5ちゃんねるは開示請求できる?ステップや期間・実施のポイントを解説
最終更新日: 2023年12月30日
- 5ちゃんねるで誹謗中傷を受けて困っている。悪質な投稿者の身元を知りたい。
- 5ちゃんねるで誹謗中傷をしてしまい相手に開示請求をされた。自分はどうなってしまうのだろう?
- 開示請求等を行ってから、どのような対応をとればよいのか知りたい。
「5ちゃんねる」は日本最大級の電子掲示板です。2017年に「2ちゃんねる (2ch.sc)」から5ちゃんねるへ名称を変更しています。
5ちゃんねるでは多様なジャンルの話題が投稿されている一方、他人を誹謗中傷したり、他人の画像を勝手に掲載したりする被害が問題となっています。
悪質な投稿者の身元の特定は、プロバイダ責任制限法に規定されている発信者情報開示請求等を行えば可能です。しかし、肝心なのは投稿者の身元が判明した後の対応です。
そこで今回は、5ちゃんねるでの誹謗中傷トラブルに対応してきた専門弁護士が、開示請求を行う方法、投稿者の身元の判明後の法的措置等について詳しく解説します。
本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。
- 悪質な投稿者を突き止めるには、「発信者情報開示請求」や「発信者情報開示命令」の手続きを行う
- 発信者情報開示請求や開示命令は弁護士のサポートを受けないと、スムーズに手続きが進まない可能性がある
- 身元を特定された投稿者は、法的責任を追及される可能性がある
5ちゃんねるで開示請求できるのか
5ちゃんねるで悪質な投稿を行った者の身元の特定は、プロバイダ責任制限法に基づき発信者情報開示請求等を行えば可能です。
しかし、開示請求をしただけでは、無条件に投稿者の氏名・住所等が判明するわけではありません。
こちらでは開示請求できるケース、できないケースを説明します。
できるケース
次のケースに該当するするような悪質な投稿の場合は、開示請求によって投稿者の身元の特定が可能です。
- 誹謗中傷:名誉毀損、侮辱に当たる場合
- 危害を加える予告:個人やその家族への脅迫、法人に対し所有のビルを爆破する等の情報を書き込んだ場合
- 個人情報や顔写真等を掲載:無断で個人の氏名、住所、電話番号、メールアドレスを書き込む、顔写真・容姿を公開する等
悪質な書き込みにより本人が実際に権利侵害を受けた場合の他、投稿者が本人のみならず家族への危害を予告した場合も開示請求の対象となります。
できないケース
次のような悪質な投稿とはいえないケースや、投稿者(発信者)の特定が難しいケースでは開示請求をしても、5ちゃんねるの管理者側から対応を拒否されます。
- 正当な批判:個人、法人の言動に対して正当に批判や反論する投稿
- 投稿から長期間経過している:悪質な投稿であっても、一定期間を過ぎればIPアドレス等のログ情報が自動で削除され、投稿者(発信者)の特定が難しい
- 証拠が残っていない:投稿が削除されている場合
5ちゃんねるで自分への悪質な投稿があった場合は、すぐにスクリーンショットで証拠を残す等の措置を行いましょう。
5ちゃんねるで開示請求するステップ
権利侵害を受けた人が、「発信者情報開示請求」や「発信者情報開示命令」の手続きを行い、悪質な投稿者の身元を特定する場合、ある程度の法律の知識が必要になります。
開示請求を行うときは、法律の専門家のサポートを受けながら、迅速に手続きを進めていきましょう。
投稿保存
5ちゃんねるの掲示板に投稿された誹謗中傷等の内容を証拠として保存します。
次のような内容をスクリーンショット等で撮影しておきましょう。
- 悪質な口コミや画像、動画
- 悪質な投稿が載せられたスレッドの名称、スレッドのURL
- レスの番号
- 投稿された日時 等
保存した画像は大切に保管し、法律の専門家等へ相談するときに提示します。
弁護士への無料相談
悪質な投稿を証拠として保存したら、自分だけで投稿者の身元の特定を進めるのではなく、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
法律事務所のなかには、初回相談無料のところもあります。
無料相談サービスを実施している事務所なら気軽に相談が可能です。
弁護士は証拠として保存した悪質な投稿のスクリーンショット、相談者の希望も聴いて、的確なアドバイスを行います。
- 相談者が提示した投稿内容は、本当に悪質な投稿と認められるのか
- 発信者情報開示請求と発信者情報開示命令のメリットやデメリットの説明
- 発信者情報開示請求と発信者情報開示命令のそれぞれの手順
弁護士から説明を受け、弁護士に開示請求の代理人を依頼する場合、委任契約を締結します。
開示請求
プロバイダ責任制限法に則り、発信者情報開示請求か発信者情報開示命令の手続きを進めていきます。
これら開示請求の手続きは弁護士に任せられます。ただし、請求手順はそれぞれ異なります。
発信者情報開示請求
5ちゃんねる管理者、経由プロバイダへ別々に開示請求する方法です。
まず5ちゃんねる管理者に発信者情報開示請求(任意開示)を行い、投稿者のIPアドレスの情報開示を要求します。
開示されたIPアドレスで、投稿者が利用している経由プロバイダ(例:NTTドコモやソフトバンク、KDDI等)がわかります。
その後、経由プロバイダに発信者情報開示請求訴訟を提起し、裁判所が経由プロバイダに投稿者に関する情報開示を命じます。
発信者情報開示命令
改正プロバイダ責任制限法の施行(2022年10月1日)で新設された開示請求方法です。
裁判所に発信者情報開示命令を申立て、5ちゃんねる管理者、経由プロバイダに一括で開示請求を行います。
申立て後、裁判所は5ちゃんねる管理者にIPアドレス提供を、経由プロバイダには発信者情報消去の禁止を命じます。
この方法を取る場合、手続き当初から裁判所への申立てを必要としますが、一括で開示請求が可能なため、投稿者の身元を迅速に突き止められる点が大きなメリットです。
5ちゃんねるでの開示請求にはどれくらいかかるのか?
経由プロバイダのログ保存期間は、悪質な投稿があったときから通常3〜6か月程度と言われています。
投稿者の利用した経由プロバイダが判明しないと、時間の経過で発信者情報が消失してしまうリスクもあるので、開示請求を迅速に進めましょう。
発信者情報開示請求の場合、5ちゃんねる管理者、経由プロバイダへ別々に請求するため、開示請求までにかなり時間がかかってしまいます。
5ちゃんねるのケースであれば、悪質な投稿者の特定期間は概ね4~6か月程度です。
一方、発信者情報開示命令の場合は、身元の特定までの期間は発信者情報開示請求より大幅に短縮できるでしょう。
5ちゃんねるでの開示請求後にできること
投稿者の氏名や住所等が判明すれば、5ちゃんねる側に悪質な投稿の削除要求だけではなく、損害賠償請求や刑事告訴も可能です。
削除請求
5chの投稿の削除作業は、削除権限を与えられたボランティア(削除人)が対応します。
5ちゃんねる側に悪質な投稿の削除を要求することは開示請求前でも可能ですが、投稿を削除するか否かは削除人の判断に任せられるため、すぐに投稿が削除されるわけではありません。
削除依頼をしても応じない場合は、裁判所に悪質な投稿の削除のため「仮処分申し立て」を行いましょう。
なお、被害者本人ではなく弁護士が代わりに削除要求や仮処分申し立てをすれば、スムーズに進められます。
損害賠償請求
5ちゃんねるで権利侵害を受けた被害者は、投稿者の氏名や住所等が判明すれば、損害賠償を請求できます。
民法では「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と明記されています(民法第709条)。
権利侵害により損害が生じたときは、この不法行為責任を理由に損害賠償を求められるのです。
賠償金額(慰謝料額)は、名誉毀損は10〜50万円程度(法人50〜100万円程度)、侮辱は1〜10万円程度です。
また、権利侵害を受け財産権を侵害されていなくとも、名誉感情を侵害された被害者は、肖像権・プライバシーの侵害などを主張し、損害賠償を請求することも可能です。
民法でも「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」と規定しています(民法第710条)。
肖像権侵害やプライバシー侵害の賠償金額(慰謝料額)は、10〜50万円程度です。
ただし、悪質な投稿により深刻な損害を受けたときは、数百万円の賠償金額になる可能性もあります。
刑事告訴
5ちゃんねるで悪質な投稿をした加害者に対しては、刑事告訴も行えます。
誹謗中傷した加害者は刑事告訴されると、「名誉毀損罪」や「侮辱罪」に問われます。
(1)名誉毀損罪
5ちゃんねるで公然と個人や法人の事実を摘示し、社会的評価を低下させた投稿が該当します。投稿した内容が真実かどうかは問われません。
たとえば、「〇〇高校の〇〇教諭は教育実習生時代に、当時の女子生徒〇〇と性的関係を持った」等の投稿は名誉毀損罪に当たります。
名誉毀損罪で有罪になると「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。
(2)侮辱罪
投稿者が5ちゃんねるで事実を摘示せずに公然と、個人や団体を侮辱した投稿が該当します。
たとえば、個人や法人に対し「死ねやカス」「劣等集団」等と投稿した場合は侮辱罪になります。
侮辱罪で有罪になると「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。
5ちゃんねるでの開示請求をスムーズに進めるポイント
開示請求するかどうか悩んで悪質な投稿を放置していると、一定期間が経過すれば投稿者(発信者)の特定が不可能になります。
投稿者の身元の特定は、迅速に行わなければいけません。
こちらでは、開示請求をスムーズに進めるポイントを説明します。
迅速な対応
開示請求するか躊躇したり、開示請求手続きに手間取っていたりすると、投稿者(発信者)の特定ができなくなるおそれがあります。
開示請求の方法がよくわからいときは、早く弁護士に相談しアドバイスを受けましょう。
弁護士に依頼すれば開示請求の大まかな手順や、関係する手続き、開示後の法的措置まで全てを任せられます。
法律の理解
発信者情報開示請求や発信者情報開示命令は、プロバイダ責任制限法に従い手続きを進めなければなりません。
裁判所への申立て時は、提出書類の収集や作成、証拠物等を準備する必要があります。
被害者が法律や手続き方法をよく知らないと、書類が集められない、書類の不備が見つかった等、準備段階でつまずいてしまうかもしれません。
そのため、被害者本人だけで何とかしようとせず、弁護士のサポートを受けて対応した方が支障なく開示請求を進められます。
専門弁護士への依頼
弁護士は法律の専門家ですが、開示請求をスムーズに進めたいならネットや電子掲示板のトラブルの交渉・訴訟に精通した専門弁護士を選びましょう。
ネットや電子掲示板のトラブルに強い弁護士を選ぶためには、まず法律事務所のホームページを確認します。
- ネットや電子掲示板のトラブル相談実績、解決実績の件数が具体的に掲示されている
- ネットや電子掲示板のトラブルの相談事例、コラムが豊富に掲載されている
- ネットや電子掲示板のトラブル解決の手順や、報酬等が明記されている
以上のような内容が確認できれば、開示請求の手続きに豊富な経験のある法律事務所と判断できます。
5ちゃんねるでの開示請求なら当事務所にご相談を
今回は5ちゃんねる等の掲示板トラブルに対応してきた専門弁護士が、開示請求の方法や開示請求後の法的措置等について詳しく解説しました。
開示請求が認められただけでは、5ちゃんねるでの法的トラブルは解決できません。開示請求後の法的対応も迅速に進めていきましょう。
弁護士から的確なアドバイスを受け、掲示板トラブルの早期解決を図りましょう。