TikTokにおける誹謗中傷を解説!問われる罪・すべきことを詳しく紹介
最終更新日: 2023年12月30日
- TikTokで誹謗中傷を受けた。どのような対応をとればよいのだろう?
- 自分がTikTokで他人を誹謗中傷すると、どのような罪に問われるのだろう?
- 誹謗中傷トラブルを穏便に解決したいが、弁護士に頼めばどのような対応ができるのだろう?
TikTokは動画投稿ができるSNSで、2017年10月に日本でもサービス提供が開始されました
TikTokはユーザーの趣向を凝らした動画投稿が人気である反面、他人の動画を勝手に掲載したり、他人を誹謗中傷したりするトラブルが跡を絶ちません。
TikTokで誹謗中傷を受けた被害者は、様々な法的措置をとることができます。
反対に、誹謗中傷をした投稿者(加害者)は、懲役刑や禁錮刑に処される可能性もあります。
そこで今回は、TikTokをはじめとするSNSトラブルに対応してきた専門弁護士が、TikTokで誹謗中傷をした者が問われる罪や迅速に問題を解決するコツ等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- TikTokによる誹謗中傷の例としては、動画投稿を悪用した名誉毀損や肖像権侵害等がある
- TikTokで誹謗中傷をした投稿者は、刑事告訴(名誉毀損罪、侮辱罪)されたり、損害賠償請求を受けたりする可能性がある
- TikTokをめぐるトラブルに巻き込まれたときは、弁護士に代理人を依頼し、和解を目指せば迅速な解決が図れる
TikTokでの誹謗中傷の問題とは
TikTokは主に10代・20代の若者の間で人気がありますが、特定の個人や法人に関する動画をUPして誹謗中傷する問題も急増しています。
こちらでは、TikTokで起り得る権利侵害について説明します。
容姿の否定
TikTokで自分の顔や容姿等の動画をUPした人に対して「ブス」「キモい」「モデル気取りか」と罵倒するコメントは、誹謗中傷に該当します。
自分のTikTokに悪質なコメントをされた場合は、削除が可能です。悪質なコメントが頻繁に投稿される場合は、コメントの書き込み自体を制限しましょう。
もしも特定のアカウントからのコメントで何度も誹謗中傷を受けているのであれば、該当コメントを長押しタップし、TikTok側に「報告する」措置をとりましょう。
虚偽の吹聴
許可なく他人の動画を撮影し、事実無根の内容をTikTokに投稿する行為が当てはまります。
たとえば、スマートフォンで友人と連絡を取っていた自分が勝手に撮影されていて、「不倫相手と密会の打ち合わせをしている」等と、動画付きで根拠のない内容を公表された場合です。
このような投稿を行った投稿者は、被害者から刑事告訴されたり、損害賠償請求を受けたりする可能性があります。
脅し
他人のTikTokへ「殴りにいく」「殺してやる」という類の脅しのコメントを載せる行為です。
このように相手やその親族の生命、身体、自由、名誉、財産等を害すると告知した場合は、相手が恐怖に感じるかどうかを問わず、「脅迫罪」が成立します(刑法第222条)。
刑罰を受ける可能性もあるので、軽率な投稿は控えましょう。
肖像権・プライバシー権の侵害
TikTokに許可なく個人の顔や容姿等の動画を載せる行為(肖像権侵害)、住所の番地・部屋番号等や運転免許証番号・マイナンバ等を公表する行為(プライバシー権侵害)が、権利侵害に当たります。
肖像権侵害やプライバシー権侵害の罰則は刑法に規定されていませんが、投稿者は不法行為責任(民法第709条・710条)を問われ、損害賠償請求を受ける可能性があります。
TikTokでの誹謗中傷によって問われる罪
TikTokは匿名で登録できるので、誹謗中傷の投稿を行ってもすぐに投稿者の氏名・住所等は特定されません。
しかし、投稿者がプロバイダ責任制限法に則り「発信者情報開示請求」や「発信者情報開示命令」の手続きを行えば、投稿者の氏名・住所等が判明します。
被害者は投稿者の身元を特定後、刑事告訴や損害賠償請求の準備を進める可能性が高いです。
名誉毀損罪
投稿者がTikTokで公然と個人や団体の事実を摘示し、社会的評価を低下させた場合は、名誉毀損罪で有罪となるおそれがあります。
たとえば、許可なく撮影した女子高校生の動画をTikTokでUPし、「〇〇高校へ通う〇〇は売春の常習犯」等と投稿する行為は、事実の如何にかかわらず名誉毀損罪に該当します。
名誉毀損罪は、親告罪のため被害者が告訴しなければ、起訴されることはありません。
しかし、刑事告訴され起訴されて刑事裁判で名誉毀損罪にあたると判示された場合は、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。
侮辱罪
投稿者がTikTokで事実を摘示せずに公然と個人や団体を侮辱した場合は、侮辱罪で有罪となるおそれがあります。
たとえば、個人や団体に対し「バカ」「能無し」「死んでもよい」等と投稿した場合は侮辱罪になりえます。
侮辱罪も親告罪であるため、被害者が告訴しなければ検察官が起訴することはありません。
しかし被害者が告訴し起訴されて有罪判決を受ければ「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。
不法行為による損害賠償
投稿者がTikTokで誹謗中傷を行ったため個人や団体に損害が生じたときは、不法行為責任により損害賠償を請求されることがあります。
民法は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と明記しています(民法第709条)。
不法行為責任のみに問われた場合は、刑罰は受けないものの多額の賠償金請求を受ける事態が想定されるので注意しましょう。
お金で解決する場合、まずは当事者で話し合い、賠償金額についての取り決めをすることが一般的です。
ただし、話し合いが物別れに終われば、被害者は裁判所に損害賠償請求訴訟を提起する可能性があります。
賠償金額は、名誉毀損の場合、被害者が個人のときは10〜50万円程度、法人の場合は50〜100万円程度が目安です。侮辱の場合は、1〜10万円程度となります。
ただし、誹謗中傷により被害者が深刻な損害を受けたときは、賠償金額は数百万円になるケースもあります。
財産以外の損害の賠償
TikTokで誹謗中傷により財産的な損害が生じていなくとも、名誉感情が侵害された被害者は、不法行為責任を理由に損害賠償の請求が可能です。
民法には、「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」と明記されています(民法第710条)。
被害者は肖像権侵害やプライバシー権侵害を主張し、投稿者に賠償金額(10〜50万円程度)を請求できます。
TikTokで誹謗中傷をした場合に速やかに行うべきこと
投稿者がTikTokで特定の個人や法人を誹謗中傷した場合は、重い法的責任を負う可能性があります。
誹謗中傷をすでに行ってしまった場合は、直ちに自分の投稿を削除し、他人に拡散されてしまう事態を防止することが重要です。
被害者から自分のTikTokに通知が来たら、速やかに弁護士と相談し対応を協議しましょう。
謝罪
被害者から自分のTikTokに、「誹謗中傷の投稿を削除しろ」と通知が来たときは素直に謝罪し削除しましょう。
被害者が「刑事告訴する」「損害賠償を請求する」と通知してきても、決して激高したり慌てたりせず、速やかに弁護士と相談しましょう。
自分の判断だけで拙速に対応すると、更に被害者の態度を硬化させ、和解が遠のくおそれがあります。
弁護士への相談
誹謗中傷した投稿者に「あなたの法的責任を追及する」と、被害者から通知が来た場合は、まず弁護士に相談し状況を詳しく報告しましょう。
弁護士は、投稿内容を検討し投稿者(加害者)本人の希望を聴いたうえで、主に次のアドバイスを行います。
- TikTokの投稿が誹謗中傷に該当するのか
- 和解を成立させる必要性について
- 和解が決裂した場合に想定される被害者側の法的措置
- 刑事告訴された場合の対処法 等
被害者との和解を進めたいときは、弁護士に交渉役を任せ、冷静に状況を見守りましょう。
和解(示談)が成立すれば、被害者が損害賠償請求訴訟を提起したり、刑事告訴したりする事態を避けられます。
交渉
被害者との和解交渉を成功させるため、弁護士は最大限の努力をします。
交渉するときは、通常被害者と加害者が直接会って話し合うことはありません。弁護士が交渉窓口となり、被害者側の意見も聴きながら、和解の条件をとりまとめていきます。
和解(示談)するときに取り決める条件は、主に以下の通りです。
- 加害者はTikTokでの誹謗中傷を真摯に謝罪して誹謗中傷の投稿を削除し、拡散防止にも協力する
- 加害者が再び誹謗中傷を行ったときは、被害者は加害者を刑事告訴する
- 示談金の金額、支払方法、支払期限
- 被害者は加害者を刑事告訴しない
和解が成立したときは、弁護士は「示談書(合意契約書)」を2通作成し、当事者が署名押印します。
その後、被害者と加害者が示談書をそれぞれ1通ずつ所有し保管します。
TikTokの誹謗中傷でお困りなら当事務所へ相談ください
今回はTikTok等のSNSトラブルに対応してきた専門弁護士が、誹謗中傷トラブルを解決するコツ等を詳しく解説しました。
TikTokで誹謗中傷を受けた被害者も、権利侵害を行った投稿者も、できるだけ早く弁護士と相談して対策を進めましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。