2chで誹謗中傷で逮捕!?被害者と加害者両方の立場で対処方法を解説
最終更新日: 2024年11月30日
- 2chの誹謗中傷で逮捕されるとすれば、どのような罪状がありえる?
- 2chの誹謗中傷で逮捕された後は、どうすればいい?
- 2chの誹謗中傷で逮捕された場合、どのように対応する?
2chは匿名で書き込めるため、誹謗中傷が疑われる投稿が行われることも珍しくありません。場合によっては、誹謗中傷が原因で2chの投稿者が逮捕されることもあります。
そこで今回は、インターネット上の誹謗中傷問題を解決した実績が豊富な専門弁護士が、2chの誹謗中傷で逮捕にまで至った場合の対応方法や事例などを詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 2chで誹謗中傷が理由で、業務妨害や名誉毀損・侮辱で逮捕されることがある
- 2chの誹謗中傷で逮捕してもらいたいときは、情報開示請求や刑事告訴、損害賠償請求を行う
- 2chの誹謗中傷で逮捕されたときは、示談できないか模索する
2chの誹謗中傷が理由で逮捕された事例がある
ここでは、2chの誹謗中傷に関する基礎知識を3つ解説します。
- 誹謗中傷の意味
- 2chの特徴
- 2chの誹謗中傷が原因で起こりうるリスク
1つずつ解説します。
誹謗中傷の意味
2chの誹謗中傷に関する基礎知識の1つ目は、誹謗中傷の意味です。
誹謗中傷とは、根拠のない悪口や嘘で相手を傷つける行為です。「誹謗」は相手への悪口で、「中傷」は根拠なく相手を悪く言う行為を指します。外見への侮辱や事実無根の噂が、誹謗中傷の代表例です。
誹謗中傷と類似の用語に「批判」があります。「批判」は基本的には事実に基づき意見や評価を述べることです。誹謗中傷と違って、多くの場合建設的な目的をもちます。
自分は批判として発言していたものを、相手は誹謗中傷と受け取るケースもありえることに注意しなければなりません。誹謗中傷と批判の線引きが明確でないことも多いため、慎重な発言が必要です。
2chの特徴
2chの誹謗中傷に関する基礎知識の2つ目は、2chの特徴です。
2chは、1999年に開設されたインターネット掲示板サイトです。匿名で書き込めることが特徴ですが、そのため誹謗中傷などの悪質な書き込みが行われることも少なくありません。
カテゴリごとに「板」と呼ばれる掲示板があり、1つの話題に対して盛り上がりやすくなるのも特徴で、ヒートアップしすぎて誹謗中傷がなされることがあります。
一度インターネット上で広まった情報は、速やかに対応しなければ半永久的に残り続けます。
昨今ではSNSが普及し、SNS経由でも2chの情報が拡散されてしまい、収拾がつかなくなるケースも増えてきました。
2chの誹謗中傷が原因で起こりうるリスク
2chの誹謗中傷に関する基礎知識の3つ目は、誹謗中傷が原因で起こりうるリスクです。ここでは、2chの誹謗中傷が原因で起こりうるリスクを2つ解説します。
- 売り上げや信頼性の低下
- 従業員確保への影響
1つずつ解説します。
売り上げや信頼性の低下
2chの誹謗中傷が原因で起こりうるリスクの1つ目は、売り上げや信頼性の低下です。
2chで誹謗中傷が行われた結果、企業の評判を大きく損なうことがあります。特に、製品不具合やサービス品質に関する悪評があると、消費者の購買意欲が低下して売り上げの減少につながるでしょう。
また、匿名での書き込みが多いため、真偽がかわからない投稿でも企業の信頼性を大きく損なうケースもあります。場合によっては、悪意をもって根拠がない悪評が書き込まれることもあるでしょう。
従業員確保への影響
2chの誹謗中傷が原因で起こりうるリスクの2つ目は、従業員確保への影響です。
2chの誹謗中傷で企業の評判が傷つけられることで、新卒や中途採用に応募する人材が減る可能性があります。また、従業員のモチベーション低下を引き起こし、離職率上昇につながることもあるでしょう。その結果、従業員確保に影響が出るのです。
2chの誹謗中傷が理由で逮捕されるケースと罪状
ここでは、2chの誹謗中傷が理由で逮捕されるケースと該当しうる罪状を2つ解説します。
- 業務妨害
- 名誉毀損・侮辱
1つずつ解説します。
業務妨害
2chの誹謗中傷が理由で逮捕されるケースと罪状の1つ目は、業務妨害です。
業務妨害は、暴力や脅迫・虚偽の情報など、さまざまな手段で他人の業務を妨害する行為です。業務妨害は、以下の2つに大別されます。
▼業務妨害の種類
業務妨害の種類 | 内容 | 根拠の法律 | 受ける可能性がある罰則 |
威力業務妨害 | 暴力や脅迫による妨害 | 刑法234条 | ・3年以下の懲役 ・50万円以下の罰金 |
偽計業務妨害 | 虚偽の情報や偽計による妨害 | 刑法第233条 |
名誉毀損・侮辱
2chの誹謗中傷が理由で逮捕されるケースと罪状の2つ目は、名誉毀損・侮辱です。
名誉毀損罪(刑法230条)と侮辱罪(刑法第231条)は、ともに他人の名誉を傷つける行為ですが、構成要件は異なります。
▼名誉毀損と侮辱の比較
内容 | 受ける可能性がある罰則 | |
名誉毀損 | 特定の個人について事実(真実・虚偽を問わず)を公然と広め、その人の名誉を傷つける行為 | ・3年以下の懲役 ・3年以下の禁錮 ・50万円以下の罰金 |
侮辱 | 事実の有無を問わず、特定個人を公然と侮辱する行為 | ・1年以下の懲役 ・1年以下の禁錮 ・30万円以下の罰金 |
2chは不特定多数の人がアクセスできるため、公然性があるとみなされ名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性があります。
2chの誹謗中傷が理由で実際に逮捕されたケースを紹介
ここでは、2chの誹謗中傷が理由で実際に逮捕されたケースを2つ解説します。
- アニメ監督に対する殺害予告
- 大学教授に対する誹謗中傷
1つずつ解説します。
アニメ監督に対する殺害予告
2chの誹謗中傷が理由で実際に逮捕されたケースの1つ目は、アニメ監督に対する殺害予告事例です。
この事件では、人気アニメの監督に対して2chで殺害予告をした20代男性が、脅迫と威力業務妨害の疑いで逮捕されました。
「ナイフでメッタ刺しにする」など具体的な殺害方法まで書き込まれたため、監督は身の危険を感じてアニメ制作が中断されるほどでした。
大学教授に対する誹謗中傷
2chの誹謗中傷が理由で実際に逮捕されたケースの2つ目は、大学教授に対する誹謗中傷事例です。
この事例では、選挙に落選した大学教授に対し大学生が2chに計33回も誹謗中傷の書き込みを行ったとされています。その結果、書き込みを行った大学生は名誉毀損の疑いで逮捕されました。
2chの誹謗中傷を理由に容疑者を逮捕してもらいたいときにすべきこと
ここでは、2chの誹謗中傷を理由に容疑者を逮捕してもらいたいときにすべきことを3つ解説します。
- 発信者情報開示請求
- 刑事告訴
- 損害賠償請求
1つずつ解説します。
発信者情報開示請求
容疑者を逮捕してもらいたいときにすべきことの1つ目は、発信者情報開示請求です。
2chでは匿名で書き込みが行われるため、投稿だけではほとんどの場合誰が書き込んだかわかりません。相手が特定できていないと、法的手段を取ることは困難です。
そのため、後述の刑事告訴や損害賠償請求を行う前段で、通常、誹謗中傷の加害者を特定する「発信者情報開示請求」を行います。これにより、2chやプロバイダに対して投稿者の情報を開示するよう求められます。
▼開示請求の流れ
1 | 裁判所への請求 | まず裁判所に開示請求。裁判所が開示の必要性を認めると、2chに対し情報開示の命令を発出 |
2 | 2chからの情報開示 | 2chは裁判所の命令に基づき、タイムスタンプやIPアドレスなどの情報を開示 |
3 | プロバイダへの開示請求 | 2chから得られたIPアドレスなどの情報に基づき、プロバイダに対し投稿者の情報開示を請求 |
4 | 投稿者の特定 | プロバイダから開示された情報をもとに投稿者を特定 |
裁判手続きや情報開示の手続きには時間がかかります。開示請求から投稿者を特定するまでには半年から10か月程度かかると言われているため、長丁場を覚悟しましょう。
刑事告訴
容疑者を逮捕してもらいたいときにすべきことの2つ目は、刑事告訴です。
誹謗中傷の内容によっては「名誉毀損罪」や「侮辱罪」などの罪に該当するケースがあります。これらの罪は被害者からの告訴がなければ捜査が開始されない「親告罪」です。刑事処罰を望む場合は、自ら告訴の手続きを取らなければなりません。
▼刑事告訴の手順
1 | 告訴状の作成 | 弁護士に依頼して告訴状を作成。告訴状には、被害の内容や証拠などを具体的に記載 |
2 | 告訴状の提出 | 作成した告訴状を警察に提出 |
3 | 警察の捜査 | 警察の捜査で証拠収集。相手が逮捕されれば検察でも捜査 |
4 | 起訴・不起訴の決定 | 捜査結果に基づき検察が起訴の有無を決定 |
5 | 刑事裁判 | 起訴の場合は、刑事裁判で有罪・無罪を決定 |
損害賠償請求
容疑者を逮捕してもらいたいときにすべきことの3つ目は、損害賠償請求です。
誹謗中傷で精神的苦痛や仕事への影響が発生した場合、相手に損害賠償請求ができます。損害賠償請求の手順は、大きく分けて以下の3ステップです。
▼損害賠償請求の手順
1 | 内容証明郵便の送付 | 弁護士を通じ、内容証明郵便で相手に対して損害賠償を求める旨を伝え、話し合いの場を設けることが一般的 |
2 | 示談交渉 | 相手次第では、示談による解決も可能。謝罪文の提出や今後同様の行為を繰り返さない旨の誓約書を作成するよう求めることも可能 |
3 | 裁判 | 相手が示談に応じない場合は、裁判所に訴えて、損害賠償の有無や額を決定してもらう。 裁判所が損害賠償を認めたにもかかわらず相手が支払いを拒否すれば、強制執行で財産を差し押さえて支払わせることも可能 |
2chの誹謗中傷で相手が逮捕された後の正しい対応方法
ここでは、2chの誹謗中傷で相手が逮捕された後の正しい対応方法を3つ解説します。
- 相手への直接的反論は行わない
- 逮捕の証拠がそろってから削除請求を行う
- 対応に時間をかけすぎない
1つずつ解説します。
相手への直接的反論は行わない
2chの誹謗中傷で逮捕してもらった後の正しい対応方法、1つ目は相手への直接的反論は行わないことです。
誹謗中傷被害を受けると、感情的に反論したくなることもあるでしょう。しかし、相手への直接的反論で相手を刺激すると、相手から激しい攻撃を受けることや他のユーザーを巻き込み炎上に発展することもありえます。
相手が誹謗中傷に気づいて投稿を削除してしまい、証拠がなくなるケースもあります。
逮捕の証拠がそろってから削除請求を行う
2chの誹謗中傷で逮捕してもらった後の正しい対応方法の2つ目は、逮捕の証拠がそろってから削除請求を行うことです。
誹謗中傷の投稿を早く消したいと思っても、安易に削除請求すると証拠となる誹謗中傷の投稿が消えてしまい、裁判で不利になりかねません。削除請求を行う前に、誹謗中傷の証拠を確保しましょう。
削除請求を行うタイミングや誹謗中傷の証拠については、専門知識が必要なため弁護士と相談することをおすすめします。
対応に時間をかけすぎない
2chの誹謗中傷で逮捕してもらった後の正しい対応方法、3つ目は対応に時間をかけすぎないことです。
投稿ログは、プロバイダにもよりますが、3か月から半年程度で削除されます。対応に時間がかかると、投稿ログが削除されて投稿者を特定できなくなるかもしれません。投稿者が投稿をすぐに削除して、証拠が残らなくなることもあるでしょう。
誹謗中傷問題を解決するには法律の知識や経験が必要で、一般の方が迅速に対応することは困難です。そのため、弁護士に頼ることをおすすめします。
2chの誹謗中傷で逮捕された場合の正しい対応方法
ここでは、2chの誹謗中傷で逮捕された場合の正しい対応方法を3つ解説します。
- すぐに書き込みを消去
- 新たな誹謗中傷の防止
- 示談の模索
1つずつ解説します。
すぐに書き込みを消去
2chの誹謗中傷で逮捕された場合の正しい対応方法の1つ目は、すぐに書き込みを消去することです。
一度インターネット上に書き込まれた投稿は、簡単には消せません。検索エンジンで検索すれば、過去の書き込みが出てくる可能性があります。アフィリエイトサイトなどに転載された場合は、削除手続きが複雑で時間がかかるケースもあるでしょう。
また、数か月前の書き込みが原因で逮捕されるケースや、書き込みを削除する前に第三者がスクショで保存してしまうケースもあるかもしれません。一度拡散された投稿は半永久的に残る恐れがあるため、迅速な削除が必要です。
新たな誹謗中傷の防止
2chの誹謗中傷で逮捕された場合の正しい対応方法の2つ目は、新たな誹謗中傷の防止です。
2ch掲示板での誹謗中傷トラブルが公になると、今度は書き込んだ本人に対して新たな誹謗中傷が寄せられるケースもあります。特に、犯罪行為にかかわったと報道された場合には、家族や周囲の人まで巻き込まれることがあるため、速やかな対応が必要です。
示談の模索
2chの誹謗中傷で逮捕された場合の正しい対応方法の3つ目は、示談の模索です。
被害者と示談を行うことで、検察や被害者からの印象をよくして刑事処分の軽減につながるケースがあります。
被害者に誠意をもって謝罪して損害賠償を行うことで、被害者の怒りをしずめられることもあるでしょう。示談が成立すれば、身柄拘束の期間を短くできる可能性が高まります。
2chの誹謗中傷についてお困りごとがあれば春田法律事務所に相談
今回はインターネット上の誹謗中傷問題を解決した実績が豊富な専門弁護士が、2chの誹謗中傷で逮捕にまで至った場合の対応方法や事例などを詳しく解説しました。
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※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。