自己破産したら車はどうなる?手放さなくていいケースと対処法を弁護士が解説
2026年06月15日

「自己破産したら車を取られてしまう」――こうした不安から、自己破産を選択肢から外している方は多くいます。
実際には、車を手元に残せるケースもありますし、手放す場合でも生活を継続する方法はあります。特に地方にお住まいの方や、仕事で車が欠かせない方にとって、車の扱いは自己破産を決断するうえで最も大きな懸念の一つです。
この記事では、自己破産と車の関係を弁護士が具体的に解説します。「残せるケース」「残せないケース」「代替手段」まで整理しています。
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自己破産すると車はどうなるのか
自己破産では、一定以上の価値がある財産は「破産財団」に組み込まれ、債権者への返済に充てられます。車もこの対象になりえます。
処分されるかどうかは「車の価値」で決まる
基準となるのは車の査定額です。
- 査定額が20万円以下 → 自由財産として手元に残せる可能性がある
- 査定額が20万円超 → 原則として処分対象になる
査定額は市場価値(中古車相場)をもとに判断されます。
年式が古い・走行距離が多い・傷や故障がある車は査定額が下がるため、20万円以下に収まるケースも少なくありません。
| 年式の目安 | 車種 | 査定額の傾向 | 20万円以下になる可能性 |
| 〜10年前 | 軽自動車 | 〜30万円程度 | 状態による |
| 〜15年前 | 軽自動車 | 10万円前後 | 高い |
| 〜15年前 | 普通車(国産) | 数万〜20万円程度 | 状態・走行距離次第 |
| 10〜15年超 | 輸入車・高級車 | 種により大きく異なる | ケースバイケース |
※査定額は車種・走行距離・修復歴等で変動します。申請前に実際の査定を取ることを推奨します。
ローン返済中の車は原則として手放すことになる
カーローンが残っている車の多くは、ローン会社が「所有権留保」を設定しています。これは、ローン完済まで車の所有権がローン会社にある状態です。
自己破産を申請すると、ローン会社はローン契約を解除し、車を引き上げます。これはローン会社の権利行使であり、破産手続きとは別に行われます。査定額が20万円以下であっても、ローン残債がある場合は引き上げられるのが原則です。
自己破産の仕組みや財産の処分範囲・デメリットの全体像については、こちらの記事で詳しく解説しています。
自己破産しても車を手元に残せるケース
査定額が20万円以下の場合
査定額が20万円以下であれば自由財産として認められ、手元に残せる可能性があります。10年以上前の車や軽自動車の場合、この基準を下回ることも多くあります。
申請前に査定を取っておくことを推奨します。
同居家族名義の車
自己破産の対象となるのはあくまでも本人名義の財産です。配偶者や親など同居家族の名義になっている車は原則として処分対象になりません。
ただし「名義は家族だが実質的に本人のもの」と判断される場合は問題になることがあります。購入資金の出所・普段の使用者などを確認しておくことが必要です。
自己破産が家族や仕事に与える影響については、こちらの記事で詳しく解説しています。
仕事で不可欠な場合(自由財産の拡張申立)
自己破産の手続きでは、生活・仕事に必要な財産について裁判所に「自由財産の拡張」を申立てることができます。
仕事で車が不可欠であることを具体的に疎明できれば、査定額が20万円を超えていても処分を免れる可能性があります。
ただし認められるかどうかは裁判所の判断によります。
個人再生を選択する
車を手元に残すことが最優先の場合、自己破産ではなく個人再生を選択する方法があります。
個人再生は財産を処分せずに借金を大幅に減額できる手続きです。ただし継続的な収入が必要などの条件があります。
| 比較項目 | 自己破産 | 個人再生 |
|---|---|---|
| 借金の扱い | 原則全額免除 | 最大5分の1に減額・返済 |
| 車の扱い(20万円超) | 原則処分 | 財産として残せる(清算価値基準で返済額に影響) |
| 収入要件 | 不要 | 継続的な収入が必要 |
| 手続き期間 | 約6〜12ヶ月 | 約6〜12ヶ月 |
個人再生の仕組みや、自宅・財産を残しながら借金を減らす条件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
自己破産しても車を使い続ける方法
家族名義に変更する(申請前)
自己破産を申請する前に、車を家族名義に変更する方法があります。ただし、申請直前の名義変更は「財産隠匿」とみなされるリスクがあります。
時期・方法については必ず弁護士に相談の上で進めてください。
安価な中古車を現金で購入する
自己破産後は信用情報への事故登録でローンが組めませんが、20万円以下の現金一括払いで中古車を購入することは可能です。
免許証さえあれば購入・登録に制限はありません。
カーシェア・レンタカーを活用する
車を所有する必要がなければ、カーシェアやレンタカーで対応する方法もあります。
月数回程度の利用であれば、維持費(保険・税金・車検)がかからない分、経済的な場合もあります。
よくある状況と対応例
CASE①:地方在住・通勤に車が必須の方
▶ 状況:地方に住んでおり、公共交通機関がほとんどない。車がないと職場まで通えないため、自己破産をためらっている。
→ 対応例の考え方:
「自由財産の拡張」の申立てを行い、通勤に不可欠であることを資料(職場の所在地・公共交通機関の時刻表・就業規則など)で疎明する方法が考えられます。
裁判所に認められれば、20万円超の車でも手元に残せる可能性があります。
→ 申立の可否・方法は弁護士に事前に確認することが必須です。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
CASE②:カーローンが残っている方
▶ 状況:現在も返済中の車(ローン残債100万円)があり、手元に残したい。査定額は50万円程度。
→ 対応例の考え方:
所有権留保がある場合、ローン会社は自己破産の申請とともに車を引き上げる権利を持ちます。査定額が50万円超であることも手元に残すことを難しくしています。
この場合は個人再生への切り替えを検討するか、車なしで生活する方法(カーシェア・安価な中古車の現金購入)を準備することが現実的です。
→ まず弁護士に現在のローン残額・査定額を伝えた上で、最適な手続きを選択することが重要です。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
CASE③:配偶者名義の車がある方
▶ 状況:妻名義の車があるが、普段は自分(夫)が通勤に使っている。自己破産すると処分されるか不安。
→ 対応例の考え方:
妻名義の車であれば、原則として自己破産の対象財産にはなりません。
ただし、「購入費用を夫が全額負担した」「実際の使用者は夫のみ」など、実質的に夫の財産と見なされる事情がある場合は問題になるケースがあります。
→ 購入資金・普段の使用状況について弁護士に正直に伝えた上で、対応方針を確認してください。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
CASE④:自己破産後に車が必要になった方
▶ 状況:自己破産が完了して1年が経過。就職先が変わり、新たに車が必要になったが、ローンが組めるかどうかわからない。
→ 対応例の考え方:
自己破産後5〜10年間は信用情報への事故登録が続くため、この期間中はカーローンの審査に通りません。
ただし現金一括での購入には制限がありません。20万円以下の中古車を現金で購入することが現実的な選択肢です。
また、事故情報が削除された後(5〜10年後)は通常どおりローン審査が可能になります。
※こちらはあくまで参考であり、実際の案件とは異なります。
よくある質問
Q. 自己破産後にカーローンは組めるか?
A. 信用情報への事故登録期間中(5〜10年)はローン審査に通りません。登録期間が終了した後は通常どおり申し込み可能です。
Q. 車のリース契約はどうなるか?
A. リース契約は自己破産により解除されることが多く、車を返還することになります。ただし契約内容によって異なるため、個別に確認が必要です。
Q. 自己破産前に車を売って現金にしてもいいか?
A. 売却した現金も財産として管理されます。自己破産申請前の財産処分は詳細が確認されるため、勝手に売却するのは避けてください。弁護士の指示に従って対応することが重要です。
Q. 軽自動車なら残せるか?
A. 名義が本人でローンがない場合、査定額が20万円以下であれば残せる可能性があります。年式・走行距離によっては査定額が20万円を下回ることも多いです。
Q. 処分された車の代金はどうなるか?
A. 破産管財人が売却し、換価された金額は債権者への配当に充てられます。残った借金の減額に役立てられます。
まとめ
- 査定額が20万円以下・ローンなしの車は手元に残せる可能性がある
- ローン返済中の車はローン会社に引き上げられるのが原則
- 同居家族名義の車は原則として対象外
- 仕事で車が不可欠な場合は「自由財産の拡張」の申立てができる
- 車を絶対に残したい場合は個人再生も選択肢になる
- 自己破産後も現金一括で20万円以下の中古車を購入することは可能
「自己破産すると車が使えなくなるのでは」とお悩みの方も、まずは状況を弁護士にご相談ください。車の査定額・ローンの有無・仕事への影響など、個別の事情に応じた解決策をご提案します。
任意整理・個人再生・自己破産の3つの手続きの違いについては、こちらの記事でわかりやすく解説しています。
※内容によってはご相談をお受けできない場合がありますので、ご了承ください。
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