勾留とは?期間・延長・釈放への対処法を弁護士が解説
2026年06月10日

家族が突然逮捕されたとき、「いつ帰ってこられるのか」「このまま長期間拘束されてしまうのか」と不安になる方は多いと思います。
逮捕後に続く「勾留」は最大20日間に及ぶ身柄拘束であり、放置すると起訴・前科につながるリスクもあります。
本記事では、勾留の意味・期間・延長の条件から、釈放・保釈を実現するための具体的な対処法まで、刑事弁護士がわかりやすく解説します。
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勾留とは?逮捕との違いと基本知識
勾留の定義
勾留とは、被疑者(逮捕された人)や被告人を一定期間、警察の留置施設や拘置所に拘束し続ける強制処分です。刑事訴訟法第60条に規定されており、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に裁判官が発令します。
勾留は「逮捕」とは別の手続きです。逮捕はあくまで最初の身柄確保(最大72時間)であり、それを超えて拘束するには裁判官による勾留状の発付が必要になります。
勾留中は弁護人以外との接見(面会)が制限される場合があり、家族でも自由に会えない状況が続くこともあります。
そのため、できるだけ早く弁護士を選任し、対応を始めることが重要です。
逮捕と勾留の違い
| 逮捕 | 勾留 | |
|---|---|---|
| 身柄拘束の根拠 | 逮捕状 | 勾留状 |
| 最大期間 | 72時間(警察48h+検察24h) | 最大20日間(10日+延長10日) |
| 決定者 | 警察・検察官 | 裁判官 |
| 家族との面会 | 原則できない | 可能(ただし接見禁止の場合あり) |
| 弁護士との面会 | 可能(当番弁護士制度あり) | 可能(24時間対応) |
勾留が認められる3つの要件
裁判官が勾留状を発付するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 住所不定:定まった住居がなく、逃亡の可能性が高い場合。
- 罪証隠滅のおそれ:証拠を隠したり、共犯者と口裏合わせをするおそれがある場合。
- 逃亡のおそれ:逃亡する可能性が高いと判断される場合。
これらの要件に該当しないと主張することで、勾留決定への準抗告や釈放の実現が可能です。
弁護士は意見書を提出したり、証拠を示したりして勾留の必要性がないことを裁判官に訴えます。
勾留の流れと期間|逮捕から最大23日間
逮捕から起訴・不起訴の判断まで、最大23日間の身柄拘束が続く可能性があります。各段階の内容と期間を整理します。
| 段階 | 期間 | 内容 | 弁護士の役割 |
|---|---|---|---|
| ①逮捕 | 0〜48時間 | 警察による取り調べ・身柄確保 | 当番弁護士・私選弁護人の接見 |
| ②検察送致 | +24時間以内 | 検察官による勾留請求の判断 | 勾留請求阻止の意見書提出 |
| ③勾留 | 最大10日間 | 裁判官の勾留状による身柄拘束 | 準抗告・示談交渉・釈放活動 |
| ④勾留延長 | さらに最大10日間 | 検察官の請求により延長が可能 | 延長決定への準抗告 |
| ⑤起訴・不起訴 | 勾留満期まで | 検察官が起訴するか判断 | 不起訴・略式起訴に向けた活動 |
①逮捕から勾留請求まで(最大72時間)
逮捕後、警察は最大48時間以内に被疑者を検察官に送致しなければなりません。検察官は送致を受けてから24時間以内に、裁判官に勾留を請求するか釈放するかを決定します。
この72時間は弁護人以外の面会が原則できません。しかし弁護士(当番弁護士または私選弁護人)はいつでも接見できます。
逮捕直後に弁護士を呼ぶことで、取り調べへの対応アドバイスや、この段階での釈放(勾留請求しないよう検察官を説得する)を目指すことが可能です。
逮捕直後に依頼できる当番弁護士と私選弁護人の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
②勾留期間(最大10日間)
裁判官が勾留状を発付すると、原則として10日間の勾留が始まります。この期間中、被疑者は留置施設または拘置所に収容され、捜査機関による取り調べが続きます。
勾留中は弁護士との接見(面会)は制限なく認められています。弁護士は毎日でも接見に行くことができるため、精神的なサポートや取り調べへの対応方針の確認を密に行うことができます。
勾留決定に対して、弁護士は「準抗告」を申し立てることができます。準抗告が認められれば、勾留が取り消され釈放されます。
取り調べで身を守るために重要な黙秘権の使い方や注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
③勾留延長(さらに最大10日間)
検察官が必要と認めた場合、最初の10日間が終わる前に裁判官に延長を請求します。認められると、さらに最大10日間の勾留延長となります。
つまり逮捕後の身柄拘束は、合計で最大23日間(逮捕72時間+勾留10日+延長10日)に及ぶことがあります。
延長が決定された場合も、弁護士は準抗告を申し立てることができます。また、延長期間中も示談交渉を並行して進め、勾留満期前に不起訴処分・釈放を実現した事例も多くあります。
勾留延長中に有効な活動は、①被害者との示談成立、②身元引受人の確保(会社・家族)、③反省文・上申書の作成です。これらを組み合わせることで、検察官が不起訴処分を選択する可能性が高まります。
勾留延長とは?延長を防ぐための対処法
延長が認められやすいケース
以下のような場合、検察官は勾留延長を請求することが多く、裁判官もこれを認める傾向があります。
- 共犯者がいる、または複数の犯行が疑われる複雑な事件の場合
- 被疑者が犯行を否認しており、捜査が長引いている場合
- 被害者との示談が成立していない場合
- 証拠の収集・分析に時間がかかっている場合
逆に、被害者との示談が成立している、自白している、身元が安定している、などの事情がある場合は、延長が認められないよう弁護士が積極的に働きかけることができます。
勾留延長への不服申立(準抗告)
勾留決定・勾留延長決定に不服がある場合、弁護士は「準抗告」を申し立てることができます。準抗告とは、裁判官の決定に対して別の裁判官(準抗告審)に再審査を求める手続きです。
準抗告が認められれば勾留が取り消され、即日釈放されます。認められる割合は高くはありませんが、弁護士が適切な理由付けと証拠を示すことで成功した事例も多くあります。
準抗告は速やかな対応が必要なため、勾留決定が出たら速やかに弁護士に相談することが重要です。準抗告が棄却された場合でも、特別抗告をさらに行うことができます。
接見禁止とは?勾留中に家族が会えない場合
接見禁止の内容と影響
勾留中でも、裁判官が「接見禁止」の決定を出した場合、弁護士以外のすべての人(家族・知人・会社の同僚など)との面会・手紙のやりとりが禁止されます。共犯者がいる事件や、証拠隠滅のおそれが高いと判断された場合に出されやすい処分です。
接見禁止が出ていると、家族は被疑者の様子を直接確認できません。
また被疑者本人も孤独な状況に置かれ、精神的なプレッシャーが増します。このような状況だからこそ、弁護士との接見は非常に重要な支えになります。
接見禁止がついている場合、弁護士が定期的に面会し、家族への伝言や取り調べへのアドバイスを行います。また差し入れについても弁護士経由で対応できる場合があります。
接見禁止解除の申立て
弁護士は裁判官に対し、接見禁止の全部または一部解除を申し立てることができます。たとえば「弁護士以外は禁止だが、家族のみ許可する」という一部解除が認められるケースもあります。
解除申立ては、罪証隠滅のおそれがないことを具体的に示す必要があります。
たとえば「共犯者はすでに逮捕・勾留されているので口裏合わせは不可能」「被害者との示談交渉のためにむしろ家族との連絡が必要」などの事情を弁護士が丁寧に主張します。
接見禁止は精神的にも実務的にも深刻な影響があります。早期解除のためにも、勾留が決定したら速やかに弁護士に相談することをお勧めします。
釈放・保釈を実現するための対処法
準抗告による勾留の取り消し
前述の通り、勾留決定・延長決定に対して準抗告を申し立てることが、最も迅速に釈放を実現できる手段です。勾留要件(罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれ・住所不定)に該当しないことを弁護士が具体的に主張します。
準抗告の成功率は事件の性質や証拠状況によって異なりますが、弁護士が迅速に動くことで可能性を高めることができます。
特に、被疑者に安定した住所・職業・家族関係があり、逃亡のおそれが低い場合は有効です。
示談交渉による早期釈放
被害者との示談が成立すると、検察官が不起訴処分を選択したり、勾留の必要性がなくなったと判断して釈放されるケースがあります。示談は勾留期間中でも進めることができ、早期に成立させることが釈放への近道となります。
ただし、勾留中は被疑者本人が被害者と直接連絡を取ることは通常できません。弁護士が被疑者の代理人として被害者または被害者の代理人弁護士と交渉します。
一般に、被疑者本人が直接連絡するより弁護士を通じた方が示談成立の可能性が高まります。
示談金の相場は被害の程度・被害者の事情によって異なりますが、弁護士が適正な金額を見極め、被害者が受け入れやすい条件で交渉します。示談成立後は、宥恕条項(「被疑者を許す」旨の記載)を含む示談書を作成し、検察官に提出します。
刑事事件における示談の重要性や示談金の相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
保釈申請(起訴後)
起訴されると「被告人」となり、勾留は継続されますが、弁護士は「保釈」を申請できます。保釈とは、一定額の保釈金を納めることを条件に、裁判が終わるまでの間、身柄の拘束を解く制度です。
保釈金の相場は事件の重大性・被告人の資力・逃亡リスクなどによって異なりますが、一般的な刑事事件では150万〜300万円程度のケースが多いとされています。保釈金は裁判終了後に返還されます。
保釈が認められると、判決が出るまでの期間を自宅で過ごすことができます。仕事や家族生活への影響を最小限にするためにも、起訴後は速やかに弁護士に保釈申請の依頼をすることが重要です。
保釈金の相場や保釈申請の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
よくある状況と対応例
ケース①:勾留請求を阻止して逮捕から48時間で釈放されたケース
▶ 状況
20代男性。友人とのトラブルから口論になり相手を殴って怪我を負わせ、傷害罪で現行犯逮捕された。本人には定まった住所・勤務先があり、前科もなかった。逮捕翌日に家族から弁護士に依頼が入った。
▶ 対応
弁護士が即日接見し、被疑者の状況を確認。検察官に対し「定まった住所・職業があり逃亡のおそれがない」「被害者への謝罪の意思があり示談交渉を開始している」旨の意見書を提出した。被害者側にも早期に連絡を取り、誠意ある謝罪と治療費の支払いを申し出た。
→ 結果:検察官が勾留請求を見送り、逮捕から48時間で釈放。その後示談が成立し、不起訴処分となった。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
ケース②:勾留中に示談を成立させ、勾留延長なく不起訴釈放されたケース
▶ 状況
30代男性・会社員。スーパーでの万引きが発覚し逮捕・勾留(10日間)。接見禁止も付いていた。職場への影響を非常に心配しており、できるだけ早い釈放を希望していた。
▶ 対応
弁護士が接見禁止の一部解除申立てを行い、家族との手紙のやりとりのみ可能な状態を実現。並行して被害店舗との示談交渉を開始し、被害弁償・謝罪文の提出により勾留8日目に示談成立。宥恕条項(被疑者を許す旨)を明記した示談書を検察官に提出した。
→ 結果:勾留延長なく10日目に不起訴処分で釈放。職場には事件が知られることなく社会復帰を果たした。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
弁護士に依頼するとできること
逮捕直後の接見(面会)
弁護士は逮捕直後から、時間帯を問わず接見(面会)することができます。家族や知人が会えない逮捕後72時間の段階でも、弁護士であれば接見が可能です。
接見では取り調べへの対応方針(何を話すか・黙秘権の行使など)を本人に伝え、精神的なサポートも行います。
当番弁護士制度を利用すれば、最初の1回は無料で弁護士の接見を受けることができます。ただし当番弁護士は1回限りのため、継続的なサポートには私選弁護人の選任が必要です。早期の弁護士選任が、その後の手続き全体に大きな影響を与えます。
勾留阻止・準抗告の申立て
弁護士は検察官に対して「勾留請求をしないよう」求める意見書を提出したり、勾留決定が出た場合には準抗告を申し立てることができます。これにより勾留が取り消され、早期釈放が実現するケースがあります。
準抗告では、勾留の必要性がないこと(逃亡・証拠隠滅のおそれがないこと)を裁判官に対して具体的な事情とともに主張します。
被疑者の住所・職業・家族関係・前科の有無などを整理し、社会復帰に向けた環境が整っていることを示すことが有効です。
示談交渉による釈放・不起訴
被害者との示談成立は、釈放・不起訴処分を実現するための最も有効な手段の一つです。弁護士は被疑者の代理人として被害者または被害者側弁護士と交渉し、示談書を作成します。
示談交渉は時間がかかるケースもありますが、勾留中でも精力的に進めることで、勾留満期前に成立させることが可能です。示談成立の事実は検察官の処分判断にも大きく影響します。被害者への謝罪・賠償が誠実に行われたことが、不起訴処分への近道となります。
不起訴を獲得するための条件や弁護士に依頼する効果については、こちらの記事で詳しく解説しています。
保釈申請・公判弁護
起訴後は保釈申請を行い、裁判終了まで自宅で過ごせるようにします。保釈が認められれば仕事や家族生活への影響を最小限に抑えることができます。また公判(裁判)では執行猶予や減刑を目指した弁護活動を行います。
刑事事件は逮捕から判決まで一連の流れがあります。春田法律事務所では逮捕直後から判決後の社会復帰まで、一貫してサポートします。どの段階からでもご相談いただけます。
公判で目指す執行猶予の条件や取り消しリスクについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 勾留中に家族は面会できますか?
勾留中は基本的に面会可能ですが、「接見禁止」の決定が出ている場合は弁護士以外の面会・手紙のやりとりが禁止されます。
接見禁止がついている場合でも、弁護士が一部解除の申立てを行うことで、家族との面会が認められるケースがあります。まずは弁護士にご相談ください。
Q. 勾留されると会社にバレますか?
勾留中は出勤・連絡ができなくなるため、長期間の欠勤が生じます。会社への説明については、弁護士と相談のうえ対応を決めることをお勧めします。
勾留期間をできるだけ短くすること(準抗告・示談による早期釈放)が、会社への影響を最小化する最善策です。
Q. 勾留は必ず20日間続きますか?
必ずしも20日間続くわけではありません。
弁護士が準抗告を申し立てて勾留が取り消された場合や、示談成立・証拠収集完了により検察官が早期に不起訴処分を決定した場合は、20日未満で釈放されます。
逮捕直後から弁護士が動くことで、勾留期間を大幅に短縮できる可能性があります。
Q. 保釈金の相場はいくらですか?
保釈金は裁判所が個別に決定するため一概には言えませんが、一般的な刑事事件では150万〜300万円程度のケースが多いとされています。
重大事件・常習犯・逃亡リスクが高いと判断された場合は、より高額になることがあります。保釈金は裁判終了後に全額返還されます。
弁護士が適切な金額の申請をサポートします。
Q. 当番弁護士と私選弁護士の違いは何ですか?
当番弁護士は弁護士会が派遣する制度で、最初の1回は無料で接見を受けられます。
ただし継続的な弁護活動(準抗告・示談交渉・保釈申請など)は担当しません。私選弁護士は費用がかかりますが、逮捕直後から起訴後の公判まで一貫してサポートしてもらえます。
釈放・不起訴を目指す場合、早期に私選弁護士を選任することを強くお勧めします。
Q. 在宅事件でも勾留されることはありますか?
在宅事件(身柄を拘束されずに捜査が進む事件)では、原則として勾留は行われません。
ただし、捜査の途中で逃亡・証拠隠滅のおそれが生じた場合や、出頭拒否が続いた場合には、後日逮捕・勾留される可能性があります。在宅事件でも弁護士を選任し、捜査に適切に対応することが重要です。
まとめ
勾留は逮捕に続く最大20日間の身柄拘束であり、放置すると起訴・前科につながるリスクがあります。勾留阻止・早期釈放のためには、逮捕直後からの弁護士選任が最も重要です。
- 勾留期間:最大20日間(10日+延長10日)、逮捕から最大23日間
- 準抗告:勾留決定に対して申し立て可能
- 示談交渉:勾留中でも並行して進め、早期釈放・不起訴を目指す
- 保釈:起訴後に申請可能。保釈金は裁判終了後に返還
「家族が逮捕された」「このまま勾留が続くのか不安」という方は、春田法律事務所にお気軽にご相談ください。初回相談無料・24時間相談受付中です。
刑事事件の弁護士相談については、こちらをご覧ください。
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