悪質なネット書き込みのアカウント特定にかかる費用は?弁護士費用や安くする方法を解説
最終更新日: 2024年12月16日
- 悪質なネット書き込みをされたので損害賠償請求をしたい
- 相手の特定が必要だが手続きが難しくわからない
- ネット書き込みをした人の特定に弁護士費用はいくらかかる?
悪質なネット書き込みをされた場合、削除や損害賠償を求めるために、アカウントから発信している人を特定する必要があります。
アカウント特定のためには裁判所での手続きが必要で、弁護士に依頼するのが通常です。弁護士に依頼すると、費用はいくらくらいかかるのか、また、費用を安くする方法はないのか、気になることでしょう。
本記事では、悪質なネット書き込みのアカウント特定にかかる弁護士費用と、これを安くする方法について解説します。
本記事のポイントは以下の通りです。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 悪質なネット書き込みのアカウント特定にかかる費用
- 悪質なネット書き込みのアカウント特定を弁護士に依頼する場合の費用
- 弁護士に依頼する費用を抑える方法
悪質なネット書き込みのアカウント特定にかかる費用
悪質なネット書き込みをされた場合のアカウント特定にかかる費用について確認します。
相手との交渉で開示が受けられない場合は、法的手続きが必要です。そのための費用がかかります。
サイト運営者に対するIPアドレスの開示請求にかかる費用(仮処分申立)
まず、サイト運営者に対して、ネット書き込みをした者のIPアドレスの開示請求をします。
この手続きは通常、民事保全法に基づく仮処分の申立てによって行われます。そのための費用は次の通りです。
- 申立手数料:約2,000円(収入印紙を申立書に貼付する)
- 予納郵券:約1,000円(裁判所が指定する券種の郵券を納付)
- 担保金:10~30万円程度(裁判所の判断による)
予納郵券は券種が裁判所によって異なるので、裁判所に確認するか、裁判所の売店で仮処分の申立て用のセットになったものを購入しましょう。
保全手続きにおいては、損害が生じたときの費用として、担保を供託する必要があるため注意が必要です。
プロバイダへの発信者情報開示請求にかかる費用
IPアドレスが開示されるとプロバイダが判明するので、プロバイダに対して保有する氏名・住所などの発信者情報の開示を求める裁判を提起します。
発信者情報開示請求は裁判で行われます。かかる費用は次の通りです。
- 申立手数料:1万3,000円(収入印紙を申立書に貼付する)
- 予納郵券:約6,000円前後
予納郵券についてはIPアドレスの開示のための仮処分と同様に裁判所によって異なるため、裁判所に聞くか、裁判提起の予納郵券のセットを購入しましょう。
悪質なネット書き込みのアカウント特定にかかる弁護士費用
悪質なネット書き込みのアカウント特定を弁護士に相談・依頼する場合の費用は、次の通りです。
相談料
弁護士への法律相談料は、30分5,000円程度です。相談がスムーズであれば5,000円~1万円程度になるでしょう。
事務所によっては初回の相談を無料にするなど、相談料がかからないことがあります。
着手金
弁護士に依頼する場合の着手金の費用の目安は、20万円~40万円程度です。
着手金は、依頼の正式な受任時に支払う費用で、開示をしてもらえるかどうかに関わらず支払うものです。弁護士に依頼する場合には、必ず支払わなければなりません。
ネット書き込みで開示の請求をする相手が多ければ多いほど増えます。一括で支払うのが通常ですが、分割での支払いを認めている場合もあるので、事務所での相談時に弁護士に分割での支払いに対応しているか聞いてみましょう。
報酬金
弁護士に支払う報酬金の費用の目安は、10万円~20万円程度です。
報酬金とは、弁護士が開示に成功した場合に支払う金銭です。開示とともに損害賠償請求をしたときは、相手から得た賠償金から差し引いてもらうことが可能な場合があります。
実費や日当
他にも、手続きに必要な印紙代、郵送費、通信費、交通費などの実費や、出張や裁判所出頭時の日当など、次の費用があります。
- 実費: 収入印紙や郵券代などで1,000円~2万円程度(手続き内容による)
- 日当: 出張を伴う場合、半日もしくは1日につき1万円~5万円程度
悪質なネット書き込みのアカウントを特定するための費用は請求できる?
悪質なネット書き込みのアカウントを特定するための費用を、相手方への損害賠償請求に含めて請求できるのでしょうか。請求できるケースとできないケースを説明します。
発信者に請求できるケース
次のようなケースでは、発信者に弁護士費用が請求できます。
- 名誉毀損や侮辱、業務妨害などの違法性が認められた場合
- 裁判で勝訴し、判決で損害賠償額に弁護士費用が認容された場合
- 和解での合意で弁護士費用が認められた場合
発信者に請求できないケース
発信者に請求できないケースは、次のような場合です。
- 違法性が認められない場合
- 裁判で敗訴した場合
- 裁判所が弁護士費用の請求を認めない場合
- 和解で弁護士費用が含まれない条件で合意した場合
裁判所は常に弁護士費用まで認めるわけではないので注意が必要です。
悪質なネット書き込みのアカウント特定費用を抑える方法
悪質なネット書き込みのアカウント特定のための費用を抑える方法は、次の通りです。
無料相談を活用する
市区町村や法律事務所が無料相談を提供していることがあります。
また収入要件を満たせば、法テラスでも無料相談が可能です。まずは無料相談を活用し、書き込み内容や被害の程度に応じて、案件の見通しや次のステップが必要かを聞いてみることで、無駄な費用を避けられます。
無料相談の有無については、事務所のホームページで確認しましょう。
自分で手続きをする
弁護士費用は高額になる場合もあるため、支払いが難しい場合は自分で手続きをすることになるでしょう。
自分で手続きする場合は費用を抑えられますが、法律の専門家でないと手続きに漏れが発生することがあるため、開示が認められないなどの不利益を被る可能性もあります。
行政などの無料相談を利用するなど、自分で行う場合でも適切に手続きを行うことが大切です。
複数の法律事務所で見積もりを取る
弁護士費用は事務所が自由に設定できるため、事務所ごとに異なります。
複数の法律事務所で見積もりを取って比較検討し、依頼することで費用を節約できる可能性があります。
ただし、弁護士費用が極端に安いなどの場合は、弁護士に実績がないことも考えられるため、費用だけで決めないようにしましょう。
証拠収集は自分で行う
手続きに必要な証拠を自分で収集することで、費用を抑えられる可能性があります。
きちんとした証拠が収集できていれば、法律事務所が調査や証拠を収集する手間が省けるので作業費用が発生しません。
たとえば、悪質な書き込みに関する証拠としては、書き込みのスクリーンショットや投稿日時、リンクなどがあるでしょう。
悪質なネット書き込みのアカウント特定費用については弁護士に相談を
本記事では、悪質なネット書き込みをされた場合のアカウントの特定費用について解説しました。
アカウントの特定には通常裁判所での手続きが必要になりますが、手続き自体に費用がかかります。さらに弁護士に依頼すれば弁護士費用の支払いも必要です。
弁護士費用に関しては相談料が無料となる法律事務所もあるので、積極的に活用しましょう。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。