熟年離婚の財産分与で押さえておくべき知識を弁護士が徹底解説!支払い割合や方法・対象などを紹介
最終更新日: 2023年09月28日
- 熟年離婚の財産分与でどれくらいもらえるのかを知りたい
- 熟年離婚の財産分与にはどのような方法があるのだろう
- 熟年離婚の財産分与を弁護士に相談するメリットを把握しておきたい
熟年離婚を考えているなら、財産分与についてもしっかりと理解しておきたいものです。どれくらいの金額を受け取れるのか、何が対象になるのかを知っておくことで、離婚後の生活の具体的なイメージにもつながるでしょう。
そこで本記事では、熟年離婚の財産分与について、離婚に詳しい専門弁護士が、支払い割合・財産分与の方法・対象・弁護士に相談するメリットについて詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 熟年離婚の財産分与の支払い割合は、1/2が一般的なものの状況で大きく異なる
- 熟年離婚の財産分与の方法は清算的財産分与・扶養的財産分与・慰謝料的財産分与の3つ
- 熟年離婚の財産分与を弁護士に相談するメリットは、スムーズな話し合いと適正額の分与が可能なこと
熟年離婚における財産分与の支払い割合
まずは、熟年離婚における財産分与の支払い割合について、以下4点を説明していきます。
- 割合は1/2が一般的
- 特有財産を築いている場合
- 貢献度・寄与度に大きな差がある場合
- 結婚生活に苦しんでいた場合
割合は1/2が一般的
財産分与とは、資産形成や維持に対する夫婦の貢献度・寄与度に応じて、財産を分ける制度のことです。
財産分与の割合は、2分の1とするのが一般的とされています。夫婦が保有している資産に関する夫婦の貢献度、寄与度はそれぞれ等しいものと考えられています。
財産分与の割合は、婚姻期間・熟年離婚に関係なく2分の1が一般的です。
特有財産を築いている場合
特有財産を築いている場合の支払い割合について説明します。
特有財産とは、婚姻前の財産・婚姻生活中に夫婦の協力とは無関係に形成された財産のことです。たとえば、独身時代の預貯金・相続財産などが該当します。
特有財産は、基本的に財産分与の対象とはなりません。あなたが保有している財産は、特有財産であることを主張することで配偶者に分与せずに済みます。
特有財産と主張しない場合、共有資産(婚姻生活中に夫婦が協力して築いた財産)とみなされ、財産分与の対象となる場合があるので注意しましょう。
貢献度・寄与度に大きな差がある場合
貢献度・寄与度に大きな差がある場合の財産分与について説明します。
保有している財産の形成や、維持に対する貢献度が夫婦間で明らかに違う場合、財産分与割合の修正も考えられるでしょう。
たとえば、スポーツ選手・画家・起業家など、本人の特殊な技術・能力・資格によって、収入のほとんどを得ている場合がこれに該当します。
企業に属して働いている会社員と専業主婦に関しては、それぞれの貢献度は等しいとされており、財産分与割合も変わらないことがほとんどです。
結婚生活に苦しんでいた場合
結婚生活で苦しんでいた場合の財産分与について説明します。
たとえば、婚姻期間中に不貞行為・暴力・モラハラ・経済的DVなどが離婚の原因になる場合、財産分与において慰謝料を考慮することもでき、一般的な財産分与割合(2分の1)が修正される可能性もあります。
ただし、離婚調停・訴訟において、財産分与とは別に慰謝料請求をしている場合は、財産分与割合が変わることはほとんどないでしょう。
熟年離婚の財産分与の方法
熟年離婚の財産分与の方法について、以下3点を説明していきます。
- 清算的財産分与
- 扶養的財産分与
- 慰謝料的財産分与
清算的財産分与
清算的財産分与は、一般的な財産分与の方法です。
離婚原因に関係なく、2人の財産は2人で平等に分けようという考え方です。一般的に「財産分与」というと清算的財産分与のことを指すことがほとんどでしょう。
清算的財産とは、夫婦が婚姻期間に協力して築いた預貯金や不動産などの財産を指します。保有する資産内容は夫婦によってさまざまです。たとえば、預貯金・不動産・車・投資などの有価証券・保険・貴金属・絵画などが含まれます。
清算的財産分与は、婚姻期間に築いた資産を対象として、夫婦平等に分ける方法です。
扶養的財産分与
扶養的財産分与とは、経済的に立場の弱い配偶者に、離婚後も片方が定期的に一定額を相手に支払う方法のことです。
離婚後、片方が生活に困窮する事由が認められる場合において、生活を補助する、という目的で財産を分与します。
たとえば、何十年もの結婚生活の間、ずっと専業主婦・主夫として生活していた場合、離婚後急に社会で働くことは困難でしょう。夫婦一方の経済力が元々弱く、離婚後、経済的に自立した生活が難しい場合、扶養的財産分与が行われることもあります。
慰謝料的財産分与
慰謝料的財産分与とは、相手の不貞行為・暴力・モラハラ・経済的DVなどが原因で離婚に至った場合、慰謝料を含めて財産分与する方法のことです。
離婚の原因を作った加害者側が、被害者側に慰謝料の代わりとして、多めに財産分与をします。
一般的には、財産分与と慰謝料は分けて考えられます。慰謝料を独立した名目で支払わない場合・片方が嫌がる場合などは、財産分与の一部として加算されることもあるでしょう。
また、慰謝料的財産分与と慰謝料を別として請求も可能です。たとえば、300万円の慰謝料を請求できる事案において、慰謝料的財産分与として200万円を受け、慰謝料として残りの100万円を請求することもできます。
熟年離婚で財産分与となる主な対象
熟年離婚で財産分与対象として、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、主な対象である以下6点について説明していきます。
- 預貯金
- 不動産
- 自動車
- 株式や投資信託
- 確定拠出年金
- 退職金
預貯金
財産分与対象の1つ目は、預貯金です。
婚姻生活中に夫婦が形成した預貯金は、財産分与の対象です。対象期間としては、結婚した日付から別居(あるいは離婚が成立)するまでが対象となります。
夫婦が築いた子ども名義の預貯金も、対象に含まれます。
不動産
財産分与対象の2つ目は、不動産です。
婚姻生活中に購入した不動産がこれに含まれます。不動産は、物理的に分割できないため、財産分与の方法として、以下の3つがあります。
・不動産売却して得た現金を2人で分ける
・片方が保有不動産住み続けて、片方は評価額の半分を現金などで受け取る
・全額どちらかに譲渡する
住宅ローンが残っている場合は、現在の時価がローンの金額を上回る場合において、財産分与対象となります。
自動車
財産分与対象の3つ目は、自動車です。
婚姻生活中に購入した自動車が対象となります。
自動車ローンが残っている場合は、住宅ローン同様、現在の時価がローンの金額を上回る場合において、財産分与対象となります。
株式や投資信託
財産分与対象の4つ目は、株式や投資信託です。
株式や投資信託など、婚姻後に購入した有価証券が該当します。
婚姻前に購入した株式が高騰していた場合は、対象外となる可能性が高いので注意しましょう。
確定拠出年金
財産分与対象の5つ目は、確定拠出年金です。
企業で給料から毎月貯めている、確定拠出年金が財産分与の対象となります。
確定拠出年金は、年金と混合されがちです。年金は財産分与には含まれません。年金は独立して、年金分割制度の対象となります。
退職金
財産分与対象の6つ目は、退職金です。
退職金が支払い済みの場合、財産分与の対象となります。退職金の支払いがまだ行われておらず、これから近い将来退職金が支払われる可能性が高い場合、財産分与の対象に含まれるでしょう。
熟年離婚の場合は退職金の支払いも間近なため、財産分与の対象として含まれることが多いでしょう。
熟年離婚の財産分与を弁護士に相談するメリット
ここまで、熟年離婚の財産分与について支払割合・方法・主な対象について解説しました。それでは、弁護士に相談すればどのような利点があるのでしょうか。ここからは、以下2点のメリットについて説明していきます。
- スムーズな話し合いが可能
- 適正金額の分与が可能
スムーズな話し合いが可能
1つ目のメリットは、スムーズな話し合いが可能なことです。
熟年離婚の財産分与において、当事者同士が話し合うことは、感情的になってしまいがちなため、できるだけ避けたいものです。
弁護士に依頼すれば、専門的な知識をもとに相手側の代理人と交渉して、冷静に話し合いできます。財産分与に関しても、スムーズに対応が進むことでしょう。
また、財産分与の複雑な手続きなども弁護士に相談できるため、離婚手続きはもちろん、財産分与に関する負担の軽減も可能です。
適正金額の分与が可能
2つ目のメリットは、適正金額の分与が可能なことです。
熟年離婚は婚姻期間も長く、若い夫婦に比べて収入も高い場合が多く、夫婦それぞれが保有する資産の額や種類に関しても、多い傾向にあります。
そのため、財産分与に関する手続きも複雑になりがちです。本人同士で行うと適切な評価ができず、本来もらえるべき額がもらえない、といったケースも出てくるでしょう。
熟年離婚に詳しい弁護士に相談すれば、過去の実績や専門家への相談を元に、不動産や退職金などの高額な資産を適切に評価でき、適正金額の分与が可能といえます。
熟年離婚の財産分与でお困りなら今すぐ弁護士に相談を
本記事では、熟年離婚の財産分与について、支払い割合・方法・主な対象・弁護士に依頼するメリットを解説しました。
熟年離婚では、財産分与の金額・種類が多くなりがちです。自分達で行おうとすると相手と感情的になり揉めることはもちろん、本来の適正金額がわからないまま財産分与を行い、離婚後に後悔してしまうことも考えられます。
弁護士に依頼することで、相手側とのスムーズな交渉はもちろん、資産の適切な評価も行え、依頼者が納得した内容で離婚を成立できる可能性が高まります。
熟年離婚をお考えで、財産分与をどうしたらよいか悩んでいる場合は、一度当事務所の弁護士に無料相談してみてください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。