当番弁護士とは?費用・呼び方・私選弁護人との違いを解説
2026年05月26日

「家族が逮捕された。当番弁護士を呼べばいい?それとも弁護士を探した方がいい?」
結論から言います。逮捕直後に弁護士に相談できるなら、当番弁護士を待つよりも直接私選弁護人に連絡する方が、早くより良い結果につながります。
当番弁護士は「1回限りの無料接見」制度です。アドバイスは受けられますが、その後の示談交渉・勾留阻止・不起訴活動は一切できません。逮捕後72時間という最も重要な時間を、当番弁護士の到着待ちで消費してしまうリスクがあります。
この記事では、当番弁護士の仕組みと限界、そして逮捕直後にすべき本当の対応を解説します。
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当番弁護士制度とは?
当番弁護士の基本
当番弁護士とは、逮捕・勾留された被疑者が弁護士費用を払わなくても最初の1回だけ無料で弁護士に接見(面会)してもらえる制度です。各弁護士会が当番制で派遣しており、申請から数時間〜翌日以内に接見が実現します。
当番弁護士で「できること」と「できないこと」
当番弁護士は1回の接見に限定されており、できることは非常に限られています。
区分 | 内容 |
できること | 事件の概要ヒアリング・黙秘権の説明・今後の手続き説明・家族への伝言方法の案内 |
できないこと | 被害者との示談交渉・勾留阻止の申立・継続的な接見・不起訴に向けた検察への働きかけ。 原則として2回目以降の弁護活動は含まれません。 日弁連の援助制度を利用したり、そのまま私選弁護人として正式に依頼したりしない限り、被害者との示談交渉や勾留阻止の手続きには動けません。 |
刑事事件で示談がなぜ重要か・弁護士依頼のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
当番弁護士は「応急処置」にすぎない
当番弁護士の接見は、逮捕直後の不安を和らげる「応急処置」として意義があります。しかし弁護活動の本番——示談交渉・勾留阻止・不起訴への働きかけ——は、当番弁護士では行えません。
1回の接見が終わった後は、その当番弁護士に私選で依頼するか、資力がない場合には日弁連の被疑者援助制度でその当番弁護士に依頼をするか、依頼者自身が私選弁護人を探すか、国選弁護人が選任されるのを待つかの選択になります。その間も勾留は続き、取調べは進みます。
逮捕後72時間——なぜ時間が命取りになるのか
逮捕後の流れを正確に理解することが、最善の対応につながります。
逮捕されると、最大48時間以内に警察が被疑者を検察官に送致(送検)します。検察官はその後24時間以内に裁判所に勾留を請求するかどうかを判断します。
この合計72時間以内に弁護士が介入できるかどうかが、その後の結果を大きく左右します。
- 72時間以内に弁護士が勾留への意見書を提出 → 勾留阻止できる場合がある
- 72時間以内に被害者への示談打診が始まる → 不起訴の可能性が高まる
- 72時間以内に取調べ対応を指導 → 不利な自白・調書を防げる
当番弁護士の接見は数時間〜翌日以降になることがあります。申請・派遣・接見が終わった段階で、すでに貴重な時間が経過していることも少なくありません。
最初から私選弁護人に直接連絡することで、この72時間を最大限に活用できます。
窃盗・万引きで逮捕された場合の即日接見・早期釈放の流れについては、以下の記事も参考にしてください。
当番弁護士・私選弁護人・国選弁護人の違い
ご自身や家族が逮捕された際に関わる弁護士には、「当番弁護士」「私選弁護人」「国選弁護人」の3種類があります。それぞれの違いを比較しました。
項目 | 当番弁護士 | 私選弁護人 | 国選弁護人 |
費用 | 無料(1回のみ) | 有料(着手金・報酬金など) | 原則無料 |
対応時期 | 逮捕後すぐ | 逮捕前・逮捕直後からいつでも | 勾留決定後 |
弁護士を選べるか | 選べない | 選べる | 選べない |
示談交渉 | できない | できる | できる |
勾留阻止 | できない | できる | 間に合わない |
接見回数 | 1回のみ | 無制限 | 制限なし |
不起訴への働きかけ | できない | できる | できる |
72時間以内の対応 | 呼べるが1回のみ | スピード対応が可能 | 対応不可 |
※ただし、当番弁護士でも日弁連の援助制度利用や私選依頼を行えば、いずれも可能。
国選弁護人に依頼する場合のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
国選弁護人では72時間に間に合わない
「お金がないから国選弁護人を待とう」と考える方もいますが、国選弁護人が選任されるのは、逮捕後72時間が経過し「勾留」が決定された後です。つまり、身柄解放(勾留阻止)のための活動には絶対に間に合いません。
費用面がネックで躊躇している場合でも、私選弁護人の中には分割払いやクレジットカード決済など、柔軟な支払い方法に対応している事務所もあります。大切な初期対応を逃さないためにも、まずは私選弁護士への相談を優先すべきです。
当番弁護士の呼び方(申請方法)
もし当番弁護士を利用する場合の手順は以下のとおりです。
本人が留置施設から申請する
逮捕された本人が警察署の留置担当官に「当番弁護士を呼んでほしい」と申し出ます。警察はこの申請を断ることができません。
家族が弁護士会に連絡する
ご家族が、逮捕された施設がある都道府県の弁護士会に直接電話をして要請することも可能です。
しかし、ご家族が外で動ける状態(電話ができる状態)であれば、当番弁護士を手配して到着を待つよりも、今すぐ直接「私選弁護人」に電話する方が確実かつスピーディです。私選弁護人であれば、電話一本ですぐに接見に向かい、その足で示談や勾留阻止に向けた活動を開始できます。
家族が逮捕されても面会できない理由とその対処法については、以下の記事をご覧ください。
よくある状況と対応例
逮捕直後に「どう動くか」の判断が、その後の結果を大きく左右します。刑事事件の対応としてよくある4つの典型的な展開パターンを見てみましょう。
当番弁護士を待たずに私選弁護人に直接連絡したケース
状況
50代男性の夫が深夜に窃盗容疑で逮捕。妻が「当番弁護士を呼ぶべきか、直接弁護士事務所に電話すべきか」と迷い、深夜に私選弁護人の事務所へ直接連絡。
対応
翌朝までに弁護士が留置施設に接見し、勾留請求への意見書を準備。被害者(スーパー)への示談打診も当日中に開始した。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
当番弁護士の接見後すぐに私選に切り替えたケース
状況
20代男性が傷害罪で逮捕。当番弁護士の接見を受けたが「1回しか来られない」と言われ、家族が「続きをどうすればいいか」と相談。
対応
当番弁護士の接見翌日に私選弁護人へ依頼。被害者への示談交渉を即日開始。「当番弁護士との接見で何を話したか」も引き継ぎ、一貫した弁護方針を立てた。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
傷害罪で逮捕された場合の流れや逮捕回避の方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
国選を待っていた間に勾留が延長されたケース】
状況
30代男性が詐欺事件で逮捕。「費用が払えない」と考え、国選弁護人が来るまで待った。しかし勾留期間中に示談交渉が全く進まず、勾留が10日延長された。家族が「もっと早く動くべきだったか」と後悔して私選弁護人に相談。
対応
起訴後に私選弁護人として受任。被害者5名との示談交渉を集中的に進め、4名と示談成立。示談書を情状証拠として裁判所に提出。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
詐欺で逮捕された場合の流れや家族がすべき対応については、以下の記事をご覧ください。
当番弁護士に関するよくある質問(FAQ)
Q:当番弁護士と直接弁護士に頼む場合、何が一番違いますか?
A:最大の違いは「最初から自分で弁護士を選べるか」と「即座にフルサポートを受けられるか」です。
当番弁護士であっても、日弁連の援助制度を利用したり、そのまま私選として契約したりすることで、示談交渉などの継続的な活動をしてもらうことは可能です。
しかし、当番弁護士は「どんな弁護士が来るか選べない」という大きなデメリットがあります。刑事事件の実績が乏しい弁護士や、相性の合わない弁護士が担当になるリスクを避け、一刻を争う逮捕直後の72時間を最大限に活かすためには、最初から信頼できる私選弁護人に直接相談することをお勧めします。(国選弁護人は勾留後の選任)。
Q:当番弁護士を呼んだ後に私選弁護人に切り替えることはできますか?
A:できます。当番弁護士の接見後に私選弁護人に依頼することは自由です。当番弁護士との接見内容を引き継いだ上で、スムーズに弁護活動を継続することができます。
Q:夜中に逮捕された場合でも相談できますか?
A:当番弁護士の派遣要請は原則として日中(弁護士会の営業時間内)の対応となります。しかし、夜間対応を行っている私選弁護人であれば、深夜であってもすぐに相談・接見対応が可能です。
Q:国選弁護人と私選弁護人はどちらがよいですか?
A:経済的な理由で私選が難しい場合は国選弁護人を活用することは一つの選択肢です。ただし、国選弁護人は勾留後の選任となるため逮捕直後の72時間には対応できません。また、接見回数・示談交渉の積極性に限りがある場合があります。初回相談無料の私選弁護人に、まず一度相談することをお勧めします。
まとめ:逮捕されたら当番弁護士より先に弁護士に連絡を
刑事事件は時間との勝負です。逮捕直後の72時間にどのような対応をとるかが、長期間の身柄拘束を回避し、前科をつけない(不起訴を獲得する)ための最大の鍵となります。
「当番弁護士が来てから考えよう」では遅すぎます。大切なご家族の未来と日常を取り戻すために、少しでも早く、刑事事件の実績が豊富な弁護士へご相談ください。
当事務所は土日祝日も24時間ご相談を受付けています。まず一本、電話してください。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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