内容証明郵便が正しくない内容であっても、法的観点から見てどうかを弁護士に判断してもらい、適切な対応をしましょう。

離婚で内容証明なら専門弁護士に相談しよう

本記事では、離婚における内容証明の目的、効力、書き方・送り方・受け取ったらすべきことについて解説しました。

内容証明は個人でも書けるものですが、細かなルールがあり初心者にはハードルが高く、相手への交渉なども含めると、精神的なストレスも大きくなるでしょう。弁護士に依頼することで、内容証明の作成はもちろん、送付後の相手への交渉も対応してくれます。

離婚でこれから内容証明を書く・もしくは受け取った方は、弁護士に無料相談してみてください。

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