掲示板の書き込みで逮捕の可能性?罪と対処法を詳しく解説
最終更新日: 2024年11月27日
- ネット掲示板で相手を誹謗中傷した。私は逮捕されてしまうのだろうか?
- ネット掲示板で相手を誹謗中傷した事実がバレそうだ。どのような罪に問われるのか不安だ。
- 誹謗中傷の投稿をしたせいで警察に逮捕されそうなとき、弁護士に相談した方がよいか?
ネット上のSNSや掲示板で、あなたが軽い気持ちで相手を誹謗中傷した場合、捜査機関によって逮捕・起訴され、有罪判決を受ける可能性があります。
SNSや掲示板を匿名で利用できても、誹謗中傷された相手はあなたを特定する可能性があるのです。何らかの対応をとらなければ、あなたは重いペナルティを受けるかもしれません。
そこで今回は、ネット上のトラブル解決に豊富な実績を持つ専門弁護士が、掲示板の書き込みで逮捕されるケース、問われる主な罪等を詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- あなたが悪ふざけのつもりで犯行予告や他人を誹謗中傷した場合、刑事責任を追及される可能性がある
- 刑事告訴され有罪判決を受ければ、最悪の場合は刑事施設に収容される可能性がある
- あなたが誹謗中傷の投稿をしたときは、専門弁護士に相談し対処方法を協議しよう
掲示板書き込みで逮捕されるケース
あなたがネット掲示板で、特定の個人や団体に対する誹謗中傷を投稿した場合、警察に逮捕されてしまう場合もあるので注意が必要です。
相手を誹謗中傷する内容となり得る投稿には、いろいろなケースがあります。
犯行予告
ネット掲示板に犯行予告を投稿する場合です。
本当に犯罪を行うつもりの他、冗談で犯行予告をした場合でも、特定の個人や団体に圧力をかけたという事実で、逮捕される可能性があります。
次のようなケースが該当します。
- 特定の場所や施設等への犯行予告:駅を爆破する、学校にサリンを撒く等
- 特定の人物への犯行予告:有名人〇〇を刺殺する、政治家〇〇をバットで殴る等
- 犯罪の取引等を予告する:銃や違法薬物の販売について掲示板を利用し予告する等
虚偽の情報発信
嘘の情報を拡散させ、社会を混乱させる書き込みの場合です。
実際にテロや事件を起こす気がなくとも、面白半分で流したデマが、多くの人を巻き込む騒動に発展した場合、あなたは逮捕される可能性があります。
次のようなケースが該当します。
- 地震が起きた直後、被害のない地域にもかかわらず「何人も倒壊した建物に押しつぶされた」と投稿し、救助を混乱させた
- 地域の少数者である外国人を快く思っておらず、「〇〇人が貯水池に毒を盛った」と投稿し、混乱を生じさせた
特定人物の名誉を傷つける内容
特定の個人や団体の名誉を傷つける書き込みが行われた場合です。
名誉を傷つける投稿であれば、内容が嘘であっても真実であっても、あなたは逮捕される可能性があります。
次のようなケースが該当します。
- 「〇〇高校に通う女子高生〇〇は、週末に立ちんぼしている。妊娠・中絶の経験もある」
- 「〇〇団体は慈善団体の皮をかぶったテロリストだ。団体が管理する倉庫内に爆薬を隠し持っている」
荒らしなど悪質な内容
ネット掲示板でユーザーがやり取りしている最中に、割り込んで、特定の個人・団体を誹謗中傷する場合です。
なお、無断で特定の個人・団体の画像や動画を投稿する行為も、「荒らし」といえます。ただし、肖像権の侵害に関して刑法に罰則の規定はありません。
肖像権侵害の場合は、民事裁判で解決を図ることになります。
掲示板書き込みの逮捕で問われる主な罪
あなたが掲示板で、特定の個人や団体を誹謗中傷すると、いずれあなたの個人情報が特定され、刑事責任を問われるかもしれません。
あなたが逮捕・起訴され有罪判決を受ければ、懲役刑や禁錮刑(2025年6月1日から拘禁刑に統一)、罰金刑等に処される可能性があります。
名誉毀損罪
名誉毀損罪は、公然と事実を摘示し、特定の個人や団体の名誉を害する罪です。
掲示板に投稿した具体的な内容が、真実であれ虚偽であれ、誹謗中傷した相手の社会的評価を低下させれば、本罪が適用されるので注意しましょう。
たとえば掲示板に「〇〇は精神異常者だ。少年の頃に俺は神だといいながら、駅で包丁を振り回した」と、投稿する行為が該当します。
あなたが名誉毀損罪に問われ有罪になれば「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。
侮辱罪
侮辱罪は、公然と事実を摘示しないで、特定の個人や団体を侮辱する罪です。
あなたが掲示板で具体的な事実を述べずに、特定の個人や団体の悪口をいった場合、本罪が適用されます。
たとえば、掲示板に「会社〇〇はブラック企業だ。さっさと倒産しろ」と、投稿する行為が該当するので注意しましょう。
あなたが侮辱罪に問われ有罪になれば「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。
脅迫罪
脅迫罪は、特定の個人やその親族の生命・身体、自由、名誉、財産に害を加えると告知し、脅迫する罪です。
掲示板で脅迫する場合以外にも、特定の個人の電話やメール等で行った脅迫も本罪に該当するので注意しましょう。
たとえば「〇〇さん(あなた)の自宅に放火し、家族全員を焼き殺しますよ」と、掲示板へ投稿する行為等が脅迫罪にあたります。
あなたが脅迫罪に問われ有罪になった場合、「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」に処されます(刑法第222条第1項)。
信用毀損及び業務妨害
信用毀損及び業務妨害罪(偽計業務妨害罪)とは、嘘をつき、特定の個人や団体の業務を妨害した場合に適用される罪です。
たとえ相手の業務に何ら影響がなくとも、本罪が適用されます。
掲示板に投稿し虚偽の情報を拡散させるだけでなく、少数の人へ伝える行為も本罪に該当するので注意しましょう。
たとえば、掲示板に「〇日〇時〇分に、〇〇市役所にダンプカーで突撃する」と、虚偽の予告を投稿する行為が、本罪に当たります。
あなたが本罪に問われた場合、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
」に処されます(刑法第233条)。
その他
刑罰にはあたらないものの、あなたが相手の肖像権侵害やプライバシーを侵害した場合、「不法行為責任」を理由として、損害賠償を請求される可能性があります(民法第709条・710条)。
肖像権侵害やプライバシー侵害とは、それぞれ次のような場合です。
・肖像権侵害:あなたが許可なく、掲示板に相手の顔や容姿の撮影画像・動画を投稿した
・プライバシーの侵害:あなたが無断で、相手の私生活に関する情報を投稿した
相手は、内容証明郵便を利用した通知であなたに請求する場合の他、損害賠償請求訴訟を裁判所に提起し、解決を図る可能性もあります。
掲示板の書き込みで逮捕された後の流れ
掲示板の誹謗中傷の書き込みが原因で逮捕された場合、何もしなければ起訴され、刑事裁判を受けることになるでしょう。
逮捕を想定し、あらかじめ弁護士を私選弁護人に選任しておけば、あなたは最悪の事態を避けられる可能性があります。
逮捕・送検
あなた(被疑者)が逮捕された場合、まずは警察署で警察官から取り調べを受けます。
留置の必要があると判断された場合、警察署の留置施設・拘置所に留置され、自宅へは戻れません。警察は逮捕・留置したあなたを、48時間以内に検察へ送致します。
検察庁に送致後、あなたは検察官から取り調べを受けます。
検察官が必要と認めた場合、24時間以内に、留置施設や拘置所に引き続き拘束する「勾留」措置を、裁判所に請求するでしょう。
一方、勾留する必要はないと判断すれば、釈放して任意捜査とする場合もあります。
あなたに私選弁護人がいれば、捜査機関に逃亡・証拠隠滅の危険性はないと説得し、早期の釈放を働きかけるでしょう。
勾留
勾留が決定された場合、最長20日間も留置施設や拘置所に拘束されます。
勾留中は家族の面会が可能ですが、一般面会は1日1組に限定されています。更に、裁判所から接見禁止の命令が出されていると、弁護士以外の面会は不可能です。
あなたにとって勾留期間中は、弁護士のみが精神的な支えとなるでしょう。
起訴・不起訴
起訴・不起訴は、検察官が判断します。
ただし、あなたが名誉毀損罪や侮辱罪に問われていた場合、検察官が処分を決める前に、相手との示談が成立するかもしれません。
この場合、両罪は親告罪なので相手が示談に応じ告訴を取り下げると、刑事手続も進まなくなり、あなたは不起訴となります。
一方、相手との示談が成立せず、一切の事情を考慮し検察官が必要と判断すれば、あなたは起訴されてしまうでしょう。
起訴後は刑事裁判が開始されます。
裁判
刑事裁判は、基本的に公開の法廷で行われます。
刑事裁判(公判廷)のおおまかな流れは、次の通りです。
- 1.検察官やあなた(被告人)、弁護人の主張を聴く
- 2.提出された証拠を調べて審理
- 3.刑罰を科すべきかどうか判断
- 4.判決を言い渡す
あなたから掲示板で誹謗中傷を受けた相手は、裁判を傍聴できる他、証人として法廷に出頭し、証言を求められる場合もあります。
判決・刑の執行
あなたは裁判所から次のいずれかの判決を言い渡されます。
- 無罪判決:あなたを無罪とする判決
- 実刑判決:あなたを有罪とする刑が言い渡され、かつ刑が執行される判決
- 執行猶予付き判決:あなたを有罪とする刑が言い渡されるが、刑の執行を猶予する判決
無罪判決でなければ、実刑判決はもちろん執行猶予付き判決を受けた場合も、あなたに前科が付いてしまいます。
判決に不服があるときは、上級裁判所に不服申立てが可能です。
掲示板の書き込みで逮捕の恐れがある場合の対処法
あなたが掲示板に誹謗中傷する投稿をしたと自覚しているのであれば、自分から積極的に行動する必要があります。
弁護士の助言やサポートを受けつつ、相手と和解できるように努力しましょう。
書き込み削除
自分から率先して、誹謗中傷の投稿を削除しましょう。
投稿を削除すれば、誹謗中傷の拡散防止が可能です。また、投稿者のあなたが懸命に問題解決を図っていると、相手にアピールできます。
投稿削除を進めれば、あなたが相手に示談を申し出たとき、相手も交渉を前向きに検討する可能性があります。
示談交渉
相手との示談交渉を図りましょう。示談が成立すれば、相手からの損害賠償請求や、刑事告訴による責任追及を免れる可能性があります。
示談交渉では主に次のような事柄を取り決めます。
- あなたが誹謗中傷を謝罪し、二度と誹謗中傷の投稿はしない旨を宣誓する
- 投稿の削除、拡散防止に努める旨
- 示談金額や支払方法、支払期限の決定
- 相手側が損害賠償請求や刑事告訴をしない旨(すでに告訴している場合は取下げ)
- 示談成立後、双方が誹謗中傷の問題を蒸し返さない旨
示談がまとまれば、示談書を2通作成し、それぞれが大切に保管しましょう。
弁護士への相談
あなたが誹謗中傷の投稿を行い、逮捕されるのではないかと不安を感じたときは、弁護士に相談しましょう。
弁護士は誹謗中傷の投稿を確認し、あなたの希望を聴いたうえで、次の助言を行います。
- 誹謗中傷の投稿がどのような罪にあたるか
- 誹謗中傷の投稿を自主的に削除する必要性
- 示談交渉のポイント
- 示談が不成立となった場合のリスク
- 示談成立前に逮捕された場合の対応
弁護士と相談して「自分は逮捕される可能性があるので、いまのうちに弁護士へ代理人を依頼したい」と思ったときは、私選弁護人として選任するとよいでしょう。
弁護士が代理人となれば、示談交渉や逮捕されたときの弁護活動等をすべて委任できます。
掲示板の書き込みで逮捕されそうなときはすぐ弁護士に相談を
今回はネット上のトラブル解決に尽力してきた専門弁護士が、誹謗中傷の責任を問われた場合の対処法等について詳しく解説しました。
誹謗中傷の投稿で有罪になりたくないのであれば、投稿者であるあなた自身が問題の解決に積極的に動く必要があります。
まずは弁護士と冷静に話し合い、今後の対応を協議しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。