【労災】死亡の賠償金|遺族がすべき手続きと流れを弁護士が解説

2026年05月19日

【労災】死亡の賠償金|遺族がすべき手続きと流れを弁護士が解説

仕事中の事故や過労などでご家族が亡くなられた場合、遺族の方々は深い悲しみの中で、今後の生活や会社への対応など、多くの不安を抱えられていることと思います。

労災によって死亡した場合、遺族は労災保険からの給付だけでなく、会社に対して賠償金を請求できる可能性があります。

本記事では、労災死亡事故において遺族が受け取れるお金の種類、手続きの流れ、そして弁護士に依頼するメリットについて詳しく解説します。

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士
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ご家族を労災事故で亡くされた方へ

突然の労災事故により大切なご家族を亡くされたご遺族の悲痛な思いは、計り知れません。深い悲しみの中で、葬儀や様々な手続きに追われ、心身ともに疲弊されていることでしょう。

しかし、遺されたご家族の今後の生活を守るためには、適切な賠償金や給付金を受け取ることが非常に重要です。

会社側に安全配慮義務違反などの責任がある場合、正当な賠償金を請求することは、亡くなられた方の無念を晴らし、再発防止につながる大切な行動でもあります。

労災死亡で遺族が受け取れるお金は2種類

労災死亡事故が発生した場合、遺族が受け取ることができるお金は大きく分けて「労災保険からの給付金」と「会社に対する損害賠償金」の2種類があります。

労災保険からの給付金

国が運営する労災保険制度から、遺族の生活を保障するための給付金が支給されます。

これは会社の過失の有無に関わらず、業務起因性と業務遂行性が認められれば受け取ることができます。

遺族(補償)等給付

亡くなられた労働者の収入によって生計を維持していた遺族に対して支払われます。

遺族の人数や年齢などの条件に応じて、年金形式(遺族補償年金)または一時金形式(遺族補償一時金)で支給されます。遺族の今後の生活を支える重要な柱となります。

葬祭料(葬祭給付) 

亡くなられた方の葬儀を行った方(通常は遺族)に対して支給される費用です。

支給額は、31万5000円に給付基礎日額の30日分を加えた額、または給付基礎日額の60日分のいずれか高い金額となります。

未支給の保険給付 

労働者が生前に請求すべきであった休業補償給付や療養補償給付などで、まだ受け取っていなかったものがある場合、遺族が本人に代わって請求し、受け取ることができます。

労災保険からの給付金額の全体像と計算方法については、以下の記事でわかりやすく解説しています。

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会社に対する損害賠償金

労災保険からの給付だけでは、遺族が被った損害をすべてカバーすることはできません。

会社側に安全配慮義務違反や不法行為責任が認められる場合、遺族は会社に対して労災保険で賄われなかった部分に関して損害賠償金(慰謝料など)を請求できます。

会社に請求できる損害賠償の内訳と相場 

会社への賠償金請求には、主に「死亡慰謝料」と「死亡逸失利益」が含まれます。

  •  死亡慰謝料
    亡くなられたご本人の精神的苦痛に対する慰謝料および遺族固有の慰謝料です。相場はご本人の家庭内での立場(一家の支柱か否かなど)により異なりますが、およそ2000万円〜2800万円程度になることが多いです。

  • 死亡逸失利益
    生きて働き続けていれば将来得られたはずの収入から、生活費を差し引いた金額です。年齢や収入によって大きく変動します。

労災事故で慰謝料を請求できるケースや相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。

労災保険だけでは不十分な理由 

労災保険はあくまで最低限の生活保障を目的としており、精神的苦痛に対する「慰謝料」は一切支給されません。また、「逸失利益」についても全額が補償されるわけではありません。

そのため、適正な賠償を得るためには、労災保険とは別に会社へ損害賠償を請求することが不可欠です。

労災保険給付とは別に、会社への損害賠償請求ができる根拠や手続きについてはこちらをご覧ください。

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労災死亡事故発生後、遺族がすべき手続きと流れ

労災死亡事故が起きた場合、適切な賠償金を受け取るためには正しい手順を踏む必要があります。

労災保険の給付申請 

まずは、労働基準監督署に対して労災保険の給付申請を行います。

遺族補償年金や葬祭料の請求書を作成し、死亡診断書や戸籍謄本などの必要書類を添えて提出します。会社が手続きを代行してくれるケースもありますが、遺族自身で行うことも可能です。

労災の申請手続きや相談窓口については、以下の記事で詳しく解説しています。

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会社への損害賠償請求の準備(証拠収集) 

会社へ賠償金を請求するには、会社側の過失(安全配慮義務違反など)を証明する必要があります。

事故現場の状況、労働時間(タイムカードなど)、業務内容に関する資料、同僚の証言など、客観的な証拠を集めることが非常に重要です。

会社との示談交渉 

証拠が揃い、損害額の計算ができたら、会社側(または会社の加入する任意労災保険会社)と示談交渉を開始します。

遺族側から賠償金の請求書を送付し、金額や支払い方法について話し合います。

示談不成立の場合は訴訟(裁判)へ 

会社が責任を否定したり、提示された賠償金額が不当に低かったりして示談がまとまらない場合は、労働審判や民事訴訟(裁判)を起こして解決を図ることになります。

労災による死亡事故を弁護士に相談するメリット

労災死亡事故に関する会社への賠償金請求は、法的知識が不可欠であり、遺族だけで進めるには大きな困難が伴います。

弁護士に依頼することで以下のメリットがあります。

適正な損害賠償額を請求できる

 会社側は賠償額を低く抑えようとする傾向があります。

労災問題に詳しい弁護士であれば、裁判所の基準(弁護士基準)を用いて正確な慰謝料や逸失利益を算定し、適正な賠償金を請求・獲得することが可能です。

会社との交渉や複雑な手続きをすべて任せられる 

証拠の収集や法的根拠の整理、会社側との厳しい交渉、労働基準監督署への対応など、複雑な手続きをすべて弁護士が代理で行います

これにより、手続き上のミスを防ぎ、有利に交渉を進めることができます。

精神的な負担を大きく軽減できる 

大切な家族を失った悲しみの中で、責任を逃れようとする会社と直接交渉することは、遺族にとって耐え難いストレスとなります。

弁護士が窓口となることで、会社と直接やり取りする心理的・精神的な負担から解放され、心安らかに故人を偲ぶ時間を確保できます。

労災問題を弁護士に依頼する具体的なメリットや費用の目安は、以下の記事でまとめています。

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労災死亡の賠償金に関するよくある質問

Q:労災保険の請求と会社への損害賠償請求は両方できますか?

 A:はい、両方可能です。

労災保険からは慰謝料などが支給されないため、不足する損害分について会社へ賠償金請求を行うのが一般的な流れです。(ただし、二重取りを防ぐための調整が行われます)。

Q:会社が労災申請に協力的でない場合はどうすればよいですか? 

A:会社が「事業主証明」を拒否する、いわゆる労災隠しをする場合でも、遺族が直接労働基準監督署へ申請することができます。

その際、会社が証明を拒否した旨を記載すれば受理されますのでご安心ください。

Q:損害賠償請求の時効はいつまでですか? 

A:会社への損害賠償請求(安全配慮義務違反に基づく債務不履行責任)の消滅時効は、原則として「権利を行使することができる時から10年」です。

ただし、不法行為責任に基づく場合は「損害及び加害者を知った時から3年(死亡の場合は5年)」となるケースもあります。

早めに弁護士に相談し、時効の完成を防ぐことが大切です。

まとめ

労災事故でご家族が死亡した場合、遺族は労災保険からの給付だけでなく、会社に対して損害賠償金を請求できる可能性があります。

適正な賠償金を受け取るためには、慰謝料や逸失利益の正確な計算、そして会社側の安全配慮義務違反を立証する証拠集めが不可欠です。

しかし、ご遺族だけで会社と交渉するのは精神的にも物理的にも非常に困難です。正当な賠償金を獲得し、今後の生活の安心を得るためにも、労災問題に精通した弁護士にできるだけ早く相談することをおすすめします。

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