書類送検と逮捕の違いとは?書類送検後の流れと弁護士対応を解説

2026年06月08日

書類送検と逮捕の違いとは?書類送検後の流れと弁護士対応を解説

「書類送検された」「書類送検と逮捕はどう違うの?」

——警察から呼び出しを受けたり、家族が捜査対象になったりしたとき、多くの方がこのような疑問を抱えます。

書類送検と逮捕はどちらも刑事手続きの一環ですが、その意味や身柄拘束の有無、その後の流れは大きく異なります。

本記事では、書類送検と逮捕の違いをわかりやすく整理したうえで、書類送検後に何が起こるのか、前科がつく可能性はあるのか、そして弁護士に相談すべき理由を詳しく解説します。

この記事のポイント

①書類送検=身柄拘束なしで検察に送致される手続き 
②逮捕=身体を拘束して強制捜査する手続き 
③書類送検でも不起訴にならなければ前科がつくことになる 
④弁護士への早期相談が不起訴・軽減につながる

この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士 春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内法律事務所勤務
当事務所開設
資格
宅地建物取引士
情報処理安全確保支援士

「家族が逮捕された」「示談したい」など、300件以上の刑事事件のご相談に対応してきました。(※2026年3月時点)これまでの実務経験をもとに、法律のポイントを分かりやすく解説しています。

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書類送検と逮捕の違いを整理する

「書類送検」という言葉はニュースでもよく耳にしますが、法律的な意味を正確に理解している方は多くありません。

まず逮捕と書類送検それぞれの定義を確認しましょう。

逮捕とは

逮捕とは、警察や検察官が被疑者の身体を物理的に拘束し、強制的に捜査を行う手続きです(刑事訴訟法第199条以下)。逮捕後は原則として48時間以内に検察官に送致され、さらに最長20日間の勾留が行われる場合があります。

逮捕には、裁判官が発する令状に基づく「通常逮捕」のほか、現行犯逮捕・緊急逮捕があります。

逮捕されると会社や学校への連絡・外出が制限され、家族とも自由に会えなくなります。

書類送検とは

書類送検とは、身柄を拘束していない状態(逮捕せず在宅のまま捜査されている場合や、逮捕後に釈放された場合など)で、証拠書類や捜査記録だけを検察官に送致する手続きです。「在宅のまま送検される」ともいいます。

身柄を拘束されないため、日常生活を送りながら捜査が進みます。

警察が捜査を終えた段階で「起訴するかどうかは検察官が判断する」として事件を検察庁に引き継ぐ手続きです。

逮捕・勾留されている場合の「身柄送検」に対し、これを「在宅送検」あるいは「書類送検」と呼びます。

書類送検と逮捕の違い一覧

項目

書類送検(在宅送検)

逮捕・身柄送検

身柄拘束

なし

あり(最長23日間)

日常生活

継続可能

制限される

会社・学校

原則バレない

欠勤・欠席が続きバレやすい

捜査の流れ

書類のみ検察へ

身柄ごと検察へ

起訴・不起訴

検察官が判断

同左

前科の可能性

あり(起訴→有罪の場合)

同左

注意

書類送検=軽い、逮捕=重い、という単純な話ではありません
書類送検でも起訴されれば裁判になり前科がつきます。

書類送検になりやすいケースとは

逮捕するかどうか、書類送検にするかどうかは、警察や検察官が諸般の事情を考慮して判断します。

どのような場合に書類送検となりやすいのでしょうか。

在宅捜査で進みやすい事件の特徴

以下のような状況では、逮捕ではなく書類送検(在宅捜査)が選ばれる傾向があります。

  • 事件の性質が比較的軽微である(万引き・初犯・被害額が少ないなど)
  • 逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断される
  • 被疑者が罪を認め、捜査に協力的である
  • 被害者と示談が成立している、または示談交渉中である
  • 住所・職業が明確で社会的な繋がりが安定している

交通事故(過失運転致傷)、軽微な暴行・傷害、痴漢・盗撮などの性犯罪(被疑者に前科なし・初犯)、万引きや横領などでは、書類送検となるケースが多くあります。

逮捕後に書類送検に切り替わるケース

一度逮捕されても、勾留請求が裁判所に却下されたり、検察官が身柄を不要と判断して釈放したりすると、その後は「在宅事件」として手続きが続きます。

これを「釈放後の在宅捜査」といい、このケースでも最終的に検察官に書類が送られるため「書類送検」と表現されることがあります。

また、逮捕に至らなかった事件でも、警察が捜査を進めて証拠が揃った段階で書類送検がなされます。「警察の取り調べが終わった=事件終了」ではなく、検察官の判断が残っている点に注意が必要です。

書類送検後の流れ(概要)

書類送検後は、担当が警察から検察官に引き継がれます。

検察官が書類を精査し、必要に応じて被疑者を呼び出して取り調べを行ったうえで、「起訴」か「不起訴」かを判断します。処分が出るまでの期間は事件によって数週間〜半年以上と幅があります。

呼び出しを無視すると逮捕状が発付されるリスクがあります。通知書が届いたら必ず出頭しましょう。

また、書類送検後も「在宅事件」として扱われるため、転居や長期出張の際は事前に弁護士に相談することをおすすめします。

書類送検後の流れ・検察呼び出しの時期・起訴/不起訴/略式起訴の詳細については、こちらをご覧ください。

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書類送検で前科・前歴はつくのか

「書類送検されたら前科がつくの?」という質問は非常に多いです。結論から言うと、書類送検の段階では前科はつきません。

ただし、その後の手続きによっては前科がつく可能性があります。

前歴と前科の違い

まず「前歴」と「前科」は異なります。

  • 前歴
    逮捕・書類送検されたという捜査上の記録。不起訴でも残る。警察・検察内部の記録であり、一般には公開されない。
  • 前科
    有罪判決(罰金刑を含む)を受けたという記録。前科は戸籍等には記載されないが、一定期間、犯罪歴として記録される。

書類送検の段階では「前歴」がつく可能性はありますが、「前科」はまだついていません。

前科がつくパターン・つかないパターン

手続き結果

前科

不起訴(嫌疑なし・嫌疑不十分)

つかない

不起訴(起訴猶予)

つかない

略式起訴→罰金

つく

正式起訴→有罪(執行猶予含む)

つく

正式起訴→無罪

つかない

書類送検後に不起訴処分を得られれば前科はつきません。

弁護士が被害者との示談交渉を成功させ、検察官に「起訴猶予」の判断を促すことで、前科を回避できる可能性が高まります。

前科がついた場合の影響

前科がつくと、以下のような影響が生じる可能性があります。

  • 資格・免許の取消し・停止(弁護士・医師・保育士など士業・特定職種)
  • 就職・転職活動で不利になる可能性(採用時の身元調査など)
  • 次回の同種事件で刑が重くなる
  • 外国へのビザ取得が困難になる場合がある

ポイント

前科の影響は職種・状況によって異なります。特に資格職の方は弁護士にご相談ください。

書類送検後に弁護士ができること

書類送検された後、弁護士が介入することで結果が大きく変わる可能性があります。何もしなければ起訴リスクが高まりますが、弁護士が積極的に動くことで不起訴・軽減を目指せます。

被害者との示談交渉

被害者がいる事件(暴行・傷害・痴漢・盗撮・器物損壊など)では、被害者との示談成立が検察官の「起訴猶予」判断に大きく影響します。

しかし、被害者は加害者本人や家族からの直接接触を拒否することがほとんどです。

弁護士が代理人として交渉することで、被害者側も話し合いのテーブルにつきやすくなり、適切な示談金の提案・示談書の作成・被害届の取り下げなどを進めることができます。

早期に弁護士に依頼するほど示談成立の可能性が高まります。

刑事事件における示談の重要性や示談交渉の進め方については、以下の記事で詳しく解説しています。

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検察官への意見書・上申書の提出

弁護士は、検察官に対して「不起訴相当意見書」や「上申書」を提出し、起訴猶予の判断を促すことができます。

被疑者の反省状況・示談の経緯・社会的背景・再犯防止策などを具体的に記載し、起訴を避けるよう働きかけます。

検察官は最終的に独自の裁量で判断しますが、弁護士の意見書が考慮されるケースは多くあります。

取り調べへの対応アドバイス

書類送検後も検察官から取り調べの呼び出しがある場合があります。

取り調べでの発言は起訴・不起訴の判断材料になりますが、黙秘権(終始沈黙したり、言いたくない質問に対して回答を拒んだりできる権利)があります。

弁護士がアドバイスすることで、不利な発言を避けながら誠実な対応ができます。

特に「なぜそうしたのか」「反省しているか」という質問への回答は、慎重に準備することが重要です。

警察の事情聴取で供述する際の注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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略式起訴への対応

略式起訴(罰金)の同意を求められた場合も、すぐにサインしてはいけません

内容が不当であれば正式裁判を請求できますし、弁護士が状況を精査したうえで最善の対応を提案します。

起訴後の手続きや対処法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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刑事事件で弁護士に相談・依頼するメリットや費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

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よくある質問(FAQ)

Q:書類送検されたら会社にバレますか?

A:書類送検の段階では、警察や検察から会社に通知されることは原則としてありません。

ただし、長期の欠勤や逮捕歴が発覚した場合は別です。在宅捜査中であれば日常生活を継続できるため、適切に対処することで職場への影響を最小限に抑えられます。

弁護士にご相談ください。

Q:書類送検と不起訴はどう違いますか?

A:書類送検は「警察から検察官へ事件が引き継がれる手続き」であり、不起訴は「検察官が起訴しないと判断した結果」です。

書類送検は手続きの段階、不起訴はその後の結果です。

書類送検されたからといって起訴が確定するわけではなく、不起訴になる可能性は十分あります。

Q:書類送検後、どのくらいで結論が出ますか?

A:事件の複雑さや検察庁の状況によって異なりますが、軽微な在宅事件では書類送検から数週間〜数ヶ月で不起訴・起訴の判断が出るケースが多いです。

複雑な事件では半年以上かかることもあります。

処分を急ぎたい場合は弁護士が検察官に働きかけることも可能です。

Q:逮捕されなければ書類送検されても問題ない?

A:逮捕されないこと自体は生活への影響が少ないメリットですが、「書類送検=問題なし」ではありません。

その後の検察官の判断によっては起訴・罰金(略式起訴)となり前科がつく可能性があります。

書類送検の段階で弁護士に相談し、不起訴を目指すことが重要です。

Q:書類送検後に示談できますか?

A:はい、書類送検後でも示談交渉は可能です。

むしろ、検察官が不起訴・起訴猶予を判断する前に示談を成立させることが、不起訴を得るうえで非常に重要です。

弁護士が代理人として被害者と交渉することで、スムーズな示談成立を目指せます。

Q:書類送検された場合、弁護士費用はどのくらいかかりますか?

A:弁護士費用は事件の内容・依頼範囲によって異なります。示談交渉のみの場合、着手金+成功報酬で合計40〜60万円程度が目安です。

ただし、初回相談は無料で受け付けている事務所も多く、まずは費用の見積もりを確認することをおすすめします。春田法律事務所では初回無料相談を実施しています。

まとめ

書類送検と逮捕の最大の違いは「身柄が拘束されるかどうか」です。

書類送検は日常生活を続けながら捜査が進みますが、その後の検察官の判断によっては起訴・罰金となり前科がつく可能性があります。

書類送検後に取るべき行動は明確です。

  1. 弁護士に速やかに相談し、状況を整理する
  2. 被害者がいる場合、弁護士を通じて示談交渉を開始する
  3. 検察官の呼び出しには必ず応じ、取り調べでの発言を慎重に行う
  4. 不起訴処分を目指して弁護士が検察官に働きかける

「逮捕されていないから大丈夫」と思って対処を先送りにすることが、最も危険な選択です。

書類送検された、あるいは警察から呼び出しを受けているという方は、できるだけ早く刑事弁護の経験がある弁護士にご相談ください。

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