転職会議で訴えられたらどうする?法的リスクと対処法を徹底解説

2024年11月22日

転職会議で訴えられたらどうする?法的リスクと対処法を徹底解説

  • 転職会議で口コミを書いたら相手企業に訴えられてしまった。わたしはどうなってしまうのだろう?
  • 転職会議で口コミが原因で損害賠償を請求された。対処法を知りたい。
  • 転職会議でのトラブルを解決するため、弁護士に相談した方がよいだろうか?

転職会議は会員登録者数700万人を誇る、転職関連の口コミ情報を提供するウェブサイトです。

あなたが転職会議の口コミに誹謗中傷と捉えられるような投稿をすれば、企業側から訴えられてしまう可能性があります。

そこで今回は、ネット上のトラブル解決に経験豊富な専門弁護士が、転職会議で訴えられたら問われる法的リスク、転職会議で訴えられた後の流れ等を詳しく解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 転職会議の誹謗中傷の口コミを投稿した場合、名誉毀損罪や侮辱罪に問われる場合がある
  • 転職会議で訴えられた場合、必ず答弁書を提出しよう
  • 誹謗中傷で訴えられたら、冷静に専門弁護士と相談し、対処方法を話し合おう

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

詳しくはこちら

転職会議で告訴されたら問われる法的リスク

転職会議の口コミに誹謗中傷の投稿を行えば、投稿者は刑事責任を追及されるおそれがあります。

誹謗中傷された企業が警察に告訴状を提出すれば、あなたは名誉毀損罪や侮辱罪に問われ、逮捕・起訴されてしまうかもしれません。

出典:刑法|e-GOV法令検索|法務省

名誉毀損罪

名誉毀損罪とは、公然と特定の個人や団体の事実を摘示し、相手の名誉を侵害する罪です。

転職会議に掲載されている企業の情報が本当でも・嘘でも、投稿すれば事実の摘示に該当します。

事実の適示で企業側の社会的評価を失墜させれば、名誉毀損罪に問われるおそれがあります。

次のような投稿に気を付けましょう。

  • 「株式会社〇〇は労働に関する法令を全く守っていない。毎年従業員がうつ病になり〇人も辞めている」
  • 「株式会社〇〇はパワハラで有名なブラック企業だ。これまでに従業員が数十人も自殺している。こんな企業に入ったら人生が終わる」

あなたが名誉毀損罪に問われ有罪判決を受けると、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処されます(刑法第230条第1項)。

侮辱罪

侮辱罪とは、特定の個人や団体の事実を公然と摘示せずに、相手を侮辱する罪です。

転職会議に掲載されている企業の悪口を投稿すれば、あなたは侮辱罪に問われるおそれがあります。

次のような投稿に気を付けましょう。

  • 「株式会社〇〇はブラック企業。採用募集に応じる価値はなし」
  • 「株式会社〇〇なんてすぐに倒産する。話にならない」

あなたが侮辱罪に問われ有罪判決を受けると、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処されます(刑法第231条)。

転職会議で訴えられた後の流れ

転職会議に掲載されている企業を誹謗中傷すれば、あなたの個人情報を特定後、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起される可能性があります。

裁判所から訴状が届いた場合は、無視せずに、通知に従い答弁書への記載を行いましょう。

訴状が届く

まず転職会議であなたに誹謗中傷された企業が、あなたの住所地を管轄する裁判所に、損害賠償請求の訴えを提起します。

その後、裁判所から特別送達という方法(書留郵便)で、被告となるあなたに訴状が届きます。通知の内容をよく確認しましょう。

訴状が入っている封筒には、基本的に期日の呼出状、答弁書の書き方を説明する書類等が同封されています。

答弁書を提出する

訴状には原告(企業)の主張が記載されています。企業の主張内容のどこが間違っていて、どこが正しいのかを確認しましょう。

あなたは「答弁書」に自己の主張と、原告側の誤っている部分を記載します。自分の言い分は手書きか、パソコンで記載が可能です。

答弁書は、同封されている答弁書用紙を使用しても、自分で書面を作成しても構いません。

ただし、指定された提出期限(遅くとも第1回の裁判期日前)までに、答弁書を作成・提出する必要があります。

裁判の準備

訴状と一緒に届いた呼出状を確認し、指定された第1回目の裁判期日に都合を合わせられるか検討しましょう。

都合が悪い場合、早めに担当書記官へ連絡すると、期日の変更が認められる可能性もあります。また、裁判までにあなたの主張を裏付ける証拠や、証人を選んでおく必要があります。

なお、あなたが弁護士を代理人にすれば、書面作成や証拠の収集、裁判所に来て手続きを進める作業も委任可能です。

裁判

あなたは第1回目の裁判期日に裁判所へ出頭します。

ただし、最初の1回目の期日に限り、答弁書を前もって裁判所に提出していれば、たとえ出頭しなくても、答弁書に書いた内容を主張したという取扱いがなされます。

答弁書を提出すれば、第1回目の裁判期日を欠席しても、被告であるあなたに不利益はありません。

転職会議で訴えられたらすべき対処法

転職会議での誹謗中傷の投稿が原因で訴えられたら、慌てずに今後の対応を検討しましょう。

自分だけで民事裁判の準備を進めていくのが不安な場合は、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。

弁護士への相談

訴状があなたの自宅に届いた場合、なるべく早く弁護士と相談し、事後の対応をどうするのか協議しましょう。

弁護士は訴状の内容や転職会議の口コミ投稿を確認し、次のようなアドバイスを行います。

  • あなたの口コミ投稿が誹謗中傷にあたるか
  • 訴状で主張されている事実に誤りがある場合の反論方法
  • 答弁書の作成ポイント
  • あなたの主張を裏付けられる証拠の揃え方
  • 民事裁判の流れ
  • 弁護士を代理人にするメリット

訴状が届いた段階で弁護士を代理人にすれば、答弁書をはじめ準備書面や書証の作成・提出の他、裁判期日に行う主張・立証も委任が可能です。

訴状の内容確認

訴状の内容を冷静に確認しましょう。訴状が届いたら、あなたが転職会議で誹謗中傷の投稿をしたのか、よく思い出してみましょう。

誹謗中傷されたと主張する企業側は、投稿した人物の個人情報を特定する「発信者情報開示請求」または「発信者情報開示命令」の手続きを行い、あなたの氏名・住所・メールアドレスを特定したとみて間違いありません。

あなたが誹謗中傷の投稿をした覚えがないなら、不正アクセス行為で登録したあなたのアカウントが乗っ取られ、そこから誹謗中傷の投稿が行われた可能性もあります。

また、投稿した記憶があるなら、原告である企業の主張の正しい部分、間違っている部分を判断しましょう。

自分の主張・言い分をまとめ、弁護士のアドバイスを参考にしながら、答弁書の作成に移ります。

答弁書の記載・提出

答弁書を裁判所に提出する場合、次のような内容を必ず用紙に記載しましょう。

  • 事件番号、事件名、当事者名
  • 被告であるあなたが裁判所からの書類を受け取る場所
  • 訴状に記載された「請求の趣旨」「請求の原因」の項目それぞれについて認めるか否か
  • 反論や希望があれば漏れなく記載

手書き・パソコンいずれでも作成は可能ですが、作成後、忘れずに作成年月日・連絡先(電話番号等)を明記し、署名または記名・押印します。

答弁書は正本(裁判所用)1通、副本(相手方用)1通の合計2通を提出する必要があります。2つとも同じ内容にしなければいけません。

提出方法は持参しても、郵送やファックスのいずれを利用しても構いません。なお、郵送で提出する場合は、呼出状に明記された担当書記官宛へ送付しましょう。

原告(企業側)に答弁書を送付する郵便切手が必要な場合もあります。訴状と一緒に届いた書面に郵便切手の添付を要求されていたら、郵便切手を答弁書に添付したうえで提出しましょう。

以後、答弁書に書いた内容以外で、あなたの言い分をさらに書面で提出する場合は「準備書面」という表題にし、答弁書と同じ形式で作成した書面を提出します。

出頭

訴訟を提起されてから、およそ1か月後に第1回目の裁判期日が開かれます。

第1回の裁判期日の場合、答弁書を提出していれば、本人が裁判所に出頭する必要はありません。

第2回目以降は、概ね1か月に1回のペースで期日が開かれます。期日に合わせ原告と被告双方が、互いに主張する書面(準備書面)・証拠となる書面(書証)を提出していきます。

民事裁判は原告の主張後に被告の反論、原告の再反論、被告の再々反論という形で書面を提出していきます。

ただし、2回目以降の裁判期日の場合、期日のすべてにあなたが出頭する必要はありません(ただし、尋問期日には出頭する必要あり)。裁判期日には、あなたの代わりに弁護士が主張・反論を行います。

転職会議で訴えられたときの注意点

あなたが誹謗中傷をした企業から訴えられたときは、裁判所の通知に従って裁判の準備を進めましょう。

裁判所の通知や呼び出しを無視したり、拒否したりすると、あなたの立場がどんどん不利になります。

無視をしない

あなたが答弁書を提出せず、第1回目の期日にも出頭しないという対応は避けましょう。

あなたがいない状態で裁判が進められてしまいます。あなたが訴状に対する主張・反論を行わないと、訴状に書いてある内容を認めたものとみなされます。

そのため、原告の請求をそのまま容認した判決が出る可能性もあるでしょう。判決の内容によっては多額の損害賠償を命じられ、あなたが経済的に困窮する事態となるかもしれません。

あなたが被告となる民事裁判で、どのような対応をとればよいかわからないときは、弁護士のアドバイスを受けながら、裁判手続きを進めましょう。

感情的にならない

被告であるあなたが裁判所に出頭したときも、冷静な対応を心がけましょう。

訴状の内容に腹を立て、法廷で次のような暴言を吐くと、裁判官のあなたへの心証は悪化します。

  • 「〇〇社の悪評なんてみんな知っている。何故わざわざ私だけを訴える必要がある」
  • 「私の口コミ投稿はすべて真実です。こんなブラック企業の言い分に耳を貸さないでください、裁判官」

あなたが出頭して自分の言い分を主張するときは、冷静かつ説得力のある説明を行う必要があります。

裁判期日には、弁護士があなたの代わりに主張・反論を行えば、トラブルもなく手続きが進められるでしょう。

一人で対応しない

あなた一人で対応せずに、弁護士のサポートを受けましょう。

もちろん、あなただけで提出する書面を作成したり、裁判所に出頭し手続きを進めたりしても構いません。ただし、民事裁判では法律的な専門知識が必要です。

素人のあなただけの力で、スムーズに手続きが進められるとは限りません。

民事裁判に詳しい弁護士に頼った方が、自分の主張や反論を、正確に裁判所や原告へ伝えられます。

なお、民事裁判に強い弁護士は、各法律事務所が開設しているホームページから確認できます。

  • 民事裁判の解決実績が具体的に明記されている:(例)累計解決実績〇万件等
  • 民事裁判に関する相談事例や解決事例・トピックが豊富に掲載されている
  • 民事裁判の流れ・弁護士費用目安が明示されている

上記の内容がホームページからわかるときは、民事裁判に実績豊富な弁護士といえるでしょう。

転職会議で訴えられたら今すぐ春田法律事務所にご相談を

今回はネット上のトラブル解決に尽力してきた専門弁護士が、転職会議の誹謗中傷で訴えられた場合の対応方法等について詳しく解説しました。

転職会議に企業の正当な批判を投稿したつもりでも、批判を受けた企業側から誹謗中傷と受け取られるリスクがあります。口コミの投稿には細心の注意を払いましょう。

春田法律事務所では、初回相談を無料で行っています。まずは気軽に当事務所に来所し、企業と法的なトラブルとなった悩みや不安を、打ち明けてみましょう。

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