少年事件で弁護士に頼むと何が変わる?審判・少年院回避を解説
2026年06月09日

「子どもが事件を起こした」「少年院に送られるのではないか」——突然の出来事に、どうすべきかわからない親御さんも多いと思います。
少年事件は成人の刑事事件とは手続きが大きく異なります。弁護士(少年事件では「付添人」と呼びます)に早期に依頼することで、審判の結果や少年院送致の有無が変わる可能性があります。この記事では、少年事件の手続き・審判の流れ・弁護士に依頼することで何が変わるかを詳しく解説します。
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少年事件の手続きの流れ
成人の刑事事件との違い
少年事件(20歳未満が対象)は、「刑事事件」ではなく少年法に基づく手続きで進みます。目的は「刑罰」ではなく「教育・更生・保護」であり、成人事件と手続きが大きく異なります。
項目 | 少年事件 | 成人の刑事事件 |
手続きの目的 | 教育・更生・保護 | 刑事責任の追及・刑罰 |
処分の場所 | 家庭裁判所 | 地方裁判所・簡易裁判所 |
弁護士の役割名 | 付添人(つきそいにん) | 弁護人 |
裁判の公開 | 非公開(原則) | 公開(原則) |
刑事罰 | 原則なし(逆送された場合を除く) | あり(拘禁刑・罰金等) |
少年事件の手続きの流れ(逮捕から審判まで)
少年事件の一般的な流れは以下のとおりです。
- 事件発生・補導または逮捕
警察が少年を補導・逮捕し、身柄を確保する - 警察・検察による調査
最大72時間の身柄拘束(成人事件と同じ) - 家庭裁判所への送致(全件送致主義)
すべての少年事件は原則として家庭裁判所に送られる - 観護措置
必要があれば少年鑑別所に収容(最大8週間) - 家庭裁判所調査官による調査
少年本人・家族・学校・職場などへのヒアリング - 少年審判
非公開の審判期日で裁判官が処分を決定 - 審判の結果
不処分・審判不開始・保護観察・少年院送致・検察官送致(逆送)など
観護措置とは?少年鑑別所への収容
少年が逮捕された後、家庭裁判所が「審判のために必要」と判断した場合、観護措置によって少年鑑別所に収容されます。期間は原則2週間ですが、更新によって最大8週間に及ぶことがあります。
少年鑑別所では、心理技官による行動観察・知能検査・性格検査が行われ、その結果が調査官報告書としてまとめられ、審判の判断材料になります。
付添人弁護士は観護措置取消の申立を行うことができます。「少年鑑別所に収容しなくても調査・審判は可能」という事情を主張し、早期解放を目指します。観護措置が解除されれば、学校への出席・家族との生活を続けながら審判を迎えることができます。
少年審判とは?
少年審判の流れと特徴
少年審判は、裁判官・調査官・書記官・少年・保護者・付添人が参加する非公開の手続きです。成人裁判のように検察官が起訴状を読み上げる形式ではなく、裁判官が少年に直接語りかけ、事件の経緯・反省の状況・今後の生活について対話する形で進みます。
審判では「少年が非行を犯したか」という事実認定だけでなく、「少年の更生のためにどのような処分が最善か」という視点で判断が行われます。そのため、被害者との示談・家庭環境の安定・本人の反省の深さ・学校や職場の継続可否などが処分を大きく左右します。
審判の処分の種類
処分 | 内容 | 重さの目安 |
審判不開始 | 審判を開かずに終結。軽微事件・初回に多い。 | 最も軽い |
不処分 | 審判を開いたが処分なし。反省・環境が整っている場合。 | 軽い |
保護観察 | 自宅生活しながら保護観察官の指導を受ける。 | 中程度 |
児童自立支援施設送致 | 福祉施設への収容。精神・発達上の問題がある場合。 | 中程度 |
少年院送致 | 少年院に収容し矯正教育を行う。 | 重い |
検察官送致(逆送) | 成人と同様の刑事裁判へ移行。 | 最も重い |
検察官送致(逆送)とは?
逆送になるケース
検察官送致(逆送)とは、家庭裁判所が「少年審判ではなく成人と同様の刑事裁判で処理すべき」と判断し、事件を検察官に送り返す手続きです。逆送されると、成人と同じ刑事裁判を受けることになります。
逆送が行われる主なケースは以下のとおりです。
- 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件(殺人・傷害致死など)で、犯行時に16歳以上だった場合(原則逆送)
- 少年の犯罪性・更生可能性から見て、刑事処分が相当と判断された場合 等
逆送後の対応
逆送された場合でも、弁護士が「少年であること・更生可能性」を情状として最大限に主張することで、執行猶予の獲得・刑期の短縮を目指せます。特に18〜19歳(特定少年)は2022年の少年法改正によって取り扱いが変わっており、弁護士が改正の影響も含めて対応方針を立てることが重要です。
少年院とは?
少年院の種類
少年院は家庭裁判所から送致された少年を収容し、矯正教育を行う施設です。入院期間は処分によって異なりますが、一般的に数ヶ月〜2年程度です。
- 第1種少年院
心身に著しい障害がない、おおむね12〜23歳未満の少年 - 第2種少年院
犯罪傾向が進んだおおむね16〜23歳未満の少年 - 第3種少年院
心身に著しい障害がある、おおむね12〜26歳未満の少年
少年院送致になりやすいケース・なりにくいケース
少年院に送られやすい・送られにくい主な要素を整理すると以下のとおりです。
- 送致されやすい
重大犯罪(強盗・傷害・薬物など)、複数回の非行歴・保護観察歴あり、家庭環境が不安定、被害者との示談が成立していない - 送致されにくい
初回・軽微な事案、家庭環境が安定している、被害者と示談成立、本人が深く反省し具体的な更生計画がある、学校・職場が継続支援を表明している
弁護士(付添人)は、「送致されにくい事情」を調査官・裁判官に対して丁寧に伝える役割を担います。
付添人(弁護士)に頼むと何が変わるか
少年・保護者への法的サポートと審判準備
付添人は少年本人・保護者に対して、審判の流れ・権利・各段階での対応方針をわかりやすく説明します。「審判で何を聞かれるのか」「どう答えればいいのか」を事前に準備することで、少年が審判の場で適切に反省・更生意欲を伝えられるようになります。
保護者も審判に参加し、裁判官から監護方針について質問されます。付添人が保護者の監督計画・家庭環境の改善状況を整理し、裁判官に伝わりやすい形で準備します。
被害者との示談交渉
被害者との示談成立は、不処分・保護観察(少年院回避)に向けた最重要要素です。少年本人や保護者が直接被害者に連絡することは、被害者をさらに傷つけるリスクや逮捕のリスクがあり、控えるべきです。付添人が窓口となって被害者側と交渉し、謝罪・被害弁償・示談書の締結を目指します。
示談が成立し、被害者が「処罰を求めない」「更生を応援する」という意思を示してくれれば、審判での処分が大幅に軽くなる可能性があります。
調査官・裁判官への意見書提出
家庭裁判所の調査官は審判前に少年・家族・学校等を調査し、「少年調査票」をまとめます。この調査票が審判の処分判断に大きく影響します。
付添人は調査官との面談にも立ち会い、少年に有利な事情(反省の深さ・家族の支援体制・学校の協力・被害者との示談状況等)を積極的に伝えます。さらに審判前に裁判官へ意見書を提出し、少年院回避・保護観察相当の処分を求める主張をまとめます。
観護措置取消・早期帰宅の実現
逮捕後に観護措置として少年鑑別所に収容された場合、付添人は観護措置取消の申立を検討します。「鑑別所に収容しなくても審判の目的を達成できる」「家庭での生活を続けながら学校に通える環境が整っている」などの事情を主張し、早期帰宅を目指します。
観護措置が解除されると、学校・職場への影響を最小限に抑えながら審判を迎えることができます。特に受験期や重要な学校行事が重なる場合、早期解除の申立が子どもの将来を大きく守ることにつながります。
逆送回避・刑事裁判での弁護
逆送(検察官送致)になりそうな重大事件でも、付添人が「少年の更生可能性・家庭環境の安定・被害者への誠実な対応」を丁寧に立証することで、家庭裁判所での処分にとどまる可能性があります。逆送が決定した場合は刑事弁護人として引き続き対応し、執行猶予獲得・刑期短縮を目指します。
よくある状況と対応例
高校生の万引き事件で審判不開始になったケース
状況
高校2年生の男子。近所のコンビニでの万引きで補導。初回。両親が「少年院に送られるのでは」と不安になり付添人弁護士に相談。
対応
付添人が速やかにコンビニの法務担当と交渉し、被害額の弁償と店舗への謝罪を実施。両親の監督誓約書・担任教師のサポート書面・本人の反省文を調査官に提出した。家庭環境の安定と学校への継続出席を丁寧に説明した。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
暴行事件で保護観察にとどまり少年院を回避したケース
状況
17歳男子。友人グループとのトラブルで相手に全治2週間の怪我を負わせた。過去に一度軽微な非行歴あり。「前歴があるから少年院では」と保護者が不安を抱えて相談。
対応
付添人が被害者側の保護者と交渉。治療費・慰謝料を含む示談を成立させ、被害者側が「処罰を求めない」意思を示す書面を取得。少年本人のカウンセリング開始・部活動継続による生活の安定を意見書で提示した。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
観護措置取消申立で少年鑑別所から早期帰宅したケース
状況
18歳男子。窃盗事件で逮捕・観護措置により少年鑑別所に収容。大学受験を控えており、「このまま鑑別所にいると受験が受けられない」と保護者が緊急相談。
対応
付添人が観護措置取消の申立書を速やかに提出。「家庭での監督体制が整っており、収容を続ける必要性がない」「受験日程が迫っており進路への重大な影響がある」を主張。両親の強固な監督誓約・学校の支援書面を添付した。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
逆送されたが執行猶予を獲得したケース
状況
19歳男性。強盗事件(窃盗をして逃げる際に被害者に怪我をさせた)で逮捕。重大事件として検察官送致(逆送)が決定し、成人と同様の刑事裁判になった。家族は「刑務所に行くことになるのか」と相談。
対応
逆送後に私選弁護人として受任。被害者との示談を弁護士が仲介して成立させ、「少年であること・初犯・深い反省・家庭の支援体制」を情状として詳細に立証。少年の生育歴・学校環境・更生に向けた具体的な計画書を提出した。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
少年事件に関するよくある質問(FAQ)
Q:少年事件で逮捕されても前科はつきますか?
A:少年審判での処分(保護観察・少年院送致など)は原則として前科になりません。ただし検察官送致(逆送)されて刑事裁判で有罪判決を受けた場合は前科がつきます。就職・進学への影響を心配されている場合、まず弁護士に相談することをお勧めします。
Q:少年院に入ると学校はどうなりますか?
A:少年院に収容されると、在籍している学校を退学・休学することになる場合が多いです。少年院内では学習・職業訓練・生活指導が行われますが、通常の学校生活は送れません。出院後に高校への復帰を支援するケースもありますが、学業・進学への影響は大きいです。だからこそ、少年院送致を回避するために早期に付添人弁護士に依頼することが重要です。
Q:審判に親も参加しなければなりませんか?
A:はい、保護者(親)も審判に参加し、裁判官から直接「今後の監護方針」「家庭環境」について質問されます。付添人弁護士は保護者の準備を事前に手伝います。「何を聞かれるのか」「どう答えればいいのか」を事前に整理しておくことで、裁判官に誠意と監督能力をしっかり伝えることができます。
Q:付添人は国選(無料)で依頼できますか?
A:少年事件でも弁護士費用が払えない場合は国選付添人が選任されます。観護措置が取られた事件・一定の重大事件が対象です。ただし国選付添人は審判が始まってからの選任になる場合が多く、早期介入・観護措置取消申立などの活動には間に合わないこともあります。早期の対応が必要な場合は私選の付添人への相談をお勧めします。
Q:事件が軽微でも弁護士は必要ですか?
A:軽微な事件でも付添人への相談をお勧めします。少年事件は全件家庭裁判所に送致される「全件送致主義」を取っており、万引きや軽微な暴行でも家裁送致・審判の対象になります。付添人が介入することで、審判不開始・不処分といった早期終結の可能性が高まります。また被害者への対応・調査官とのやり取りも、専門家のサポートがあると安心です。
Q:被害者への謝罪は親が直接行ってよいですか?
A:直接の接触は控えることをお勧めします。被害者やその家族に直接連絡すると、かえって感情を逆なでし、示談の可能性が低くなる場合があります。また「接触禁止」が観護措置の条件になっていることもあります。付添人弁護士を通じて丁寧に謝罪・被害弁償の申し入れを行うことが、示談成立への最善の道です。
まとめ:少年事件は早期の弁護士(付添人)介入が重要
少年事件では、弁護士(付添人)の早期介入によって審判の結果・少年院送致の有無が大きく変わることがあります。
少年事件対応のポイントをまとめます。
- 全件家裁送致
軽微な事件でも家庭裁判所に送られる。早期の付添人依頼が重要 - 観護措置取消の申立
少年鑑別所への収容期間を短縮し、学校生活を守ることができる - 示談が処分を左右する
被害者との示談成立は審判処分の軽減に直結する - 家庭環境・更生意欲の立証が大切
親の監督・学校の協力・カウンセリングが審判に影響する - 逆送されても諦めない
刑事裁判での弁護によって執行猶予を獲得できる可能性もある
「子どもが事件を起こした」という状況では、まず弁護士にご相談ください。初回相談は無料、24時間受付しています。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
職員が丁寧にお話を伺います初回無料
刑事事件の実績





