横領したら弁護士へ相談。逮捕・解雇を回避するために今すべきこと

最終更新日: 2026年03月30日

横領事件に強い弁護士とは?相談すべき理由から活動内容・費用についても徹底解説

この記事でわかること

  • 横領が発覚したときの3つのリスク
  • 弁護士ができること
  • 弁護士へ相談するベストなタイミング
  • 依頼後の流れ
  • 弁護士費用と示談金の目安
  • 弁護士選びのポイント

会社の資金に手をつけてしまい、発覚を恐れて夜も眠れない日々を過ごしていらっしゃるかもしれません。

逮捕されて家族や社会的な信用を失ってしまうのではないか、職を失って経済的に困窮するのではないか、といった不安は計り知れないものです。

しかし、横領は発覚後の対応次第で、その後の人生が大きく変わる重大な問題です。

絶望的な状況に思えても、一人で抱え込まず、できる限り早い段階で弁護士に相談することが、逮捕や解雇といった最悪の事態を回避し、穏便に解決するための最も有効な手段となります。

この記事では、横領が発覚した際に直面するリスク、弁護士に依頼するメリット、そして具体的な解決までの流れを詳細に解説します。

問題を解決し、平穏な日常を取り戻すための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士

「家族が逮捕された」「示談したい」など、300件以上の刑事事件のご相談に対応してきました。(※2026年3月時点)これまでの実務経験をもとに、法律のポイントを分かりやすく解説しています。

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目次

横領が会社に発覚したらどうなる?考えられる3つのリスク

先に結論

横領が発覚すると、主に次の3つのリスクがあります。

  • 刑事事件化による逮捕・前科
  • 会社からの懲戒解雇
  • 民事上の損害賠償請求

会社の資金に手をつけてしまい、発覚を恐れている方にとって、横領が会社に露見した場合、一体どのような事態が待ち受けているのかは最大の懸念事項でしょう。

会社の横領が発覚した場合、加害者は刑事・民事・懲戒という3つの側面から、非常に厳しい現実と向き合うことになります。

それぞれのリスクについて具体的に見ていきましょう。

リスク1:刑事事件化による逮捕・前科

会社のお金を横領した場合、多く適用されるのが「業務上横領罪」です。

この罪は「10年以下の懲役」という非常に重い法定刑が定められており、決して軽視できない犯罪です。

被害額の大きさや犯行の悪質性によっては、警察による逮捕・勾留の可能性が高まります。

逮捕されると、最大で72時間は外部との連絡が遮断され、日常生活から切り離されてしまいます。

さらに、勾留されると身柄拘束は長期間に及び、その間、会社はもちろん、家族とも会えない状況が続くことになります。

もし起訴され、有罪判決を受ければ「前科」がつくことになります。

前科は、その後の人生に深刻な影響を及ぼします。

  • 新たな就職先を見つけることが困難になる
  • 特定の資格取得が制限される
  • 社会生活を送る上で多くの不利益が生じる

実際に、横領事件全体での逮捕率は約15.2%ですが、業務上横領においてはその割合がさらに高まる傾向にあります。

これは、業務上横領が会社への背信行為であり、被害額も高額になりやすいといった特性があるためです。

会社が被害届や告訴状を提出すれば、刑事事件として扱われる可能性は飛躍的に高まり、最悪の場合、刑務所に収容される実刑判決を受けることもあります。

リスク2:会社からの懲戒解雇

注意

懲戒解雇になると、退職金不支給や再就職への大きな悪影響が生じることがあります。

横領行為は、会社と従業員との間の信頼関係を根底から破壊する行為です。

そのため、会社の就業規則では、横領が発覚した場合に最も重い処分である「懲戒解雇」の対象となるのが一般的です。

懲戒解雇は、単に職を失うだけでなく、退職金が全額、または一部不支給となるケースが多く、経済的に大きな打撃となります。

また、解雇予告手当も支給されず、即日解雇される可能性もあります。

懲戒解雇という経歴は、その後の転職活動において極めて不利に働き、再就職が困難になる大きな障害となります。

一度、懲戒解雇の履歴が残ると、新しい会社が採用をためらうだけでなく、同業界での再就職も絶望的になることがあります。

これにより、経済的な基盤を失うだけでなく、家族の生活にも深刻な影響を及ぼし、住居費や教育費の支払いが困難になるなど、精神的にも追い詰められる結果になりかねません。

横領は、現在の生活だけでなく、将来にわたる家族の生活設計をも狂わせてしまう可能性を秘めているのです。

リスク3:民事上の損害賠償請求

刑事罰や会社からの懲戒処分とは別に、横領が発覚した場合には、会社から民事上の責任を追及されることになります。

会社は、被害者として横領された金銭の返還を求める「損害賠償請求」を行う権利を有しています。

この際、請求されるのは横領した元金だけではありません。

  • 横領が発覚するまでの期間にかかる利息に相当する「遅延損害金」
  • 不正行為の調査にかかった費用
  • 弁護士費用

これらも損害として上乗せされて請求される可能性があります。

民事上の損害賠償請求において、特に注意が必要なのは、横領によって生じた損害賠償義務が、自己破産をしても免責されない「非免責債権」に該当する可能性が高いという点です。

これは、横領という不正行為によって生じた債務であるため、一般的な借金のように自己破産によって返済義務が免除されることが非常に難しいという意味です。

したがって、法的にこの返済義務から逃れることは極めて困難であり、たとえ刑事罰を受け、会社を解雇されたとしても、その後に金銭的な清算を求められ続けるという現実が待ち受けています。

横領で逮捕・解雇を回避するために弁護士ができること

弁護士ができる主なこと

  • 会社との示談交渉を代行する
  • 警察介入後も逮捕・勾留回避を目指す
  • 不起訴処分や執行猶予付き判決を目指す
  • 不当に重い懲戒処分の回避を交渉する

会社の資金に手をつけてしまい、逮捕や解雇といった最悪の事態を恐れている方は、決して一人で抱え込まないでください。

横領という問題は、発覚した場合に極めて重いリスクを伴いますが、絶望する必要はありません。

弁護士という専門家が介入することで、事態を好転させるための具体的な手段が存在します。

このセクションでは、横領が発覚した場合に生じる刑事・民事・懲戒という3つの大きなリスクを回避または軽減するために、弁護士が具体的にどのような役割を果たせるのかを解説します。

弁護士に依頼することで、最悪の状況を避け、穏便な解決に導くための道筋が見えてくるはずです。

会社との示談交渉を代行し、事件化を防ぐ

弁護士の最も重要な役割の一つは、会社との示談交渉を代行し、横領事件が警察沙汰になることを未然に防ぐことです。

横領行為が発覚した際、加害者本人が直接会社と交渉しようとすると、感情的な対立が生じやすく、かえって事態を悪化させてしまう可能性が高いです。

例えば、「もう返すから許してほしい」「今回は見逃してほしい」といった加害者の言葉は、会社側からすれば反省が見られないと受け取られかねません。

しかし、弁護士が代理人となることで、冷静かつ法的な観点から会社側と交渉を進めることができます。

弁護士は、加害者の真摯な反省の意と具体的な被害弁済計画(いつまでに、いくらを、どのように返済するか)を会社に提示します。

これにより、会社側の被害感情を和らげながら、「警察に被害届や告訴状を提出しない」よう説得することが可能になります。

会社によっては、刑事事件化することで企業イメージの低下や内部調査に多大なコストがかかることを避けたいと考えるケースも少なくありません。

弁護士はそうした会社側の事情も踏まえ、刑事事件化を未然に防ぎ、内密に解決することを最大の目標として交渉を進めます。

警察が介入した場合でも、逮捕・勾留を回避する弁護活動

もしすでに会社が横領について警察に相談したり、被害届や告訴状を提出してしまったりした場合でも、弁護士は逮捕や勾留といった身体拘束を回避するための弁護活動を行います。

警察が捜査を開始すると、被疑者には逮捕の可能性が生じます。

弁護士は、捜査機関に対して「被疑者には逃亡のおそれがないこと」や「証拠を隠滅するおそれがないこと」を具体的に主張し、逮捕を回避するための意見書を提出します。

例えば、被疑者が定職に就いていること、家族と同居しており監督者がいること、弁護士を通じて被害弁償の意思を示し、会社との示談交渉を誠実に進めていることなどを詳細に説明します。

これらの事情は、逮捕の必要性を判断する上で重要な考慮要素となります。

万が一、逮捕されてしまった場合でも、弁護士は迅速に勾留請求をしないよう検察官に働きかけたり、裁判官が勾留を決定した場合には、その決定に対して不服を申し立てる「準抗告」を行うなど、早期の身柄解放を目指した活動を展開します。

弁護士が早期に介入することで、不当に長期間の身体拘束を避けることができ、その後の社会生活への影響を最小限に抑えることに繋がるのです。

不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得を目指す

重要ポイント

示談成立・被害弁償・反省の具体化は、不起訴や執行猶予を目指すうえでとても重要です。

横領事件において、逮捕・勾留後や在宅事件として捜査が進み、起訴される可能性が高まった場合でも、弁護士は不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得を目指して尽力します。

検察官が起訴・不起訴を判断する段階では、被疑者の反省の度合いや被害回復の状況が極めて重視されます。

弁護士は、被害者である会社との間で成立した示談書や、支払われた被害弁償の証拠などを検察官に提出し、被疑者が深く反省しており、被害回復に努めていることを具体的に示します。

これにより、検察官に「起訴するまでもない」と判断させ、起訴猶予による不起訴処分を目指します。

万が一、起訴されて裁判になった場合でも、弁護士は法廷で被告人に有利な事情を積極的に主張します。

  • 犯行に至った経緯に酌むべき点があったこと
  • 心から反省していること
  • 再発防止のために具体的な行動を起こしていること
  • 家族や周囲のサポート体制が整っていること

これらの有利な事情を示すことで、実刑判決ではなく、社会内での更生を促す執行猶予付き判決の獲得を目指すのです。

特に、示談が成立していることや、被害者から「寛大な処分を求める」という内容の嘆願書が得られている場合は、処分を軽くする上で極めて重要な役割を果たします。

不当に重い懲戒処分を回避できるよう交渉する

刑事手続きと並行して、横領行為が発覚した場合に会社から下される懲戒処分についても、弁護士は加害者の代理人として交渉を行います。

横領は会社との信頼関係を根底から揺るがす行為であるため、就業規則上、最も重い処分である「懲戒解雇」の対象となるのが一般的です。

しかし、懲戒解雇は退職金が支給されない、再就職が極めて困難になるなど、その後の人生に多大な悪影響を及ぼします。

弁護士は、横領の事実がある場合でも、必ずしも懲戒解雇が妥当ではないという点を会社に働きかけます。

例えば、長年にわたる会社への貢献があったこと、横領した被害額が比較的少額であること、または全額の弁済が完了していることなど、個別の事情を具体的に提示し、会社側に斟酌を求めます。

これにより、懲戒解雇ではなく、退職金の一部が支給される可能性のある「諭旨解雇」や、自己都合退職に近い扱いとなる「普通解雇」といった、より軽い処分にしてもらえるよう交渉します。

懲戒解雇を回避できれば、その後の再就職活動への影響を最小限に抑えることができ、加害者が社会復帰するための重要な足がかりとなります。

横領を弁護士に相談する最適なタイミングとは?

相談タイミングの優先順位

  1. 最優先:会社に発覚する前
  2. 次:会社から疑いをかけられた段階
  3. 緊急:警察から連絡が来た・逮捕された直後

横領問題は、対応の遅れが状況を著しく悪化させる可能性があります。

横領問題の解決においては、弁護士に相談する「タイミング」が極めて重要になります。

対応が早ければ早いほど、選択肢は多くなり、穏便な解決の可能性も高まります。

ここでは、横領が発覚した場合に考えられるリスクを回避・軽減するために、具体的にいつ弁護士に相談すべきか、3つの重要なタイミングについて解説します。

【最も重要】会社に発覚する前

横領問題において、最も理想的かつ望ましい相談タイミングは、会社に横領の事実が発覚する前です。

この段階では、まだ会社側は具体的な事実を把握しておらず、感情的な対立も生じていません。

そのため、弁護士が代理人として会社に連絡を取り、「内々に問題を解決したい」という形で交渉を開始することで、警察が介入するような事態(警察沙汰)になることなく、示談と被害弁済だけで解決できる可能性が最も高まります。

もし自首を考えている場合でも、まずは弁護士に相談することが不可欠です。

弁護士は自首のメリット・デメリットを整理し、警察への出頭方法や供述内容についてのアドバイスを提供します。

これにより、感情的な判断ではなく、最善の戦略を立てて行動できます。

この「会社に発覚する前」というタイミングを逃してしまうと、事態は一気に複雑化し、取り返しのつかない状況に陥るリスクが高まるため、一刻も早い行動が求められます。

会社から横領の疑いをかけられた段階

会社から事情聴取を求められたり、横領の疑いがあることを示唆されたりした段階も、非常に重要な相談タイミングです。

この時点でパニックに陥り、嘘をついたり、証拠隠滅を疑われるような行動をとったりすると、事態は急速に悪化し、会社からの信頼を完全に失いかねません。

最悪の場合、それがきっかけで懲戒解雇や刑事告訴へと進むリスクがあります。

弁護士に相談することで、今後の会社の調査や聴取に対してどのように対応すべきか、法的なアドバイスを冷静に受けることができます。

不利な供述をしてしまったり、意図せず証拠隠滅と受け取られるような行動をとってしまう前に、専門家である弁護士を味方につけることが、ご自身の身を守る上で極めて重要です。

警察から連絡が来た・逮捕された直後

警察が介入した、あるいは逮捕されてしまった後のタイミングは、まさに「最後の砦」ともいえる段階です。

この状況では、一刻も早い弁護士への相談が不可欠となります。

逮捕されると、最大で72時間は家族であっても面会が制限されることがありますが、弁護士はいつでも接見(面会)が可能です。

弁護士は逮捕後すぐに警察署へ接見に向かい、被疑者から詳しい状況を聞き取ります。

その上で、今後の取り調べに対する具体的なアドバイス(黙秘権の行使方法や、不利な供述を避けるための注意点など)を行います。

早期に弁護士が介入することで、不当に長期間の勾留を防いだり、勾留決定に対する不服申し立て(準抗告)を行ったりするなど、身柄の早期解放に向けた活動を迅速に行うことができます。

これにより、その後の刑事手続きを少しでも有利に進められる可能性が高まります。

横領事件を弁護士に依頼した後の流れ

依頼後の流れ

  1. 弁護士へ相談・依頼
  2. 会社との示談交渉・被害弁済
  3. 必要に応じて自首への同行
  4. 逮捕後の警察・検察対応

横領問題で弁護士に相談し依頼した際、実際に問題解決までどのようなステップで手続きが進んでいくのかは非常に気になるところでしょう。

このセクションでは、弁護士に依頼してから解決に至るまでの一連の流れを時系列で具体的に解説します。

今後の見通しを立てることで、抱えている漠然とした不安を軽減し、冷静に対処できるようになることを目的としています。

ステップ1:弁護士へ相談・依頼

最初のステップは、法律相談から正式な委任契約までです。

まずは、刑事事件、特に横領事件の解決実績が豊富な弁護士を探し、法律相談の予約をすることから始めましょう。

相談時には、いつ、どこで、いくら、どのような手口で横領してしまったのかといった事実関係を、正直かつ詳細に伝えることが非常に重要です。

もし、関連するメモや資料があれば持参することで、弁護士がより正確な状況を把握し、的確なアドバイスを提供できます。

弁護士は、あなたの話を聞いた上で、今後の見通し、最適な弁護方針、そして必要な費用について丁寧に説明します。

提示された方針や費用に納得ができれば、正式に委任契約を結び、あなたの横領事件に関する弁護活動がスタートします。

ステップ2:会社(被害者)との示談交渉・被害弁済

弁護活動の中心となるのが、会社(被害者)との示談交渉です。

弁護士は、まず会社側に受任通知を送り、今後の交渉窓口が弁護士になったことを伝えます。

これにより、あなた自身が会社と直接やり取りする精神的負担が軽減されます。

その後、弁護士は会社と連携し、横領された被害額の正確な確定作業を行います。

被害額が確定したら、それを基に、現実的な返済計画(一括払いか分割払いかなど)を会社側に提示し、交渉を進めます。

交渉がまとまれば、「示談書」を作成します。

この示談書には、被害弁済の金額や支払い方法だけでなく、

  • 「警察に被害届を提出しない、またはすでに提出済みであれば取り下げる」
  • 「事件について口外しない」

といった条項(宥恕条項や守秘義務条項)を盛り込むことが極めて重要ですめ。

この示談の成立が、その後の刑事処分や懲戒処分に大きく影響するため、弁護士は最大限の努力を払って交渉にあたります。

ステップ3:自首への同行

もし横領の事実がまだ会社に発覚しておらず、自首を検討している場合、弁護士が強力なサポートを提供します。

発覚前に自首することは、深く反省している態度を示すものとして、後の処分において有利な情状として考慮される可能性があります。

しかし、一人で警察署に出向くことは非常に大きな精神的負担と勇気が伴います。

弁護士に依頼すれば、自首への同行を依頼できます。

弁護士は事前に警察と連絡を取り、出頭日時を調整し、スムーズな自首をサポートします。

出頭時には、横領の事実や経緯をまとめた書面を提出し、加害者の代理人として、捜査機関に対して事情を的確に説明します。

これにより、あなた自身が不必要に動揺したり、不利な供述をしてしまったりするリスクを避け、場合によっては逮捕を回避できる可能性も高まります。

ステップ4:逮捕後の警察・検察への対応

万が一、警察に逮捕されてしまった場合でも、弁護士は迅速に対応します。

逮捕直後から、弁護士は被疑者との接見(面会)を行い、現在の状況を詳しく聞き取るとともに、取り調べに対する具体的なアドバイスを提供します。

具体的には、黙秘権の適切な使い方や、事実と異なる内容の供述調書には安易に署名しないことなどを助言し、不利益な供述を避けるようサポートします。

その後、弁護士は検察官に対して勾留請求をしないよう働きかけたり、裁判所が勾留を決定した場合には、その決定に対する不服申し立て(準抗告)を行うなど、身柄の早期解放を目指した活動を展開します。

同時に、弁護士は会社との示談交渉も並行して進め、示談が成立した場合はその結果を捜査機関に報告し、不起訴処分やより軽い処分が下されるよう求めていくことで、刑事手続き全体を有利に進めるよう尽力します。

横領事件にかかる弁護士費用と示談金の相場

ここで区別したいこと

  • 弁護士費用:弁護士に支払う費用
  • 示談金:会社(被害者)へ支払う賠償金

横領事件は、その後の人生を左右する重大な問題です。

この困難な状況において、弁護士への依頼を検討する際、多くの方がまず気になるのは「費用」ではないでしょうか。

このセクションでは、弁護士に支払う費用と、会社(被害者)に支払う示談金は性質が異なることを明確にした上で、それぞれの具体的な内訳と相場を詳しく解説します。

費用に関する正確な知識は、将来の資金計画を立て、より良い解決策を選択するための重要な一歩となります。

弁護士費用の内訳と相場

  • 相談料
    30分あたり5,000円から1万円程度が一般的です。多くの事務所では初回無料相談を実施している場合もありますので、確認してみましょう。
  • 着手金
    事件の難易度や見込まれる作業量によって変動しますが、横領事件の場合、おおよそ30万円から50万円程度が相場とされています。
  • 成功報酬(報酬金)
    不起訴処分を獲得した場合や、執行猶予付き判決を得た場合、あるいは減額交渉に成功した場合など、具体的な成果に応じて金額が設定されます。示談交渉で経済的利益が得られた場合には、その10%から20%程度が成功報酬となることもあります。
  • 日当・実費
    裁判所への出廷、遠方交渉の交通費、通信費、書類作成費、郵送費などが別途必要になることがあります。

弁護士費用は、依頼する法律事務所や事件の複雑さによって大きく異なるため、必ず契約前に詳細な見積もりを取り、書面で内容をしっかり確認することが重要です。

不明な点があれば、納得できるまで質問し、費用体系を明確にしてから委任契約を結びましょう。

示談金の相場と決め方

示談金は、横領事件において加害者が会社(被害者)に対して支払う賠償金であり、その金額は主に横領した金額を基準に決定されます。

原則として、横領したお金、すなわち「被害額の全額」を返済することが示談の基本となります。

しかし、単に横領した元金だけではなく、会社が被った精神的損害に対する「慰謝料」が上乗せされるケースも少なくありません。

慰謝料は、会社の被害感情や事件の悪質性によって変動しますが、一般的には10万円から20万円程度が目安となることがあります。

また、横領が発覚するまでの遅延損害金や、不正調査にかかった費用、弁護士費用の一部なども示談金に含まれる可能性があります。

示談金の最終的な金額は、会社側との交渉によって決まります。

被害額が大きければ当然示談金も高額になり、返済能力や誠意の示し方が交渉に影響します。

弁護士が間に入ることで、冷静かつ客観的な視点から会社と交渉を進め、適正な金額での示談成立を目指すことが可能になります。

示談交渉は、単にお金を支払うだけでなく、今後の処分を左右する重要なプロセスであるため、専門家である弁護士に任せるのが最も賢明な方法と言えるでしょう。

横領したお金がなく返済できない場合の対処法

返済できない場合でも大切なこと

  • 返済できないからといって諦めない
  • 弁護士を通じて返済意思を示す
  • 分割払いの交渉を行う
  • 親族援助や融資の可能性も検討する

「横領したお金をすでに使い込んでしまい、一括で返済できない」という状況は、多くの加害者が直面する深刻な問題です。

しかし、返済できないからといって諦めてしまうのは早計です。

このような場合でも、まず弁護士を通じて会社に対し、誠実に返済の意思があることを示すことが何よりも重要です。

弁護士は、加害者の経済状況を把握した上で、現実的な「分割払い」の交渉を会社と行います。

会社側も、一括での返済が不可能であれば、分割払いでも確実に回収できることを望むケースが多いため、交渉の余地は十分にあります。

重要なのは、返済計画が具体的で実行可能であることです。

返済原資を確保するためには、親族からの援助を検討したり、銀行などの金融機関から融資(いわゆる「おまとめローン」など)を受けることも一つの方法です。

ただし、金利の高いカードローンなどには安易に手を出さないよう注意が必要です。

弁護士は、このような資金調達についてもアドバイスを提供し、最適な方法を一緒に検討してくれます。

たとえ返済に時間がかかっても、完済を目指して誠実に行動する姿勢は、その後の刑事処分や懲戒処分を軽くする上で極めて有利に働きます。

会社側も、反省の態度と返済努力を評価してくれる可能性がありますので、諦めずに弁護士とともに解決策を探しましょう。

横領事件に強い弁護士の選び方3つのポイント

弁護士選びの3ポイント

  1. 刑事事件、特に横領事件の解決実績が豊富か
  2. 初動が早く、親身に対応してくれるか
  3. 費用体系が明確で、リスクも説明してくれるか

横領事件は、その後の人生を大きく左右する可能性のある重大な問題です。

この困難な状況を乗り越えるためには、適切な弁護士を選ぶことが何よりも重要となります。

しかし、数多くいる弁護士の中から、ご自身の状況に最も適した専門家を見つけ出すのは容易ではありません。

このセクションでは、横領事件の解決に特化した弁護士を選ぶ際の具体的な3つのチェックポイントを解説し、皆さんが最善の選択をできるようサポートします。

ポイント1:刑事事件、特に横領事件の解決実績が豊富か

弁護士を選ぶ際、最も重視すべき点は「専門性と実績」です。

弁護士にはそれぞれ得意分野があり、離婚問題や相続問題に特化した弁護士もいれば、企業法務や刑事事件を専門とする弁護士もいます。

横領事件は刑事事件に該当するため、まずは「刑事事件」の取り扱い経験が豊富であることは必須条件です。

その中でも、特に「横領・背任」といった財産犯事件の解決実績が多い弁護士を選ぶことが重要です。

これらの事件は、他の刑事事件とは異なる専門的な知識や交渉術が求められるからです。

法律事務所のウェブサイトには、過去の解決事例や取扱分野が掲載されていることが多いため、示談交渉の成功事例や不起訴処分の獲得実績などが具体的に記載されているかを確認しましょう。

具体的な実績は、弁護士の力量を測る重要な指標となります。

ポイント2:初動が早く、親身に対応してくれるか

横領事件は、会社への発覚前であれば水面下での解決の可能性があり、一度警察が介入してしまうと事態が急展開するため、「時間との勝負」という側面が非常に強いです。

そのため、弁護士の「対応の迅速さ」は重要な判断基準となります。

初めて問い合わせをした際の返信速度や、迅速に面談の時間を設定してくれるかなどは、初動の速さを見極める上で注目すべき点です。

また、依頼される方は精神的に非常に追い詰められ、不安な状況にあることがほとんどです。

高圧的な態度を取らず、親身になって話を聞き、依頼者の不安な気持ちに寄り添ってくれる弁護士であるかどうかも見極めるべきポイントです。

初回の法律相談の際に、ご自身の状況を安心して話せる相手か、コミュニケーションが円滑に取れるかをしっかりと確認しましょう。

ポイント3:費用体系が明確で、リスクも説明してくれるか

弁護士の「誠実さ」を見極めるためには、費用体系の透明性と、弁護活動におけるリスク説明の姿勢が重要です。

依頼する前に、着手金や成功報酬、実費といった費用について、書面などで明確に説明してくれる弁護士を選びましょう。

不透明な費用体系は、後々のトラブルの原因となる可能性があります。

また、「絶対に大丈夫」「100%不起訴になる」といった安易な言葉で依頼者に過度な期待を持たせる弁護士は避けるべきです。

信頼できる弁護士は、弁護活動によって得られるメリットだけでなく、考えられる最悪のシナリオや潜在的なリスクについても、正直かつ具体的に説明してくれます。

依頼者がすべての情報を理解し、納得した上で委任契約を進めてくれる弁護士こそ、この困難な状況を共に乗り越える信頼できるパートナーとなるでしょう。

横領に関するよくある質問

よくある質問

  • 自首した方がいい?
  • 家族や会社に知られずに解決できる?
  • 全額返済すれば罪に問われない?

横領事件は、その性質上、多くの不安や疑問を伴うものです。

特に、逮捕や解雇といった最悪の事態を避けるためには、適切な知識と迅速な行動が不可欠となります。

ここでは、横領事件に関して多くの方が抱きがちな疑問点について、Q&A形式で詳しくご説明します。

この記事を通して、皆様の不安を少しでも解消し、次の一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

Q. 自首した方がよいですか?弁護士と一緒に行くべきですか?

自首は、ご自身の犯した罪を深く反省していることを示し、将来的な刑罰を軽減する「自首減軽」の事情となり得る行為です。

しかし、必ずしもご自身にとって最善の選択肢とは限りません。

まずは、会社側と交渉して内密な解決を探ることができないか、弁護士にご相談いただくことを強くおすすめします。

会社に発覚する前に弁護士が介入し、示談交渉を進めることで、警察沙汰にならずに問題を解決できる可能性が最も高まります。

もし、さまざまな状況を考慮した結果、自首を選択するという判断になった場合でも、決して一人で警察署へ行くべきではありません。

弁護士が自首に同行することで、取り調べにおいて不利な供述をしてしまうリスクを防ぎ、警察に対してご自身に有利な事情を的確に伝えることができます。

これにより、逮捕を回避できる可能性が高まるだけでなく、その後の刑事手続きにおいても有利な展開につながる可能性が大いにあります。

弁護士は、事前に警察と連絡を取り、出頭日時を調整するなど、自首を円滑に進めるためのサポートを行います。

Q. 家族や会社に知られずに解決することは可能ですか?

家族や会社に横領の事実を知られずに解決したいというお気持ちは、多くの方が抱く切実な願いでしょう。

この願いを叶える可能性が最も高いのは、「会社に横領の事実が発覚する前」の段階で、弁護士にご相談いただいた場合です。

弁護士は、あなたの代理人として会社の上層部と直接交渉を開始し、問題の内密な解決を目指します。

この際、被害弁済の条件だけでなく、「警察に被害届や告訴状を提出しない」「事件について口外しない」といった守秘義務に関する条項を含んだ示談契約の成立を目指します。

これにより、会社が事実を外部に漏らすことなく、内々での解決が可能となるケースがあります。

しかし、一度警察が捜査を開始したり、ご自身が逮捕されてしまったりすると、刑事事件として扱われるため、秘密を守り通すことは極めて困難になります。

警察や検察は捜査の過程で家族に連絡を取ることもありますし、逮捕されれば職場にも連絡が行く可能性が高まります。

そのため、家族や会社への影響を最小限に抑えたいのであれば、何よりも早期に弁護士へ相談し、会社に発覚する前の段階で手を打つことが重要となります。

Q. 横領したお金を全額返済すれば、罪に問われませんか?

誤解しやすい点

全額返済しても、犯罪事実そのものが消えるわけではありません。

横領したお金を全額返済し、会社との示談が成立することは、刑事処分を決定する上で非常に重要な要素となります。

被害が回復され、被害者が処罰を望まないという意思を示すことで、検察官が起訴・不起訴を判断する際に、不起訴処分(起訴猶予)となる可能性は格段に高まります。

これは、ご自身の前科を回避できる可能性が非常に高まることを意味します。

しかし、「全額返済したからといって、横領したという犯罪事実そのものが消えるわけではない」という点は明確に理解しておく必要があります。

横領という行為自体は刑法上の犯罪であり、被害弁済がなされても犯罪の事実は残ります。

そのため、検察官が事件の悪質性や犯行態様、過去の犯罪歴などを総合的に考慮し、たとえ全額返済されていたとしても起訴すると判断する可能性はゼロではありません。

特に、被害額が非常に高額であったり、計画的かつ悪質な手口であったりする場合には、起訴されるリスクは残ります。

したがって、単に返済するだけでなく、弁護士を通じて会社に対して誠実な反省の態度を示し、適切な内容の示談書を交わすことが重要です。

示談書には、被害の弁済が完了したことだけでなく、会社があなたを許し、刑事処罰を求めない旨の文言(宥恕文言)を含めることで、不起訴処分の獲得により一層有利に働くことになります。

まとめ

まとめ

  • 横領が発覚すると、刑事・民事・懲戒の3方面で重大な問題になる
  • 発覚前の相談が最も有利に働きやすい
  • 弁護士は、示談交渉・逮捕回避・不起訴・懲戒軽減を目指して動ける
  • お金がなくても、分割払いの交渉など打てる手はある
  • 一人で抱え込まず、早く動くことが何より重要

会社の資金に手をつけてしまい、逮捕や解雇、社会的な信用の喪失といった事態に直面するのではないかと不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。

横領は、確かに深刻な事態を招きかねない重大な問題です。

しかし、絶望する必要はありません。

大切なのは、この問題から目を背けず、正面から向き合うことです。

最も重要なのは、一人で問題を抱え込まず、できるだけ早く専門家である弁護士に相談することです。

弁護士は、刑事事件化の回避、懲戒解雇の回避、あるいは民事上の損害賠償請求への対応など、あなたが直面する様々なリスクを軽減し、穏便な解決へと導くための具体的な戦略を立ててくれます。

会社に発覚する前であれば、警察沙汰になることなく、会社との間で内密に示談を成立させられる可能性も十分にあります。

また、万が一、警察が介入したり逮捕されてしまったりした場合でも、弁護士はあなたの権利を守り、不当な処分を防ぐために最後まで尽力します。

弁護士への相談は、あなたが失いかけた社会的信用や、何よりも大切な家族との未来を守るための、最も賢明で確実な第一歩です。

今すぐにでも、専門の弁護士に相談し、次の一歩を踏み出しましょう。

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