恐喝で逮捕されてしまったらどうなる!?要件と対策について解説

最終更新日: 2023年07月12日

恐喝で逮捕されてしまったらどうなる!?すぐに弁護士に相談するのがおすすめ!

  • 恐喝・脅迫とはどのような罪なのか?
  • 恐喝・脅迫で逮捕されたあとはどうなるのか?
  • 恐喝・脅迫で弁護士に相談すると何をしてくれるのか?

恐喝や脅迫事件を犯して逮捕されてしまった人の家族は、このあとどうなるのかと不安に駆られていることでしょう。そしていつまで身柄を拘束され、その後どのような処分になるのか心配は尽きません。

また、逮捕を避けるために恐喝や脅迫に精通している弁護士がいてくれれば心強いのにと、専門の弁護士に相談したいと望んでいる人もいるでしょう。

そこで今回は、恐喝事件や脅迫事件に精通している専門の弁護士が、恐喝や脅迫で問われる罪や逮捕の成立要件・逮捕されたあとの流れなどについて解説します。

本記事のポイントは以下です。お悩みの方は詳細を弁護士と無料相談することが可能です。

  • 恐喝も脅迫も相手を脅すという部分は同じ
  • 恐喝罪は相手を畏怖させて財物を交付させることが要件
  • 脅迫罪は被害者に対して不利益を被る行為が実行されることが要件

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この記事を監修したのは

代表弁護士 春田 藤麿
代表弁護士春田 藤麿
第一東京弁護士会 所属
経歴
慶應義塾大学法学部卒業
慶應義塾大学法科大学院卒業
都内総合法律事務所勤務
春田法律事務所開設

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恐喝で逮捕される要件

恐喝で逮捕される要件について3つ解説します。

  • 恐喝で問われる罪
  • 脅迫で問われる罪
  • 恐喝と脅迫の違いは?

1つずつ解説します。

恐喝で問われる罪

1つ目は、恐喝で問われる罪についてです。

人を恐喝して問われる罪は、刑法の恐喝罪です。

恐喝罪は、人を恐喝して財物を交付させ(1項)、財産上不法の利益を得又は他人にこれを得させる(2項)ことによって成立します(刑法249条)。

恐喝とは、財産または財産上の利益を供与させる手段として、相手方を脅迫または暴行することをいいます。

恐喝罪は、その手段たる脅迫・暴行が、相手方の反抗を抑圧する程度には至っていない点において強盗罪と区別されます。

恐喝行為者は、10年以下の懲役に処せられ、未遂であっても処罰されます。

脅迫で問われる罪

2つ目は、脅迫で問われる罪についてです。

人を脅迫して問われる罪は、刑法の脅迫罪です。

脅迫罪は、人に対し、その者(1項)又はその親族(2項)の生命・身体・自由・名誉・財産に対し害を加える旨を告知して脅迫することによって成立します(刑法222条)。

脅迫とは、相手方を畏怖させるような害悪の告知をすることをいいます。ここにいう害悪の告知とは、人の生命・身体・自由・名誉・財産に関するものに限定されます。

脅迫行為者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられますが、未遂については規定がありません。

恐喝と脅迫の違いは?

3つ目は、恐喝と脅迫の違いについてです。

人を脅すという点では、恐喝罪も脅迫罪も共通しています。その脅しが、財物の交付や財産上の利益に向けられれば恐喝罪になり、人に向けられれば脅迫罪になります。

このように犯罪の対象が、恐喝罪では他人の財物と財産上の利益であるのに対し、脅迫罪では人であるという点に違いがあります。

行為が、恐喝罪では前述した「犯罪の成立」における(1項)・(2項)のとおりであるのに対し、脅迫罪では人を脅すという点に違いがあります。

また、刑罰が、恐喝罪では10年以下の懲役であるのに対し、脅迫罪では2年以下の懲役又は30万円以下の罰金という点に大きな違いがあります。

そのため、法定刑が重い恐喝罪には罰金刑がないため、起訴された場合には公開の法廷で正式な裁判を受けなければなりません。

一方、脅迫罪には罰金刑があるため、正式な裁判ではなく書面審理のみで罰金を命じられる略式手続で済む場合があります。

恐喝罪には未遂規定があるのに対し、脅迫罪には未遂規定がないのも、恐喝罪と脅迫罪の違いになります。

そして、公訴時効の違いもあります。具体的には、恐喝罪の公訴時効は7年(2項4号)であるのに対し、脅迫罪の公訴時効は3年(2項6号)となっています(刑事訴訟法250条)。

出典:刑法|e-GOV法令検索|法務省

逮捕の可能性がある恐喝罪・脅迫罪での成立要件と事例を紹介

逮捕の可能性がある恐喝罪・脅迫罪での成立要件と事例の紹介について2つ解説します。

  • 恐喝罪
  • 脅迫罪

1つずつ解説します。

恐喝罪

1つ目は、恐喝罪についてです。

恐喝罪の成立要件と事例について見てみましょう。

成立要件

恐喝罪が成立するためには、脅迫や暴行により相手方を怖がらせ、金品を巻き上げたり借金を免除させたりすることが要件になります。

恐喝行為は、相手に対して、抵抗できる程度の脅迫または暴行を加え、財物交付を要求することをいいます。

恐喝罪における人を畏怖させるような害悪の告知は、相手方またはその親族以外の者、たとえば、友人・縁故者等に関するものも対象になります。

恐喝罪が既遂となるためには、行為者の恐喝行為によって、相手が畏怖し、それによって財物の占有を行為者または第三者に移転することが必要です。

事例

以下のような害悪の告知は、裁判事例によれば、恐喝罪における「脅迫」に当たり、その行為によって財物交付を要求し、財物を交付させることは恐喝罪に該当します。

  • 他人の犯罪事実を知る者が、捜査機関にその事実を申告する旨告知すること
  • 盗品を運搬中の窃盗犯人に対し、「自分は刑事だ」といって暗に捜査権を行使する旨告知すること
  • 私人の秘密を摘発すると通告すること
  • 私人の秘密や不利益に関する記事を掲載する旨告知すること

脅迫罪

2つ目は、脅迫罪についてです。

脅迫罪の成立要件と事例について見てみましょう。

成立要件

脅迫罪が成立するためには、相手方に対し、本人又はその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に害を加える旨を告知して脅迫することが要件になります。

告知する害悪の程度は、通常人を畏怖させるに足りるものでなければならず、これに当たるかどうかは、告知の内容と四囲の客観的状況によって判断されるべきであるとされています。

告知の方法には、特に制限はなく、暗示する方法でもよいとされています。相手方に知られることによって既遂となります。それによって相手方が実際に畏怖することも必要ではありません。

事例

以下のような害悪の告知は、裁判事例によれば、脅迫罪における「脅迫」に当たり、その行為は脅迫罪に該当します。

  • 配偶者が不倫関係を持っていることを公表する旨告知すること
  • 信用毀損行為をする旨告知すること
  • 町村合併について抗争が熾烈になっている時期に、現実の出火もないのに「出火見舞申し上げます。火の元に御用心」という文面のはがきを出すこと
  • 警察隊長に対し「国民の的となり身を滅ぼすより、辞職せよ」などと記載したビラによってこれを了知させること

恐喝・脅迫で逮捕されたあとの流れ

恐喝・脅迫で逮捕されたあとの流れについて4つ解説します。

  • 警察による取り調べ
  • 検察への送検
  • 勾留
  • 起訴・不起訴の処分

1つずつ解説します。

警察による取り調べ

1つ目は、警察による取り調べについてです。

被疑者は、逮捕された後、弁解の機会を与えられ、弁解録取書が作成されます。しかし、弁解録取の手続きは取り調べとは異なります。

その後、被疑者は、身体を拘束されたときから最大で48時間の逮捕の間、警察官から取り調べを受けます。そして、逮捕された被疑者には、取り調べ受忍義務があるとするのが判例となっています。

なお、警察では、検察官があらかじめ指定した軽微な事件については検察官に送致しないことができます。この軽微な事件に関する不送致処分を微罪処分といいます。しかし、被疑者が逮捕状に基づいて逮捕された事件については、微罪処分の対象外とされています。

検察への送検

2つ目は、検察への送検についてです。

まず、警察官は、逮捕した被疑者に対して「直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え」ます。

その上で留置の必要ありと判断した場合、被疑者がその身体を拘束されたときから48時間以内に、書類及び証拠物とともに、被疑者を検察庁に連行し、検察官に送致するための手続きをとります。この手続きを「送検」と呼びます。

次に、検察官は、警察官から送致された被疑者を受け取ると弁解の機会を与えます。そして、留置の必要があると判断した場合、被疑者を受け取ったときから24時間以内で、かつ最初に被疑者が身体を拘束されたときから72時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求します。

勾留

3つ目は、勾留についてです。

恐喝・脅迫で逮捕された場合、自由が制限されるのは最大で72時間です。その後、引き続き身体を拘束するのが勾留です。

裁判官は、検察官から勾留請求があった場合に、勾留質問を行い、当否を審査します。そして、捜査を進める上で身体の拘束が必要だと判断した場合には、勾留を決定し、10日間の拘束を認めます。

勾留を決定するためには、恐喝・脅迫の罪を犯した疑いがあり、住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれのいずれかがあることが必要です。

検察官は、原則としてこの10日間で起訴・不起訴の判断をしなければなりませんが、やむを得ない事情がある場合は10日を上限として勾留期間の延長を裁判官に請求できます。また、裁判官は請求に理由があれば10日間を上限とし、勾留期間の延長を決定できます。

なお、被疑者が身体を拘束されていない場合は、在宅事件となります。

起訴・不起訴の処分

4つ目は、起訴・不起訴の処分についてです。

検察官は、原則として10日間の勾留期間内か、勾留期間が延長された場合はその期間内で、起訴・不起訴の判断をしなければなりません。検察官は、受理した恐喝・脅迫の被疑事実について的確な証拠に基づいて有罪判決が得られる可能性が高いと判断した場合は、原則として起訴することになります。

一方で、検察官は、起訴しない場合には、恐喝・脅迫の被疑事実について、嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予などの理由で、それぞれ不起訴の処分をします。

家族が恐喝・脅迫で逮捕されたら弁護士に相談することがおすすめ

家族が恐喝・脅迫で逮捕されたら弁護士に相談することについて3つ解説します。

  • 釈放を求めることができる
  • 交渉・和解
  • 裁判の代理人

1つずつ解説します。

釈放を求めることができる

1つ目は、釈放を求めることができることについてです。

恐喝・脅迫事件で逮捕されている場合、最短での釈放を求めるためには初動のスピードが重要です。家族が依頼すれば、すぐに動いてくれる弁護士もいます。弁護士であれば、捜査機関に働きかけて被疑者の釈放を求めることができます。

逮捕中は家族でも被疑者と接見できません。接見できるのは弁護士だけになります。最大72時間の逮捕中、今後について被疑者が弁護士と話し、釈放に向けていろいろと相談できることは、被疑者だけではなく家族にとっても心強いことでしょう。

交渉・和解

2つ目は、交渉・和解についてです。

弁護士に依頼すれば、恐喝・脅迫の被害者との間で示談交渉や和解をうまく進められる可能性が高まります。示談交渉や和解は、被疑者の家族でも可能です。しかし、家族が直接交渉を始めた場合、その対応を間違えると、被害者の感情を損ね、取り返しがつかないことにもなりかねません。

和解を進めるためには、多くの案件をこなしている法律事務所の弁護士を頼るべきです。被害者との間で示談や和解が成立すれば、その結果を踏まえて検察官に面談を求め、場合によっては不起訴処分が得られることも考えられます。

裁判の代理人

3つ目は、裁判の代理人についてです。

恐喝・脅迫事件では、場合によっては民事的な問題に発展することも考えられます。恐喝事件では損害賠償請求、脅迫事件では慰謝料請求となります。

これらの場合、当事者同士での解決は難しく、そこは弁護士に相談すべきです。民事裁判ともなれば、被疑者の代理人として対応してくれます。

まとめ

今回は、刑事事件に精通している専門の弁護士が、恐喝・脅迫における逮捕についての要件や逮捕後の流れなどについて解説しました。

恐喝や脅迫事件を犯して逮捕されてしまった場合、一番の心配はこのあとどうなるのかということでしょう。できれば起訴されないで釈放されることを望むのは、被疑者本人のみならず家族の方も同じ思いのはずです。

逮捕された被疑者だけではなく家族の方でも、少しでも今後に対して不安を感じているのであれば、ぜひ一度専門の弁護士に相談してください。

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